タイトル : 丹羽塾幹事用連絡版より
平成14年9月15日 丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
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1) なぜ政府貨幣を発行すれば減税が可能になるか
9月12日(木)22時44分31秒 投稿者:小野盛司
政府貨幣を発行で財源を得てそれを国民に配布する案(丹羽[1999a,b])は、それは負の人頭税と考えれば、減税の一種とも言える。あるいは政府貨幣を発行し消費税減税も可能である。本当に政府貨幣を発行して減税ができるのか。ちょっと虫の良すぎる話しではないかと思う人がいるかもしれない。
しかし、政府の財源確保の方法は課税、公債(国債)発行、政府貨幣発行の3種類あることは、良く知られている(例えばブキャナン=ワグナー[1979]の124頁、経済企画庁経済研究所[1993])。実はこの3種類の財源確保の方法は実質的には国民負担となっており、全く
同じ事をやっているにすぎないのである。経済企画庁経済研究所[1993]の48頁の説明を引用すると、「政府貨幣発行をすれば、インフレーションを引き起こして貨幣保有者の手持ち貨幣の価値を引き下げ、彼らに実質的に課税を行っていると考えられるため、これをインフレーション税とよぶ。」
しかしながら重要な違いがあるのである。現在日本はデフレ経済下にある。更に増税をすればデフレを悪化させる。国債を増発すれば、国債残高を増やす。しかし、政府貨幣を発行すればデフレを止める効果がある。デフレ経済においては政府貨幣発行が最良であるのは明らかであろう。
経済企画庁経済研究所[1993]「経済分析―日本の財政運営と異時点間の資産配分」経済企画庁経済研究所編集 第131号 平成5年8月Buchanan, J.M. and R.E. Wagner,
Democracy in Deficit: the Political Legacy if Lord Keynes, New
York, Academic Press,
1977 (深沢実・菊池威訳 『赤字財政の政治経済学』文眞堂,
1979年)。
丹羽春喜[1999a]『日本経済繁栄の法則』春秋社
丹羽春喜[1999b]『日本経済再興の経済学』原書房
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タイトル : 国債の乱発を止めよ
日本政府は景気対策と称して多額の国債を発行し、その結果雪だるま式に借金は増えてきた。もしも、ブキャナン、ワグナー、ディラード、丹羽等の提案に従い国債発行の替わりに政府貨幣(これは利子を払わなくても良い)を必要に応じ随時発行していたら、どこが違っていただろうか。
(1)GDPの1.4倍もの借金を背負い借金地獄になる羽目にはならなかった。借金を全くしなくても景気対策ができた。
(2)国民の税金を使い金融機関へ巨額の借金の利払いを行う必要は全くなかった。
(3)我々の次世代、次々世代に全く借金を残さずに済んだし、不況下にも拘わらず借金返済のため緊縮財政を強いられることはなかった。
(4)インフレに関しては、政府貨幣を発行するかしないかは全く関係ない。政府貨幣を発行しなくても、国債の乱発でインフレになることは、
過去のドイツや日本のハイパーインフレの経験で良く知っていることだ。要するに、日銀券であろうと、政府貨幣であろうと乱発すればインフレになるし、そうしなければインフレにはならないということだ。
(5)政府が無駄な公共工事に膨大な投資をしたという批判がある。本当にこれが無駄であったかどうかはともかくとして、景気対策として急仕立ての場当たり的な計画に基づいた事業が多かったから、このような批判を招いたのではないだろうか。政府貨幣発行による財政運営が行われていたら、長期的展望に基づき国民の利益を最優先した財政支出が可能となったであろう。
(6)国が借金をしながら景気対策をしても、将来その分が増税になると思い貯蓄を始めるので消費が落ち込み景気が回復しない。また国債の乱発で世代間の受益と負担の不公平性を生じると感じている人も多い。政府貨幣発行なら借金でないのでそれらの問題は一切起こり得ない。
