Date: Tue, 24 Dec 2002
こんにちは、今回は先月末に出た雑誌「ミュゼ」に書いた富樫雅彦論です。少しでも多くの皆さんに読んでほしいと思いアップしました。
富樫さんとの共演はわずかに1回、昨年の3月、石川高、杉本拓、SachikoMとともにPITINNで演奏したきりですが、素晴らしい体験でした。より響きのいいところでぜひもう一度と思っていたのですが、共演の機会果たされず残念です。この原稿は現在体をおこすことが出来なくなってしまった富樫さんのこれまでの活動への敬意と、今後作曲家富樫雅彦と何か出来るかもしれないというラブコールの意味も込めて書いたものです。お時間あったらぜひ読んでみて下さい。
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空間の創出と現実を見据える耳
〜富樫雅彦の音楽〜
大友良英
「美しい」という言葉は音楽にとって最も危険な言葉だ。なぜなら、その言葉を安易に使ってしまった時点で、僕等は考えたり疑問に思ったり発見したりする音楽のもうひとつ重要な楽しみを忘れてしまいかねないからだ。
それでも私はあえて富樫雅彦の音楽を「美しさ」から語ることにする。とはいえ、それは、単にひとつひとつの楽器から発せられる音色の美しさだけを示すものではないし、かといって彼の音楽の全体像をさすような表現の美しさといった漠然としたものを語りたいわけでもない。もっと具体的な仕草、彼の音へ対峙する作法の美しさとでも言ったらいいのだろうか。ここで言う「作法の美」という言葉には「聴く」ことと「音を発する」ことの間に見える厳格な美しさと言ってもいいだろう。それはありもしない世界を見せる美ではなく、現実を見据える美だ。
話が抽象的になった。もっと具体的に語ろう。私が特に注目しているのは、余韻とハーモニーについてだ。ハーモニーといってもそれはドとミとソを重ねて作るような西洋的和声の話ではなく、ある複数の音がもたらす音のゆらぎや濁り、そして輝きのことだ。私の知る限り、彼ほどこの”ゆらぎ”や”濁り””輝き”そして”余韻”に対して意識的な即興演奏家はかつていなかったのではないだろうか。ある音とある音が入れ替わる、あるいは交わる時の息をのむような美しさ、あるいは音が背景の気配の中に消え入るときのゆらめきを知ることが出来たのは、他でもない富樫雅彦の演奏を生で聴く機会が何度となくあったおかげだ。
コンサート会場にPAがあることが当たり前になり、録音された平面的に圧縮した音がスピーカーやヘッドフォンから流れることが音楽を聴くことになった時代に、彼がやっていたのは、それとは完全に間逆の作業だった。遠近感や強弱、空気の気配、背景に消え入る余韻、それらが別々の場所から微妙に角度を変えて立体的に聞こえて来る世界。アコースティックでなければ実現しえない独自の音響空間。それは何よりも彼の音楽が、「語る」ことではなく「聴くこと」を軸に成り立っていたからこそ実現した世界ではないだろうか。
ご存知のように富樫雅彦はまずは60年代、ジャズの優れたドラマーとして活動を始めた。飛び抜けて素晴らしいドラマーであった事は残された数少ない録音からも充分に伝わってくる。ジャズドラマーとしての活動は今日に至るまでつづくし、これについてはここで私があれこれ言う必要もないだろう。むしろ私が常々歯がゆく思っていたのは、彼の音楽がジャズの文脈からしか語られないことのほうだ。70年代以降彼がやってきたことは決してジャズの文脈からだけで捕らえきれるようなものではない。それは当時欧州でデレク・ベイリーやAMM等がやっていた即興から音楽そのもののあり方を新たにとらえ直す運動と、相互影響がなかったにも係わらず完全に同時代的にリンクした出来事であったし、当時の先端の現代音楽、とりわけリチャード・タイトルバーム等にはむしろ富樫が影響を与えたほどではなかったか。とはいえ彼の音楽を現代音楽や欧州即興音楽の文脈の中に今更おいてみたところで、それはジャズの文脈の中に彼を置いたときの違和感となんら変わらない。
私がいいたいのは、彼の音楽が70年代のある時期以降ジャズや現代音楽といった音楽ジャンルを定義してきたような枠組みから意識的に自由になろうとしていて、その際に彼が採用した方法が、音楽言語を更新するという20世紀の新しい音楽が常に繰り返してきたやり方ではなく、聴くことの発見に由来した方法を採用している・・・ということの重要性と、その意味についてだ。通常、即興演奏、とりわけフリージャズに関わる音楽家は、どういう音をだしていくか、つまりはなにをどう話すのかということに常に心血を注いできたと言っても過言ではないだろう。ところが、富樫が採用した方法は、むしろ音を出してしまった後に、その音がどうなって行くのかを注意深く聴くことのほうだったように思えるのだ。余韻の消え入り方や、複数の音が反応しあいゆらぐ様は、言語的な領域からではなく、あきらかに聴取を優位におかなくては出てこない発想だ。聴き取ることでしか、美しさを発見出来ない領域。ジャズという演奏言語更新と進化の歴史絵巻のようなジャンルの演奏家であった富樫から、まったく異なる発想が生まれたわけだ。20世紀音楽が音楽言語的な認識力を大きなバネに力ずくで新い領域を拡大し、時間を略奪してきたのとは対照的に、彼が70年代にはじめた事は、音を時間軸ではなく瞬間瞬間の空間の響きとして捕らえる作業ではなかったか。これは当時の欧米のフリージャズにはなかった独自の発想だ。むしろ今の視点で見れば高橋悠治、あるいはクセナキス等が進めていた流れに近い感すらある。彼は一貫して今日に至るまでこの空間と対峙する音楽を最大限の誠実さで創り続けた。
非常に残念なのは身体的に打楽器演奏が困難になった今現在、彼の演奏に生で接する機会が絶たれてしまったことだ。それでも、この先に向けて進行形で彼の創作がつづくであろうことは容易に想像がつく。それが作曲という形をとるのか、あるいはもっと別な何かになるのかは分らない。それでも私は、富樫雅彦がこの先なにをやるのかに、これまでの以上に興味をもっている。彼の創作の根幹たる現実を見据える耳と、空間を創出する頭脳がある限り、冒頭に書いた音に対峙する作法の美しさは演奏以外の方法でも実現可能だからだ。
2002年11月オーストリアにて
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大友良英のコンサートスケジュールおよびJAMJAM日記の閲覧等は
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CDの通信販売は
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新着入荷リストは
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発行者,大友良英へのメールは
otomojamjam@yahoo.co.jp
Date: Sat, 21 Dec 2002
皆さん、こんにちは
山口雪舟庭園のI.S.O.公演にお越しくださったみなさんありがとうございました。
わたしにとっても今年のベストともいえるくらいの素晴らしい体験でした。
え〜と今回は告知のメールです。
ロンドンのFMラジオ局レゾナンスFMの公開録音 を代々木のオフサイトで12月30日に行います。
今回は出演者それぞれが演奏したり、お勧めCDを持ち寄ったり未発表の音源をかけたりしつつ、おしゃべり込みで2時間程度のプログラムを予定しています。現時点でかなりの問い合わせがあり、込み合うことが予想されますので、お手数かけますが40人限定の予約制にさせてください。
会場 代々木オフサイト
時間 午後6時開演 料金1800円プラスドリンク代
予約問い合わせ オフサイト 03-3341-5557
司会進行:大友良英
英語司会:篠はづき
ジングル:SachikoM
出演または演奏:吉田アミ、ユタカワサキ、SachikoM、中村としまる、大蔵雅彦、宇波拓、秋山徹次、杉本拓、Lawrence English(from Australia) 、伊東篤宏,
レゾナンスFMは、1日中風変わりな音楽だけをかけ続けてくれている非商業FM局でロンドンミュージシャンズコレクティブ(LMC)を中心にロンドンのミュージシャンや雑誌ワイアーのライター達によるボランティアによって運営されています。内容はカレッジFMよりもはるかに大人向けで、ノイズ、現代音楽、即興、スカム、フリージャズ、電子音楽世界中の民族音楽、古いポップス等々ありとあらゆる通常のラジオ局からはみ出た音楽がかかっています。1日中フィードバックだけの音楽を特集したり、まだ実験放送中だった98年にはI.S.Oをゲストに数時間日本語とライブ音源だけのライブをやったり、クリスカトラーによる世界中のランドスケープだけを流す番組等々、とにかく日本では考えられないようなプログラムがめじろ押しです。オフサイト周辺からJPOPや歌謡曲、ノイズに至る日本の音楽もポールフッドの「ONKYO-DO」他の番組で毎週のようにかかっています。興味のあるかたはインターネットでも聴くことできます。
http://rad.spc.org/lmc/reso/tempres.htm
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VINYLSOYUZからONJQのアナログLPが限定500枚で発売になります。
タイトルは「OTOMO YOSHIHIDE'S NEW JAZZ QUINTET/PULSER」
内容は
A面(1) SEWW-PEA(shorter)〜There(otomo)
2001年スタジオ録音の未発表テイクです
メンバーは菊地成孔TS,津上研太SS、大友良英G、水谷浩章B、芳垣安洋DS、
ゲスト 益子樹Electronics(from ROVO, ASLN,DUBSQUAD)
(2) DCPRG/playmate at Hanoi OlatunjiMixVer1.2
菊地成孔のデートコースペンタゴンの大友リミックスの別バージョンです。
タイトルの
OlatunjiMixはコルトレーンのラストライブレコーディング からとった名前で、
当時は録音のあまりの悪さから発表出来なかったそうなのですが実はわたしはこのコルトレーン
の歪みまくった録音が大好きで、リミックスする際に、この感じを出したいばかりに、せっかく
のクリアな音質だったデートコースの音源をトラックごとに歪みの設定を変えてミックスしなお
しました。CDのバージョンとはミックスや構成も多少変えていてさらにラストはループするよう
になっています。
B面(1)
Eureka(O'rourke)今年出たDIWの「LIVE」から。ただしマスタリングは変えています。
B面にはこのあとに短い隠れトラックのループが3つ入っています。LOOP1
1975年16歳の時に
オルガンとエフェクターを使って録音したテープ作品から
LOOP2 1998年のFilamnetの最初の録音から未発表部分を
LOOP3 1992年のGROUND-ZERO未発表録音から山塚EYEとのDUO
ジャケットはVJの生西康典入魂の作品で全て手刷りのシルクスクリーン、たった今届いて聴いているところですが盤のほうも重量盤で素晴らしい音質です。
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1月20日明大前のキッドアイラックアートホールで
今わたしが一番生で聴きたい人達を集めてライブをやります。
出演は中尾勘二/大友DUO、杉本拓/宇波拓/江崎将史トリオ、SachikoMソロ、
大友パーカッションソロ詳細は年明けにでも発表します
12月29日リキッドルームのDCPRG(私が参加する最後のセットです)
1月11日PITINNのONJQ
(東京での単独公演は3月のライブレコーディング以来です)
1月13日江古田BUDDYのEMERGENCY!
もよろしくおねがいします
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すでにはじまってしまいましたが、敬愛する副島輝人さんと親友の旧エスプレッソの大谷能生の2人が面白そうな企画をやってます。ぜひぜひ足を運んでみてください。わたしの大好きな人達が、沢山出ています。これから何がおこるのか、きっと発見があると思います。
副島輝人プロデュースの夜 第10回
『インディペンダント・アンダーグラウンド・ミュージック・フェス』
●日時:2002年12月19日(木)〜23日(月祝)
●会場:入谷なってるハウス
http://members.jcom.home.ne.jp/knuttelhouse/
●開演時間 open 7:00 start 7:30
●料金:前売¥2200 当日¥2500 (+one drink
order)/五日通し券¥10,000
予約&お問い合わせ:なってるハウスe-mail:knuttelhouse@yahoo.co.jp/
tel:03-3847-2113(pm6:00〜)
(お席に限りがありますので、なるべくご予約の上ご来場ください)
●スケジュール
◇12月19日(木)
★土岐拓未(4 track mtr)/直嶋岳史(electoronics) duo
★ミチ (宇波拓 lapsteel , computer/角田亜人guitar/植村昌弘
ds)
★河合拓始 (piano) solo
◇12月20日(金)
★松本健一 foammusic(松本健一sax/山本ヤマtrumpet/助川久美子bass/
加藤哲子drums)
★EXIAS-J (近藤秀秋 guitar/谷川卓生guitar/西沢直人drums/
河崎純bass/神田晋一郎 Pf)
★両グループによるセッション)
◇12月21日(土)
★COSMOS(Sachiko M sinewaves, contact microphones/吉田アミvoice)
★Intifada (望月芳哲 bass/沫山数汎 guitar/
鈴木放屁t.sax
/小野正 Fl,Ts/北陽一郎 Tp/HICO drums/大沼志朗 drums)
★石川高 笙solo
◇12月22日(日)
★秋山徹次(prepared resonator
guitar)/伊東篤宏(optron)/ユタ川崎(analog synthsizer)/宮本尚晃(g) quartet
★大島輝之/ヤマダタツヤ/庄司広光/山田民族 guitar quartet
★進揚一郎solo
◇12月23日(月祝)
★installing (tamaru bass/杉本佳一 guitar/ 大蔵雅彦
reeds/横川タダヒコ vln)
★飛頭(ミドリトモヒデ sax /菊地雅晃 bass,electronics/塚本真一
piano/イトケン drums)
★西陽子 箏solo
http://gastr.hp.infoseek.co.jp/event/idmf10th.shtml
↑ミュージシャンのプロフィールはこちらをご覧下さい。
Date: Thu, 19 Dec 2002
皆さんこんにちは〜 師走いかがお過ごしですか。今山口のホテルでこれを書いています。
今日で今年のツアーは終了、明日からは黒沢清監督のハイビジョンの仕事に入ります。
内容は小泉今日子朗読の「風の又三郎」で監督のリクエストは「見た人が見なきゃ良かった・・・って思うようないや〜な音楽」
えへへ、楽しみです。
あまりの忙しさに更新が遅れに遅れていたJAMJAM日記です。
9月以降杉本拓、SachikoMとのノルウェイツアー、10月のアルストワイルフェス、11月Filamentの欧州公演、12月のラドゥ・マルファッティ、山口の雪舟庭園でのI.S.O.野外コンサート(これ誇張ではなく、ほんとうに素晴らしかった)、そしてDCPRGの脱退等々、自分自身の音楽にとってはかなり大きな出来事が続いているのですが、これらについてはなるべく早い時期に日記にアップして整理していければと思っています。まずは9月から10月初頭にかけての日記から。
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JAMJAM日記2002年9月〜10月初頭
@月@日 吉祥寺GOK SOUNDにて映画「blue」のサントラCD用の録音。モスクワ映画祭で、主演の市川実可子さんが主演女優賞を取ったせいか、上映に向かってはずみがついたかんじで、サントラもweatherから発売が決まった。通常映画音楽がCDになる場合、あとからCD用に録り足すことが多い。オリジナルのサウンドトラックだけだと、1分以内の細切れの曲が多いし、今回みたいに音楽の少ない静かな映画だとなおさらだ。昼からサントラの録音メンバー(栗原正己、江藤直子、芳垣安洋)に集まってもらい、長いテイクをいくつか録音。 さらに今回は主演の市川さん、原作の魚喃キリコさん、脚本の本調さん等美女チームに、安藤尋監督、プロデューサーの宮崎大さん等豪華映画制作陣にもスタジオに来てもらい2曲ほどパーカッションを叩いてもらった。ぶっつけ本番取り直しなし。無論ワンテイクでOK。CDを聴いてもらえば分かると思うけど、もうなんと言ったらいいか、音を出す喜びに満ちあふれてるって意味では僕ら以上の演奏。安藤監督が音だけでかくて下手クソなのが性格のまんまで笑えたけど、魚喃さんが上手いのには驚きました。内容のほうは魚喃さんが原作を書いている時にずっと聴いていたフォルクローレをモチーフにしたギターポップとでも言ったらいいのかな。自分で言うのもなんだけれど会心作です。ジャケは魚喃さん。内緒だけど、これも飛び上がりたいくらい嬉しい。来年早々映画の上映にあわせて発売予定、よろしくです〜。
