平成24年1月11日
2012年1月11日

政府通貨発行論の前提

丹羽経済塾 幹事長 藤本龍夫

ネットで、政府通貨発行案を検索すると、多くの見出しが出てくるようになった。これは、政府通貨発行案が、かなり一般にも普及し、論議がタブーでなくなったことを示していて、かなりの前進だ。
ただ、これら議論には残念な所があって、反対のための反対論がかなり多い点だ。

それらの文章の特徴は、危機を突破しようと言う動機が希薄で、どんな議論もダメだ、という特徴がある。つまり、このまま経済が下降していくことを容認している人が多い。

だから、経済を良くしていこうという対案が示されていない。
これらの論者は、いわゆる勝ち組の人たちで、国民が窮乏化していくことが嬉しいのだろうと想像できる。


一方、良心的な議論も散見されて、はじめから政府紙幣発行案のデメリットばかりを羅列するのではなくて、素人だがと断りつつ、デメリットを補いつつメリットを教授できる方法を模索する建設的な文章もあって、好もしい。


私は、もう12年も政府紙幣発行案を支持して、多くの人々に説明を続けてきたので、議論の前提にある国民を助けたいという動機のない人との議論にはつきあえないようになっている。

特に、経済を回復させようと意図を持たない人と話しても無駄だと思う。
これらの人々は、日本人が何人、自殺しようとも助ける気持ちがないからである。

ということで、政府紙幣発行案に反対の人たちと議論することは建設的ではない。
人は議論で説得することはできないと思う。
議論で説得できる人は、態度を決めかねている人であって、経済を良くして他人の幸福を願う人である。


だから、そのような態度未定の人たちにネットを通じて説得を続けてきて、仲間がかなり増えてきた。


国債は借金ではない。だから、もしも日銀が国債を買い取ってくれるならば、国債を財源にして公共事業を行っても良いが、日銀はご存じのように白川総裁が、かたくなに、それを拒否している。
この場合、白川総裁が在任中は、日本経済の復興はあり得ず、悪化するだけになる。その間、日本国民は自殺し続けなければならない。

あるいは、国債を日銀に直接引き受けさせて財源を創る方法もあるが、これは国会の議決が必要であり、政治の混沌としたときに、それを決議できる可能性は低い。

それゆえ、内閣の閣議だけで発行できる政府紙幣発行案に固執するのである。


反対論は、ほとんどが取るに足りない議論で反対する。
インフレになるなどという人もいるくらいだ。経済学者なら経済が分からなくても仕方がないが、会社経営者ですら政府紙幣発行で財源を創り公共事業を行うとインフレになるという。

たとえば50兆円の公共事業を行うだけでインフレと条件反射するが、会社の受注が前年比で10%増えただけで、商品単価を値上げすると考えているのかと尋ねると、その場合は、上げることはないと答えることができる。

具体的に聞けば経営者は正解にたどり着くことが出きるが、経済学者には、経済の実際を知らないため、具体的に聞いても正解に達することができない。

50兆円の公共事業だけでインフレが起きるという経済学者には、質問すればいい。
その50兆円の公共事業で企業には前年比で受注がどれだけ増えますか?

10%受注が増えると答えるなら、その場合、企業は商品単価を何倍にあげますか?
そうしたら、経済学者が経済を知っているかどうかが企業人にも判断がつくのである。

インフレとは一般諸物価の高騰である。


さすがに最近では、50兆円の公共事業ではハイパーインフレが起きると答える経済学者は少なくなってきた。これは風向きが変わってきているようで好ましい。
1年で価格が130倍上がることをハイパーインフレというが、企業に前年比で受注が10%増えただけで、今まで10万円で売っていたノートパソコンを1300万円に値上げするという主張は、根拠薄弱と気がついたようだ。

今年は、政府紙幣発行案が実施されるチャンスの年だ。

円高が進んで輸出に頼れないことが誰の目にも明らかになるからだ。
その場合は、中小企業も含めて海外に脱出するが、残った企業を倒産させるわけにはいかなくなるだろう。

というわけで内需拡大が必要だと気がつくだろう。1970年代から財務省は内需拡大を拒否して今日の経済縮小を招いてきた。
しかし、それも限界になり、やはり内需拡大が必要という経済界の声に押されるようになる。

内需拡大の時期は迫っている。


その場合、頑丈な国家を創ることになるだろうから、第一にリニア新幹線網を北海道から沖縄まで、大深度地下を走らせるだろう。
大深度地下は地震と津波に強い。同様にして第二にメガフロートを太平洋側につくり新大陸とするだろう。これも津波と地震に強い。

財源は政府紙幣がある。

紙幣が法律上認められているにもかかわらず、抵抗があるというなら500円玉でも良い。これを4兆円強、発行しているが、発行枚数を増やすだけで財源ができる。

とはいえ、財務省の抵抗と日本銀行の妨害をかいくぐり、さらに海外勢力の強迫にも対処しなければならない。
500円玉が政府貨幣だと知らない人もいるが、これは日本銀行のものではなく政府の貨幣である。

従って、政府貨幣の発行益は、政府の負債ではなく丸儲けになるのである。
そして、それは閣議で発行したときに、発行益が生じると決めればいいだけである。

日本銀行が政府貨幣発行案の妨害のため、この500円玉を回収するために政府に金を出させようと画策しているが、これは、言葉を換えれば、政府の発行した貨幣の強制通用力を法令の根拠なしに停止させる権限があると主張しているという意味になる。
どの法令にそんな根拠条文があるのか説明する必要があるだろう。

邪魔するためなら何でも主張するというのが反対論である。

ネット上にあふれる反対論は、財源を使った公共事業の景気浮揚効果をわざと無視する。
だからインフレになるといいつつ、景気拡大を認めない。

すくなくとも景気が拡大しなければインフレは起こらないのに。

支離滅裂でも反対する学者の頭には、政府の審議会への出席がある。ここに審議委員として入ることができれば、財務省から優遇されて、大学に帰れば学長の椅子が用意される。

経済学者の経済合理的行動。


政府貨幣発行案は、耳新しいかもしれないが、国債とは違って負債ではない点が大きな違いだ。
それは発行した時点で、金塊を持つことに等しい。

それゆえ、日本銀行がこの金塊を買い取ったとしても、いつまでも持っても良いし、金塊を売り払って国債を買い入れても良いのである。

政府貨幣を財源とした公共事業は、かならず景気を良くする。それは必ず、国民を働かせることを意味する。通貨とは生産を呼び起こすツールだからである。

ただでお金を創ったとか、タダでお金をもらったと誤解する人もいるが、このお金は、企業に注文を増加させることによって、労働者を働かせることになるのである。
さらに注文が増えれば、失業者も雇い入れて働かせるのである。タダではないのである。

日本人は働くことを良しとする宗教を持つ。
それを邪魔して、働かせまいとするのが、政府紙幣発行案の反対論者であり、運命論者である。



日本経済10%成長論