(7)平成不況は、現在の金融システムがデフレを制御する能力を持たないことを示した。政府貨幣発行を許せば、デフレは容易に制御可能となる。
(8)国債の乱発で日銀の機能も金融システムもマヒした。政府貨幣発行ならこれはあり得なかった。
(9)国債の乱発の必要がなければ、国債の格下げや、日本の金融機関・ 企業の格下げもないし、国際舞台で企業や銀行が活躍を続けることができた。
(10)政府貨幣発行を行っていたらデフレになることも、350万人もの失業も、それに伴う年間3万人以上の自殺者や犯罪の増大も、あり得なかった。
(11)1999年、金融機関に多額の国の税金をつぎ込まなければならなかったが、政府貨幣発行ならあり得なかった。昭和恐慌の際も、財政出動による景気回復のお陰で不良債権処理にも成功している例を考えれば、政府貨幣発行による景気調整がされていれば、不良債権問題は存在し得なかった。
(12)技術進歩が経済成長を促進させる最大の原動力になっていることを考えれば、不良債権問題、増え続ける国の債務の問題に目を奪われて いることによる損失は計り知れない。政府貨幣発行なら、このような問題から解放され、技術進歩を促進し、それを経済に反映させる政策が可能になった。
(13)銀行も生保も赤字続きで破綻寸前だが、これも政府貨幣発行ならあり得なかった。
(14)雪だるま式に増える国の借金だが、やがて誰もカネを貸さなくなる(国債の暴落)のは間違いなく、そのとき財政破綻と大インフレの危機に晒される。政府貨幣発行なら、このような危険はなかった。戦前の日本軍は、戦争の準備のために、『国債の乱発』の道を選び、戦争突入とハイパーインフレの悲劇へと進んだ。なぜ、現在のこの平和な 日本に『国債の乱発』という危険な爆弾を持ち込まなければいけないのか。
国債の乱発は害あって益なしである。それを避けて、再び平和で活力のある日本経済を取り戻す方法があるのだ。それが政府貨幣発行である。
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タイトル : 不良債権処理論の不思議
平成14年 9月20日 丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
しばらく 『不良債権処理 』 という言葉が下火になって来たのかなと思っていたらここへ来てまたこの言葉が新聞誌上に飛び交い出してきている。特に米国要人からの発言が目に付きますがどんな方法を主張しているのかは新聞誌上でははっきり判りませんが。銀行に公的資金を投入すれば銀行は経営の自由度は増すでしょうから反対する積極的理由は見当たりません。しかしオフバランス化しろというなら意義ありです。
新古典派の論理では、現在は不況ではない、苦しんでいる企業は需要を掘り出す努力が足りないのだし、苦しんでいる個人は収入に見合った能力が足りないと言いたいらしい。
我々『丹羽経済塾』のケインジアン達は現在の日本はお金が偏在していて、お金を必要としている人達に充分回っていないから消費不振を招き、経済が縮小していると認識しています。
そもそも設備投資のような前向きの資金需要に対し銀行には貸すお金が足りないという意見には説得力はありません。銀行へ行って聞いて見れば直ぐ判ります。名前を出しちゃいますが、東京三菱、住友といった大銀行から幾つかの信用金庫まで話してみると皆さん仰います。“ お金の貸し出し先を必死で探しています。”と。「貸し渋り」とか「貸し剥し」と言うのは潰れそうだから融資してくれというような後向きの資金需要に対してです。
それに本当はもっと銀行は融資したいのです。ある大手都市銀の営業マンが
“ 金融庁の指導がうるさいのです。” と言いました。又別の大手都市銀でその話しをすると “ しかし政府から公的資金を貰っているので批判はできないんですよ
” と。
昨年12月20日、『小泉メルマガ』で柳沢大臣が述べています。要約すると、銀行は貸し出し先に対し、こげ付きそうなお得意さんを幾つもの段階に分類してきましたから、このお得意さんはまだ助けてやれば何とかなるなとか、ここは大分危なっかしいなと注意度を区別してきましたのだと思います。