@月@日 ノルウェイの古都トロンヘイム。ここに住むノイズ音響系のユニットJAZZKAMERのラッセの計らいで、杉本拓、SachikoM、オレの3人のノルウェイツアーが実現した。到着早々なにやらパーティ会場へ。どうやら僕らはここで行われているジャパンフェスの一環で呼ばれたらしい。僕ら以外は皆正装。なんだかえらい政治家みたいな人があいさつしたりしている。会場には山の手夫人みたいな人やら、芸術やら東洋やらに理解がありそうな顔をした人達が溢れ、すこぶる居心地わるし。打ち上げは大好きだけどこの手のパーティは嫌いだ。僕らはほとんど窒息しそうになりながら会場を後にする。外に出ると息が白い。ガタガタ震えながらホテルに戻る。拓ちゃんもオレもすっかり油断して都内を移動するようなぺらっとした格好で来てしまった。旅慣れるとこういう失敗をしてしまう。
@月@日 トロンヘイムから車で2時間ほどいった美術館での演奏の帰路、夜中の12時くらいだったろうか、人里離れた山中を走っていると突然、運転手が車を止めて「降りろ、降りろ」と叫び出す。なにかと思って車を出ると、夜空一面に緑色の蛍光色に輝くオーロラが出ている。もちろん見るのは初めて。もう、あまりの美しさにしばし呆然とする。カーテンのようにたなびいたかと思うと突然まったく別の形になったり・・・。こんなものを見た見た昔の人間が神やら妖精の存在を信じたくなるもうなずける。とはいえ、あまりの寒さに数分で車の中へ。どんな美や神秘も寒さには勝てない。今度ノルウェイに来るときは絶対防寒着を忘れないようにしよう。
@月@日 今回のツアーで僕らが一番楽しみにしていたのは、インターネットの「宇波拓欧州ツアー日記」だった。ちょうど僕らと同じ時期、コンピュータの宇波、トランペットの江崎将史、サックスの大蔵雅彦の3人がイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペインを回っていて、この中でも筆の立つ宇波くんが随時彼のホームページ「ひばりミュージック」で日記を更新していたのだ。オレはこの3人の音楽も好きなら感覚や生き方も好きで、彼らがなにをしでかすのか実はひっそりと面白がりつつも楽しみにしている。特に最近ロック画報に群抜きで優れた文章を寄せている宇波くんの存在はなんだかそのへんなキャラに隠れて見えにくいけれど侮れない気がするのだ。案の定、欧州初ツアーの彼ら珍道中ぶりはなかなかのもので・・・ま、このへんはぜひ彼のページを見ることをおすすめします・・・その他にも各地で彼らが出会うミュージシャンは次代を担う最重要人物達だったりして新しいもん好きには答えられない内容だ。そんなこととは別に、ツアー生活を始めて10年以上の歳月が流れてしまったオレにはすでにどこかに忘れてきてしまった大切な何かを思い出させてくれる内容で、彼らの旅慣れてない初々しさと同時に、行った先行った先で出会った人達との時間を大切に過ごすあの独特の感じに軽い嫉妬を感じてしまった。いつしか今回のツアーで僕らの朝の挨拶は「新しい宇波日記見た?」になっていた。
@月@日 トロンヘイム郊外の飛行場近くの「Hell
Hotel」という恐ろしい名前のホテルに移動。ヘルはこのあたりの地名で英語の地獄のことではないらしい。ホテル自体はよくある3〜4つ星の空港ホテルで、悪くはないのだが、問題はこのあたりにまったくレストランや商店が存在しないことで、僕らは仕方なくホテルのバカ高いレストランへ。北欧はどこも物価が異常に高く、ちょっと外食しようものなら、すぐに3000円くらいは軽く取られてしまう。このレストランもものすごく高い。しかも街中のレストランの倍はする値段だ。ステーキ7000円、サーモン6000円・・・。さんざんメニューとにらめっこした挙句、僕らに注文できる選択肢は「エイジアン・ヌードル・スープ2500円」しかないという結論に至る。2500円もするんだから、それなりの、たとえば高級牛肉を使ったベトナムのフォーとか、野菜と魚介がたっぷり入った中華系の高級麺なんてのが出れば、まあいいか・・・なんて思いつつエイジアン・ヌードル・スープにワインを注文。(ちなみにオレは下戸なのでミネラルウォーター、杉本拓とSachikoMはワイン好きだ)待つこと20分。ウェイトレスが素晴らしく大きな純白のお皿を3つ運んでこるのが見える。膨らむ期待。「お待ちどうさま、エイジアン・ヌードル・スープでございます」「・・・・・・・・・」ん、これはどう見てもインスタントラーメンのように・・・。3人とも顔を見合わせてしばしの沈黙。高級な皿、ラーメンの上に乗せられた大きめの鶏肉とセロリや赤ピーマンの美しい盛り付けが一瞬の高級感をかもし出してはいるが、インスタントラーメンに肥えた目を持つ僕ら3人を誤魔化すことは出来ないぞ。純銀製のフォークとスプーンを使ってまずは一口。間髪を入れず「これチャルメラじゃん」3人同時にユニゾン・・・ステージでは絶対にユニゾンで音なんて出さない僕らにユニゾンをさせるとは。恐るべきかな、ヘル・ホテル・レストラン。
事件はそれだけではなかった。2500円のチャルメラ(実は上に乗ってた鶏肉はまあ旨かった)を食ってる最中・・・ちなみに麺をすする音を立ててはいけないという欧州の厳しいマナーなど僕らはもう守る気はなかったので、いつも家でやっているようにずるずるとラーメンをすすらせてもらった・・・、遠くの席に東洋人の美しい女姓が何人か座っているのが見えて、その中のひとりが、どう考えてもピアニストの三宅榛名さんそっくりなのだ。まさか、と思いつつも、やはり、どう見てもそっくりなので恐る恐る近づいて見ると、もう本人にしか思えないくらい似てる。こんなノルウェイの片田舎でとおもいつつ「あの〜、もしかして榛名さん?」「あら大友くん」榛名さん一行もノルウェイを演奏旅行中で、夕食後は娘さんの暦ちゃんとともに、僕らの部屋で持ち寄ったつまみやワインでしばし盛り上がることに。榛名さんも暦ちゃんもその場にいるだけで、皆を幸せにしてくれるようなオーラを持っている。榛名さんは、あの凛としたピアノの音そのままの人で、音楽も人間もオレは大好きだ。暦ちゃんとは共通の友人奇才DJピーキーの話で盛り上がる。まさか僕らがノルウェイの森の中のホテルでピーキーの話をしていようとは、本人夢にも思うまい。
@月@日 トロンヘイムの空港でルインズの2人と会う。もう誰とあっても驚かないぞ。
@月@日 ストックホルム。ツアー最終日。宇波日記にも出てきていたロンドンのトランペッター、マット・デイビスのソロがオープニング。MDを使ったコラージュの演奏の素晴らしさに息を呑む。トランペットの演奏もすごかった。確実に新しい世代が出てきていることを実感。来年の来日が待ち遠しい。今回はほとんどの場所で僕ら3人はソロをやった。今日もソロを3つ。こんなにまとめて杉本拓やSachikoMのソロを聴くのはオレにとっても初めて。オレ自身がこの数年最も影響を受けてきた2人を前に、自分自身もソロをやらなくてはならないのは結構きつくもある。きつくもあるけれど、自分自身と彼らとの距離みたいなものを見るいいチャンスでもあったし、やはりこの2人の独自性とすごさを再認識する機会にもなった。結局オレはギターを持ってきたのもかかわらず、ほとんどギターは演奏せずにターンテーブルのソロばかりをやらせてもらった。なんだかオレの演奏はいつでも過渡期的で、ちっとも満足できない。悪い演奏をしているつもりはない。むしろかなりのクオリティだとすら思っている。でも、まだなにかしっくりこない気がするのだ。マットや杉本、SachikoMの演奏を前に、脳髄の奥底がこつこつこつこつと鳴っている。
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大友良英のコンサートスケジュールおよびJAMJAM日記の閲覧等は
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http://www.japanimprov.com/cdshop/search.cgi?file=A.yotomo
新着入荷リストは
http://www.japanimprov.com/cdshop/shinchaku.html
発行者,大友良英へのメールは
otomojamjam@yahoo.co.jp
Date: Mon, 9 Dec 2002
みなさんどうもです。
一昨日帰国、すっかり時差ぼけでまだ起きている大友です(今は朝9時半、今起きたのではなく寝てないんす)ここのところ肝心の日記の更新のほう、すっかりご無沙汰していてすいません。とにかく忙しくって、忙しくって・・・。
もう菊地成孔の日記で見た方もいらっしゃるかと思いますが今年いっぱいでDCPRGを脱退します。あまりに忙しくって自分自身に来た仕事も断らざるを得ない現状・・・ってのも実は大きな理由です。なにしろ来年以降DCPRGはツアーにレコーディングとかなり忙しくなりそうだし。で、今夜はDCPRGのバンマス、敬愛する菊地成孔とすご〜く久々に2人で夕食です。2人でなんて、もしかしたら昔ツアー中にスイスで中華屋に行って以来かもしれない。とにかくお詫びを兼ねて和食でもと思っています。
そんなわけで12月29日のリキッドルームがわたしの入ったDCPRGの最後の公演になります。この日はキャプテンファンクことオオエさんとわたしのターンテーブルDUOもあります。これで当分は大きな小屋で踊るような現場がないかと思うと少々寂しくもあります。なによりDCPRGを離れるのは寂しいけど、そんなこと忘れて、みんなで楽しくわいわい踊って下さい。ありがたいことになるちゃんはONJQに残ってくれます。なので1月11日のONJQのPITINNでの公演は予定通りです。
それからもう明日の10日になりますがラドゥ・マルファッティの日本での最終公演が六本木のスーパーデラックスであります。わたしは彼のコンサートを先月オーストリアでヤマタカEYEと一緒に見ました。古い教会のような場所でやったのですが、とにかく、私の見たなかでも最もエクストリームなもので、本当に贅沢な、貴重な体験でした。その内容は文字にしてもあまり意味のあるものにはならないと思うのですが、1時間の演奏中、いったいどれだけ音があったのか数えられるくらいで、しかも弱音。それがどういう音かは、やはり絶対に体験することをお勧めします。今ちょうどわたしが連載している「聴く」を考えるにはうってつけの内容で、とにかく人間が音楽を認識するとはどういうことなのか・・・ということにちょっとでも興味のある人は、絶対に時間をさいてでも体験することをお勧めします。あの連載の中で音が溶ける話をしましたが、まさにそんなかんじの音楽です。大学で講義をするときにわたしはよく、もしも大きい音がなんなのかを知りたければ、インキャパシタンツやメルツバウなんかのノイズのコンサートに行って体験すべきだし、音がないというのがどういうことなのか知りたければ・・・みたいな話をします。好きとか嫌いとか言う以前にまずは体験すべきだと。仮にわからなくても、あなたの精神が若くてやわらかであるなら、極端なものを体験する意味はあると思います。その意味からもラドゥのコンサートに行く意味は充分すぎるくらいあるとわたしは確信してます。あなたの耳が何を聴くのか、あなたにとって音楽を認識するってどういうことなのか。共演は杉本拓、そしてわたしです。わたしはこの日アコースティックターンテーブルをやる予定です。
12月10日(金)東京、西麻布「スーパー・デラックス」 午後7時30分開場、8時開演
『Deluxe Concert Series Vol. XXX 』
ラドゥ・マルファッティ(トロンボーン)、杉本拓(ギター)、大友良英(ターンテーブル)トリオ
3000円(1ドリンク付き)
Super Deluxe(スーパー・デラックス)所在地:港区西麻布 3-1-25
B1F 最寄駅六本木
電話:03-5412-0515
さらに告知ですが西日本方面でもFilamentとI.S.Oのライブをやります
Filamentはバルセロナとベニスでの公演を終えたばかりで新しい展開の曲をお聞かせできると思います。
それから久々のI.S.O.ですが、特に山口の雪舟庭園での野外演奏はちょっと特別のものになりそうです。先日会場をチェックしてきたのですが、とにかく野外にもかかわらず「静寂」という言葉がぴったりの静けさで、オーディエンスは屋内の茶室のようなところから庭を見る形になり、I.S.O.の3人は庭のはるか後方に隠れるようにして3人ばらばらの場所に位置しながら音をだす予定です。どんな音情になるかはわたしにも想像がつきません。とにかく今から楽しみです。もう予約がかなり入っているようなので早めの予約をお勧めします。
12月14日(土)大阪、築港赤レンガ倉庫「サウンドアートラボ」午後6時開演
『サウンドアートラボ Vol. 2〜絶対アンテナ EXTRA at 大阪・築港赤レンガ倉庫』
フィラメント:Sachiko M、大友良英
伊東篤宏ソロ
定員:70名 会費:1500円(要予約)
申し込み方法:電話かメールで受け付け
電話:06-6599-0170(月〜金 午前10時〜午後6時)
email: sound@arts-center.gr.jp
先着順。定員になり次第、募集を終了します。
申し込み・問い合わせ:大阪市アーツポリア事業実行委員会事務局
(電話:06-6599-0170)
主催:大阪市アーツポリア事業実行委員会 サウンドアートプログラム
協力:OFF SITE
12月15日(日)北九州ギャラリーソープ
I.S.O.:一楽儀光、Sachiko M、大友良英
12月16日(月)福岡(すいません、会場名がわかりません)
I.S.O.:一楽儀光、Sachiko M、大友良英
12月17日(火)山口市「常栄寺・雪舟庭−本堂(山口市大字宮野下2001-1)」午後7時開演
I.S.O 大友良英、Sachiko.M、一楽儀光、
伊東篤宏インスタレーション&ソロ、小島剛ソロ
500円( (抽選で100名、要申し込み)
コンサート入場ご希望の方は「お名前・ご住所・連絡先」を
電話かFAXにて下記までお申し込み下さい。折り返しご連絡します。
問い合わせ・申込先:電話 083-928-5165 / ファックス 083-932-1852
(山口情報芸術センターYCAM開設準備室)
告知ついでにもうひとつ。
敬愛する副島輝人さんと親友の大谷能生の2人が年末に面白そうな企画をやります。ぜひぜひ足を運んでみてください。わたしの大好きな人達が、沢山出ています。これから何がおこるのか、きっと発見があると思います。
副島輝人プロデュースの夜 第10回
『インディペンダント・アンダーグラウンド・ミュージック・フェス』
●日時:2002年12月19日(木)〜23日(月祝)
●会場:入谷なってるハウス
http://members.jcom.home.ne.jp/knuttelhouse/
●開演時間 open 7:00 start 7:30
●料金:前売¥2200 当日¥2500 (+one drink
order)/五日通し券¥10,000
予約&お問い合わせ:なってるハウスe-mail:knuttelhouse@yahoo.co.jp
tel:03-3847-2113(pm6:00〜)
(お席に限りがありますので、なるべくご予約の上ご来場ください)
★スケジュール
◇12月19日(木)
・土岐拓未(4 track mtr)/直嶋岳史(electoronics)duo
・ミチ (宇波拓 lapsteel , computer/角田亜人 guitar/植村昌弘
ds)河合拓始 (piano) solo
◇12月20日(金)
・松本健一
foammusic (松本健一sax/山本ヤマtp/助川久美 子bass/加藤哲子drums)
・EXIAS-J (近藤秀秋
guitar/谷川卓生guitar/西沢直人drums/河崎純 bass/神田晋一郎 Pf)
・(両グループによるセッション)
◇12月21日(土)
・COSMOS(SachikoM sinewaves, contact mic/吉田アミvoice)
・Intifada (望月芳哲
b/沫山数汎g/鈴木放屁 t.sax/小野正 Fl,Ts/北陽一郎 Tp/HICOds/大沼志朗ds)
・石川高 笙solo
◇12月22日(日)
・秋山徹次(prepared resonator
guitar)/伊東篤宏(optron)/ユタ川崎(analog synthsizer)/宮本尚晃(g)
・quartet 大島輝之/ヤマダタツヤ/庄司広光/山田民族 guitar
quartet
・進揚一郎solo
◇12月23日(月祝)
・installing (tamaru bass/杉本佳一 g/大蔵雅彦
reeds/横川タダヒコ vln)
・飛頭(ミドリトモヒデ sax /菊地雅晃bass,electronics/塚本真一
piano/イトケン drums)
・西陽子 箏solo
http://gastr.hp.infoseek.co.jp/event/idmf10th.shtml
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Date: Tue, 12 Nov 2002
こんにちは
たった今オーストリアのウェルス市からもどってきました。ここで毎年行われるMUSIC
UNLIMITEDにいってきたところです。3年前はわたしのキューレイトでここのプログラムを組んだのですが、今年はフェス独自のキューレイトによるプログラム。ここでわたしは、なんと7年ぶりでボアダムスのEYEちゃんとDUOをやりました。2人ともこの数年間でスタイルが激変してたりするんで、うまくいくものやら心配だったのですが、やってみたらそんな杞憂はどこえやら、う〜ん彼の音への感覚は本当に面白い。ほかにも沢山おもしろいコンサートがあったのですが、それはい近々まとめてレポートします。
