平成14年9月7日

           第9回丹羽経済塾報告
        
                                 丹羽経済塾
                                 幹事長 藤本 龍夫



平成14年8月29日木曜日、夕方6時より霞ヶ関の霞山会館で第9回丹羽経済塾を開催した。今回は、「経済コラムマガジン」執筆者の荒井さんが、参加を呼びかけた人が11人出席し、全員で27名の会合となった。

まず各自自己紹介をお願いしたところ、「経済コラムマガジン」の愛読者ばかりで、遠くは鹿児島県からも参加されていたことが分かり驚いた。もちろん都内の方もおられ、不動産業の方、経済研究所の方も、シニョリッジ(セイニアーリッジ権限)の研究に来られていた。せっかく参加して頂いたが参加人数が増えるに従って懇談のための時間が少なくなるのが残念な点であるが、司会者が、各人の発言時間を多くとれるような運営を心がけるべきであると強く思った。

さて、司会を藤本が担当し、まず丹羽教授の講演に移った。まず「諸君」14年10月号で榊原英資氏(慶應義塾大学教授)、本山美彦氏(京都大学教授)、浜田和幸氏(国際未来科学研究所)、丹羽春喜氏(大阪学院大学教授)で行った対談の内容が報告された。内容は、各自読んでもらうことにしたいが、榊原氏も政府貨幣発行案を提言しているのである。

次に経済政策の歴史についての説明があった。

インフレになると政府がデフレ政策を採用するが、ほとんどは「遅れたデフレ政策」となり失敗している。まず松方デフレ政策、終戦後のドッジのデフレ政策、バブルを崩壊させた前回の政策のどれをとっても不要なものである。

また有効需要の原理は今も有効であるのに経済学者の中には、これを忘れているものがいる。この有効需要の原理は、熱力学の第1法則や慣性の法則のような重要な原理であって、これを否定することは大問題であることの認識が少ないと説明された。

その後、著書にも描かれている図を使って経済循環の仕組みを詳しく説明され、付図を使ってさらに細かく「動態乗数分析」も説明されたが、今では大学でもこのような基本的な内容が省略されているとのことであった。

最後に新古典派は市場メカニズムを尊重するような装いを凝らしているが、実はそうではないことを説明された。市場メカニズムの特徴は、第1に価格をよりどころにして計算ができる点、第2に需給は、ほうっておいても均衡するという点、第3に消費者主権の原理が働く点である。需給は今も均衡しているが、デフレ・ギャップの概念と混同することがあってならない。またルーカスなどの新古典派は、需要が増えても供給は増えないという仮説を信じているが、それは、需給が均衡するという市場メカニズムを認めていないことを示している、といわれたと思う。

ずいぶんと説明が詳しく長くなってしまって、次にセイニアーリッジ権限(政府の貨幣発行特権)政策の推進と題した、荒井氏の時間が少なくなってしまったが、概要だけを説明し、次回にも、この資料を持参して討議することになった。

この資料は、政策を実現するために、どのような目的と検討項目が必要か、お金の使い道について賛同を得やすいもの、雇用対策、社会保障等について細かく検討しているものであって、実現のためのマニュアルともなるであろう資料である。理論だけでは政治が動かないのであって、細かい検討と政治家に受け入れられやすい内容にしなければならないだろうと思う。単に丹羽経済政策を実施すれば、日本経済全体が利益を受けると政治家に実行を求めても、食指は動かないのではないかと思う。政治家個人の票につながり、かつ利益につながるような形に変える必要があるのではないかと思う。

前回は民主党の有志国会議員との勉強会を実施した。また、「諸君」誌上での榊原氏等との対談も実現できた。今後、さらにメディアにも多くでられるように、そして、民主党以外の国会議員とも勉強会を設けて、日本経済の需要不足を解消し、高度成長を達成するべく前進したいと思う。

丹羽教授がずいぶん前に指摘していた通り、8月過ぎから景気が急激に悪くなってきた。急がなければ小泉総理は昭和恐慌を引き起こした浜口雄幸ライオン宰相と同じ道を進みつつある。
                                     以上