それに対し、金融庁の方は最初の約束どうりに返済と利子支払いが出来ないところは全部不良債権にしろ、不良債権は早く処理しろというものです。ですから銀行は必ずしも不良債権処理をしたくてしているのではなさそうです。
銀行に恨みを言うならその前に金融庁に言うべきと云うのが私の考えです。
柳沢大臣はこの政策の根拠として典型的な新古典派の論理で説明しています。
@ 儲かる企業に銀行融資を集中して、儲からない企業はご臨終。
A 米国政府の証券取引委員会(SEC)も同じ考えをとっていて、それが国際的な基準でもあるから。
だそうです。
私の憶測ですが、柳沢大臣の意見は柳沢代議士個人の本音ではないように感じます。多分外国政府との壮絶な交渉でもあったのだろうと想像しますが、本当のところは解りません。しかし日本政府の金融政策の責任者として小泉メルマガで述べているのでそれを政府の公式見解と理解します。
先ほども述べましたが、ケインジアンの立場からすると現在経営に苦しんでいる企業は多くは内需型企業で、経営成績から言えば大手はほぼ全滅です。好調なのは一部の輸出型企業ですからその原因は内需不振につきます。
ところが、九月六日の8号で述べましたが、古典派或いは新古典派は需要不足を容易に認めたがりません。しかしそうでしょうか?
内需不足と考えなければその政策提言は個別企業の問題、個人の能力の問題として処理されます。新古典派の論理の発信地の米国では経常収支の大幅赤字にもかかわらず外国からの資金還流で内需を振興させ、内需型企業の業績を上げさせて来ました。
もうそれも限界点を超え、これから奈落の底へと進むでしょう。経常収支大幅黒字の日本は事情が違います。
米国を他山の石として内需振興に力を注ぐべきです。
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タイトル : 狂気の 『不良債権処理加速』宣言
平成14年 9月22日 丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
21日付けの新聞報道(日経)によると “小泉首相は十月には不良債権処理を本格的に加速させる対策をつくると発言した。
” と出ています。そして経済財政諮問会議は “ 資産査定の厳格化
、不良債権処理の加速、自己資本の充実 、金融機関の統治機能を高める体制整備
、再編・統合を通じた産業再編 ”を提言したそうです。それに対し、「資産査定の厳格化」 や 「自己資本の充実
」は公的資金を投入と言う事になるらしいのですが、金融庁が慎重だそうです。
一体政治の世界で何が起こっているのだろうかと思い巡らさざるを得ませんが、不良債権は景気が悪くなれば増加するし、良くなれば雲散霧消してしまいます。不良債権処理の為に公的資金を投入するにはどのくらい投入しなければならないのか?それが解らないと予算が組めないとなるのでしょうが、では経済成長率はどのくらいになりますか?個人消費はどのくらいで、輸出はどのくらい?政府の支出はどのくらい?と聞き返さねばなりません。だから基本的考え方としては不良債権は処理することより発生しないように、雲散霧消するように政策を考えるべきなのです。 言える事は不良債権を間接償却ならば、貸借対照表資産の部に評価性引当金である貸し倒れ引当金を設定する訳ですから、ならそれだけでは債務を負った企業は倒産しません。
しかし直接償却(オフバランス化)で処理すれば企業は倒産します。しますと言うよりさせますと言うべきでしょうか。オフバランスと言っているのは貸借対照表から資産としての債権を外すと言う事ですから、銀行は最初の約束どおり利子と返済を求め、応じられない企業は倒産する。その根拠となる論理が、前回述べた事の繰返しになりますが、儲からない企業は社会にとって非効率だからと言うもので、儲かる企業だけにすれば社会は効率化するという考えです。
この考えは根本的に間違っていると思います。日本の流通業は殆ど大部分の企業が苦しんでいますが、例えばイトーヨーカドーグループは多分世界で一番効率的な経営をしていると思います。今でも沢山の利益を出していますから経営として立派ですが、それでも利益が減少していますから、もうそれは経営者の問題と言うより日本経済全体が重要不足になっていると考える方が説得力があります。