で、このフェスのオープニングをかざったのがもうじき来日するジョン・ブッチャ‐のテナーサックスソロでした。これがもう本当に素晴らしかった。どう素晴らしかったかを知りたければ、これから始まる彼の日本ツアーをぜひ生で見ることをお勧めします。彼とは何年も前からいろいろな所で出会っていて、コンサートも何度となく見ていて、特に素晴らしかったのは昨年カナダで見た彼とアクセル・ドナー(tp),ザビエ・シャルル(cl,クザビエ・チャ‐ルズと表記されているものもあります、彼はサイレントブロックという強力にユニークな自作電子楽器のトリオもやっていて、この演奏も今年のMUSIC
UNLIMITEDのハイライトでした)とやったトリオで、完全アコースティックなのに、その世界はまるで電子音による硬質なアンピエントのようでもあり、わたしが昨年見たライブの中でも3本の指にはいる音楽でした。このトリオもいつの日かぜひ日本に来てほしい。彼等のCDも出ていますが、生の音響の素晴らしさ圧倒的で、CDであの感じはやはりなかなか出せるもんじゃないなあと実感。
そのジョン・ブッチャ‐と11月15日中野富士見町のplanBで、はじめて共演することになりました。この日は先日のアーストホワイルAMPLIFYフェスで並み居るベテラン達を押さえて圧倒的な名演奏で存在感を示したCOSMOSがオープニングアクト、同じく初共演の杉本拓、ジョン・ブッチャ‐のDUOもあります。お見逃しなく。
11月15日(金)planB 中野区弥生町4-26-20 モナーク中野B1
□ Cosmos(sachiko M + 吉田アミ)
□ John Butcher + 杉本拓
□ John Butcher + 大友良英
19:00開場 19:30開演 3500円
問い合わせ・予約受付 TEL 03-3384-2051 now@plum.ocn.ne.jp
John Butcher Japan Tour
http://www1.ocn.ne.jp/~now/
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Date: Thu, 31 Oct 2002
どもども
え〜と、東京にもどってきたら、なんといつのまにか冨樫森監督の『ごめん』がはじまってました。この作品についてはJAMJAM日記の2002年2月にもふれましたが、もう絶対お勧めです。ぜひぜひ見てほしい。そのくらい好きな思い入れのある作品。ちなみにその時の日記はここで見れます。http://www.japanimprov.com/yotomo/yotomoj/diary/diary02.02.html
小学生の男の子と中学生の女の子の淡い恋愛を描いた映画ですが監督の人柄のまま、実に誠実で、素敵で、おしゃれで、なんか見ていて、本当にいい感じになるんです。特にちょっと元気ない人にはお勧め。テアトル新宿でやってると思うので、ぜひ足はこんでみてください。音楽のほうは,わたしがバンジョーギターを近藤達郎さんがハーモニカを吹いていて、この音楽が全編にながれつつ要所、要所をスカっぽい演奏が締めます。こっちのほうは佐々木史郎tp,津上研太as,青木タイセイtb,坪口昌恭key,南博p,高良久美子marimba,宇波拓mandrin,大友良英g,大坪寛彦b,芳垣安洋ds perc,途中喫茶店には佐々木史郎さんのトランペットをフューチャーしてマイルスそっくりの音楽も流れます〜ま、作った本人がごちゃごちゃ言うのも野暮なのでこれを見た宇波拓の日記を下につけておきます。ちなみに宇波拓は7〜8月に盲腸をこじらせ入院するも、無事復帰9月から10月にかけて江崎将史、大蔵雅彦と欧州ツアー。この時の様子がリアルタイムで彼のサイト「ひばりミュージック」http://www.age.ne.jp/x/tunami/hibari/index-j.htmlに掲載されて、もう毎日更新するのを楽しみに読んでました。その貧乏ツアーの内容もさることながら、ここに出てくるマットデイビス等の欧州若手の名前は要マークです。ちなみに彼の批評はここのところのロック画報で読むことが出来ますが、その内容、はっきりいって今の日本のライターの中では、突出して素晴らしいと思います。帰国後も続いている彼の日記も面白いです。そんなわけで以下、彼の日記から転載っす。
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10/29
昨日ぴあを購入して気づいたのだが、冨樫森監督作品『ごめん』は既に公開が始まっていた。楽しみにしていた映画である。冨樫監督は、相米慎二や中原俊の助監督を経た後、『非・バランス』にてデビュー、今回が二作目となる。映画の現場を踏みしめてきた、最近意外と珍しいタイプの監督である。音楽担当が他ならぬ
大友さん。僕はこの映画のサントラで、数曲マンドリンを弾かせていただいた。大友さんの映画音楽作品を愛してやまぬ
僕としてはこの上なく嬉しく貴重な経験であった。録音スタジオで断片的に数シーン拝見したのみだったが、これはよさそう、という印象あり。画造りが繊細で、説得力があった。録音終了後、しばらく大友さんの曲が頭から離れなくて、今でもつい口ずさんでしまう。期待と共にテアトル新宿へ。すごくよかった。
大阪に住む小六の男の子が京都に住む中二の女の子に恋をするというまとめてしまえばシンプルなストーリー。冨樫監督の作風には説明的なところがなくって、曖昧なものを曖昧なまま提示している、という印象をもった。微妙に揺れてる心情が素直に伝わってくるのでなかなか切ないです。それでいてカラッとしてるの、漠然としてますが。終盤に向かうにつれ、主演二人の表情がどんどんよくなっていく。思春期のこういう瞬間を切り取れるっていうのはなかなかできることではないとおもう。派手さはまったくないが心に残る名画であった。自分が弾かせていただいた曲ももちろん好きだけど、劇中、大友さんのバンジョーギターと、近藤達郎さんによるハーモニカのアンサンブルできかせる曲があって、それがすごくよかった。見終わったあとしばらくボケーッとして、頭で鳴ってるエンディングテーマとともにいろんなシーンを思い出した。
よい映画音楽は、見終わったあと余韻をのこしてくれる。それにひきかえ、最近邦画をみるととってつけたようなエンディングテーマにゲンナリすることが多い。プロモーション的な意向とか、予算的な問題があって、監督の意志とは別
に会議かなにかで決まってしまうことなのだろうが、それにしてもぜんぜん関係ない曲が唐突にかかるので後味もなにもなくなってしまう。おんなじテアトル新宿で塩田明彦の『月光の囁き』をみたときは本気でがっかりした。映画自体はすごくよくって、音楽も饒舌じゃなくっていい感じだったんだけど、ラストでいきなしスピッツ。スピッツ自体が悪いというわけ決してはない。が、それまで丹念に若者の複雑な性を描いてたのに急に陳腐な青春映画みたいな印象になってしまう。それ以外にもエンディングテーマで映画の意味が変わってしまって興ザメ、という経験は何度もあった。邦画界の事情はよくわからないが、一映画ファンとして残念に思うところである。ちなみに『ごめん』は11/8までとのこと。
北海道編その2
Date: Sat, 12 Oct 2002
皆さん、こんにちは
今回はストックホルムから東京に戻る途中、寒々としたオスロの空港での長い待ち時間を利用してこれを書いています。空港ってのは本当に退屈なところで、退屈ついでに、この1年間で何時間空港の待合室にいたのか計算してみたら、なんと少なく見積もっても58時間・・・う〜ん、世界中の空港はアムステルダムのスキポール空港みたいにカジノをつくったりすべきだ。ちなみにオレが世界で一番好きな空港は札幌の千歳新空港。いい感じのお土産屋的売店が充実していて弁当がそこそこ旨くて、夕張メロンソフトなんかを立ち食いできたりで、レストランのクオリティとコストパフォーマンスのバランスが空港としてはいいほうなんじゃなかろうか。あ〜日本食が食いたい〜。そんなわけで今回は前回の帯広でのソロに続いて8月30日から9月1日にかけての日記「北海道編その2」をどうぞ
@月@日 札幌。ANODE全曲の初演。長方形の会場には客席を取り巻くように壁に沿って芳垣安洋(ds),SachikoM(sine
wave),植村昌弘(ds),西陽子(筝),杉本拓(g),一楽儀光(ds),秋山徹次(tt),イトケン(ds),高良久美子(vib,perc)そしてオレの10人が円形に陣取る。会場には100人ほどの人々。この会場にはちょうど良い人数だ。
最初のセットはANODE#2,3。静かな作品だ。360度様々な方向から聴こえてくる音達。CDでは再現出来ない世界。ドラマーの4人はこの曲では弓を使った金属楽器やベル等を演奏、様々な音がモジュレーション仕合いながら刻々と色彩や表情を変えていく。実際には個々のミュージシャンの出す音は表情が込められないようになっているので、そう聴こえるのは、音と音の化学反応のような混ざり合いによる色彩変化と同時に、聴き手の耳のほうでバラバラな音を関連付けて何らかの表情のようなものを認識していることになる。時間とともに耳が開いてくるのが分る。演奏している僕等自身もこの「認識」のレベルではまったく聴き手と同等だ。
セカンドセットはANODE#1。4人のドラマーが全力で轟音を出し続ける中他のミュージシャンはランダムなノイズを放射し続ける。最初のセットとは打って変わって大音量。しかもPA等を使わないアコースティックによる大音量作品だ。360度様々な方向から音が放射される点は最初のセットと同じだが、今度は音の密度と音量が極限近くまで来ていて、個々の音を聴き取るのは困難だ。静かなセットとは対照的にこちらの耳にも自然とコンプレッサーというかリミッターがかかる。聴衆には演奏中自由に歩き回ってもらった。バスドラの前に屈み込む人、中央で目を閉じ立ち尽くす人。バイブラフォンの下に入り込む人、ぐるぐると歩き回りながら一人一人の出す音を確認しようとする人。舞踏のように動く人。どちらが見ているのか、見られているのか・・・。東京からきた若きミュージシャンのドイウロコや、登校拒否になった10代の頃からオレのライブに来てくれて、今や建築関係の世界で賞をとるまでに成長した灘本さん、美術家の長谷川さん、敬愛するピアニスト寶示戸さん、小説家でもある沼山さんの奥さんの姿もちらほらと見える。目の前をどんどん流れる人々。演奏する僕等にしてみれば人の動きで聴こえてくる音がまったく変わってしまう。人が前に立ちはだかると、その方向の音、特に高音域が聴こえなくなる。それ以前に自分から距離の遠いミュージシャンの音は、近くのミュージシャンの轟音に埋もれてしまい、ほとんど聴き取れない。30分間ノンストップ、ほとんど体力の限界に近い演奏。後半はそういった思考も停止して、意識だけは醒めたまま、ほとんど肉体と体力と耳と音の間のこれまでに無い体験としか言いようの無い状態になる。聴いているほうはどんな体験をしたのだろうか。それこそ前半以上にCDでは再現不可能な音響体験だったのではないだろうか。自分でもまだ解析不能なこの2つの作品が今のオレの一番の興味だ。機会があればもっとやりたい。
終演後はいつものように打ち上げ。みなさんお疲れ様〜。主催者チームとわいわいガヤガヤ一緒に北海道の秋の幸を。こっちにしかいない魚の八角(この字でいいのかな?)やら、油ののった秋サンマ、新鮮なイカの刺身・・・。もうたまりません。深夜もまわってホテルに戻ったあとは、今度はわれ等がキャップ秋山徹次の部屋にミュージシャン全員勝手に押しかけ焼酎やウーロン茶を囲んで明け方までわいわいガヤガヤ。「なんでオレの部屋なの」と最初はいやがっていたキャップといつもはクールな芳垣が一番楽しそうだ。こういう時は音楽の話なんて野暮なことはしない。どうでもいいような、ひたすら面白い話に明け暮れるのだけれど、どうしてどうして充分深い話だったりして・・・でも、ま、内容のほうは書かぬが花かな。笑いすぎて翌日顎の筋肉と腹筋がおかしくなった。こんな時間があるからミュージシャンはやめられない。
@月@日 釧路芸術館。オレの作曲、島田雅彦作朗読による「ミイラになるまで」の最終公演。今日はリハーサルのみで、その後は皆で魚の編み焼き屋へ。断食自殺者の話だってのに、皆もうお構いなしにものすごい勢いで魚を平らげる。ほんとうめえや。そのあとはミュージシャンと島田さんそれに芸術館の若い女の子達とレゲエの流れる店に流れてふたたびわいわいガヤガヤ。やっぱりツアーは国内がいいや。食いモンも旨いし、日本語でずっと下らないこといってられるのもいい。
さて今回の「ミイラになるまで」は、島田さんが実際に断食自殺した男の日記をもとに書いたセミドキュメントのようなフィクションで舞台は釧路湿原。この作品にオレが音楽を付け出してからすでに9年。なんで音をつけようと思ったのか今となっては思い出せないが、はじめは島田さんの許可も得ずに勝手に公演したりしていたのが、いつのまにか島田さん自身が朗読するようになり、9年間にわたり何度も公演し、CDも国内盤を1枚、もうじきオーストリアから出るドイツ語のライブ盤が1枚、公演や録音毎に作曲内容も変更、参加ミュージシャンも朗読者すらも毎回変更しつづけた。断食自殺者の日記という結果のわかっている作品にこだわりつづけて毎回更新しつづけたのはなんでなのか・・・自分でも本当の理由はよくわからない。毎回違う答えが見えては消え、また見えては消えするせいかもしれないし、謎の自殺者の不思議な魅力にとりつかれたのかもしれない。が、もう9年もやってそろそろこの自殺者を解放してあげたくなってきた・・・というかオレが解放されたくなったのかな。とにかくこの作品の舞台となった釧路での公演がいい機会と思い、これを最終公演とすることにした。もっとも島田さんのほうは今後もこの作品の朗読をいろいろなミュージシャンとつづけるつもりらしい。
@月@日 最終公演。苫小牧からライブハウスアミダ様の店長世界一ファンキーな愛するツルさんがかけつけてくれる。うれしい。敬愛すりジャズ喫茶ジスイスのマスター小林さんの顔も見える。今日のミイラはいつもの公演より心なしか明るい。いくつもの楽器が風のように、あるいはただの物音のように島田さんの朗読と響きあう。ラスト、暗転とともに長い沈黙・・・の予定が、会場からいきなり大きな拍手が起こってしまった。う〜む、沈黙を聴かせたかったなあ〜。ま、しめっぽい終りよりはいいかな。自殺者のミイラさん、長い間つきあってくれてありがとう。不謹慎かもしれないけれどオレはすごく楽しかった。それから、これまでに参加してくれた多分数十人を越すミュージシャン、何人かの朗読者、そして沢山のスタッフ、オーガナイザーのみなさん、御大島田さん、そして今回山のように世話になったNMAの沼山さん、キャロサンプの野田っち、運転してくださった末木さん、なにより今回の立役者釧路芸術館のみなさん、特に学芸員の福地さん、本当にどうもありがとう。素晴らしい最後を飾れました。またいつか朗読と音楽を別の角度からやってみたいと思っている。そのときはよろしく。
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ひとつだけ告知を
「Erstwhile Records presents AMPLIFY 2002」
フリー・インプロヴィゼーションの新しい可能性を追求するニュージャージーのアーストホワイル・レコーズのプレゼンツによる、3日間に及ぶフェスティバル「AMPLIFY
2002:
Balance」がおこなわれます。わたしが注目しているアーティストがこぞって出演します。オーストラリアのギタリストでフェスティバルオーガナイザーでもあるオレンアンバーチはわざわざこれを見るために東京に来ます。関連イベントも含めぜひお越しください。なを10月21日の7人のギタリストによるコンサートではあっと驚く現代音楽曲(多分日本初演)をやります。曲名は当日までシークレットですが、ヒントはAMMに関係ありで、世界初演のメンバーが出演者の中にいます。では会場で。
■10月18日 (金)
杉本拓ギターカルテット(杉本拓+大友良英+秋山徹次+中村としまる)
Cosmos (Sachiko M+吉田アミ)
キース・ロウ+トーマス・レーン+マルクス・シュミックラー
ブルクハルト・シュタングル+クリストフ・カルツマン
■10月19日 (土)
大友良英+ギュンター・ミュラー (world premiere)
トーマス・レーン+マルクス・シュミックラー
ブルクハルト・シュタングル+クリストフ・カルツマン+杉本拓
キース・ロウ+中村としまる
■10月20日 (日)
Astro Twin (ユタカワサキ+吉田アミ)
ブルクハルト・シュタングル+ギュンター・ミュラー (world premiere)
中村としまる+Sachiko M
キース・ロウ+ギュンター・ミュラー+杉本拓
会場は全て吉祥寺スターパインズになります。詳細は下記URLにてご確認ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
http://www.faderbyheadz.com/
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10月21日(月)東京、三軒茶屋「グレープ・フルーツ・ムーン」
午後7時開場、午後7時30分開演
『the Guitars』
中村としまる、杉本拓、秋山徹次、大友良英、ブルクハルト・シュタングル、
キース・ロウ、オーレン・アンバーチ
2500円(ドリンク代別)
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Date: Mon, 16 Sep 2002
すっかり涼しくなってきましたがみなさんお元気ですか。
ONJQ、Emergency!のPITINN2Daysに来てくださった皆さんありがとうございました。
今回も日記が始まる前に告知を何件か。
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■Free at last!
