心の中に「思い出」として残っているものは、いったいどのようなものだったろうか。
それは人との出会いであったかもしれないし、 物とのふれあいだったかもしれない。
場所・時間・匂い・皮膚に 残っている感覚までが、私自身の「思い出」の大事な成分になって いることに気づかされる。
このようなさまざまの事柄が「思い出」と してしっかりと心に残るとき、私は人間に生まれて本当によかったと 合点し深く感謝するのだ。
またそんな「思い出」が心の中の多くの 部分を占めてくれるように願うのだ。
楽しいばかりが思い出では ないかもしれない。
しかし、そのときそこで経験したことが今現在の 私自身を作りあげていると本当に思えるようになったとき 「思い出」の役目がひとつ終わるのだと思う。
そんな「思い出」たちを ここに、ひとつ、ひとつ取り出して、今もう一度手にとってゆっくりと 眺めようと思い始めている。
野村貞方