誤解されている消費が伸びない理由

              丹羽経済塾副塾長 小野盛司

 現在は消費が伸びないから不況になっているのだと言われている。本当にそうなのか図1に消費を可処分所得の関数としてプロットし、更に図2に1970年から2000年の間の消費性向をプロットした。データは経済企画庁[2000]を使用し、消費とは「民間最終消費」を使った。図1で分かることは、消費は可処分所得(所得から税金等を引いた額、つまり使えるおカネ)に、ほぼ正確に比例していることだ。

これより分かることは消費が増えないのは、所得が増えないだけだということだ。図2を見るともっとこれがはっきりする。消費性向とは消費/可処分所得である。使えるおカネのうちどれだけを消費するかという割合だが、これを見ると使わなくなった というのは真っ赤な嘘で、実際はむしろだんだん消費性向は増える傾向があるのが分かる。

消費が伸びないのは可処分所得が増加しないのが唯一の理由と言って良い。使えるおカネを増やさないで置いてどうやって消費しろというのか。消費を増やそうと思うとき、個人金融資産を使わせる工夫や、老人の持つ貯蓄を使わせる工夫をしても無駄である。しかし、所得を増やしてやると間違いなく消費が増える。10%可処分 所得を増やせば、正確に10%消費が増えるのである。どうやれば可処分所得が増えるのか。それは、極めて単純で財政出動によりGDPを増やすか、減税するかである。それは政府貨幣発行を財源にして簡単に実現できる。逆に、それ以外の方法で消費を伸ばすことは不可能なのだ。


経済企画庁[2000]『国民経済計算年報 平成12年度版』、経済企画庁編

図1 1970−2000年の消費を可処分所得の関係

図 2