【丹羽経済塾−日本経済10%成長論・メールマガジン】  5号 
 
すべての国会議員とすべてのマスコミの皆様に、謹んで申し上げます。
下記の庶民の声をお聞き頂き、丹羽経済政策を採用して日本経済の
高度長を達成させて頂けるようお願い申し上げます。
現在、『丹羽経済塾 』 は多くの方々からの支持を集めつつあります。
 
なお詳細はホームページの丹羽経済博士の論文をお読みください。
http://homepage2.nifty.com/niwaharuki/
(メールマガジン配信をご希望される方がいましたら、ご連絡戴ければ
幸いです。)
                         平成14年8月3日
                   丹羽経済塾 幹事長 藤本 龍夫 ( fuji@testda.co.jp )
                           



     タイトル :日本経済不況の遠因  平成14年8月 3日    
          

                   『丹羽経済塾 』 幹事栗 原 茂 男               
     
  日本経済の現状は不況の一語に尽きると私は思いますが、世の中には現状はこんなもので良いという意見の人も多数います。 振り返ってみれば戦後の高度成長期は経済が成長しつつも物価も上がった時期でした。1970年代の田中政権時代、狂乱物価を経験しましたが当時の言葉で総需要抑制政策によって直ぐにインフレは収束しました。

 この時に経験した事は物価上昇は需要を抑制すれば物価は押さえ込めるということを教えていると言えます。この辺については私のホームページでもう少し詳しく述べてあります。宜しかったらご覧下さい。(http://www3.ocn.ne.jp/~kulihala/)

 経済政策には金融政策と財政政策があり、狂乱物価時は両面から押さえ込んだのですが、その後の政策には両政策の方向性に違いが続いたように感じます。政治家は国民の世論に敏感でしばしば財政政策で景気浮揚を計って来ました。

 ところが金融面を司る日銀は財政政策によって浮揚し始めた景気を常に潰す政策を執って来ました。理由は単純で景気浮揚に伴って必然的に上がる物価を見て、金融政策で景気上昇を押さえるという考え方です。日銀には“ゼロ以下物価上昇”を物価の安定と定義している節がある。

 それによって如何言う事が起こったかと言えば、良く知られる経済の方程式ですが、国内総生産=@個人消費+A民間投資+B政府投資+C(輸出ー輸入)の中で@とAが不調でBが頑張る。自動車のような貿易で競争出来る業種は国内の不振を海外で取り戻すべく輸出に力を入れる、従ってCも増える。それで国内総生産(GDP)の数字が前年より増え、“経済は成長した!”と経済政策当局は胸を張る。

 しかしその姿は国民の間には好況感が無く、貿易で稼いだお金は米国などへ貸す。税制も富の偏在化を促すように徐々に変えられてゆき一部の人に金融資産が集中する “個人金融資産千四百兆円 ”という事態が現出しています。海外から見れば貿易で稼いで、自国の株や土地を買い占める。“不愉快この上ない”となると思います。

現状の日本をこのままで良いという人も多数いるが、不況だと認識するなら日本経済を如何すれば良いのか?

 私は内需拡大こそ日本を救う道と考えます。上の式で言うなら@とAとBを増やす。その為には財政の拡大も厭わない。ただし日銀のゼロ以下物価上昇政策の転換も是非必要と考えます。日銀の間違いの典型が昨年のゼロ金利解除でした。金利が幾らなら良いかというより、インフレに対する基本姿勢とタイミングに間違いがあったと考えます。現状の日銀に積極的に何か出来るとは私も思いません。ただ景気上昇局面にきたら “邪魔をするな ”と言うことくらいです。

  政治家に期待するのは財政赤字には拘らず、積極財政政策を執って欲しい、日銀には景気浮揚の邪魔をさせないよう監視して欲しい、という事です。丹羽教授が政府の通貨発行権を利用して内需拡大に活用することを提唱しておられます。そちらも是非耳を傾けて欲しいと思います。

 私も教授の説を聞いて “目から鱗 ”という感じでした。というよりそんな方法がある事を知らなかったということです。『丹羽経済塾』のホームページを1度是非、御覧下さい。(http://homepage2.nifty.com/niwaharuki/)



 
 
  
タイトル : 政府貨幣発行の提案 
                
             平成14年8月21日    丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
 
 
 前回のメールマガジンで、“日本経済は内需不足であり、政府は財政の拡大も厭わず内需拡大政策を執って欲しい、日銀には景気上昇局面での物価上昇には目を瞑って欲しい、それには政府に日銀の監視をして欲しい。”と述べました。そして、内需拡大の方法について、“丹羽教授が政府の通貨発行権を利用して内需拡大に活用することを提唱しておられます。そちらも是非耳を傾けて欲しいと思います。”とも述べました。

 最近丹羽教授が雑誌『諸君』に発表された論文によれば、“ 500兆円の政府貨幣発行権限証書を1枚作成し、日銀に販売。日銀は450兆円の日銀保証小切手を1枚、政府に手渡す。そのうち300兆円を国債償還にあて、残り150兆円の内、50兆円ずつを毎年
国民に40万円ずつ配布するか、公共事業に使うか、減税につかうか、少子化対策に使うか、年金財源に使う。” などを提案しています。
 
 この方法だと国債の発行はありませんから国の借金は増えません。それで国債残高が300兆円も減るなら国債の信頼度は昂まり、外国格付け屋さんからの根拠のない風説被害からも防げます。
 
そして何より国民が喜ぶに決まっています。
 
赤ん坊も含めた一人当り四十万円、3人家族なら百二十万円、5人家族なら二百万円、百五十兆円全部ならその三倍が突然銀行の通帳に振り込まれたら誰だって嬉しいに決まってます。
 