大友良英と大谷能生によるフリージャズ・レクチャア
■live:大友良英(g)、水谷浩章(b)、芳垣安洋(ds)
■レクチャア:大友良英、大谷能生
■10月14日(月祝) 14:00〜22:00 (途中休憩有)
■@渋谷UPLINKFACTORY ■charge:¥3000
■定員60名+α(椅子60脚の為それ以降の方は立ち見となります。)
■予約 e-mail:ootany@livedoor.com (大谷)
FAX:03-5489-0754 (アップリンク・ファクトリー)
大友良英と、今春映画美学校で行なわれた菊地成孔氏の音楽講座で助手を勤めた大谷能生が、
「フリージャズ」とこれまで呼ばれて来た音楽の歴史と楽曲分析に取り組みます。
レコードを聴くだけでは判り難い部分も、大友と水谷浩章、芳垣安洋のギター・トリオによって実演解説を行ないます。
長時間かつ密度の濃い音楽史/音楽理論講義にご期待ください。
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恒例の楽器オークションです。
今回はBRUNOのハンドメイド・真空管ギターアンプ「UG22」です
昨年代々木のヴィンテージギターショップ「ラフタイム」で38万で新品を購入
購入時に製作者のトニーブルーノ自身が調整してくれた一品です。
音に関しては文句なく素晴らしいです。
詳細は以下のサイトをご覧ください
http://www.ven-jp.com/Bruno/UG22.htm
DCPRG等の大音量のバンドではさすがに出力が追いつきませんが
主に小さめの小屋でやるときのソロ、ONJQやEmergency!、
そのほかレコーディング等で1年弱使ってきました。
状態も購入時のままで丁寧に使ってきてます。
フェンダーツインの入手に伴い保管場所の関係で手放すことにしました。
最低落札希望価格は27万
もちろん弾いた上で購入を決めてくださってかまいません。
問い合わせ、購入希望者は下記まで
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では7〜8月の日記です
大友良英のJAMJAM日記2002年7〜8月
@月@日 DCPRGでフジロックフェス。大人数のバンドツアーはなんだか部活のようで楽しくもある。慣れない真昼間の演奏を終えて温泉につかったあとは卓球大会。みなヘタクソなりにもすこしづつ上達してきたりして、すげえ面白かった。卓球いいっすねえ。
@月@日 中野富士見町のplanBにてポータブルオーケストラのワークショップ。楽器を手にしたこもない人からそこそこ演奏できる人まで3回のワークショップでのべ180人の方が集まってくれた。別に新人を発掘するとが、次代のミュージシャンを育てる・・・みたな目的があるわけではない。音楽は音を出す者だけが特権的に作るものではなく、実は音を聴く者が発見することによって初めて音楽になる・・・というしごく当たり前の事をやってみたかったのだ。音を出す人と聴く人が同じ人達で構成されていて、音の出し方に最低限のルールを設けてあとは聴く力によって音楽を発見するような方法。オレ個人はすごく有意義な時間を過ごさせてもらったけど、参加してくれた方々にとってはどうだったのかな。録音したテープも面白いんで、いつか、機会があればリリースしたいと思っている。
@月@日 3日間だけ休みをとって長野の温泉へ。温泉はすばらしいけれど、早起きしなくちゃならないのがつらいなあ(苦笑)。でもボロボロだった体をだいぶリペア出来ました。食のほうは信州の蕎麦を楽しみにしていたのだけれど、ぐっと来る店には出会えず残念。そのかわり松本市で偶然はいった洋食屋・・・たしかオキナ亭って名前だったと思う・・・がすばらしく旨かった。いろんな国のいろんな旨いもんを食ってきたけれど、結局好きなのは蕎麦と日本の洋食屋のハンバーグ定食だったりして。舌ばっかりは保守的に出来てやがる。
@月@日 新宿PITINN。敬愛するピアノの南博さんのセットにニュージャズクインテットがゲストで参加する。南さんは実はニュージャズクインテット結成の直接の切っ掛けを作ってくれた人でもある。さかのぼること4年近く前。南さんとベースの水谷浩章がやってるPITINNでのセットにオレと津上研太がゲストでよばれたことがあって、この時客席にいた菊地成孔といっしょに打ち上げにいって朝まで皆でわいわいやった流れで翌月に「山下毅雄を斬る」のルパン3世とプレイガールのレコーディングにこの打ち上げメンバーを呼んだのが、そもそもの始まりなのだ。とはいえ、今日はちょっと難しかった。ピアノとギター、同じ和声楽器同士の共演がこんなに難しいもんとは、予想以上だった。いつもならばギターの音色と和声で作れる世界がうまく機能しない場面が多々あったり。これはジャズに限らないことだが、音響的なアプローチを徹底すればするほどセッション的な現場は機能しなくなる。南さんのピアノ、特にその音色は大好きだけれど、好きなのと一緒になにかをやれるかどうかはまた別の話だ。逆の見方をすればONJQがバンドとしてそれなりの世界を作り出してきている証拠のようにも思える。
@月@日 帯広。現代美術展「デメーテル」の会場でソロ。出発前、デメーテルを見てきた友人から「臭いわよ〜」と言われたとおり、会場は競馬場の巨大な馬小屋群で、かなり臭う。で各馬小屋を使ってヨーコ・オノやインゴ・ギュンター等名だたる美術家が工夫を凝らした作品を展示。オレが好きだったのは3面スクリーンを使ったシネノマドの映画と、以外にもローテクを使ったインゴ・ギュンターの馬の影絵のような作品、そして帯広の人100人の声が暗い馬舎にマルチスピーカーで響く岩井成昭の作品。普段あんまり使わない部位の脳が刺激されて作品を見ながら次々とアイディアが出てきた。ソロは幸い馬舎ではなく特設会場で、臭うこともなく伸び伸びとやらせてもらった。ちなみに運営している人達はかつて四谷にあったアートスペースP3の人達で(ここでは90年代前半ありとあらゆる実験音楽をやっていた)すご〜く久しぶりに再会。みな元気そうでうれしい。
ところで今回初めて知ったのだけれど、帯広の街を歩くといたるところに「豚丼」の看板。なんだかぱっとしない名前だけれど、ここの名物なのだそうだ。で、せっかくだからと試しに注文してみると、豚肉の蒲焼のようなものがメシにのっているだけで・・・う〜ん期待はずれかな・・・と思いきや、これがなかなか旨い。かなりいけるのだ。結局2日間の滞在中2回も食ってしまった。帯広には有名な六花亭の本店もあって、ここの洋食屋に行こうとおもったら残念ながらレストランのみ定休日。で、あきらめてここでしか手にはいらないパリパリシュークリームを購入、これも旨かった〜。
@月@日 昨日来てくれた札幌NMAの沼山さんの車で札幌へ移動。アノード全曲の世界初演はいよいよ明日だ。この作品は今オレがやっている作品の中でも、最も実験的なもの。今回この企画をやってくれた沼山さんとは実に18年もの付き合い。まったくの駆け出しの頃から言葉に出来ないくらい世話になってきた。落ちていたときに札幌の沼山さんのところに逃げ込んだこともある。沼山さんは70年代から札幌で様々なコンサート企画を私財を投げ打ってやってきた人で日本のジャズや即興、現代音楽系のミュージシャンで彼の世話になった人の名をあげたらキリがないくらいで、無名だった頃のジョン・ゾーンやクリスチャン・マークレー、カン・テーファンといった人達のコンサートも積極的に企画してきた日本のニューミュージック界の影の立役者の一人でもあると同時に、有名なピアノの調律師でもある。おだやかでダンディな見た目と人格とは裏腹に50歳代後半だってのにカーステレオからはアブストラクトなテクノみたいのがガンガン流れているし、おまけに強烈な勢いで車を走らせることでも有名で・・・なにしろ雪道の一般道で平気な顔をして100K以上出したりするんだから・・・そんなわけで怖がりのオレは沼山さんの車に乗るときは、極力寝るようにしている。おっとっと、車の運転が荒い話をしたいんじゃなくって、沼山さんがクールで熱い人だってことを書きたかったのだ。実際良い演奏を出来なかった時の沼山さんはかな〜り怖いし、逆に自分が真じる音楽への情熱も並じゃない。今回は車にもうひとり、北海道ツアーのコーディネートをしてくれたキャロサンプの野田っちも乗っている。彼との付き合いも沼山さんに負けないくらい長いうえに、やっぱり言葉に出せないくらい世話にもなってきた。東京のアンダークラウンドシーンにな無くてはならない人物だ。めちゃくちゃクセのある人格と声、それに顔の持ち主で、誤解されることも多い奴だけれど、なんだか憎めないというか、やっぱり私財を投げ打って音楽と心中でもしそうな人生をみているとリスペクトなんだよな〜。なんてこんな事を書いていると次あったときあのドでかい声でなにいわれるか分らない。なにしろ世界中でも現時点でアノードの企画をやってくれるのは彼等だけなんだから、憎まれ口を叩くのはこんくらいにしとこ。山口から一足はやくドラムの一楽儀光が札幌入り。沼山宅で朝まで話し込んでしまう。一楽さんもその音楽とともに相当に個性の強い人間で、なんだか個性の強い人間だらけになってきた。明日は他のやはり個性のやたら強いメンバー達総勢10名がそろっていよいよアノードの初演だ。
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Date: Tue, 10 Sep 2002
ご無沙汰してました。皆さん夏はいかがでしたか?
夏好きの私は例によってクーラーのある場所でボサノバを聴く毎日・・・
と言いたいところですが、実際はなんだか仕事の能率のあがらない日々を過ごしちゃいました。
だって暑いんですもん。ほんと。でも、ま
だらだらした暑い夏も悪くない。
え〜と、今週から来週にかけていくつか来てほしいコンサートがあるので
日記に入る前に宣伝をさせてください。
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9月11〜12日(水、木曜)新宿PIT INN(Tel 03-3354-2024)
7時開場 3000円(ドリンク付き)
「ONJQ & Emaegency! CD発売記念2Days」
大友良英ニュー・ジャズ・クインテット:菊池成孔(ts)、津上研太(as,ss)、
水谷浩章(b),芳垣安洋(ds tp)、大友良英(el-g)
Emergency!:芳垣安洋(ds)、斎藤良一(el-g),大友良英(el-g)、水谷浩章(b)、
好評の「ONJQ/LIVE」発売以来初の、そして多分年内最後の東京公演です。
シカゴMCAでのコンサートを前にこれまでで一番油の乗っているONJQ演奏をEmergancy!ともどもお楽しみください。2日間両バンドともまったく別プログラムです。全貌を聴きたい方は2日間の来場をお勧めします。なをPIT
INNは席数に限りがありますので予約か前売りの購入をお勧めします。
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9月13日(金)東京、代々木「オフ・サイト」午後8時開演
杉本拓ギターカルテット:杉本拓、中村としまる、秋山徹次、大友良英
2000円(ドリンク代別) 今回は全曲新曲です
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9月16日(月・休日)東京、表参道「CAY」午後4時開場、開演
『JIM O'ROURKE &
FRIENDS』ジム・オルーク(ソロ、DJ)
サンガツ/大友良英(ギター)ソロ
前売5000円、当日5500円
問い合わせ:HEADZ(佐々木、畠山)電話:03-3770-5721 /
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『大友良英プレゼンツ・キッドアイラック・ニューミュージック・コンファレンス Vol. 1〜2』
9月18日(水)
大友良英&広瀬淳二ハンドメイドインストゥルメント・デュオ
(80年代に活動していたDUO復刻ニューバージョンです)
杉本拓ギターソロ 中村としまるテーブルトップ・ギターソロ
9月19日(木)
CORE
ANODE:大友良英(g)イトケン(Ds)、植村昌弘(ds)、伊東篤弘(オプトロン)
(30分1本勝負かつてのGROUND-ZEROを凌ぐ轟音ユニットです)
大蔵雅彦サックスソロ 秋山徹次ギターソロ
会場 明大前キッドアイラックホール(tel
03-3322-5564) 7時スタート
料金 たしか2500円だったと思います(すんません、はっきりしなくて)
道路拡張工事にともない移転して新装オープンした明大前のキッドアイラックホール。70〜90年代と数々のアバンギャルドミュージックの拠点となってきたこの会場で再び定期的に企画をはじめることにしました。場所はいままであった場所のすぐ裏で、駅から明治大学に向かう道の甲州街道手前にあります。喫茶、ギャラリースペースもあって面白い場所になりそうです。ぜひお越しください。
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宣伝長くなりました。では6〜7月の日記です。
大友良英のJAMJAM日記02年6〜7月
@月@日 京都精華大学。ここのところいろいろな大学で教える機会が増えてきた。ここでは今年3回連続の講義を。最後の今日は生徒に音の出るものを持ってきてもらい簡単なポータブルオーケストラをやってみた。で、その演奏はというと予想に反してすごく面白かったのだ。音楽におけるシロウトとかクロウトってなんなんだろう。楽器を演奏することって・・・。教えているオレのほうが教わること考えることが沢山あって楽くかつ有意義な時間だった。ここでやったコンサートにもONJQに400人以上、Filamentやメルツバウ、PHEWのほうにも200人もの人が来てくれて、本当に来てくださった皆さんありがとう。精華大の田村さん、参加してくれた皆さん、イベントのスタッフのみんな、世話になりました。サンキュウ。
@月@日 オーストラリア、メルボルン。こっちの7月は冬。とは言え温かいところなので、東京で言うと3月中旬くらいの感じかな。今回は1993年から続いているWhat
Is Music
Festivalに出演するためにやってきた。同行したのは中村としまる、秋山徹次、SachikoMのオフサイトチーム。他にも欧州からギュンター・ミュラー、ボイス・クラック、トニー・バック、ファックヘッド、REUBER等、アメリカからデビッド・グラブス他地元やニュージーランドからも謎のミュージシャンが多数参加し、メルボルンとシドニーで16日間にわたって繰り広げられる。かなり大規模だけれど、実のところわずか数名(実質3名)のミュージシャンによって、実にゆるく、しかし良い感じのどんぶり勘定で運営されている世界一リラックス出来るフェスだ。別名What
Is Food
Festival・・・なんでそんなあだ名がついたかは、おいおい分ることになる。オレが到着したのはフェスティバル6日目。会場につくといきなり秋山徹次が素晴らしいギターソロを聴かせてくれる。東京で何度も見てきた彼のソロだけれど、正直ドキモを抜かれるくらい素晴らしかった。え? これかあのキャップ(僕等はいつも彼をそう呼んでいる)なの? ってくらい人か変わったようなソロ。いや、いつも東京でもいい演奏なんだけれど、そんなレベルを一回りも二回りも超えた集中力とでも言うべきか。当然大受け。う〜ん、やるなキャップ。ちなみに彼は成田で出国の際も、メルボルンで入国の際も、あの独特の行動でトラブったらしい。別に悪いことをしたわけではなく、単に人の何倍も要領が悪いだけなのだが、そのことがすでにオーストラリアのミュージシャンの間で親しみを込めて話題になっていて・・・おっと、あんま書くと怒られそうなのでこんくらいにしとこう。この日は中村としまるのソロも素晴らしくて、彼のファンが多数最前列で食い入るように見ていた。彼ほど日本と海外での知名度の落差のあるミュージシャンをオレは他に知らない。キュービックミュージックから出た新作のソロ「vehicle」は今まで以上にポップでわかりやすいし、まじ名盤だと思うけどね。そろそろ日本でも彼をちゃんと紹介するべきだと思うけどな。
@月@日 まるでオフサイトに出ているような演奏をする地元の若いミュージシャンが多数いるのには驚いた。ノーインプットミキサーやらノーメモリーサンプラーを演奏するやつまでいてちょっと苦笑。この日は5月のターンテーブルヘル・ツアーの同士マーティンNGに再会。会うなり「明日からのメシを楽しみにしてなよ」えへへ、楽しみにしてまっせNGさん。ちなみにNGの読み方は「ン」に近いんだけど表記のしようがない。
@月@日 マーティンのナビゲートでチャイナタウンで飲茶。なつかしい。10年前にトニー・バックのぺリルってバンドのメンバーだった頃、この街には何度かきていてトータールでは数週間くらいはいたかな。その時に米が食いたくて一人で何度もチャイナタウンにきてメシを食ったっけ。広東語ネイティブのマーティンだけあって彼のナビは完璧だ。旨い。たらふく食ってコンサート会場へ。今日の会場は古めのクラブ。サウンドチェックを終えたらオーガナイザーで今や最も注目すべきギタリストでもあるオレン・アンバーチがすごい勢いでやってきて「今からタクシーにのってこのレストランに行け」という。なにを注文すればよいかまで書いてある。もうなすがまま、行って見ると本格的なイタリアンで、確かに旨い。前菜のチーズのジェラートは絶品。しっかし本番前にこんな食っていいのか?
