6) 窪田空穂記念館

 松本平にしばらくの間いて、思ったことだが、周辺の山並みと、のどかな田園風景のコントラストがすばらしい

ところである。その田園地帯のなかの集落の片隅に窪田空穂という歌人の生家がある。本棟造りの立派な民家で、

現在は、市によって整備され公開されている。

 記念館は、この生家の前の6mほどの道と向かいあって建てられた。設計者は、柳沢孝彦である。

松本出身の柳沢孝彦は、芸大から竹中工務店設計部に入り設計部幹部として第二国立劇場の設計競技に

当選し、フリーアーキテクトとなり、竹中時代のスタッフを率いて「二国」の設計監理とともに都立現代美術館などの

秀作を数多く実現しつづけている、脂ののった建築家の一人である。

 記念館の建築は木造でかつローコストにつくられたが、ファサード空間のすばらしさは彼の才能をあますところなく

表出している。架構からデザインされたエントランス空間の演出は、独創的でかつスケール感がよい。

小作ながら代表作の一つというべきけんちくで、斬新な造形、本棟を模した屋根型や木と土壁の演出が

どこか民家とマッチして、生家とのコントラストのある不思議な調和と緊張感のある空間を生みだしている。

記念館

生家

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