私はしばしばYAHOOの掲示板に投稿しますが、これについて意見を述べるとその反応は、“そりゃ嬉しいけれど〜 。” と半信半疑が殆どですが、本当なら嬉しいという感じです。モラルを心配する人もいますが、いざお金が振り込まれれば国民の理解と支持は得られるのではないかと確信しています。モラルと言っても、それが日本の為になるのは間違いのないところですから、その事を国民に我々も訴えたいと思います。
 
 他に小野副塾長の案で消費税減税の提案もあります。宜しかったら http://hpcgi1.nifty.com/bellwoods/niwa1.cgi 『消費税還付の手続きはそれほどでもない  投稿者:小野盛司  投稿日: 8月12日(月)21時』 をご覧になってください。
 
 金の使い方なら方法は沢山ありますが、大事な点はそれが内需拡大であり、日本と日本人に対して極めて重要な影響を与えると考えられる事です。私自身は “ 国民に全部振り込んでしまえ。” と考える方ですが、振り込まれたお金を国民があっさり使ってしまう事は、今は、世の為、人の為、日本の為になる事と信じるからです。
 
 是非政治家の皆さんには、たった一枚ですが “ 500兆円の政府貨幣発行権限証書 ” の事、御一考願いたいと思います。
 
 

 
  
タイトル : 政府貨幣の配分を巡って 
 
                 平成14年8月24日       丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
 
 
 丹羽経済塾の幹事用連絡版にて副塾長の小野盛司氏の投稿が投稿を
して下さり、色々ご意見を聞かせていただきました。議論の一部をご披露する事で、何かお役に立てれば幸いです。是非、ご一読ください。                
                   

政府貨幣の配分方法 投稿者:小野盛司  
投稿日: 8月10日(土)17時19分08秒

政府貨幣の配分は、消費税減税も一案だと考えます。現在消費税の税収は年間10兆円程度です。もし、これをゼロにしたら10兆円配ったことに相当します。もしマイナス5%の消費税、つまり100円の物を買ったら、政府がご褒美に5円の戻し税をする。これなら20兆円の配布に相当する。どこまでやれば、消費が戻るかは明言できませんが、消費税減税は相当効きます。マイナス20%にすれば、50兆円配ったことに相当します。この減税を受ける事が出来る人は、消費する人だけです。50兆円配ったら、貯金するだけという人が多いかもしれません。しかし、消費税減税なら、間違いなく消費は伸びます。ひょっとして、景気が良くなって消費税減税の分以上に法人税が伸びるかもしれません。国民にボーナスを配る案は反対する人が多いかもしれませんが、消費税減税には抵抗はずっと少ないと思いますよ。

しょうひ減税賛成 投稿者:田口義昌  投稿日: 8月11日(日)15時45分22秒

合せて企業交際費についても当分総て経費と認めれば効果的です。

 

小野さんの文、利用させて戴きました。 
投稿者:栗原 茂男(会員)  投稿日: 8月11日(日)23時11分16秒

小野さんの投稿、『政府貨幣の配分方法』をYAHOOの掲示板http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1073723&tid=
bdt0ada4nbaac85a4offc6da4ga4oa4ja4a4a4aba1a9&sid=1073723&mid=1&type=date&first=1

で紹介させて戴きました。



投稿者:小野盛司  投稿日: 8月12日(月)13時49分01秒

消費税減税案も、色々掲示板等で反応を見て頂くと有り難いと思います。これに対して、インフレになるという反論は比較的少ないのではないでしょうか。これで消費が伸びないという議論も出にくいし、案外受けられやすいかもしれません。

お金を配るとお金の価値が下がる、何もしないでお金が貰えると、人は働かなくなる等、批判がありました。消費税減税はそのような批判は起こりにくいでしょう。今月初め国際会議での発表を終え、少し時間がでてきました。
 


小野さん、早速反応がありました。 
投稿者:栗原 茂男(会員)  投稿日: 8月12日(月)14時30分23秒

小野さんの“政府貨幣の配分方法 投稿者:小野盛司  投稿日: 8月10日(土)17時19分08秒 ”をYAHOOに紹介したところ下のような投稿がありました。世間の反応と言う点で参考にはなるかと思います。


 こんにちは、sapitoさん ヘルプ - ボードウォッチ - 掲示板リンク - ログアウト 

Yahoo!掲示板 
ホーム>ビジネスと経済>全般 > 諸悪の根元は日銀ではないか? 


   < 前のメッセージ | 次のメッセージ > [ 最初 | 最新 | 一覧 ]  No.   返信
   
消費税減税は良い
投稿者: ForExample 2002/ 8/12 0:13
メッセージ: 2506 / 2508


消費税減税は、消費性向の高い低所得者への恩恵が大きく、ぜひやるべきです。マイナス課税も良いと思いますが、現実的には一時的に0にしてインフレになるまで続けるのが良いのでは。というのは、マイナス課税だと課税上の弊害、すべての企業に還付する手続きが膨大になるなどが生じるからです。 
 
これは sapito さんの 2503 に対する返信です
 

消費税還付の手続きはそれほどでもない 
投稿者:小野盛司  投稿日: 8月12日(月)21時58分48秒

消費税をマイナスにしたときは、計算方法は現在と変わりません。唯一の違いは企業が支払うか、企業が受け取るかですから、最終のお金の流れが逆になるだけで、税務の労力は今と全く変わりません。計算自体は大抵はコンピュータで行われますから、それも変わらないでしょう。