さて会場のほうはというと、もう身動きも出来ないくらいの人、しかもオールスタンディングでロッククラブなみにざわついている。ケンカでも売るような調子でSachiko.Mがステージへ出て高音のサイン波を延々と流し続ける。はじめはざわつく会場の音でほとんど聞こえなかったサイン波が10分かけて序々に立ちあがってくる。バーのグラスの音にモジュレーションがかかる。ざわつく人の声もまるで扇風機の向こうの景色のように揺らいでは消え、また蜃気楼のようにかなたで揺らめき出しては遠のいて行く。彼女の音のほうもまた蜃気楼のように様々な表情をみせてゆく。ソロ30分の間、彼女はまったく動かず、ほとんどボリュームをいじることもなかったし、出した音はたったの2音のサイン波だけなのが、そのサウンドスケープの変化は、もう劇的だった。聴衆は彼女の音を聴いているのか、会場全体の環境を聴いているのか、あるいはその両方が化学反応を起こしたまったく別の音にさらされていたのか判断不能の状態だった。彼女の音を年中聴いているオレにとってもそれは予想のつかぬ世界だった。今だに彼女や中村としまるを無視することしか出来ない耳の閉じちゃったくせに、批判するために「音響」なんて言葉を持ち出してかえってジャンルを固定したがるような古めの評論家は1度でもいいからこういう現場に足をはぶべきだと思うけどね。おっとっと、音楽家は黙って音だしてりゃいいんだ、書き手の悪口なんて書いたらいけません、いけません。いけませんよ。・・・・・・・。
で、オレのソロ。轟音のフィードバック。最近ソロではこれが気にいっている。ONKYOを期待した耳年増なファンの期待は裏切ったかもしれないが、誤解しないでほしいのは、オレは別にONKYOってスタイルをやろうとしてるんじゃないし、そんなもんを基準にモノを考えているんじゃないってことと、音の大きい小さいも音楽表現の中の選択肢でしかなくて、それはその時やる作品なり会場の環境に応じて音色や音量を設定しているにすぎないってことだ。ただ過去の演奏と根本的に変わったことがあるとすれば、それは「聴く」というスキルが比較にならないくらいアップしたことで、その結果、その環境で聴こえる音をどうとらえるかという視点が飛躍的に広がって、結果的には音の選択はストイックかつややランダムになり、ま気分的には過去よりはるかに自由になれてるような気がするのだ。演奏が終ると、オレンが飛んできて抱きしめてくれる。AMMのキース・ロウとともに世界中でもいちはやく杉本拓や中村としまる、SachikoMを高く評価したのは彼だった。ちなみに彼はシドニーの老舗CDショップのバイヤーで、彼のチョイスを信頼している客が沢山ついている。ついでに言えば数年前までは今の彼からは想像もつかないようなおかしな変態バンド「フレム」のメンバーでもあった。その彼の評価はなによりもうれしい。
この日はもうひとつ、ここオーストラリアではちょっとしたニュースになるような組み合わせ、トニー・バックとオレのDUOがあった。トニーとはもう80年代末、彼が一時東京に住んでいたころからの付き合いで、90年代初頭は彼のカットアップバンド「ぺリル」でオーストラリアやヨーロッパを何度もツアーした。地元のオーストラリアでは結構人気があったバンドなんだけど、93年にオレがバンドを辞めて、トニーもベルリンに移住してしまい、その後はほとんど顔をあわすこともなかった。ところが最近になって彼がアクセル・ドナーとやりだしたり、オレのほうもアクセルと活動をともにするアンドレア・ノイマンやアネッタ・クレブス等ベルリンの即興シーンと接近する中で、いつかはこんな機会もあるだろうな・・・とは予想していた。ぺリル以来9年ぶり・・・今日沢山の客が来ていたのはこの共演を見るためってのもあったようだ。白髪の増えたトニーの演奏は、9年前の彼の姿を残しつつ、しかし驚くほど素晴らしいものになっていた。とりわけ音色のスキルアップは尋常じゃなく、ドラムのアコースティック楽器としての音響特性をいかし切った上でのアプローチはまさに今アクセルやアネッタ達によってベルリンで起こっている動きに呼応したもので、はっきりと今の欧州のどのドラマーよりも進んでいる演奏だった。オレには彼がなんでそうなったか痛いくらい分るし、彼もオレの今の演奏がよくわかったはずだ。オレ達にとってこの9年間は単に白髪になったり、体重が増えただけではなかったみたいだ。トニーとは本腰を入れてまた音楽を作りたい。
@月@日 ブリスベンに1日だけよってデビッド・グラブス等と演奏ののち、今度はシドニーへ。この街に来るのも9年ぶり。僕等はThe
Nicksのピアニスト、クリス・エイブラハムスの家にやっかいになることに。知っている人も多いと思うが彼はオーストラリアを代表するJAZZピアニストであると同時に数々のロックバンドのサポートミュージシャンとしても有名な大ベテラン・・・だとばかり思っていたら実年齢はオレよりも若いことが発覚。人は見かけによらない。彼のライブラリーに眠る70年代、80年代のオーストラリアアンダーグラウンドの貴重な音源を沢山聴かせてもらった。ちなみに彼が最近一番好きなのメルトバナナ。中身もちゃんと若いや。
@月@日 あの有名なオペラホールがシドニーの会場。サウンドチェック後、早々会場近くのタイレストランへ。旨い。ほんと旨い。また皆でたらふくたべて開演時間ぎりぎりに会場へ。ホールの女性マネージャーがすごい勢いで怒っている。今日もいろいろなミュージシャンの素晴らしかったり、まあまあだったりの演奏とオレのソロと。終演後は看板もない秘密クラブみたいなところで打ち上げ。
@月@日 再びマーティンの案内で今度はシドニーのチャイナタウンで飲茶。オーストラリアは香港系の移民が多いだけあって味は香港そのまま、またたらふく食ってしまった。そのあとファックヘッドのメンバーなんかと買い物に繰り出した時に悲劇が起こった。紀伊国屋書店のはいっている出来たてのビルのエレベーターにWhat
is
Music御一行10様が閉じ込められてしまったのだ。非常ボタンをおしても誰もでてこないし、エレベーター会社に携帯から電話しても日曜で休んでやがる。幸いスケルトンだったおかげで通行人が気付いてくれてビルのガードマンがやって来たものの、僕等を指差して大笑いするばかりで大声で「明日までには出れるよ・・・」なんてジョークを飛ばしやがる。おいおい。ここの奴らは当てにならない。わかった、わかった自力でやるよ。こういうときジェームスボンドやミッションインポッシブルでは天井を開けて脱出するこになっているので、ためしに僕等も挑戦するこに。まずは007のテーマを皆でアカペラで歌う。さすが音楽家集団(しかも多国籍な国際的ミュージシャン集団)こういう時こそムード作りが重要なのだ。そして登場するのが我らがキャップこと秋山徹次。なぜか彼はいつもスパイ用品を持ち歩いるのだか、それももちろんこういう時の為なのだ。で早速ドライバーのような器具を取り出して天井を開けることに成功。さすがはキャップ。わきあがる拍手。BGMはアカペラ版スパイ大作戦へ。無論僕等は4拍子バージョンの最近のものは認めない。ハードボイルドなスパイは7拍子であるべきなのだ。ちなみにスパイは恋をするのも良くない。さて、天井のふたの中に半身を入れ沈着冷静に作業をすすめるキャップ。盛り上がる7拍子。いや、伊達に僕等は世界を旅しているわけじゃないな・・・なんておもっているうちに、ガードマンが呼んでくれたエレベーター会社のレスキューが到着。結局キャップは天井の上にさらにある鍵付きの天板をまったくあけることが出来ず・・・だいたいそこがあいたところで、僕等はどこにも出られる訳もなく、レスキューの人がエレベーターを地下まで下ろしてくれて一件落着。ちなみにドアがあくと、そこは地下のイベント会場で時あたかも弦楽四重奏の日曜コンサートの真っ最中。エレベーターのドアはステージ後方にあり、僕等が出てきたとたんに楽団は演奏をやめて会場にいた客とともに盛大な拍手で僕等を出迎えてくれた。ステージ慣れしている国際的音楽家集団である僕等は反射的にその拍手に答えて手を振ってしまい・・・これじゃジェームスボンドじゃなくてオースティンパワーズだ。トホホ。
そうそうフェスのほうはその後ギュンター・ミュラーのソロがあったり、オレとヴォイスクラックの共演があったり、他にも沢山の名演と素晴らしい時間と、What is Food Festivalの名に恥じない素晴らしいメシの数々で僕等を充分に楽しませてくれるともに太らせてくれた。ちなみにシドニーのベストフードは、チャイナタウンにあるレストラン、スーパーボウル、ここは何を食っても旨い。それからオペラホールに近いタイレストラン(ここの名前はわすれてしまった)。特に魚介類の旨さははオーストラリアならでは。そんなこんなでシドニーの冬を満喫した後、オレはフジロックに出るんで日本へ、他のメンバーはオークランドのフェスに出るんでニュージーランドへ。最後に空港でシンガポール、マレーシア料理のラクサを食べたら、これはハズレ、空港に旨いメシ屋はない。
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Date: Fri, 16 Aug 2002
今回は5月の中下旬にかけて行われたターンテーブル奏者8人とVJそれにエンジニアやクルー総勢15名のTurntable hell UK tourのレポートの後半を。さてさてツアー中盤ではやくも音楽的に行き詰まってしまった僕等。マルタンの決断は。
ターンテーブル地獄ツアー(後半)
Turntable hell UK tour members
{Turntable}
Martin Tetreault (Quebec)
Janek Schaefer (UK from KOMAE)
Marina Rosenfeld (NY)
Martin Ng (Australia/Malaysia)
Stive Nobel (UK/ex Rip Rig & Panic)
Paul Hood (UK)
Lepke B (UK)
Otomo Yoshihide (Tokyo)
{video}
Ben Drew (UK/from Ninja Tune)
{sound}
Knut Aufermann (Gremany)
{recording}
Maggie Thomas (UK/France)
{produce}
Ed Baxter/LMC (UK)
@月@日 コルチェスター。朝ホテルのロビーに集合すると真っ赤な目をしたマルタンに肩を叩かれる。ほとんど寝ずに考えていたみたいだ。移動の車中マルタンが皆に今日のセットの説明をしだす。セットを2つに分けて、それぞれ今のエクスペリメンタルなターンテーブルの方向を象徴するような内容を考えているらしい。1stセットはターンテーブルやカートリッジの音だけに焦点を当てたセット。マルタンやオレがこの何年かずっと追求してきたのはこっちのセットだ。今回のメンバーでいうと、マーティンNG、ヤニク・シェイファーがこの方向になる。2ndセットはレコードに入っているメモリーに焦点をあてたセット。45回転のドーナツ盤を大量に使うレプキやコラージュを得意とするスティーブ・ノベルはこの方向の代表。それぞれ異なる方向のプレイヤーの持ってきた曲をいかしているところはマルタンらしい。これなら双方の影響を受けるマリーナやポールにとってもやりやすいはずだ。
今日の会場はロンドンのクイーンエリザベスホール。東京で言うと渋谷公会堂ってかんじだろうか・・・って言っても日本じゃこの手の会場でやることはまずないんで、比較しようがないか(苦笑)。ここの会場クルーとは何度か仕事をしているんでやりやすい。サクサクとサウンドチェックをこなしリハーサル。昨日までの弱々しいマルタンとはうって変わって、締まった顔つきになってやがる。これまでなんとなくばらばらだった皆の意識も変わってきている。「OK ボス」なんって言う奴まで出て来る。リーダーの誕生だ。オレが待っていたのはこれだった。今後マルタンがリーダーとしてこのバンドの舵取りをしなければ、いつまでたってもただ皆の曲を演奏するだけのショーケースみたいなツアーで終わってしまう。マルタンが僕等をわざわざ集めて一緒になにかをやる意味をマルタンが明確に示すことがなにより重要だったし、そこから彼が僕等をどう仕切っていくかをオレは知りたかったんだ。
演奏はマーティンのほとんど音のないピースからはじまる。演奏開始5分。怒って席を立つやつが続出する。DJショーを期待していた若い奴等だ。帰りたい奴はさっさと帰りやがれ。ほとんど無音の15分をへてそのまま、オレのフィードバックピースへ。8人全員のフィードバック・・・9人目のメンバー映像のベンもビデオフィードバックを流しつづける。もう言葉に出来ないくらいいかしてやがる。それでも続々帰る客。30分をすぎたありりから、ゆるやかにヤニクのミニマルピースに移行、無音、轟音、ドローン・・・DJらしいビートは皆無、のちのちワイアーにも酷評されたらしいこの1stセットの演奏は、オレにとっては今回のツアーの最初の成果というか、これならCD化してもいいかって初めて思える演奏だった。わからない奴に何をいっても仕方ない。
@月@日 レディング。小さい学園都市だ。コンサートも7つ目になると楽器のほうもいろいろトラブルが出始めてくる。8人ものDJがいれば大体毎日、一人くらいは接触不良の個所がでてきたりするし、マルタンが作ってきたモーターターンテーブルに至っては毎日壊れる。で、サウンドチェックが終わると皆こわれたパーツをオレのところに持ってくるのが習慣になってしまった。電気屋の息子だったオレはアナログ関係の修理だけは門前の小僧で多少はできるのだ。ハンダゴテの臭いをかいでいるとなんとなく落ち着くのは、幼少時からこの臭いの中で育ったせいかもしれない。
もうひとりの修理屋・・・といっても体をなおすほうの心臓医マーティンのもとにはマルタンが行って、なにやら深刻な相談をしている。心臓のあたりがとこどこ痛いらしいのだ。おいおい、大丈夫かバンマス。
さて今日はマルタンから完全に即興でとの提案。そういやオレ達曲をやることばかり考えていて即興を忘れていた。で、ためしにやってみた完全即興の1stセットが素晴らしかったのだ。なんで今までオレ達はこれをやらなかったんだ? 2ndセットも同じく即興。これも面白かった。今まで曲の中で試してきた様々なことが即興の中でちゃんと起こっていて、かといって安易な起承転結形の演奏に落ち込むわけでもない。おいおい、いままでの苦労はなんだったんだよ・・・と言いたくなるが、今までがあったから出来たのかもしれない。そういえば過去にもこんな経験をしたことがある。94年にフランクフルトでやったクリス・カトラーのP53がそうで、さんざん曲のリハをした挙句、本番直前になって、リハは全てわすれて即興でやることになり、これが思わぬ効果をもたらしたのだ。長いリハーサルを経たあとの即興・・・あるコンセンサスをツアーを通じて確立しつつより自由な方向へ開くアイディア。ますますマルタンらしさがでてきたぞ。
@月@日 ブライトン。海岸沿いの会場。ステージわきの窓から海が見える。今日も即興のみのセット。ひとつひとつの展開、テクスチャー、全体の響き具合、ここにいたって僕等は完全にバンドになってきたような気がする。8人ものエクスペリメンタルなターンテーブル奏者が即興で同時に音を出して、こんなに上手くいった例をオレは知らない。ここにきて皆マルタンをはっきりとバンドリーダーとして認めるようになってきた。今までだって、無論そうだったんだけれど、形の問題ではなく、もっとメンタルな次元で、彼は立派にリーダーとしての役目を果たしている。いつものマルタンを知っているオレにとってはこのこと自体かなり驚異的な出来事であると同時に、嬉しくもある。マリーナがターンテーブルで波のような音をだす。彼女の演奏も最初の頃と比べると大きくなってきたような気がする。ポールは海岸に落ちてた石を使ってターンテーブルから独特の音を出してくる。いいじゃん、いいじゃん。それぞれがバンドの中で確実に自分の役割を見つけ出している。
演奏が終わってホテルに戻ると、あとからチェックインする予定だったベンやクルーの部屋が用意されていない。コンピュータがダウンしてカードキーが作れないのが原因だ。今回のツアーで一番の高級ホテルだってのに。例によってドライバーロブの部屋でスコッチのボトルを囲み煙をモクモクさせながら、ホテルのビールを山のように持ってこさせて(もちろん無料、金なんかはらえるか)朝までわいわい大騒ぎしたのはいうまでもない。なにが高級ホテルだ、つけあがんじゃねえ。
@月@日 あ〜なんか疲れたぞ〜。こうなってくるとバンの席のどの部分を取るか微妙な、目に見えない争いになってくる。オレの特技はどんな席であろうとどんな姿勢であろうと乗り物に乗るとかならず寝れること。飛行機にいたっては離陸前に大抵眠りにつくし、着陸の振動で起きるのが常だ。ってこんなこと自慢にならないか。でも、これが出来るか出来ないかで、ツアーの疲労度は、だいぶ違う。ちなみにこういうツアーだとホテルについたら一番にするのは、洗濯だ。昨日着ていたものを素早く洗い、一番かわきやすそうなポジションを探し手早く干す。こうするとうまくいけばコンサートからもどった時には乾いているし、遅くとも翌日の朝の出発までには乾く。したがって着替えは3日分しか持っていない。だから1週間のツアーでも何ヶ月ものツアーでも、持っていくもんはあまり変わらない。3日分の衣服に歯ブラシと多少の医薬品、ポケットに入る文庫本、それにパスポートとチケット。これが僕等の楽器以外の所持品だ。旅支度も10分もあれば楽勝だ。お世話係のいるツアーならともかく、僕等の日常はエバン・パーカーから、オレ等レベルに至るまでだいたいこんなもんだ。最近はこの装備にノートパソコンが加わって、ずいぶんと便利になった。さて今日はFarham。実はこの街の読み方が思い出せないばかりか、3ヶ月たった今となっては会場もホテルもうっすらとしか思い出せない。だいぶ疲れてたのかな。簡単なメモには「今日も即興のみ、上々」とあるところを見ると、まあいい内容だったのかな。かなりな田舎町だったせいか夕食の選択肢がフィッシュ&チップスかステーキ&チップスしかなくて疲れた体にはちと堪えたのだけはよく覚えている。イギリスは好きだけれど食い物だけがなあ・・・。
