だんどく(小石川植物園) 7/17

浦々に檀特の花日本海    森 澄雄

「檀特(だんどく)の花」は、カンナ、ハナカンナと共に、初秋の季語になっているようです。

ダンドクは熱帯アメリカの植物で、普通のカンナ(観賞用のカンナ、ハナカンナ)の母種の一つのようです。 全体の印象はカンナによく似ています。 檀特、曇華などと書かれるようですが、牧野説によれば、檀特(だんどく)は梵語(サンスクリット、古代インド言語の一派)、曇華は漢名だそうです。 檀特山(だんとくせん)は、お釈迦さまがこもって修行した山ということで、佛教関係では有名な地名なのでしょう、歌舞伎十八番 勧進帳の弁慶のセリフの中にまで出てくるとか。

原産地が熱帯アメリカとするのは、小石川植物園と、小学館「園芸植物大事典」1988。 牧野圖鑑ではインド,マラッカ,マレー諸島等原産とあり、山渓ポケット図鑑では、「アジア、アフリカ、アメリカの熱帯地域に多くの原種がある」 としています。
講談社「週刊 花百科 23(ヒマワリと真夏の花)」2004/8/5、の記述を主として、諸説を取り混ぜると、次のようなことになりそうです。

ダンドクは熱帯アメリカ原産の植物で、ヒマワリやタバコ等と共に、コロンブスがアメリカ大陸からヨーロッパに持帰った最初の植物。 ヨーロッパから世界各地へ伝わり、日本へは江戸初期までに渡来、帰化した。 インド経由で来たものらしく、釈尊(しゃくそん)修行の山といわれる檀得山に咲く花とされた。 野生化したダンドクは、薩南諸島から沖縄まで分布している。 現在一般に栽培されている園芸品種は本種をメインに交雑された雑種で、 Canna indica hybrid とまとめて呼ばれている。

ダンドクの学名は Canna indica で、いろいろな解説文を見ると、「日本に入ってきた」という文章ではダンドクの学名は Canna indica、「日本に自生している」という文章ではダンドクの学名は Canna indica var. orientalis、となっていることが多いように思われます。 恐らく、引用された「原文」が2種類あるのでしょう。 それにしても、自生している間に自然交配か何かで変種が出来てしまったのだろうか?

と思って悩んでいましたが(交配の相手がいないヨ)、結局、小学館「園芸植物大事典」によって、Canna indica var. orientalis は Canna indica の異名ということでケリがつきました。 「異名」と「別名」は同じものでしょうね。 どういうことなのでしょう。 どこかの国に帰化した Canna indica を見た人(Hook. f. さん)が Canna indica var. orientalis という学名をつけた。 しかし、その後、 Canna indica そのものだと言うことが分かった。 こんなところでしょうか。

カンナの園芸品種の開発は19世紀半ばから始まったそうで、いろいろな経緯があったようですが、その交配の歴史の中に現れたが、現在では通用しない名前や分類があるそうです。
小学館「園芸植物大事典」より:
・ Canna × generalis
 園芸品種の総称として用いられていたが今日では使われない。
 牧野圖鑑ではハナカンナの学名として記載されています。
・フレンチ・カンナ、イタリアン・カンナ
 品種形成の途上で系統の区分として用いられていたが、今日では用いられない。
 交雑が進み、初期にあった系統の特徴が失われたため。
 平凡社「大百科事典 3」にはこの区別による記述があります。
 その他、ウエブページにもいくつか散見されるようです。
・現在では、草性(高性種/矮性種の区別)と花色による区別が行われる。

ダンドクの所属はカンナ科 カンナ属ですが、他にダンドク科、ダンドク属と言う和名がある(あった?)ようです。
各種の園芸品種は、明治末期になってから日本に入ってきたそうです。
なお、鳥にもダンドクというのがいて、日本で作られた十姉妹という鳥の原種コシジロキンパラという鳥の別名がダンドクで、中国から輸入されたそうです。
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