重要なのは、消費税の還付を企業の利益として計上させることです。そうすれば、企業は折角消費税の還付で受けたお金を法人税で持って行かれてはたまらないので、設備投資や人を雇うなどして、利益を減らそうとします。そうすると企業が新たな設備投資を増やし、雇用の促進にもなり、総需要拡大につながります。

お金を配布しただけでは、このような企業の投資にどれだけ回るか分かりませんが。
 

ブキャナン、ワグナーが政府貨幣発行を支持 
投稿者:小野盛司  投稿日: 8月14日(水)09時55分50秒

赤字国債の乱発より政府貨幣の発行のほうがよい。・・・ブキャナン、ワグナー

 丹羽先生の本にもかいてあることですが、ブキャナン(ノーベル賞受賞者)、ワグナーも有名な著書『赤字財政の政治経済学』[1979]の中で国債を大量に発行するより、政府貨幣の発行の方がよいと述べている。36頁と37頁に書かれていることをまとめる。ただし、訳本の文章がわかりにくいので、私が原書から直接訳しました。

 需要不足のとき、政府貨幣を発行して政府支出に充てても価格インフレの危険は無い。したがって需要不足の経済状態から脱出するための理想的な経済政策は、政府貨幣発行を財源とする赤字予算を組むことである。こういう文脈から結論すると、赤字国債を発行し、金融機関から借金をして財源を確保するのは、これより劣る方法と言わざるを得ない。政府貨幣を発行すれば、僅かな経費でしかも無利子で財源が確保できるのに、なぜわざわざ高い利子を払って金融機関から資金を調達しなければならない理由があるだろうか。現在の政府負担の支払いを将来に回すという議論があるかもしれないが、その議論は需要不足という背景から考えれば正当とは言えない。
 
 

ディラードが政府貨幣発行を支持 
投稿者:小野盛司  投稿日: 8月14日(水)16時43分00秒
丹羽先生からお聞きして次の本を読みました。

 ディラード[1950]は、ロングベストセラーの『J.M.ケインズの経済学 : 貨幣経済の理論』の中で、需要不足のときは、赤字国債を大量に発行するのでなく政府貨幣を発行せよと述べている。114〜115頁から引用する。

 ケインズは述べていないが彼の利子の性質に関する理論から見れば当然問題となる財政政策の側面は、遊んでいる資源を働かせる計画を以て行われる公共支出のための資金を無利子で調達する方法はないかという問題である。借り入れ支出によって公債が増加し、公債に対する年々の利子支払額がかさむ。・・・赤字財政に対する大きな反対が現れる根拠が借入元金や公債に対する諸経費がかさむという点にあるとすれば、社会として遊んでいる資源を動員するのに必要な貨幣を獲得するために、銀行その他に利子を支払わなければならぬ理由について疑問が生じる。経済の発展に必要な新貨幣を発行するのに市中銀行に莫大な利子を支払うという形で市中銀行に補助金を交付する必要がいったいあるだろうか。新貨幣の発行は政府の機能に属するのが適当ではないか。もしそうだとすれば、政府が直接新貨幣を発行して市中銀行に公債利子を支払わなくてすますことを妨げるものは何かあるか。・・・市中銀行が受取る利子所得は少しばかりの事務的サービスを遂行する費用を支払うに必要な金額を除けば、独占料金であって銀行の純粋な犠牲や機能に対する報償ではない。政府公債には危険性は極めて少なく、無危険投資に最も近い存在であると考えられ経済的根拠は存在しないようである。・・・無利子融資政策は必ずインフレーションを引き起こすという反対論に対しては雇用の一般論の立場から容易に答えることができる。諸資源が使われていないで遊んでいる場合には、貨幣支出の増加は物価を引き上げず、むしろ雇用を増加するであろう。完全雇用の点を越えれば、更に貨幣の膨張を行う必要性はなくなる。完全雇用が達せられた後までも貨幣膨張が継続せられるならば、インフレーションが生ずる。しかし、これは貨幣膨張それ自身の結果であり、その実施方法によってはそのような結果は現れない。例えば、利付公債であってもそれを市中銀行にあまり多く売りつけすぎるとインフレーションを引き起こすこともあり得る。実際貨幣供給の操作を誤ればインフレーションを引き起こしたり、デフレーションを引き起こしたりするであろう。上述の反対論は政府貨幣発行の反対をしているのでなく、通貨管理制度そのものに反対しているのである。


国債の増発のほうが、政府貨幣の発行より

はるかにインフレを起こす危険が高い 

投稿者:小野盛司  投稿日: 8月21日(水)20時42分10秒

 多くの人は政府貨幣発行でインフレになると考えていますが、実は、国債をどんどん発行していくほうが、ずっとインフレの危険が高いのです。政府貨幣発行なら、インフレになれば 直ちに税による貨幣回収で対応できますから制御は簡単です。

 インフレのコントロールが出来にくくなるのは、むしろ国債をどんどん増発して大量の国債を金融機関に持たせておいたときです。現在のゼロ金利で10年物の国債ですら、1.3%の低利です。

 しかし、これはいくらなんでも異常。少し景気がよくなればすぐに4%程度の利率となります。そうなれば、国債は もちろん一斉に売り出され国債は暴落します。そのとき、確実に財政は破綻します。なにしろ、政府は国債に頼らなければ財源の確保はあり得ないのに、誰も国債を買わなくなるのです。このとき、日銀が大量に国債を引き受け国債の買い支えを行ったとき、大量のおカネが日銀から一気に流れ出します。これが、インフレを生じさせる原因となります。