@月@日 エクセター。昨年のジャパノラマの初日だったフォネックスが会場だ。今回のツアーの様々な断片が即興演奏に織り込まれつつ発展したようなステージ。マルタン、すげえいいバンドになったじゃねえか。演奏終了後唯一の女性マリーナがボロボロ泣いている。短期間だったけれど、促成の外国人傭兵部隊はそれなりの成果を残せたんじゃないだろうか。タイプのことなる演奏家との共演にもう夢をみなくなっていたオレも、マルタン特有の緩やかに事をすすめていくやり方の中で、忘れかけていた可能性みたいなもんを思い出させてくれたような気がするし、なによりバンドが作られていく過程ってのは、本当に面白い。まったくどうなるのか頭の中でしか見えなかったものが、具体的な音になり、しかもそれが理屈をこえてアンサンブルし、そのバンド固有の音色を生んで行く。これこそがバンドの醍醐味だ。なんだかここでこのツアーを終わりにするのが惜しくなってきた。
@月@日 ロンドン。マレーシアレストランで打ち上げ。おなじく医者のマーティンの彼女や、カフ・マシューズ等とも合流してわいわいと楽しい時間。わずか2週間であったけど、これだけ朝から晩まで一緒だと、なんとなく仲間みたいになってきて、別れがたくもある。リーダーのマルタンやこのツアーを実現してくれたLMCのエド・バクスターに改めて礼を言って乾杯。昨日までシリアスすぎるくらいシリアスな顔になっていたマルタンが、いつものコミカルなマルタンにもどっている。隣の席にやってきて誰にも聞こえないようにこっそりと
「今回のことすげえ感謝してるよ」
「なんのことだよ」
「コルチェスターでのことだよ」
「とんでもねえ。あんたのおかげてオレはGROUND-ZEROを解散出来たんだ。ま、これで貸し借りなしってことで・・・。んなことより、またやろうよ、これ」
「まあまあ、あわてずに、すでに考えてるからさあ。ところで、今回やってて、ひとつ思いついたんだけどさ、もういつものターンテーブルはやめて、小さいモーターとカートリッジにレコードだけ使ったマシーンを作ろうと思ってんだ。たたむとこんな小さくて軽くなるんだけど、これでね・・・・・・」
あ〜、また始まりやがった。夢見るマルタンの新楽器構想話は、その後ホテルの部屋に戻るまで延々とつづいたのでした。
Date: Tue, 6 Aug 2002
いやもう暑いっすねえ。みなさん お元気ですか〜。
今日は、がたがたになった体のメンテに初めて針ってやつを打ってきました。
「だいぶ疲れてますね〜、なんの仕事してらっしゃるんですか・・」
なんて言われながらプチ。プチ。プチ。いやもう効きました。
超多忙の季節を越えたんで、そろそろためてたJAMAJMA日記の続きにかからねばと思ってるんすが、
もうちっとお待ちを。
で、今日は告知、それも、ちょいと涼しい場所の告知を。
昨年TZADIKから発売になった作曲作品集「ANODE」の全曲がやっとライブでも実現することになりました。アノードは今現在進行しているわたしのプロジェクトの中でも最も実験的な作品です。CDが発売されて以降各方面からいくつか演奏の依頼がありましたが、大編成である上に、特殊なセッティングをする関係でコンサートで全曲が演奏されたことは、これまで一度もありませんでした。本来この作品はCDとして発表する以上にライブ空間での生の音響を前提にして作られています。様々な方向から聞こえてくる遠近感ある多様な音色の響きあいを実際の空間の中で経験すること。PAを使わずに可聴範囲を超えた音響群が相互に共鳴したり反響したり、化学反応のように変調したりしながら刻々と様相を変質して行くさまに耳を開いていく快感。通常の音楽的なストーリーを楽しむのではなく、音そのものの肌触りから生まれるなにか。冒頭に「もっとも実験的」と書きましたが、音の響きだけに焦点を当てているという点では、音楽ファンではない人達にも分りやすい、楽しむ余地の沢山ある作品であるとも思っています。全曲がライブで演奏されるのは今回が初めてです。次々生まれてくる音の新しい響きを演奏者、会場に集まってくれた皆さんとともに体感することが出来ればなによりだと思っています。
というわけで場所は札幌。多分これを読んでいる読者の中で札幌に気軽に行ける人はそうたくさんはいないと思うのですが、帯広でおこなわれている現代美術展の「とかち国際現代アート展デメーテル」や釧路で行われる「ミイラになるまで」の最終公演ともあわせて、ぜひ足を運んでいただければ幸いです。
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「ANODE」コンサート
8月30日(金)
札幌市「ことにPatos(札幌市西区琴似1条4丁目
地下鉄東西線琴似駅B2 電話 011-612-8383)」
午後7時開場、7時30分開演 前売り4000円、当日4500円
1st set ANODE 2 & 3
2nd set ANODE 1
大友良英(ギター)、杉本拓(ギター)、秋山徹次(ターンテーブル)、
西陽子(17絃)、Sachiko M(サインウェイヴ)、芳垣安洋(ドラムス、パーカッション)、
一楽儀光(ドラムス、パーカッション)、植村昌弘(ドラムス、パーカッション)、
イトケン(ドラムス、パーカッション)、高良久美子(ドラムス、パーカッション)。
予約・問い合わせ:NMA ナウ・ミュージック・アーツ
(電話 011-742-3458、e-mail nma@mbd.nifty.com)
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「大友良英 ギター&ターンテーブル・ソロ 」
8月28日(水)
帯広市「とかち国際現代アート展デメーテル(帯広競馬場)」帯広市西14条南8丁目1
帯広競馬場内
午後8時開演
問い合せ:デメーテル事務局
(電話 0155-38-3802、ファックス
0155-38-3803、e-mail info@demeter.jp)
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『ミイラになるまで』
作品の舞台となった釧路での今回の公演をもって、大友バージョンの「ミイラ」は最終回とします
9月1日(日)
釧路市「釧路芸術館アートホール」午後1時30分開場、2時開演、入場無料
島田雅彦(作、朗読)、大友良英(作曲、指揮)、
演奏:杉本拓、西陽子、Sachiko M、芳垣安洋、一楽儀光、高良久美子 大友良英
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「OTOMO YOSHIHIDE'S NEW JAZZ QUINTET/LIVE」
「CATHODE ENSEMBLE」の2枚も7月に発売になりました。
もよりのレコード店で手に入らないかたは以下の通販サイトで購入可能です
http://www.japanimprov.com/cdshop/index.html
よろしくお願いします
大友良英
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大友良英のコンサートスケジュールおよびJAMJAM日記の閲覧等は
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発行者,大友良英へのメールは
otomojamjam@yahoo.co.jp
Date: Mon, 1 Jul 2002
ご無沙汰してます。現在睡眠時間の確保がやっとの毎日でJAMJAM日記まで手がまわりません。
UKツアーの話等々は今少しおまちください。
今回はいくつかコンサートと新作の宣伝をさせてください。
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7月3日(水)東京、外苑前「ワタリウム美術館」地下1回 開場8時30分 開演時間午後9時〜11時
『カールステン・ニコライ:サウンド・ポスト・オフィス」
入場料500円(ドリンク代別)
カールステンのキューレイトで毎週おこなわれているちょっとゆる〜い感じのカフェイベントですこの日はわたしのオーガナイズで誰でも参加できるラジオオーケストラをやります。興味あるかたはポータブルラジオ、テレビ、トランシーバ等々音の出る無線機器を持参ください。皆で簡単なリハーサルをしたのちわたしのラジオピースを演奏します。無論見学のみもOKです。雑談等しながら楽しくやってきます。
問い合わせ・予約:電話 03-3470-1424
http://www.watarium.co.jp/carsten/index.html
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7月11日(木)東京、代々木「オフ・サイト」
I.S.O.:一楽儀光、Sachiko M、大友良英
東京では一年ぶり、I.S.O.単独の公演は2年ぶりになります。今回は場所柄I.S.O.本来の弱音系での即興演奏です。次の公演はいつになるかわかりません。この機会をお見逃しなく。
所在地:渋谷区千駄ヶ谷5-23-7 最寄駅:JR /
都営地下鉄大江戸線 代々木 電話・ファックス:03-3341-5557
地図 http://www.japanimprov.com/baraoyama/map.html
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Improvised Music from Japan より『Ensemble
Cathode』(IMJ-502)が発売されました。
(税抜2,000円)。スタジオ録音全3曲。
以前にTzadikから出た『Cathode』の続編、私の作曲作品集です。詳細は以下のサイトを参照ください
http://www.japanimprov.com/cdshop/goods/imj/imj-502.html
また購入希望の方は以下のサイトの通販を利用すると500円のキャッシュバックがあります
http://www.japanimprov.com/cdshop/shinchaku.html
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以前応募しましたplanBでのワークショップ「誰でも参加出来るポータブルオーケストラの試み」第1回
は昨日無事終了しました。当初の予想に反し100人近い応募があり3時、7時の2回にわけてのワークショップでした。次回からはいよいよ実際に音の出るものを持参してのワークショップになります。次回は8月3日。同じく3時と7時の2回にわけておこないます。予約制になりますので参加見学希望の方は以下まで申し込みください。
参加&見学費1500円
planB:eメール:artcamp@adgnet.or.jp、電話:03-3384-2051(高橋)、03-5340-3860(斎藤)
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以上よろしくお願いします
大友良英
Date: Thu, 30 May 2002
@月@日 過去に3回ソウルにいってはいるが、演奏で行くのは今回が初めてになる。いつものように徹夜明けのまま、早朝の新宿駅へ。ゴールデンウィーク中だってのに通勤客が結構いてびっくり。みんな働きもんだ。なんて思ってるオレだって労働中だもんなあ・・・てなことを電車を待ちながらぼ〜っと考えていたら、突然大きな鈍い音がはるか後方で響く。とっさに音の方向を見ると中学生くらいの女の子が到着した電車のドアの前で倒れている。電車から降りるときつまずいたらしい。ひどい倒れかただったのか起き上がれずにいる。電車は今にも発車しそうだってのに、誰も彼女を起こそうとしない。それどころか乗り降りする大人達は皆彼女をよけて、さっさと電車に降りたり乗ったり。いったいどういうことなんだ? とにかくオレは彼女を起こそうと駆け寄った。幸いオレの到着前に会社員風の若い女性が彼女を安全な場所に移動。しかしそれ以降も痛がっている彼女に誰も皆見向きもしない。治安が悪いといわれているようなところも含め、いろいろな都市を見てきたオレの目でみてもこれは異常だ。NYでもパリでも、こんなことがあれば多くの人が助けてくれるし、声くらい掛けるもんだ。腹が立つ、まったく〜。
せまくて高くて乗りごごちの悪い成田エクスプレスで空港へ。今回同行のヴォーカリストさがゆきと合流。ソウルへ。自宅の吉祥寺から成田までより、成田からソウルのほうが全然はやいってのはどういうことなんだよ・・・とかおもってるうちにさっさとソウルの新空港へ。ここで今回僕らをよんでくれた韓国即興音楽の開祖、サックスのカン・テーファンさんが出迎えてくれる。オレが心底尊敬している音楽家のひとりだ。ホテルのチェックインやら会場の下見やらをしたのち、カンさんの招きで夕食。プルコギ(牛肉のジンギスカンみたいなやつ)やケジャン(ワタリガニの醤油漬けキムチ)の美味いこと。この国では年長者に素直におごられなくてはならない。ごちそうさま〜、カンさん。
そのあとさがさんといった喫茶店のようなバーのような謎の店で一波乱。さがさんはわたしの敬愛する歌謡曲の作曲家中村八大晩年の専属歌手だった人で、彼女から八大さんの話をいろいろ聞き出そうと思ったのもつかの間、突然入れ墨指無し角刈りの男が僕らの席の前に立ちはだかって、さかんに「ヤマグチグミ、ヤクジャ、トモダチ」のフレーズを繰り返しながらからみだしたのだ。顔がたこ八郎にそっくりなのが愛嬌だが、いかにもやくざ風で、なぜが千ウォン札をオレにわたそうとする。それ以外はなにを言っているのか、さっぱりわからずで、とにかく、ものすごい力で暴力的に握手をしてオレの手をはなさない。どこを見てるのかわからない目でさかんになにかを訴えているようなのだが、やはりわからないもんはわからないし答えようがない。もしかしてからむというよりは友だちになりたいだけだったのかも知れないが、どう考えてもオレもさがさんもこの男とは友だちになりたくないので、壁ずたいに蟹のようにすこしづつジリジリと出口に這い、ドアに到達すると同時にすごい勢いで男の手を振り切って階段を駆け降りた。ネオンの中を足早にホテルへ。夜のソウルはオレがガキの頃育った横浜にどこか似ている。そういえば昔横浜にも映画に出てきそうなやくざが沢山いたっけ。
@月@日 ソウル大学路。その名のとおり学生街で、シアターやライブハウスが多数ある。特に小劇団の演劇がさかんなことで有名な場所だ。ここの一番大きなコンサートホールで数日間にわたって民族音楽とアバンギャルドのフェスティバルが行われていて、今日はアバンギャルドの日。朋友、パーカッションのパク・ジェチュンとオーストラリアから来たなんとかいうサックスとピアノDUOとの共演と、カン、さが、オレのトリオの2セット。座りながら様々な打楽器を演奏するパクさんの即興演奏は世界的に見ても、十分通用する独特の世界観と技術、美しい音色をもっていて、もっと広く評価されるべき存在だと思う。それにひきかえオーストラリア2人組の方はアロマテラピーとかで流れてるC調いやし音楽みたいな演奏をしやがる。見ていてパクさんがかわいそうだった。それでも客にはわかりやすい内容だったのかもしれない。僕らよりはずっと受けていたような気がする。二千人ははいる会場はそこそこの入りで、高校生や中学生も多数いる。僕らを知っていて来ているというよりは、なにか授業の一環みたいなかんじもあって、僕らの演奏がどこまで伝わったのかは正直わからない。それでも自分のなかでは今出来る最善の演奏が出来たと思っている。僕らに出来るのはここまでで、あとはリスナーを信じるしかないって点だけは
どこの国での演奏であろうと変わらない。満足して楽屋に戻ると2000年の暮れにシンガポールのフライングサーカスプロジェクトで一緒になったパーカッションのチャン・ジェヒョ、韓国ロックの生みの親にしてカンさんとともに即興演奏を開拓してきたキム・デファン、ソウルを拠点に活動しているミュージシャン佐藤行衛、そしてカンさんの娘さん等が詰めかけてくれた。嬉しい時間だ。そのまま打ち上げ会場のダッカルビ屋へ。この日はさがさんから中村八大の話を沢山聞くことが出来た。オレにとっての60'sは山下毅雄を裏に例えるなら、表は中村八大やいずみたくだ。いつかこのへんの表の作曲家にも取り組んでみたい。
@月@日
さがさんはカンさんとDUOで全州へ。オレはパクさん、ピアニストのミ・ヨンさんとソウル郊外のギャラリーで演奏。美人のミさんはパクさんの奥さんでもある。数十人もはいればいっぱいの小さな会場。客の反応が見えるのはいいもんだ。休憩時間に何人かのお客さんと話すことができた。インターネットで情報を集めてアメリカの通販でオレのCDを買っているという若い男の子3人組。たまたま昨日ラジオで流れたオレのサントラ「シャボン玉エレジー」を聞いて来てくれた英語を流暢に話すNY帰りの女の子。現代美術をやっているという男性。シカゴでAACMのワークショップに参加していたこともあるやはり流暢な英語を話すソウル唯一のフリージャズ評論家等々。
打ち上げはスタッフとともにカルビ屋へ。韓国ではカルビといえばまずは豚肉。今回のツアーでオレは確実に2kgは太りそうだ。
@月@日 前日と同じパク・ジェチュン、ミ・ヨンとのトリオでスタジオに入ってレコーディング。即興演奏でスタジオを使うのはパクさんミさんともに初めてだという。ピーンと一本緊張感のある録音・・・すごくいい内容だと思う。出来れば良い形でどこかからリリースしたい。この日パクさん、ミさんと韓国の音楽シーンの話、どうやって彼らがここまで演奏を進化させてきたのかって話、これからの韓国のシーンの中で彼らに出来る最善の方法はなんなのかって話、映画とのコラボレーションの可能性、そして日本のシーンや、オレがどうやって今の音楽にまでいたったのか等様々な話を何時間もした。彼らは今、ものすごくいろいろなことを知りたがっている。そしていろいろなことを必要としている。オレに出来ることはなんだろう。かつての香港での挫折に近い経験が頭をよぎる。シーンなんてつくるもんではなく、出来る時には勝手に出来るもんだ。オレにやれることがあるとしたら彼らと音楽をつくること、それだけしかないように思う。夕食はパクさん、ミさん、スタジオスタッフとともにサムゲタン屋へ。これから韓国との付き合いが増えるかもしれない。