先頃米国からウォールマートというス−パーが日本に進出しましたが、進んだ日本の経営技術を学びに来たのではないか推測します。ウォールマートは米国流通業では最先端の経営技術を持つと言われますが、米国ではその子会社がセブイレブン(イトーヨーカドーグループ)の物流を担当してます。そこで進んだ日本の経営技術学んでいるように見えます。
日本人の経営技術は全般的に非常に進んでいるのだと思いますが、進んだ外国、遅れた日本という日本人に染み付く舶来信仰が議論の混乱に拍車を掛けているように感じます。
我々ケインジアンは儲からない企業は経営が下手だから儲からないのではなく、社会全体の有効需要が不足しているからと考えます。需要創出法としては先頃の日銀のETF購入で問題点が顕現してきた事を考えると決め手は政府発行通貨による財政出動かと思います。
公共工事でも良し、福祉でも良し、国債償還も良し、お金の使い方は色々ありますが、ミソは利子支払いを伴う国の借金ではない事です。
新古典派が支配的な米国は、戦争で景気を上昇させようとしていると、巷間、噂されています。第二次大戦で不況が吹っ飛び、朝鮮戦争では日本も経済上昇に弾みがつきました。それを狙っているのでしょうか?
もし噂が本当なら米国は本音の部分では新古典派なんて全く信じていないと言う事になります。
そう言えば、9月11日のテロ追悼式の前に米国からチェイニ―だったかア―ミテ―ジ氏だったかが、何をしに来たのか来日して、しばらく滞在していました。9月11日には小泉総理はブッシュ大統領の、前で不良債権処理を宣誓していました。小泉総理帰国後、北朝鮮に行き、金正日が今までだと考えられないような態度で拉致問題を認め、謝罪までしました。そして小泉総理の支持率急上昇。
次ぎは小泉総理の不良債権処理促進の宣言です。 短い間の一連の動き、全部関係があるような気がします。
私達 『丹羽経済塾 』 の参加者達は “日本を良くする為には先ず経済から
。” と世間に訴えてきていますが、経済問題はどうしても政治を避けて通れません。小泉総理始め、政策を担当する方達は外国との圧力の中で仕事をしているに違いないと思いますが、ならば我々日本人も政治家への悪口などの仲間内での悪口よりも正しい論理で政治家に意見を述べ、政治家には外国に対しては日本の世論を理由に交渉して欲しい。
そうなる事を私は願っています。
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平成14年 9月24日 丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
タイトル : 国債乱発・ゼロ金利・量的緩和策で
モラルハザードが 起きている。
平成14年 9月22日 丹羽経済塾 副塾長
小野 盛司
政府貨幣を発行すればモラルハザードが起きると思っている人がいるかもしれない。ところが、実際はデフレの長期化、国債の乱発、ゼロ金利、量的緩和策等により、すでに深刻なモラルハザードが起きているのである。例えば加藤出[2001]、深尾光洋[2001]等に詳しく書かれているが、それを紹介しよう。
量的緩和策により短期市場金利は限りなくゼロに近くなってしまった。その結果、資金の運用をすればするほど赤字になるから、日銀当座預金に眠らせて「タンス預金化」するのが最良の選択となる。もはやディーラーは資金の運用努力さえしなくなっている。それどころか、銀行はリストラをしてディーラーを解雇したほうが経営が健全化するのである。
日銀券発行額も異常な伸びを示している。以前は、金融機関は営業店のお札の在庫が過剰になれば、それを日銀に持ち込み、日銀当座預金に入金し、その資金をコール市場等で運用していた。しかし、ゼロ金利の現在、運用しても利益がでない。現金を日銀に運ぶには、警備費用等のコストがかかる。となれば、各営業店で現金を眠らせておいたほうが有利だ。
ゼロ金利のお陰で低金利の融資を受けられそうだが、デフレのお陰で実質金利は逆に上昇しているから、企業は融資を受けて投資をしても採算が取れる見込みがない。だから、企業の投資が落ち込んだままである。政治的圧力がかかり、低金利で中小企業に多くの融資を金融機関にさせようとするが、そうすれば赤字になるのは必至である。不良債権処理で体力を失った金融機関にそれが出来るわけがない。