 国債の発行を止め、政府貨幣の発行を少しずつしていたら、このようなことは起こりえませんし、次世代、次々世代への借金のつけ回しもありません。国債残高が増えれば増えるほど、インフレの危険が増してきます。一刻も早く、国債の発行を止め、政府貨幣の発行に切り替えるべきです。困るのは国民ですから。
 

 

 
 タイトル : 景気回復を阻む誤論、風説
 
平成14年8月29日          丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
                          ( kulihala@sepia.ocn.ne.jp ) 
 
 
 昨日、テレビを見て驚きました。マスコミで有名な評論家が芸能人相手に日本経済を語るのですが、曰く “ 景気回復の方法としては、減税か、金利か、財政で公共工事をばら撒くしかない。しかし日本は今までそれらをみんなやって来た。やってきたけれど巧く行かなかった。これからは企業が自分で打開しなければならない。” というような事を述べていました。この意見、幾つかの点で根本的に間違っていると断言して良いと思います。一言一句を揚げ足取りしても仕方ないので、私の見解を述べます。
 
 経済政策としては財政政策金融政策があるのは周知のことですが、減税や公共投資は財政政策で、政府が行う政策です。それに対し金融政策は主として日銀が行い、手法としては公開市場操作(貨幣供給量)、預金準備率操作(貨幣供給量)、公定歩合操作(金利)等があります。

 今までの経済政策を見ていると、政府の財政政策と日銀の金融政策とが互いに違う方向を向いていた感が否めません。典型が昨年度のゼロ金利解除です。大事な問題点の一つは政府の財政政策には効果が無いのか?と言う点です。

それについて丹羽教授がホームページhttp://homepage2.nifty.com/niwaharuki/jpost14-6-1.htm ) で解説しています。

『 第1表  GDPと自生的有効需要諸項目の伸び率比較 』 が財政政策の効果を鮮やかに描き出しています。是非ご覧下さい。

 もしも財政政策に効果が無いというなら、では何故、かつては効果があり、そして現在は効果が無いのか?効果が無くなったのは何時からか?など数々の疑問が湧いてきます。それらについて「財政政策無効論者」で述べる人は誰もいません。私には「財政政策無効論者」というのは根拠の無い事を言い続けているだけで、何を考えているのか解らない、得たいの知れない不気味さを感じます。

 もう一度まとめ直して述べますと、政府は景気対策として財政面から景気刺激策を執る。すると、景気上昇局面で必ず発生する若干の物価上昇に歯止めをかける為、日銀は金融政策で引き締めを行ってきました。結果、国債発行残高が累積し、景気は良くならない。GDPは少し増えても輸出が増えた結果に過ぎない。それはとりもなおさず外国の消費を潤しているだけで日本国内には好況感は無いというバカバカしい状態を続けてきている。

  三月頃、マスコミ報道によると米国からルービン、ハバード、サックス各氏が相次いで来日し馬鹿げた要求を日本政府首脳に談判して行きました。

彼等の要求は、

ルービン氏 : 不良債権処理をもっと進めろ。(日本企業をもっと倒産させろ!)

ハバード氏 : 空売り規制を止めろ。(柳沢大臣;何を言うか!米国でもやっている

          政策だ! 国内証券各社;今まで外資系には何故か甘かった。)

サックス氏 : 財政政策はやるな(内需は拡大するな!)。貨幣の量的緩和をしろ

         (銀行経由で金余りにしろ!⇒日本国内の過剰流動性が大きくなれ

         ば国外に向う?)。外債を購入しろ(米国国債を買え!)。

 冒頭の評論家氏の意見もこの流れを汲むと考えられる。但し、彼は経済学をそれほど深く斟酌はしていないと思いますが。

 もう一つの意見、“ 不況からの脱出法は企業が自分で打開する方法を見つけなければならない。” は経済学上の大きなテーマとなるものですので後日に譲るとして、政治家の皆さんには是非 『 丹羽経済塾 』 の面々の意見に耳を傾けて欲しいと思います。


 丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男( kulihala@sepia.ocn.ne.jp )
 
  副塾長 小野盛司の寄稿 です。お読み戴いて御一考下さればと 思います。                     

                          


  タイトル : 国債発行の替わりに政府貨幣を!
 
平成14年8月29  丹羽経済塾副塾長 小野盛司                           

 

税収が僅か47兆円のときに政府は30兆円以上もの国債を乱発している。これがいかに危険なことであるか、是非知って頂きたい。GDP比で考えれば現在の国債の発行額は、かつて昭和恐慌の際、高橋是清が発行した国債の額を越えている。経済財政諮問会議が出した経済財政の中期展望(今後10年間の見通し)を見ても、国の借金は雪だるま式に増え続ける見通しだけで減る見込みは全くない。我々の次世代、次々世代に引き継がれる日本が、このような絶望的な借金地獄の世界でよいのだろうか。すべてをあきらめる前に、是非一度考えて頂きたい。世界を代表する経済学者達が、国は借金をせずに政府貨幣発行により財源を確保せよと述べている。例えば有名なブキャナン(ノーベル経済学者)=ワグナー『赤字財政の政治経済学』、ディラード『ケインズの経済学』等では、国債を発行より、政府貨幣の発行を薦めている。やはりノーベル経済学者であるサミュエルソンも小泉首相に対し、貨幣発行による財源確保を薦めている。日本では丹羽春樹氏や榊原英資氏等が政府貨幣発行を提案している。榊原英資氏が政府貨幣発行のアイディアはノーベル経済学者のスティグリッツ氏との議論によって生まれたとのこと。

