契約
何度かの打合の結果、最終的にプランを決定したが、この打合の間で設計士から提示があったのは、フリーハンドの平面図だけであった。
多分工務店との契約は単に平面を決めて確認申請図を作ることるだけでそれ以外は契約の範囲外なのだろう。
打合は工務店の事務所で行うのだが、同じ時期に打ち合わせをしている別の物件を見ていると平面の打合はせいぜい4回(一カ月)で終わってすぐに確認申請用の図面を作りあと一月後には着工っていう感じで進んでいる。
今回はたまたま、土地の引き渡しの関係で時間が取れたこともあり打合は8月から始めて11月まで4カ月かけて行った。
多分設計事務所は赤字だと思う。まあでも土地の契約時にフリープランなので納得するまで打合してくれと言われたし、建物で折り合いがつかない場合は契約を解除できる事になっていたから文句は言えないだろう。
この工務店はこんな調子で年間100棟以上建築するそうだから、普通の人はそんなにこだわってプランを考えるということは無いのかもしれない。こだわる人はちゃんと注文住宅を購入するのだろう。
こんな調子だから、通常は平面が決まれば後はほとんど工務店にお任せで着工してから仕上げの色を決めるくらいだろうと予想できる。
これでは自分の思った通りの家にはなるはずがなく、ここからが工務店との駆け引きということになる。
設計プランが決まった段階で建物の契約となるのだが、通常は仕様を決めて精算見積を行い数量単価がはっきり明示されて契約となる。
ここの工務店の場合は標準仕様(何が標準かはっきりしないが)での坪単価が決まっており、それにこちらから提示したコンセプトシートに書いた項目や工務店の社長に連れて行ってもらった工事中の建物を見てこんな感じの仕上げ材を使うとの説明だけで根拠も無く “いくら” の一声で追加が提示され契約となる。
そもそもこの工務店には社員が2名しかおらず、明細見積を作る機能も現場を管理する機能も無いことが判ってきた。
まあ、見積や管理のために人を雇いその人件費でコストアップになるよりは決められた単価で追加仕様も社長の感覚で決める位の方が経費節減効果が大きいのだろう。丼勘定を絵に書いたような進め方だ。
私も建設業に携わっており、ISOで品質を確保するために、決められた手順を踏まないと先に進めない環境にいると何とも頼りなくともすれば暴利を貪られるのではないかと心配になる。
ここの工務店は社長の気分で追加が発生したりしなかったりするが、今回は、外断熱壁内通気の工法を工務店として初めて行ったり、仕上げも極力無くして木の質感を出したいという考え方に共鳴してくれたため社長も大工の棟梁も積極的に取組んでくれた。
普通ならできるだけ今までの慣れたやり方で効率的にこなす方が楽だし儲かるはずだがこんなにこちらの言うことを聞いてくれるというのは、私が、一級建築士をもっている事への遠慮とは違う工務店関係者の人柄に因るところが大きいと思う。
とはいえ非常に不安なスタートなので、この工務店のやり方でも損をしないように何とかしようと思ったのは事実である。
平面図への書き込み(どこに棚がほしいとか)を細部まで事務所の先生へお願いしたことと、契約前にできるだけ細かく仕様を決め込むこと、また着工後は細かな収まりまで、材料の手配や刻みをする前に指示することを心掛けた。
|