@月@日 ソウル最終日。この日もパクさん、ミさんとともにJAZZ
CLUBの「La
Cle」で演奏。ひところのアンティクを沢山おいてある日本のジャズ喫茶によく似た会場。会場のまかないメシはトンカツとハンバーグの定食。ごはんとサラダがついて日本の定食を思い出す。みなでパクパクやりながらパクさん達とシリアスな音楽の話のつづきを。彼のこんな姿勢が大好きだ。開演。客席には韓国即興の生みの親の3人、カン・テーファン、チェ・ソンベ、キム・デファンの顔が。佐藤さんも来てくれる。それとなんとすごい偶然なのだが、イタリアの現代音楽のギタリスト、マルコ・カペリがスイスに住む韓国系の作曲家リー・ジャンヘとともにひょっこり現れる。ソウルで現代音楽のコンサートがあったらしい。マルコはジョン・ゾーンのギター曲なんかをCD化しているギタリストで、ほんの数週間前にイタリアから作曲依頼のメールをくれたばかりだった。こんな早く会えるとは思ってもいなかった。2セット目にはさがさんも飛び入りしてくれて、楽しい一夜だった。この日はカンさんと夜おそくまで語り合った。というか、ほとんど一方的にカンさんの英語と日本語にハングルがまざった筆談まじりの話を聞いていたかんじだ。カンさんの歩んできた道は、山あり谷あり、それはそれはもう大河ドラマにしてもいいくらい面白くて、ほんとはここにも書きたいくらいだ。さすがにプライベートなことなんで控えるが、いつかだれか日本の音楽ジャーナリストがちゃんとインタビューをするべき内容だ。韓国でなぜカンさん達だげが世界中のどこの音楽とも似ていない独特の即興音楽に致ったのかをちゃんと考証する必要があるとおもうし、韓国現代史をかんがえる上でも貴重な話が沢山聞けた。歴史はえらい政治家がうごかしてるんじゃなくって、ぼくら下々の生活者の総体が歴史なんだ。個々人の細部にこそ歴史が見えるってもんだ。ヤンバンの裕福な家に生まれ、のちに政治的な理由で常に警察の監視下にあったカンさんの幼少時代の話や、米軍の進駐とともにものすごい数のジャズバンドが生まれた中でカンさんがもっとも若いリーダーだった話等々貴重な話が沢山聞けた。言葉が互いに通じにくいせいもあって、これまで知り会ってから12年間、こういう話をすることは今まで一度もなかった。外は雨。ホテルの蒸し暑い部屋で韓国ノリをパリパリと食べながら夜が白むまでカンさんの話は続いた。
次回はUKツアーの話を
Date: Wed, 8 May 2002
5月初頭、ソウルの喫茶店でこれを打っている。外は蒸し暑いが、中はほどよくクーラーが効いている。美味いコーヒー、ギャラリーのように凝った装飾。流れるのはジャニス・ジョプリン,ジョアン・ジルベルト、ゲンズブール、エロール・ガーナー・・・。10年以上前、千野秀一さんや竹田賢一さんにくっついて来た時の薄いインスタントコーヒーしかなかったソウルとは別世界のようだ。まだ夜中の12以降は飲食店が営業出来なかった時代だ。当時ソウルであった人達と、わたしはほとんどコミュニケーションがとれなかった。ハングルを解する千野さんや竹田さんをうらやましく思った。そんな中で唯一友だちになれたのが英語の出来たMさんというわたしより若いキュートでクレバーなグラフィックデザイナーの女の子だった。嬉しくて、その日はずっと彼女としゃべっていた。彼女とは6年前にソウルに行ったとき時にも会った。彼女のボーイフレンドとわたしのガールフレンドと一緒にいろんなところに遊びにいった。つれてかれたちょっとクールなクラブっぽいバーで会った彼女の友人達はみなかっとんでいていかした格好をしていたっけ。その後なぜか彼女の親から消息をさがす電話が日本に来たことがあった。無論わたしは知らない。想像するに彼女は親の反対を押し切ってボーイフレンドと駆け落ちしたのではなかろうか。しばらくして彼女から「大丈夫、無事結婚したから心配しないで」といった内容の葉書がとどいて以降は互いに連絡を取り合うことはなかった。
ソウルでの仕事は今回が初めてだ。わずか4日の滞在期間にコンサートを3つとレコーディングをこなす。「todayが少しbuzyで問題、timeをfive
PM move,OK?」とパクさんからの電話に「OK,OK No Problem
ケンチャナヨ」とオレ。友だちのミュージシャンやエンジニアとは、こんな感じのブロークンイングリッシュwith
少しハングル&ちょっとジャパニーズのピジン言語で対話可能だ。評論家やオーガナイザー、客の中のは留学経験者も多く、不自由なく英語で行けるケースも増えた。そういえば初めて来た頃はE-mailどころかFaxを持っている人が日韓ともに少なかった。今回はe-mailのやり取りで事前の準備は全て整った。便利になったものだ。考えてみればわたしが英語を頻繁に使うようになったのもこの12〜3年くらいのもんだし、e-mailだってまだ5年くらいなもんだ。ソウルは変わったといいたいところだが、そうではなくて、わたしを含めて皆が平等に10年という歳月をすごしたってだけなのかもしれない。
滞在最終日、初めての友人Mさんに会いたくなった。彼女の今をちょっと知りたい気持ちもあったけど、なにより素朴に顔を見たくなった。残念ながら電話番号はすでにつかわれていなかった。彼女の両親のほうにも電話してみたが、今度は別人につながってしまった。こうなるとまったく手がかりがない。どうしているだろう。元気かな。たまたま私の名前を見つけて今夜のGIGに彼女がきてくれることを祈ろう。
さて、4月の日記です。
@月@日 ジム・オルークからメール。先月東京で会った時にわたしたOTOMO YOSHIHIDE'S NEW JAZZ ENSEMBLEのCD「DREAMS」を気にいってくれたらしい。この作品の中で、賛否のあった彼の作品ユリイカをカバーしている。わたしはこの作品が好きだ。歌っているのは戸川純とPHEW。彼の住まいは昨年の9月11日のテロでメチャクチャになってしまったのだが、やっと落ち着いたようだ。高柳昌行の作品をアナログでリリースしたいとも書いてあった。ものすごく協力したい。したいがオレには出来ない。いつかそういう日がくればいいなとも思う。
@月@日 名古屋シネマスコーレにて相米慎二追悼企画で彼の映画「風花」のサントラのライブをやる。メンバーはバンドリンの秋岡欧、コントラバスの水谷浩章にオレの3人。生ギターだけで、しかもそれを使ってコードやメロディのみでコンサートをやるのは初めて、オレにとってはものすごい挑戦だ。「風花」の他にも中国香港映画から「青い凧」や「女人四十」、仲間由起恵の初主演ドラマ「しあわせ写真館」のテーマ曲なんかをやる。このドラマはNHK名古屋が数年前に制作したもので、ショーロクラブを中心メンバーに6人編成で録音した。どの曲も自分で作ったとは思えないくらい気に入っている。こんな機会がなければ再演されることのない作品ばかりだ。シネマスコーレの皆さん、特に企画してくださった李さんには心から感謝したい。機会があればいつか東京でもやってみたい。
@月@日 気温30度、香港。ディクソン・ディーと会う。彼はかつてあった香港初のインディペンデント・レーベル「サウンドファクトリー」のNO.2で、結成から最後までを看取った人間でもあると同時に、いくつかの名前を使い分けTZADIKやその他のレーベルからノイズの作品も出している香港地下音楽の重要人物だ。
オレの初リーダー作は1991年にこのレーベルから出た「WE
INSIST?」というアルバム。それまでまったく無名だったオレに、彼らはものすごく肩入れしてくれた。その後欧米に活動の場を見いだせたのもこのアルバムがあったからだ。他にも初めてのサントラ中国映画の「青い凧」を出したのもここからで(この映画は中国政府ににらまれていたので、当時はレーベル名をふせて発売した)、やはりこの映画のおかげで、オレはその後多くのサウンドトラックの仕事を手がけることになった。
そのディクソンが何年か前に始めた個人レーベル「ソ二ックファクトリー」からこの2作品を再発したいという。彼にとってもこの2作は大きな意味をもっていたのだ。さらに、これまで私のやってきたサウンドトラックを全て網羅したBOX
SETも企画したいという。オレの中国、香港映画関係の作品は全て廃盤になっていたしで、嬉しい話だ。とにかく香港に飛ぶことにした。香港恒例、豪華なメシを伴う打ち合わせ。潮州や広東、マカオの料理をパクパクやりながら打ち合わせは順調に進む。幸先順調と思いきや、2日目の夜に発熱をともなう激しい下痢と貧血にみまわれてしまった。過去十数年、数えきれないくらい香港にいっていたのに、こんなのは初めて。不覚。慢心するなかれ、何事も心せよ。
@月@日 青山真治、大里俊晴が映画美学校のクルーとともにわが家へ。オレのインタビューを撮影するためだ。70年代に活躍した音楽評論家の間章を追う中で批評とはなんなのかを探るドキュメンタリーを彼らは作っていて、すでにかなりの人達のインタビューの撮影を終えている。事前の準備や雑談も含めて、僕らは6時間近くも語り続けた。テーマは間章にかぎらず、フリージャズや即興音楽から今現在の名付けようもいない僕らのやっている音楽にまでおよんだ。ず〜っと話していたいくらい楽しい時間だった。
ここのところ、どういうわけか、人前でしゃべる機会が急に増えてきた。この撮影の2週間前にも入谷のなってるハウスや、中野富士見町のplanBで長時間の座談会があったし、先月も六本木のゾーンで座談会があった。自分の音楽を自分で説明したくない・・・と思えば思うほど、機会が増えてしまう矛盾。周辺的なことや、質問されたこと、あるいは自分にとっては過去の仕事で、ある距離をおいて整理して見れるものには答えることが出来るが、核心にちかくなればなるほど言語化出来なくなる。が、このぎりぎりのく分からない部分こそが面白いのもよく分かる。自分だって、まだ言語化できないような新しい領域が面白いし、興味があるのだ。
90年代、自分のやってきたことを自分で紹介し、説明しなくてはいけない苦しさをいつも感じていた。だいたい自分のやっていることなんて、自分で説明しきれるもんじゃないし、リスナーの耳のほうが音を出す側以上に、それがなんであるのかを理解するものだ。こと自分に関して言うなら、音を出すというのは、理解した音を出すのではなく、理解しえない何かに向かって音をだしているような気もするし・・・。いずれにしろ、こちらの出した音がなんなのかを考えてくれる他者が複数表れて以降、自分で説明しなくては・・・というプレッシャーから解放されたような気がする。こちらから説明するのではなく、リスナーと一緒に考えられるというのは素晴らしいことだ。
インタビューに対して、その場では無論言葉で考えて答える。インタビューがなければ実際に言語にして考えなかったようなことも、そこには沢山含まれる。その場での答えはあっているのかもしれないし、間違っているのかもしれない。なにしろ分らないことに無理やり答えをだしているようなもんだし、インタビュアーの意図が良くも悪くも左右する。それでも、インタビュアーが誠実である限りにおいては誠実であるようこちらも最大限の努力する。でも結局は本当の意味でインタビュアー達の真摯な質問に答えることが出来るのは、最終的には自身の作品しかないとおもっている。無論、いちいち質問に対応した音を作るわけではない。インタビューなりの時に投げかけられた言葉が、時間とともに頭の中で発酵し、創作の過程に作用するような、そういったゆるやかな関係でしか、言葉に対して答えることは出来ない。しかもCD化されたものだけが答えというわけでもない。planBではじめるワークショップや、録音ではなかなか実態を見せることの出来ないANODEやポータブルオーケストラなんかにもそれは反映されているし、今現在ソウルでやっている即興演奏や、来週から行くタンテーブル奏者ばかりのUKツアー、そして6月につくる予定の中原俊監督の新作のサントラのような現場にもその答えは含まれているだろう。さらには、言葉には出来ないといいながらも、いくつかの大学でやっている講義や、今回のような座談会やドキュメンタリーフィルムでのインタビュー、そしてこの日記の中にも音楽作品と同等に思考の過程が刻印されていると思う。絶え間ない過程と更新、オレがインプロヴィゼーションから学んだものがあるとすれば、そういったことなのかもしれない。間章が高く評価し、もっともその紹介に力をいれたインプロヴィゼーションミュージックのパイオニア、ディレク・ベイリーの存在が、今日に至るまでオレの中で大きな位置を占めているのは、生き方にまで関わるようなベイリーの即興に対する理念からの影響抜きには考えられない。
ソウルの報告は次号JAMJAM日記2002年5月号にて
大友良英
Date: Tue, 30 Apr 2002
JAMJAM日記 2002年3月
@月@日 六本木ゾーンにてポステク・サミット。久保田晃弘編「ポストテクノ(ロジー)ミュージック」と佐々木敦著「テクノイズマテリアリズム」の発売記念イベント。すげえ数の客がきてやがる。どちらも素晴らしい本だ。このくらい人が来て当然か。オレのほうは花粉症と映画音楽の疲れから扁桃腺がはれて発熱、体調は最悪。近くの薬局でドリンク剤に手を伸ばしていたら、となりで佐々木敦がやはりドリンク剤を物色している。おもわず顔を見合わせ苦笑「お疲れさん」。久保田さん佐々木さんに加えクリストフ・シャルルやオレで座談会のようなことをやったが、わずか1時間しかなく、ちょっと消化不良。もっと話したかった。この日は演奏もあって、久保田、クリストフともにすばらしい演奏だった。久保田さんを見たのはこの日が初めて。なんだか負けてられない気がして体調のことも忘れてターンテーブルのフィードバックソロを30分ほど。演奏にも客の反応にも確かな手ごたえ。録音さえよければCD化したいくらいの内容。この日はPAシステムもすばらしかった。ここまで音の細部が見えるPAにお目にかかったのは初めてだ。オレの最近の演奏の80%は機材の良し悪しでとエンジニアの腕で決まるといっても過言じゃない。そのくらい音のクオリティそのものが音楽の内容を左右する。終演後エンジニアをしてくれたセレサの桜井さんと小林さん(この2人はその昔、クリスチャン・マークレイの100ターンテーブルオーケストラのサウンドを担当した人達だ)の紹介でPAを作られた田口製作所のみなさんがステージに来てくれる。開発したばかりの新しいシステムとのこと。こういうPAでいつも演奏出来たら幸せだ。
@月@日 映画美学校にてフィリップ・ガレルの映画「孤高」にライブで音楽をつける。もともとこの映画には音もはいってなければストリーもない。ひたすらニコやジーン・セバーグ等の顔が出てくるモノクロ無声映画だ。監督があえて音を付けなかった、ストーリーすらつけなかった映画に、オレは最初から通常のサントラをつける気はさらさらなかった。もしも音楽家にやれることがあるとすれば、それは、ガレルが常に耳元に聞いていたであろうフィルムの回る音、つまりは映写機の音を浮き上がらせることしかない。共演者に選んだのは杉本拓とSachiko M。彼らのひたすら即物的な音の中で映写機の音が音楽にすら聞こえてくる。終演後、今回の企画のプロデューサーの越川道夫が涙を流しながら飛んでくる。「あのサイン波の切れるラストで不覚にも泣いちゃったよ」「え? そうなの????」僕らはステージ上でひたすら即物的になんの感情もこめずに、ストイックにただただ音をだしていたにすぎない。このほとんどなにも起こらないライブの演奏を岸野雄一氏がCD化してくれるという。聴き手が音楽を発見する。そういう環境になってきたことをオレは嬉しく思う。
@月@日 ONJQ(OTOMO YOSHIHIDE'S
NEW JAZZ QUINTET)のライブレコーディング。場所は新宿PIT
INN。この日は僕らの演奏前に、ベルリンのアンドレア・ノイマン(inside-piano),ロンドンのカフ・マシューズ(computer)そしてSachiko
M(sine
waves)によるトリオがあった。客こそ少なかったが演奏の質、内容ともに素晴らしかった。演奏を聴いていて鳥肌がたった。この日ここで起こったことがどれだけすごいことかを知っているのが20人くらしかいないってのは、なんだかちょっと残念でもある。僕らのほうは幸い満員の盛況でつつがなくライブレコーディングも終了。ONJQ現時点でのベストと言っていい内容だと思う。みな素晴らしい演奏だった。私生活で元気のない菊地成孔も、こちらの心配などどく吹く風で、ジャズ史に残るくらいの名演を残してくれた。こんなメンバーとやれてオレは幸せもんだ。
なぜ今オレがジャズをやるのか・・・という問いを何度受けて来たことだろう。本当の理由はよく分からない。分からないが、ひとつはっきり言えるのは、青年期に日本のフリージャズに接することがなかったら、オレの人生は今とはまったく違うものになっていただろうってことだ。このことにオレは決着をつけなくてはならない。一方でアンドレアや杉本拓等の音楽を座視にいれつつ、もう一方の足で、オレはこの部分にもふんばり続けようと思っている。過去の伝統を踏襲するためではなく、むしろそれを今の現場にひきずり降ろすために。
打ち上げは歌舞伎町裏路地の中国人しか来ない上海料理屋。アンドレアはパクチーを気にいり、何回もお代わりする。ここは本当に美味いうえに、隠れ家みたいに長い出来るのがいい。菊地成孔とメシを食うと美味いもんがさらに美味くなる。ライブ盤の発売は7/25。DIWから。正統派ジャズの自信作です。
JAMJAM日記号外 ギターオークション