 日本政府は景気対策と称して多額の国債を発行し、その結果雪だるま式に借金は増えてきた。もしも、ブキャナン、ワグナー、ディラード、丹羽等の提案に従い国債発行の替わりに政府貨幣(これは利子を払わなくても良い)を発行していたら、どこが違っていただろうか。

(1)GDPの1.4倍もの借金を背負い借金地獄になる羽目にはならなかった。借金を全くしなくても景気対策ができた。

(2)国民の税金を使い金融機関へ巨額の借金の利払いを行う必要は全くなかった。

(3)我々の次世代、次々世代に全く借金を残さずにすんだ。

(4)インフレに関しては、政府貨幣を発行するかしないかは全く関係ない。政府貨幣を発行しなくても、国債の乱発でインフレになることは、過去のドイツや日本のハイパーインフレの経験で良く知っていることだ。要するに、日銀券であろうと、政府貨幣であろうと乱発すればインフレになるし、そうしなければインフレにはならないということだ。

(5)無駄な公共事業に膨大な投資をする必要が全くなかった。マネーサプライも自由に制御でき、無理に公共事業におカネを使って景気を刺激する必要がないので、必要度に応じた財政支出をすることができた。

(6)国債の乱発で日銀の機能も金融システムもマヒした。政府貨幣ならこれはあり得なかった。

(7)政府貨幣発行を行っていたらデフレになることも、350万人の失業も、それに伴う年間3万人以上の自殺者や犯罪の増大も、あり得なかった。

(8)1999年、金融機関に多額の国の税金をつぎ込まなければならなかったが、政府貨幣発行ならあり得なかった。

(9)銀行も生保も赤字続きで破綻寸前だが、これも政府貨幣発行ならあり得なかった。

(10)雪だるま式に増える国の借金だが、やがて誰もカネを貸さなくなる(国債の暴落)のは間違いなく、そのとき財政破綻と大インフレが避けられない。政府貨幣発行なら、このような危険は全くなかった。

 

 戦前の日本軍は、戦争の準備のために、『国債の乱発』の道を選び、戦争突入とハイパーインフレの悲劇へと進んだ。なぜ、現在のこの平和な日本に『国債の乱発』という危険な爆弾を持ち込まなければいけないのか。それを避けて、再び平和で活力のある日本経済を取り戻す方法があるのだ。それが政府貨幣発行なのである。

丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男( kulihala@sepia.ocn.ne.jp )
 
  副塾長 小野盛司の寄稿 です。お読み戴いて御一考下さればと
    思います。                     
                          

  タイトル : 国債発行の替わりに政府貨幣を!
 
平成14年8月29  丹羽経済塾副塾長 小野盛司                           

 

税収が僅か47兆円のときに政府は30兆円以上もの国債を乱発している。これがいかに危険なことであるか、是非知って頂きたい。GDP比で考えれば現在の国債の発行額は、かつて昭和恐慌の際、高橋是清が発行した国債の額を越えている。経済財政諮問会議が出した経済財政の中期展望(今後10年間の見通し)を見ても、国の借金は雪だるま式に増え続ける見通しだけで減る見込みは全くない。我々の次世代、次々世代に引き継がれる日本が、このような絶望的な借金地獄の世界でよいのだろうか。すべてをあきらめる前に、是非一度考えて頂きたい。世界を代表する経済学者達が、国は借金をせずに政府貨幣発行により財源を確保せよと述べている。例えば有名なブキャナン(ノーベル経済学者)=ワグナー『赤字財政の政治経済学』、ディラード『ケインズの経済学』等では、国債を発行より、政府貨幣の発行を薦めている。やはりノーベル経済学者であるサミュエルソンも小泉首相に対し、貨幣発行による財源確保を薦めている。日本では丹羽春樹氏や榊原英資氏等が政府貨幣発行を提案している。榊原英資氏が政府貨幣発行のアイディアはノーベル経済学者のスティグリッツ氏との議論によって生まれたとのこと。

 日本政府は景気対策と称して多額の国債を発行し、その結果雪だるま式に借金は増えてきた。もしも、ブキャナン、ワグナー、ディラード、丹羽等の提案に従い国債発行の替わりに政府貨幣(これは利子を払わなくても良い)を発行していたら、どこが違っていただろうか。

(1)GDPの1.4倍もの借金を背負い借金地獄になる羽目にはならなかった。借金を全くしなくても景気対策ができた。

(2)国民の税金を使い金融機関へ巨額の借金の利払いを行う必要は全くなかった。

(3)我々の次世代、次々世代に全く借金を残さずにすんだ。

(4)インフレに関しては、政府貨幣を発行するかしないかは全く関係ない。政府貨幣を発行しなくても、国債の乱発でインフレになることは、過去のドイツや日本のハイパーインフレの経験で良く知っていることだ。要するに、日銀券であろうと、政府貨幣であろうと乱発すればインフレになるし、そうしなければインフレにはならないということだ。

(5)無駄な公共事業に膨大な投資をする必要が全くなかった。マネーサプライも自由に制御でき、無理に公共事業におカネを使って景気を刺激する必要がないので、必要度に応じた財政支出をすることができた。

(6)国債の乱発で日銀の機能も金融システムもマヒした。政府貨幣ならこれはあり得なかった。

(7)政府貨幣発行を行っていたらデフレになることも、350万人の失業も、それに伴う年間3万人以上の自殺者や犯罪の増大も、あり得なかった。

(8)1999年、金融機関に多額の国の税金をつぎ込まなければならなかったが、政府貨幣発行ならあり得なかった。

(9)銀行も生保も赤字続きで破綻寸前だが、これも政府貨幣発行ならあり得なかった。

(10)雪だるま式に増える国の借金だが、やがて誰もカネを貸さなくなる(国債の暴落)のは間違いなく、そのとき財政破綻と大インフレが避けられない。政府貨幣発行なら、このような危険は全くなかった。