このような経済環境の下、金融機関にとっての最良の選択は
(1)リストラをし、資金運用の努力を減らす。
(2)資金の不要な優良企業だけに融資をし、不良債権が新たに発生しないようにする。
(3)資金の運用は国債購入が最良であり、これなら営業マンはいらない。ということになる。
このような金融機関で起きたモラルハザードは、日本経済を急速に弱体化させるのであり、このような経済環境から脱却するためには、一刻も早く政府貨幣を発行し、景気を回復させ、乱発された国債を回収し、正常な経済環境を取り戻さなければならないのである。
加藤出[2001]『日銀は死んだのか?』、日本経済新聞社
深尾光洋[2001]『日本破綻』講談社現代新書
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平成14年 9月27日 丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
タイトル :ノーベル賞を受賞した経済学者 ポール・サミュエルソンの小泉内閣への提言
平成14年 9月22日 丹羽経済塾 副塾長
小野 盛司
1)景気の回復で良き隣人に
(静岡新聞 平成13年6月1日号の記事から一部抜粋)
新首相と彼の新政権は、次のジレンマを理解しなければならない。確かに、無謀な銀行や企業に対しては重大な犠牲を要求しなければならない。しかし、デフレ政策にはノーと言わなければならない。なぜなら、自民党の大胆かつ斬新な不良債権処理政策の結果は、国内では、銀行や企業から解雇された労働者の雇用機会を妨げ、外国の債権者を喜ばせるだけだからである。
私は、否定的な批判よりも建設的な批判に努めよう。上記のようなジレンマを解決するために、私は小泉氏に、三年間の新たな全面的な税率引き下げ政策を実施するよう提言する。そして、今後も継続して行われる公共支出政策は、日銀が新たに増刷する円によって賄われるべきだ。
もちろん、その結果、ドルやユーロに対して円安が生じる可能性は高い。また、日本でこれまで下がっていた物価水準は、それに伴って、幾分上昇するであろう。だが、これは小泉政策の失敗の兆候ではない。また米国も、信用度が低下した社会だと、日本を厳しく非難することはない。結局のところ、日本の景気が回復すれば、アジアでもどこでも、日本は良き隣人になるであろう。
とりわけ、2010年には日本の労働者の多くが退職し、働き盛りの年代が非常に少なくなる。将来の世代はその時、クルーグマン氏の調整インフレ政策と私の減税政策を採用した小泉氏を2001−2020年の時代に資本形成を促進したリーダーとして、高く評価しているだろう。
2)円通貨の増発を直ちに始めよ
(静岡新聞 平成14年1月1日号の記事から一部抜粋)
私は、ニューヨーク・タイムズ紙の論説委員であるクルーグマン教授と共に長い間、以下の2つの理由から、計画的な円切り下げを主張してきた。第一はマクロ経済的なものである。すなわち消費者物価がたとえば年率1%あるいは2%で下落している場合、有害な「流動性の罠」はほぼ避けられない。家庭や企業は、デフレ下では、安全な預金口座や通貨をただ保有していることにょって、実質プラスの利子を得ることができる。 ・・・ もう一つの理由はミクロ経済的なものである。50歳以上の日本人とその子供達は、日本のベビーブーマー達が、大量に退職し、縮小した働き手にその退職所得を依存する2020年のことを考えねばならない。1990年以来、郵便貯金やその他の日本の退職金口座が、間抜けで頑固な日本の官僚によって収奪され、その結果、収益が実力購買力で見る限り取るに足りないものになってしまったことは、犯罪行為に等しい。
このような過去の大罪を補うために、財務省と日銀の官僚は日本の預金者のために、米国とユーロの高利回りの長期財務省債券の購入のために、円通貨の増刷を直ちに始めなければならない。これは円安は生じるだろうか。もちろん、生じるし、生じるべきである。
これは良いことでもある。
(マサチューセッツ工科大学名誉教授)
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タイトル : 支離滅裂なG7での対日要求