Date: Fri, 19 Apr 2002
JAMJAM日記号外/中古&ヴィンテージギターのガレージオークションセールです
度々何度もすいません大友良英です。楽器(ギター)に興味の無い方はこのメール捨ててください
新たにギターの購入を検討中につき以下3点、一番いい値段をつけてくださった方に落札します。とは言うものの本格的なオークションではないのであくまでも落札者がダブってしまった場合のみに良い値をつけてくれたほうにそれ以外は基本的にこの値段で売れればと思っていますいずれもケースがないので、なるべく都内、吉祥寺での手渡しを希望しますが無論発送等の相談も受けます
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フェンダー ムスタング1967〜8年製 7万円から
色:水色
GROUND-ZEROやOPTICAL-8でメインに使っていたものです。NOVOTONOやスパンクハッピーのレコーディングでも使っていました。本来ピックアップの上についているマイク切り替えスイッチがこわれてしまい、ストラト用ものもをボディとピックガードを削って強引にとりつけてしまった点と,歴戦の傷が多数ある以外は買ったときのままのオリジナルパーツです。音等のコンディションは良いです。1990年西荻にあったヴィンテージのギターショップで購入。
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エピフォン オリンピック60年代製 6万円から
色:茶
スパックハッピーやNOVOTONO、DCPRGのライブで98年から最近まで使っていたギターです。(本日のオンエアーでも使う予定)購入当初から傷だらけで、見た目はぼろぼろ。ピックガードやブリッジはオリジナルではありません。またブリッジ側のマイクはディマジオのFast Trackに交換しています。一度ネックの根元を折っていますが、勿論修理済みで音等への問題はありません。見た目、音とも渋いパンクな楽器で、今も愛着があるギターです。サンフランシスコのヴィンテージ楽器店で1998年に購入。
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ギブソンUSA SGスタンダード 1996年製 6万円から
色:茶
これはステージでは使っていません。最近サブ用のギターとして中古で購入しました。傷等ほとんどありませんし、多少塗装の焼けやクラックはありますが、楽器としての状態は良いです。ごく平均的な今のギブソンの音がします。
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連絡は以下まで
基本的には今月中のなるべく早い時点で即決できればと思っています。よろしくお願いします
大友良英
Date: Sun, 14 Apr 2002
今回は2月後半、冨樫森監督作品の作業風景から
ところで本日デレクベイリーがジャズのスタンダードを演奏している新作「Ballads」をゲット。いやもう、このひとは何を演奏してもほんと綺麗な音で・・・、部屋で爪弾いているような、ベイリーのある日の風景を見ているような感じで、今も,これ聴きながら書いています。まじ、すげえいいですよ。
あ、それからOTOMO YOSHIHIDE NEW JAZZ ENSEMBLEの新作「DREAMS」も出ました。PHEWさん戸川純さんの歌をフューチャーした歌物です。それから、3月に録音したOTOMO'S NEW JAZZ QUINTETのライブ盤は無事マスタリング終了。7月25日DIWより発売です。はじめて本格的にジャズギターをひいたアルバムでもあります。どちらも自信作です。お楽しみに。
では日記をどうぞ。
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@月@日 パリから帰国早々冨樫森監督と音楽打ち合わせ。相米慎二の「ラブホテル」や「台風クラブ」で助監督をつとめていた彼はオレと同じ年の42歳。昨年撮った「非バランス」で、相当評判になっている切れ者(しかも男前)だ。今回は小学生の男の子と中学生の女の子の恋愛を軽いコメディタッチで描いた作品「ごめん」。う〜ん、なんだかタイトルはいかしてないが、ラッシュを見ると内容は抜群にいい。どこにどんな音楽を入れるか監督やスタッフとあ〜でもない、こうでもないと議論をめぐらす。
@月@日 音楽方針がだいたい固まってくる。なにかとつとつとした不器用なバンジョーの響きと、カリプソの4コードがず〜っと頭を駆け巡り出す。友人からバンジョギターなる珍楽器を借りてデモ作成。早々皆に聴いてもらう。バンジョーのほうはまずまず好評。が、カリプソは一番年配のプロデユーサーからベラフォンテの曲に似すぎてないかとの指摘。あららら、確かに良く似てる(苦笑)。すかさず方向修正。ちなみに指摘してくれたのは70年代ATGで日本のインディーズ映画を世界に知らしめた敏腕プロデューサーの佐々木史郎氏。彼はドリフの「8時だよ全員集合」の構成作家でもあった。僕らの世代は好むと好まざるとに関わらず、皆彼を通過してきているわけだ。
@月@日 吉祥寺GOK SOUNDにて録音。今回は10人編成の部分だけめずらしく丁寧にスコアを書いた。打楽器の高良久美子が「この譜面誰に書いてもらったの?」なんていいやがる。「うるせえ、おれだって本気だしゃ、こんくらい書けるんだよ」ま、いつもきたない譜面ばかり見せられているオレの映画音楽の常連らしい言葉でもあるか。彼女はオレの映画音楽には欠かせぬ存在だ。こんなへらずぐちをたたき合いながら録音はいい感じでさくさくと終了。ちなみにここGOK SOUNDのチーフエンジニア近藤祥昭氏とは十数年の付き合い。GROUND-ZEROのサウンドも、映画「青い凧」のアコースティックな音も近年の作曲作品の音響も全てここから生まれた。偶然だけれど、近藤さんは高校の先輩でもある。ただしオレがはいった時に近藤さんは卒業したので、在学中には会ってない。さらにその先輩には遠藤ミチロウ氏がいたらしいけれど、年齢が違いすぎてこれも面識ない。それに高校たって、かなりさぼってたし、いつのまにか、ずぶずぶと音楽のとりこになって、成績はいつも学年最下位、驚くくらい勉強しなかった。春休みにせっせと図書館にかよって出席日数不足と赤点の分をおぎないやっと卒業。卒業に尽力してくれた担任の大内先生には感謝の言葉もない。あ〜もう長いことご無沙汰しちまってる。
@月@日 ダビング。フィルムに台詞や効果音、音楽といった音を丁寧に貼り付けていく作業。オレが一番好きな工程だ。ここで見ることが出来るサウンドエフェクトマン達の職人技は高度な作曲、あるいは高度なコラージュやリミックスに匹敵する。いやそれ以上だ。ばらばらだったいくつもの音と絵が、時にひとつに、時には別々の運動体のように意味を持ち出す。やっていてドキドキする瞬間だ。今回は初顔あわせのエンジニア深田さん。やることひとつひとつが見ていて本当参考になる。が、こともあろうに、ちょうとダビングスタジオにはいった日に恒例の花粉症が来てしまった。こいつが始まると集中力が落ちる。あ〜もう。ティッシュの箱をかかえながら監督、助監督、プロデユーサーの久保田さんや佐々木さん、美由紀さん、編集の川島さん、スクリプターの透子さん、そして深田さんなんかと、ああでもないこうでもないと意見を戦わす。ところが意見を言うそばから鼻水とくしゃみ。さまにならないこと甚だしい。
@月@日 深夜、フィルム完成。満足。いい映画になったと思う。いつも1本終えると体はボロボロだ。冨樫監督とは長い付き合いになる予感。もうこれはオレだけの、誰にも理解されない感じ方かもしれないけれど、相米監督の遺作になってしまった「風花」もその前の「あ、春」も、いやその前の「夏の庭」や「お引っ越し」も、実はみな再生のための死を見つめる物語で、だからその先の再生の話を相米監督はいつか撮りたかったはずで、でも、安易な再生話なんて、相米オヤジはクソクラエだったはずで、そうなるとその先に本当に再生の話があるんだとしたら、それは今回の「ごめん」みたいな話なんじゃないかなって。そんな訳で、表面上のスタイルとか方法ではなくって、本当の意味で相米監督の意志を冨樫監督が受けついでいるような気がするんだけど、違いますかね、監督。こんなこと一人でグダグダ書いてもしょうがね〜か。そんなことより映画、ぜひ見てやってください。今年の暮れに公開予定です。
追伸:
テレビを見てたら花粉症にヨーグルトが効くってんで、藁をもつかむ気持ち、毎日ためすこと1週間。あれだけ治らなかった症状がみるみるよくなり2週間後には、ひどい症状はほとんど出なくなった。皆に効くわけではないかもしれないが、少なくともオレには効いた。インキャパシシタンツの美川さんも効いたといっていたから、間違いない。ちなみに、ヨーグルトはちょい高めの生乳100%で砂糖がはいってない天然もの。これだと美味いし、ほとんどヨーグルトを食う習慣のなかったオレでも毎日食える。
大友良英のJAMJAM日記2002年1〜2月号(2001年末、2002年1〜2月)
Date:Tue, 5 Mar 2002
どもども、半年ぶりのご無沙汰です。
@月@日 下北の台湾料理屋。安藤尋監督、漫画家の魚喃きりこさん、脚本家の本調有香、殺し屋一で一躍脚光をあびたプロデューサーの宮崎大さん等と忘年会。昨年やった映画「blue」の完成記念の打ち上げだ。安藤監督とは日本の映画人の中ではもっとも古い付き合い。一緒にやるのは今度が3作目になる。でも、考えてみたらプラベートで会うのは今回がはじめてかもしれない。だいたい現場以外で、めったに仕事仲間とあうことないもんな〜。安藤監督の酒グセは有名で、泣くは、歌うは、裸になるは・・・らしいのだけれど、ま、今回はそれも少々楽しみ。
映画のほうは、録音編集したのが昨年の秋。ここのところ密に仕事をしていた相米監督が死んで、なんだか抜け殻みたいになっていたときの仕事だった。ところが、こんな時に限っていい仕事をするもんだ。2時間を越える作品中、音楽はわずか4分しかついていない。手を抜いた訳では無論ない。実際使われた4分以外に40分もの使われなかった音楽を録音しているのだ。原作者も含めた音楽案の打ち合わせに始まり、スタジオでもわずか4分のために、4人のミュージシャンや監督と面を突き合わせながら何度もやり直した。監督がとにかく粘る。絶対にあきらめない。もうこちらも腹を決めて何度もトライする。こういうときのやり直しは嫌いじゃない。人数が沢山動く映画だと、なかなかここまでは出来ないし、低予算だからこそ逆に出来たやり方かもしれない。気づいてみたら相米ショックも忘れて映画にはいりこんでいた。結果にも強力に満足している。安藤監督感謝してるぜ。
作品の公開は多分今年の夏。オレが関わった作品の中でも3本の指にはいる傑作だ。ぜひ見てほしい。サントラCDリリースのほうもお楽しみに。さすがに、CDは4分ってわけにゃいかないので、新たに録音したりして出す予定。
あ、で、忘年会のほうはどうなたかってえと、いやもうお噂どおりで、とてもここには書けないっす(苦笑)。頑張れ、安藤!
@月@日 デートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン新年会。え〜と、なんだかあまりの長い名前に?マークの人も沢山いらっしゃると思いますが、これは朋友菊地成孔の大編成ファンクバンドの名前。あまりに長いので身内はみんなデトコペ呼ばわりしている。ちなみにメディアではDCPRGって書かれることが多い。オレはこのバンドのギタリストでもある。で、その新年会がなんと浅草橋発の屋方船だってえじゃないの。バンマス、粋なはからいじゃござんせんか。もう口調まで江戸落語のようになって、なぜか気分だけはおはるの漕ぐ舟に揺られる剣客商売の秋山小兵衛。
浅草橋の駅をおりるとなんだか下町って風情で期待がふくらみますねえ。で、早速船内へ。畳の匂いがぷーんとしたりして、なんかいいじゃないの。25歳から50歳まで、こわもての男ばかりのメンバー11名もこの日はみな上機嫌だ。全員そろうまで待つこと15分。なんかおもったより揺れる船に不安を感じ用意してきた酔い止めを1錠。揺れるとはいえたかだか隅田川くらい大丈夫っしょ。小船は止まっているときのほうが揺れる・・・って、確かなんかで読んだような気もするし。羽織袴姿のバンマスと着付けの着物美女Kさんの登場で船内は一気に正月気分。薬が効いてきたせいか、酔いも止まってきた。香港のフェリーでさんざん鍛えたこの体、まだまだ衰えてないな。ゆっくり船が出るってと、さっそくビールとお通しがはこばれてくる。「あけまして〜、カンパ〜イ」下戸のオレはウーロン茶でかんぱ〜い。次々運ばれてくる美味そうなてんぷら。さ〜てどれから食おうかななんて、テーブルをしばし見つめたとたん、あ〜来てしまった、激しい酔いだ。こうなるともう江戸情緒もへったくれもない。船はただの拷問台、てんぷらの匂いすら吐き気の原因になってくる。くそ寒いのにひとり窓際にいって風にあたりながら酔い止めをもう一錠。遠くで皆わいわい楽しそうにやってやがる。なんか、この風景、昔経験したぞ。なんだったかな〜。さらに次々運ばれて来る料理の数々。「うめえ」料亭の伜だったバンマスが遠くであんなこと言ってやがる(あとで聞いたらバンマスもすごい酔いにこの後ダウンしたそうだ)。あ〜てんぷら食いてえ。こうなったらドーピング、酔い止め沢山のんでてんぷら食ってやる。15分後。突然ハイになって戦列に復帰。少し冷めたてんぷらを食いながらみなとわいわいしたのもつかの間、ものすごい眠気が襲ってくる。遠い意識のなかで、バスの中でげ〜げ〜吐いてる自分を思い出す。子供の頃の遠足だ。遠くで皆がおいしそうにおやつなんか食ってやがる。あ〜オレも食いてえ。
どのくらい時間がたっただろう。目が覚めると、テーブルには食い散らかされた食器類。「おおともさん、ついたよ、ついたよ」えっ? ここは? 船はもう桟橋についていた。くそ〜、なにが江戸情緒だ、なにが秋山小兵衛だ、もう屋方船なんて2度とのらねえぞ〜(涙笑)。(その後、ほうほうの体で帰宅後20時間ベッドから起き上がれず、約束をとばしてしまった上、さらに翌日のライブ中も椅子がないと駄目なくらいふらふらしていた。子供じゃあんめえし酔い止めでらりってどうすんのよ。 みなさんドーピングはやめましょう。)
@月@日 昨年の9月11日以降、飛行機はいつもガラガラで、4席取って熟睡みたいな楽な旅が続いたのに、今回2月のエールフランスは満席。喉元過ぎればってやつなんですかね〜。でも今回はオーバーブックでビジネスクラスをゲット。これだけ旅をしてると2年に1回くらいはこういうこともある。あ〜もうなんて楽なんだろ。「ビジネスクラスじゃなきゃ行かねえよ」なんて言える身分になってみてえ。
今回はパリでは50人のエレクトリックギタリストの為の作品を上演する。奇才バイオリン奏者ジョン・ローズがキューレートするローゼンベルグ・ミュージアムというフェスのエンディングを飾るイベントだ。彼との仕事も数年ぶりだ。50人とはいえ、来るのはパリの地元のアマチュア・ミュージシャン達だ。立派な技術がある人達ばかりじゃない。というか、むしろメチャクチャなやつらばかりといってもいいくらいだ。
オレが考えたアイディアは地下から3階まである会場のいたるところにギタリストを配置して、一切弦には手をふれずに、ギターを静かにフィードバックさせるというもの。静かにってところがミソだ。ボリュームを微妙に調整して、フィードバックするかしないかのところでずっと音をだす。ギターの最も美しい音のひとつだ。こまかいルールはあるが、基本的にはこの方法一発で、ビルディング中が楽器のように鳴り出すはずだ。ただこのアイディアだと、参加者がみなと一緒にやってるという満足感が得られにくいという主催者の強い要望で、最後には全員が一つの部屋にあつまり、音を出してエンディングにすることにした。「ここの連中は集団の作業が出来ねえぞ」ジョンがにやりと耳うちする。
当日、いかにも悪そうな顔、ひとくせもふたくせもありそうな顔の連中が50人集まってくる。うわ〜、みんな本当に言うこと聞いてくれるの? こまかいルール、音の出し方、基本コンセプト等を英語で説明、それを主催者がフランス語に訳して皆に伝える。飛びかう質問、結構やる気あるじゃん。早速場所とりからはじめる。いくつかコンサートがあった後、いよいよ本番。オレはただビル内の皆が配置されている場所にいって、音を聴くだけだ。開始時間、いろいろなとことから静かにフィードバックが始まる。ビル内を歩くとクラデーションのように音世界が変化していく。アンプのサ〜というノイズすらいい具合に音楽になっている。皆いうことを聞かないんじゃないかと心配していた主催者達もすれちがいざまに「サクセス!」を連発していく。実際今まで経験したことのない音世界に、オレ自身が驚いている。すげえ〜。が、完璧にうまくいったのは最初の20分だけだった。ジョンが心配したとおり、ストイックな演奏に我慢しきれなくなり好き勝手なことをやり出すやつが出てきたのだ。延々とソロをとるやつ、ギターを床に押しつけてジミヘンばりのことをやるやつ・・・。それに触発されてパンキッシュにはねまわるやつ、あきらめてウィスキーのボトルをポッケから取り出してすわり込む奴。いつのまにかバーのカウンターで女の子としゃべってる奴。オレは笑いをこらえながら歩き回わった。次は何をしでかす奴が現れるやら。それでも半分くらいのギタリストが曲をキープしてくれているおかげで、実のところ、曲自体はまったく破綻しなかった。むしろ面白いバグがそこここで起こって、楽しいくらいだ。
1時間近くたち皆がひとつの部屋にあつまりだしころには、オレの曲なんて、すっかり消し飛んで、みなサーストン・ムーアやアート・リンゼイ、灰野敬二になりきっていた。あはは、レニー・クラビッツもいやがる。カオス! でも、こんなピースなカオスなら大歓迎だ。なにがおしゃれなパリだ。もうおかしくって大笑いした。わかった、わかった、止めねえから行け行け! やりたいだけやれ!
朝までやれ〜!