 

 戦前の日本軍は、戦争の準備のために、『国債の乱発』の道を選び、戦争突入とハイパーインフレの悲劇へと進んだ。なぜ、現在のこの平和な日本に『国債の乱発』という危険な爆弾を持ち込まなければいけないのか。それを避けて、再び平和で活力のある日本経済を取り戻す方法があるのだ。それが政府貨幣発行なのである。



                           
  
タイトル : 米国景気と日本経済 
平成14年9月 4日          丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
                          ( kulihala@sepia.ocn.ne.jp ) 
 
                                                 
 米国経済が急落しているが、ついに来るべきものが来たというところであり、十分予想された事態と考えます。米国経済の全体像を概観すれば、国民所得は九兆ドル超で、これは経済学的には=国民総生産であり、=総支出でもある。昨年と一昨年の経常収支の赤字は四千億ドル超、対外純債務二兆ドル超。

つまり米国一家は自家製造分も含めて年間の消費が九兆ドルで、一家の外からの毎年の借金が四千億ドル超で、溜まった借金が二兆ドル超といえば解りやすい。で、毎年外国へ金策に走りまわって来たがついに市場からもうこれ以上は無理と判断されたというところです。

 これまで好調が喧伝されてきた米国経済の好調さであるが、要は収入以上に消費してきたという事であり、個人の家庭になぞらえれば、借金するのが巧かったというもの。

消費の増加が内需型企業の業績を上げ、それら企業を中心として株高を現出し、株高は金融資産増であり、家計の支出増加をもたらした。しかしこの事は生産活動によって所得の増加をもたらしたのでは無く、資産増価によるものである。

金融も産業であり、その分野で智慧を競い合ったと言えば聞こえは良いが、そんなバブル景気が米国社会にとって健全であるとは思えない。こんなやり方が何時までも続くと考える方が間違っている。

米国の対外累積債務が拡大し続ければやがて借金の利息に追われる経済となり、ちょうど日本とは逆の現象がはっきりしてくる。

日本は対外債権が膨れ上がり、受け取り利子や配当が貿易黒字と同じくらいになり始めているが、それは今後日本全体としては消費を増やして貿易を赤字にしてもかなりの程度金融所得で埋め合わせる事が出来る仕組みとなっている。言い換えれば金融資産に依りかかり、金融以外の産業が赤字でもやって行ける経済である。

尤、それは日本にとっては永い目で見て悪い事態と私は考えますが。

 日本と逆の米国の場合、やがてドル下落をもたらすはずで、もう既に下落が始まっている。ドル暴落は米国での輸入品の価格を引き上げ、実質収入を減らし、消費は減退する。すると内需型企業の業績は下がり、株安を現出し、逆資産効果によって経済は急速に萎んで行く事でしょう。

  では日本は如何なのかと言えば、結論から言えば日本は内需拡大に努めれば何も問題はないと考えます。日米経済は密接になってはいても同一ではないし、円ドル関係には為替相場の関係が厳然としてある。金融制度も政府も中央銀行も違います。日本から米国への輸出は影響受けるでしょうが、その分内需が増えれば日本国内の企業は全体として潤います。日本と同じ東アジアの中国は日本経済の停滞を尻目に年率7〜8%の成長を続けていますが、この事は他国がどうあれ経常収支と内需拡大とのバランスをとって行けば自国だけの成長が可能という事を証明しています。

内需拡大の方法は色々あります。国債発行と言う手もありますし、政府通貨の発行という手もあります。

一番の問題は、“日本では需要不足の問題は重要ではなく、個別企業それぞれが、効率の良い競争力のある企業で無い事が問題である。”というような事を主張する所謂 『古典派 』 と称する人達が政府内に多数いる事です。我々 『 経済塾 』 はこの 『新古典派 』 一掃なしには日本経済の苦境脱出はないと考えます。

 

 
 
 
 

                           
 
 タイトル : 古典派とケインズ
平成14年9月 6日          丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
                          ( kulihala@sepia.ocn.ne.jp ) 
 
 
 経済学の世界では永らくケインズ派と新古典派が対立してきました。一般の人には如何でも良さそうに思えるような事ですが、政策の中枢に居る人がどちらに属するかで政策が極端に違ってきます。
 
私の意見を述べる前に、両者の関係をもう一度確認してみたいと思います。

 十八世紀、英国で産業革命が起こり工場が出現する。工場は都市に立地する為に都市が栄えて市民社会が成立した。するとそれまでの封建的な社会思想では産業が発展する為には窮屈で、新しい社会思想が次々と生まれてくることとなる。経済学ではアダムスミスに代表されて伝えられるような自由主義経済思想が生まれてきた。しかし産業革命によって生まれた資本主義はやがて十年おきくらいの間隔で好不況を繰り返す事となる。ロンドンで経済学を学んだマルクスはそれを資本主義に内在する必然的矛盾であるとして、フランスの社会主義思想、ドイツの古典哲学などを組み込んだ共産主義そして社会主義を提唱する。

そのマルクスが亡くなった1883年に生まれたケインズはマルクスとは全く別の観点から自由主義経済思想に対して、資本主義経済は循環的な好不況の波がある事を論じた。そして彼の結論は “ 自由主義の 『 神の見えざる手 』 経済論は間違いで、政府は積極的に経済政策を行うべし ” というものだった。彼によれば彼以前の経済学では完全雇用は資本主義の必然であり、失業は自発的であると説明。しかし現実は不況時には労働者は職を求めている。完全雇用必然論は間違いであり、「完全雇用状態を前提にして成り立つ自由主義経済論」 は 「完全雇用も失業もあり得る事を前提にしたケインズの理論」 からすると、一つの特殊な状況を分析した理論でしかない。それでケインズ以前の経済学を古典派と彼は呼んだのである。(現代の古典派=新古典派は苦境の企業は効率が悪い事が苦境の原因と主張。)