平成14年9月30日 丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
G7で不良債権処理に伴う公的資金投入について報道が混乱していますが、実行したくない財務省、公約を迫られた塩川大臣という印象があります。真相は私には解りませんが、言える事は不良債権処理は日本経済を更に苦境に落とし入れる事で間違いありません。外国勢力の日本侵略にさえ見えます。
一方この一年位前から、米国から日本の経済再生を本気で希望されているような印象の発言もしばしばあります。米国経済は今後益々縮小に向かうと思われますが、米国のこの状況を打破するには日欧の経済成長が欠かせないと考えます。
ですから米国発の日本経済頑張れの声にも素直に聞くことが出来ました。G7でも当初、日本経済の再生を望んでいるような風にも伝わっていました。それとも日本人である私の勝手な期待感からの想像だったのでしょうか。
ではG7が求める不良債権処理を進めればどうなるか考えてみます。
柳沢金融庁長官は2001年12月20日号の小泉メルマガで不良債権処理について述べています。
金融庁による不良債権の定義は、金融機関からの借り手が返済及び利子支払いに関して最初の約束と違う方法で行われている場合の債権と言う事になるらしい。そして不良債権処理方法として直接償却を金融機関に指導しているのだそうです。
皆さん先刻ご承知だと思いますが、基本的なところから確認したいと思います。
貸借対照表(B/S;バランスシート)の左側が資産、右側が負債と資本で、資産 ≡ 負債 + 資本 の恒等関係。資産の中の債権が減額するとその分、資本が減額される。すると総資産に占める資本の割合は減る。
だから公的資金投入で、その事については反対する理由はない。債権の貸し倒れの危険性を過去の経験から推定してその割合を貸し倒れ引当金として債権額から差し引く。債権を評価するから評価性引当金。貸し倒れ引当金を設定すると、その金額を貸し倒れ償却費として損益計算書に費用計上。
このような正統的な方法を間接償却と言い、金融庁は貸し倒れの危険性の高い債権を資産から除去し、引当金もその分除去。資本も当然減額する。それをオフバランス化と言うのだそうです。
今、内需不足の為に不振な企業も企業再構築でやがて元気が出るかもしれないのに銀行には倒産させるように指導していると言う事になります。その根拠は柳沢大臣によれば “ 弱い企業は市場から退出していただく。”
というものです。
この主張には二つの点から反対します。
@ 不況に喘ぐ企業は経営努力が足りないのではなく、有効需要が不足しているか らである。
A 企業再構築(リストラ)の名の下に企業からの人材放出が大規模に行われているが、人件費削減で財務体質を改善できてもそれが却ってその企業の将来の発展の芽を摘み取る事になる。
今まで沢山の優秀な人達が企業から解雇されて来ました。企業はヒト、モノ、カネと言われますが日本の強さの要であった人材が腐り始めているのではないかと心配しています。人材のいない企業に明日は無いし、日本経済にとっても明日は無い。 結論として不良債権処理は日本経済を益々縮小させる。G7の要求は極めて知性を欠いた要求であり、そこへの参加者の評価を著しく貶めるものだと思います。
我々は今まで様々な機会を捉えて訴えてきましたが、日本政府及び政治家、マスコミ人、経済人の方々も @ 日本経済再生には内需拡大が必要である事。A
それには政府支出増加が必要である事。B 累積額が問題の国債にかわり、政府発行通貨(日銀券使用)がぜひ必要である事。 を国の内外に訴えて欲しいと思います。
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タイトル : 政府発行通貨とインフレ
平成14年10月 1日 丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
読者の方から 「 政府通貨発行は円暴落、超インフレはありませんか?」
というご意見を頂きました。
今までにも政府通貨(実際に使用するのは通常の日本銀行券)についての疑問点として “インフレになるのではないか?”
