平成14年9月12日 丹羽経済塾 広報担当幹事 栗原茂男
12日夕刻、テレビのニュースでハバード米国大統領経済諮問委員会委員長と塩川財務大臣との会談が報道されていました。
米国の要求は “ @ 政策減税よりも法人減税を!A
法人減税の財源は財政支出の削減によれ。” なのだそうである。対する塩川大臣は難色を示したとか。 塩川大臣が難色を示すのは当たり前ですが、このハバードという男、3月頃にも日本に来て柳沢大臣に “ 空売り規制をやめろ!”と談判している。
@ の「政策減税よりも法人減税を!」であるが政策減税は例えば投資減税なら企業経営者は投資すれば減税であるから、ためらっていた投資を実行する可能性が高くなる。だから政策減税は日本全体として見れば投資が増え、内需拡大に貢献する。しかし法人減税は投資を誘引する積極的理由があまり見つからない。法人減税 ⇒ 税引き前利益が増える。⇒ 一部が内部留保され、配当可能利益が増える。しかし日本の投資家は配当よりも株価の上昇に関心があり、利益に関心があるのは極一部の巨額の資金運用をする投資家でしょう。
日本政府が新古典派的発想で構造改革・不良債権処理推進によって日本企業を次々と「市場から退出させ」、日本の景気を不必要に悪化させ、土地や株が買い取り易くなったところで日本企業の上場株の二割とか三割とかを買い進めた
『 国際金融資本 』 は日本の外に持ち帰れる利益が増えて喜ぶ事でしょう。
しかし日本人の最大多数にとっては法人減税はあまり利益は考えにくい。ハバード氏は一体何を考えているのか?想像するのもバカバカしい。
A の「法人減税の財源は財政支出の削減によれ。」はお話にならない。今の日本に必要なのは内需拡大で、国民所得≡民間消費・投資+政府の支出+貿易黒字であるから、財政支出の削減はその分だけ間違いなく内需を減少させる。 彼が言いたい事は凡そ推測できる。「日銀は量的緩和を続ける事で過剰流動性を更に高めろ。内需は抑制して行き場を失った日本の金を米国へ還流させろ。」
多分そんなところでしょう。
政治家の皆さん、経済界の皆さん、マスコミの皆さんはハバード氏の馬鹿な要求に対し反対の声を上げ、突っ張っている塩川大臣を支援して欲しいと思います。
新聞報道によると、外需が伸びてGDPが増えたと記事が出ています。先の恒等式 『 国民所得≡民間消費・投資+政府の支出+貿易黒字 』
で貿易黒字が増えると国民所得が増えることになっていますが、貿易黒字分は生産した物を海外の人に消費してもらう訳ですから、黒字分だけは日本国内には好況感は出てくるわけありません。
報道によると財務省の速報では、経常黒字が58%増で、輸出が四兆円あまりで8.9%伸び、輸入が0.2%減で結局、貿易黒字は対前年比で60.5%増だとなっています。
相も変わらぬ貿易黒字頼みの経済体質がGDPの数字を嵩上げしています。この体質こそ日本が変えなければならないものでそれを変える事こそ日本にとっての真の構造改革であると信じます。
先のハバード氏の甚だしい内政干渉も源を辿ると日本の内需抑制、輸出依存の経済成長路線に行き付くように思えてなりません。
少し飛躍しますが、財政状況の厳しい折り、政治家の皆さんには政府通貨発行政策を是非ご検討願いたいと思います。古くからある理論であり、実行もされた実績のある政策ですので奇策でもなんでもありません。このままでは生活苦からの国民のモラルハザードの進行が心配です。お金を振り込まれた国民は政府の悪口言いながら結構喜んで使ってくれるような気がします。