理論的には古典派は自由な市場で価格競争を通じて資源の最適配分が達成され、
失業問題は組合活動などがそれを阻害するとして、主として価格分析を熱心に行ったので価格の理論、ミクロ理論とも呼ばれる。しかしそれは失業問題を解決する方法を論じるよりも、現状の理由を説明するだけのものだった。

 対して、ケインズは価格分析は否定せず、それに加えてもう一つの中心課題として所得の分析も行ったので、国民所得論とかマクロ分析、巨視的経済論などと呼ばれる。

 以来 『ケインズ派 』 と 『古典派 』、この二つの論争は今も続く。新古典派だとか、新古典派総合だとか様々な名称を自分で付けた学者達が学派を名乗り、ケインズ派も色々な名称を付けて互いに論争をしている。従って、古典派は 『夜警国家たれ』 と政府の関与を最小限にするよう主張するに対し、ケインズ派は経済に政府の積極的関与を求める。しかしその事をもってケインズ政策を社会主義というなら言い掛かりというもの。

 もう一つ、ケインズは社会が需要不足に陥った時には拡張的財政政策を執れと言ったが、それはやがて景気が回復し税収が増え、少し永い期間で見れば国債は償還出来るというもので、好景気下でも赤字国債を発行しろと言ったわけではない。一時、世界中でケインズ政策の誤理解から国債を発行すべきでない状態の時でも発行する事態が続出した為に間違った財政政策をケインズ政策であると言ったり、ケインズ政策はインフレ政策であると言った主張が世間に流れるようになりました

が、それらが間違った理解である事はケインズ経済学を少しかじってみれば容易に解る事です。

日本で、福田内閣以来国債発行が続いたにもかかわらず発行残高が累積した理由は前々回も述べたように間違った金融政策が原因でケインズ理論が間違っているからでは無いと確信します。

 結論として、現在のケインズ派の主張は

@ 今こそ積極財政を執るべし
A 政府
通貨発行が非常に効果的である。
B 国債発行も勿論しないよりずっと良い。

 現在の古典派=新古典派の主張は

@ 財政政策には効果が無い(非科学的な
主張と私は断定)し必要無い。全は市場に任せて小さな政府にしろ
A 効率の悪い
企業は潰せ
B その為には不良再建処理・構造改革を進めろ、

といったところ。

 現状は海外市場で商売できる企業が比較的好調で、内需型企業の業績はほぼ全敗。倒産した企業の土地、ゴルフ場、株などを 『国際金融資本』 が買い進めていて、新聞報道だと上場企業の株式の二〜三割くらいを外資に買われて、彼等が株主総会へも出席し始めているとも聞きます。このまま行くと日本の企業文化も破壊されるでしょう。新古典派にすればそれが良い事だと言うでしょうが、私には日本社会が重大な局面に来ていると思います。

 我々『丹羽経済塾』はケインズ派の集まりですが、是非丹羽教授始めとする内外のケインジアンの意見にお耳を傾けて欲しいと思います


                    
  
タイトル : 昭和恐慌からV字型回復に成功
平成14年9月 7日          丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
                          ( kulihala@sepia.ocn.ne.jp ) 
 
 
 小野副塾長の寄稿です。ご参考までに是非ご一読下さればと思います。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
世界大恐慌の中、日本は日銀の通貨発行で昭和恐慌からV字型回復に成功
                             
 副塾長 小野盛司 
                      ( http://www.tek.co.jp/president/intro.html )
 大正中期のバブル発生と崩壊の後、大正末期の大不況、昭和初期の金融恐慌と30年間恐慌が連続して起き、経済の長期低迷は12年にわたった。娘の身売り、銀行の大規模な破綻、大卒者の高失業率、自殺の増加等、社会、経済の混乱は空前の規模であった。70年経って迎えた平成不況も余りにもよく似た状況に陥っている。

 1929年に浜口内閣が発足した。浜口首相は「ライオン宰相」として国民から熱
狂的に迎えられた。小泉首相の高い支持率とそっくりだ。しかも、なんと浜口首相も「痛みを伴う改革」を訴えていて不況下の緊縮財政策を断行しそれが裏目にでた。浜口首相は1929年8月28日に「全国民に訴う」というビラを全国1300万戸に配布した。

「・・・今日のままの不景気は底知れない不景気であります。これに反して、緊縮、
節約、金解禁によるところの不景気は底をついた不景気であります。・・・我々は国民諸君とともにこの一時の苦痛をしのんで、後日の大なる発展をとげなければなりません。」

これに対し野党である政友会の水戸忠造は政府を批判した。「一般国民は、経済上の知識が乏しく、唯古来の道徳上の教訓によって、節約と言
えば無条件に誠に結構なもののように考えるのは無理もないことである。即ち自分だけ節約した場合と国民挙げて節約した場合とを混同したのである。世間一般の人は従来の通りの生活をしていて自分一人節約した場合には、その節約しただけ懐に余裕が出来ることは言うまでもないが、世間一般が挙って節約した場合には、これとは全然相反する結果を来すのである。・・・国民挙って消費を節約すれば、他人の生産した物を買うことが減少すると同時に、自分の生産した物の売れ行きも減少する。言い換えれば経済政策全体の縮小に終わる。・・・浜口首相も井上蔵相も我が国の公債総額が60億円近くに上がったことを以て、あたかも国家の存亡に関する一大事の如くに宣伝し、現内閣はこれを整理を以て重要使命とするものであると吹聴し、この60億円を一人当たりに割って見れば90円にして、国民は生まれな
がらにして90円の借金を負っている、誠に大変なことと告げた。・・・」