という批判をしばしば受けます。
経済政策には財政政策と金融政策がありますが、前者には、減税や公共投資などが政策としてあり、後者だと日銀による公開市場操作(貨幣供給量)、預金準備率操作(貨幣供給量)、公定歩合操作(金利)などがあります。
田中内閣時代に発生した狂乱インフレをその後
「 総需要抑制政策 」で退治した実績があります。田中内閣の時の狂乱インフレはケインズ政策への誤解から
“ インフレは良い事だ。” という考え方が根底にあったから物価上昇が急激になったのですが、ケインズ経済学の理論を用いて 「総需要抑制政策
」 をやると直ぐに収束したと言う印象があります。
尚、“ケインズ政策とは、インフレ政策である。”
とか、 “ 不況だろうと好況だろうと財政出動する財政拡張政策がケインズ政策である。”
といった、意図的と思える誤った評価がありますが、この手の “ (意図的な)誤解
” は世の中の発展を阻害する恥知らずな意見だと思います。
貨幣供給量を増やすとハイパーインフレになると喧伝する人がいますが、ケインズの “ 一般理論 ” が世に出たのは1936年で、古典派と呼ばれた人達はケインズの批判を受けて自らを「新」古典派と装いを変えて反論し始めました。そしてその後、ケインジアンと古典派との間で論争が延々と続く事となります。しかしケインズが本当に評価されたのは第二次大戦後で、社会全体の需要を政策担当の当局が管理
する事で好景気と恐慌を繰返した時代からかなりの程度抜け出す事が出来るようになりました。ですから戦前のドイツを持ち出し、一旦インフレになるとインフレを押さえ込めないと言う人の論は明らかに間違いだと思いますし、議論のしかたが不誠実という印象があります。
過剰流動性を心配するなら現に今が過剰流動性が発生している状態と思います。
何しろ国民所得が500兆円くらいで、金融資産が個人の分だけで千四百兆円くらいと言われていますから。
インフレは貨幣供給量が多くても流通速度が遅ければ発生しません。もし景気が上昇し始めた時に民間に滞留する貨幣供給量が多過ぎると感じられた場合は日銀による売りオペ、公定歩合引き上げ、預金準備率引き上げなどで対処すれば問題は無いのではないでしょうか。今までの日銀を見ていれば 「 インフレファイター
」 として実績を上げてきていますから心配無いと思います。止められないと言うのは如何考えても嘘です。
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“ 一旦インフレになると 〜 ” と言って極僅かな物価上昇も許さない政策、今までは主として金融当局の政策でしたが、ゼロ以下物価上昇政策を続行すればいつ迄たっても経済縮小は止まらないと思います。
現状の日本では投資が行われても、やがてその投資が貯蓄に変じた後で、再び実物投資に回ることなく多くは金融機関に滞留しています。日銀が貨幣供給量をいくら増やしても国債を買うぐらいの考えしか浮かびません。米国が貨幣供給量を増やせというのは日本の為ではなく米国国債を買わせる為であるのは見え透いています。だから外債を買えとも要求していますね。
貨幣供給量が増えた場合のアルゼンチンやブラジルを例にした心配については、彼の国々の経済の実情が良く解りませんのであまりはっきりした事は言えませんが、発展途上国がインフレになる場合は製造業の国際競争力が弱く、貿易が赤字気味の国が政治家の人気取りで需要刺激策を取った場合に
通貨安 ⇒ 輸入品の値上がり、 を通じてインフレになるのではないでしょうか。
経常収支の大幅黒字が継続する日本はアメリカやアルゼンチンとは明らかに事情が違います。日本は日本の立場で内需拡大に努めるべきだし、その方法として政府通貨発行は非常に優れた手段であるのは間違いないと思います。
政府通貨発行なら国債発行とは違い利息が発生しませんし、それどころか300兆円くらいの償還も可能です。300兆円と言わず600兆円だっていくらだって理論的には可能です。その他に、公共工事、ヘリコプターマネーとかも色々可能です。
法改正も必要ないし、この 『 打出の子槌 』
をどうして利用しないのか不思議です。