1930年1月、浜口内閣は金解禁に踏み切るが、それが昭和恐慌の引き金になっ
た。小泉氏の金融改革(金融ビッグバンに続くペイオフ解禁等)も金解禁と同様のグローバル・スタンダード(言い換えればアメリカの物まね)である。また、当時と同じように米国経済も減速を始めている。実に状況が似ているのである。

 では、昭和恐慌はどのようにして克服したのか。それは、1931年末の政権交替
によって誕生した政友会内閣の高橋是清蔵相による円の切り下げ、日本銀行による国債引き受けのもとで財政支出の拡大、通貨供給量拡大(紙幣の印刷が間に合わず片面のみの印刷で発行したと言われております)により大不況から急速に立ち直る事に成功、10%に及ぶデフレから2%のマイルドインフレに軟着陸したのである。円は最大で6割ほど下落し、輸出の拡大、貿易収支の改善をもたらした。また、満州事変の勃発を背景にした財政支出のおかげで、重工業部門を中心に自立的な生産拡大により恐慌脱出の軌道に乗った。
 
世界大恐慌の際、各国の経済回復はかなり遅れた。アメリカ経済が1929年のGNP水準を回復したのは10年後の1939年、フランスも10年後の1939年、ドイツは6年後の1935年、イギリスは5年後の1934年だった。それは、伝統的な財政均衡の原則にとらわれたからである。

アメリカでは、フーバー大統領は伝統的な均衡財政の原則をかたく信じており、恐
慌が底に達した1932年には、アメリカ史上最大規模の増税を行ったほどである。しかし、政権末期になると赤字公債による景気浮揚策を打ち出さざるをえなくなった。イギリスのマクドナルド首相も同じで、1930年には予算を均衡させるために4700万ポンドの増税を行った。ドイツのブリューニン内閣も、フランスのボンクール内閣も、予算の均衡を第一義とした点では同じだった。図1では各国のGNPの推移を比較した。日本がいち早く不況から脱出できたのが分かる。

 
 
 一方日本は、国債を日銀に引き受けさせ通貨発行による景気刺激政策を実行したためV字型回復をした。日本の実質成長率は1929年0.5%、1930年1.1%、1931年0.4%の停滞後、日銀引き受けによる国債発行に踏み切った1932年には4.4%、1933年10.1%、1934年8.7%と推移した。1933年にはすでに1929年の水準を回復している。1931年から1936年の間に日銀券は40%ほど増加したが、工業生産高は2.3倍以上に増大した。物価は平均3〜4%の上昇で留まった。おカネを刷ると即インフレになるという説は正しくないということを裏付ける結果となった。

図2(a)は実質GNP、(b)は小売物価、(c)は政府債務の推移で
ある。政府がすさまじい勢いで通貨増発を行っていたことは(c)から明らかである。債務はGNPの2.5倍を越えた。しかし、(b)で見られるように小売物価指数の上昇は驚くほどゆるやかだ。更に驚くのは、実質GNPの伸びの速さだ。1933年から1944年までの15年間に2.3倍にもなっている。通貨発行で日本が破産するなどと主張しているはしっかりこのグラフを見ると良い。最近15年間の日本の低成長率と比べると月とすっぽんとでも言うべきだろうか。

 1932年高橋是清は日銀引き受けによる国債発行に踏み切ったのだが、満州事
件費や大規模な時局匡救費をまかなうために、増税による歳入確保は不況では不可能であった。不況のため税収は減っていたからそれを補うための国債発行である。国債を日銀が引き受け、それにより政府が財源を確保し、その財源で政府が企業や農家等への支出をし、その資金が市中金融機関に入り預金が増加してくると政府は日銀保有の国債を市中金融機関へと売却しインフレを防いだ。これは「公債たらい回し政策」といわれた。1932年には一般会計は前年比31%増の19.5億円、1933年には22.5億円とした。市中銀行の国債保有水準が高くなっていたこともあって、価格が軟化しており、市中売却が困難になっていた。そのため、日銀の国債引受という手段が使われた。

 通貨発行で円の信用が落ち、円が暴落し、貿易ができなくなるのではないかと心
配する人がいる。しかし、実際1932年に通貨発行の政策を始めて以来、確かに円安にはなった(というより高すぎた円が適正レベルに戻った)が、そのお陰で輸出が大きく増加した。1932年の世界における日本の輸出シェアは2.8%だったが、1933年3.1%、1934年3.3%、1935年3.6%というように、増大を続けたのである。貿易収支も1929年に1.5億円、1930年1.4億円、1931年1.3億円というように赤字続きであったものが、1935年には17年ぶりの黒字となった。経常収支の黒字がGNPの増加に貢献したのはいうまでもない。

 1935年にはインフレの兆候が見え始めたので増税により、これを押さえようとし
ましたが、1936年2・26事件により軍のクーデターで高橋是清は殺され結局通貨発行は押さえることができなくなり、軍備拡張、そして戦争への道へ歩むことになったわけである。私はこの軍の行為を容認せよと言っているわけではない。しかし、経済だけを見れば、通貨の大量の増発により日本経済が破滅したかといえば、そうではなく図2aで明らかなように拡大を続けたのである。