D-1感想集
★審査員の松原隆一郎氏(東京大学教授/大道塾4段・柔道3段/超ジャズファン)日記
『中年空手家日記2007年度版』より
http://homepage3.nifty.com/martialart/buisiness..htm
★戦場ジャーナリスト&バグバイパー、加藤健次郎氏のレポート/東長崎機関
http://www.higashi-nagasaki.com/d2007/D01-2007_022.html
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よりデカく、より速くあれ!
雷サマに憧れる向こう見ずなドラマー集まれ!
上手いドラマーじゃない。『スゴイ』ドラマー求む!
河口仁 筆/PCアレンジ(のなか悟空)
第1回、『D-1ドラム選手権』とは?
優勝者にはナイロビ往復の切符!
ウダウダ言うな!ドラムはパワーじゃ!
パワーだけで勝負するコンテストがあってもいいじゃないか!
K-1があり、J-1もF-1ももある。だったらDrumsの一番があったっていい。
名付けて『D-1ドラム選手権』。
♪並外れてデカイ音を叩ける(愛する)者は、並外れて小さな音も叩ける(愛する)。並外れて速く叩ける者は、並外れて遅くも叩ける。それだけ音のダイナミッレンジが大きく、音のキャパシティーが広いのである。その度量を擁したドラマーが音楽を表現するとき、並外れた表現が出来る。これもひとつの音楽性であろう♪
主催
のなか悟空
期日/場所
★期日=2007年4月8日(日)PM6時ゴング予定。
★場所=新宿ピットイン
★ステージに数台のドラムをセットし、シード、友人ミュージシャンたちの推薦、DVDで応募して合格した者、下見で合格した者、自宅に来て手合わせした者たちが勝ち抜き戦をする。勝敗はジャッジの判定。客の拍手も参考にするかも?
審査員(ジャッジ)
副島輝人氏(ジャズ批評家=生けるフリージャズの語り部)
松原隆一郎氏(東京大学教授/大道塾4段・柔道3段/超ジャズファン)
鈴木寛路氏(新宿ピットイン/マネージャー=ジャズを聴く耳とドラマーを観る目は秀逸)
★選考には一切の贔屓(ひいき)、義理、人情は介在しません。
司会・音頭とり
のなか悟空
曲/テンポ
曲には一切こだわらず、テンポもフリー。ドラマー同士の駆け合い妙技合戦。デカくて速くて、音楽的センスのある者勝ち。
マイクやPAは一切使わない生音で勝負。
D-1を思い立った理由/のなか悟空
20年ほど前のことだ−−−。
あるジャズ喫茶のマスターがオイラに言った。
『いつかジョージ川口と森山威夫と悟空の3人でドラム合戦をやりたいんだよね。』
以来、その言葉を頼りにして、ジョージ川口氏や森山威夫氏にも負けないくらいのドラムを叩けるように精進してきた。ところが、今やジョージ川口はこの世の者ではなくなり、森山氏もそこそこのトシになってしまった。一方こっちとらもトシを取ってしまい、足腰や間接の節々が痛むようになってきてしまった。
もはや20年前のジャズ喫茶のマスターの言葉は、単なる夢で終わった。ならばどうするか−−−じゃあ、自分でやりゃあいいじゃん!というわけで、自分が主催して、これからの若者たちに夢とチャンスを与えてやればいいのだ−−−これがD-1を思い立った理由である。
二十数年前に地平線会議を通じて高野孝子氏の提唱した<ライデルフィナス頑張れ基金>で、『ザイールのモンゴ族の伝達用ドラムの習得』のために、20万円を援助された(ただしザイールの内戦と政情不安が数年間続き、実行に移れなかったため返却した)がヒントになったことを、感謝しつつ申し添えておく。
この企画に賛同し場所を提供してくれる新宿ピットインと、商品を提供してくれる星野楽器製造株式会社(TAMA)には、大いに感謝するものである。
副島輝人氏/談
野中悟空が、2007年4月8日に新宿ピットインで『D-1』というイベントを開く。K-1やF-1になぞらえての『D-1』である。要は、誰が一番大きな音で、速く叩きまくるかという闘いのイベントだ。出演対象は若手(全くの無名でもいい)ミュージシャンで、いま参加者を募っている。優勝者にはアフリカ行きの往復航空券が授与されるという。私は、野中に審査員の一人を依頼されて引き受けた。
バカデカイ音でガムシャラに叩きまくることだけがドラミングではないことは、百も承知している。しかし、一人のドラマーの卵が、まれて初めてドラムセットを前にしてドラムチェアーに座り、スティックを握った時に「とにかく出来るだけの大音響で、誰よりも素早く叩こう」と思わない者はいないだろう。フレーズや音色、グループのサウンド・バランス等はその後の話だ。ドラマーの初心、《原点》である。いや、ドラムに限らず、サックスでも何でも同じだろう。
ジャズの祖と云われるトランペッターのバデイ・ボールデンの名は今日まで残っているが、彼は広い湖の此岸から遠い対岸までのラッパの音を聴かせた唯一の男として知られたのが出発点だったという。当時のマーディグラの祭では、山車の上にトランペッターを乗せて市内をねり廻ったが、狭い道の両方から山車が入ってきてかち合うと、双方のトランペッターがバトルを行い、どちらが大きな音量で、早いフレーズで、またどれだけの高音が吹けるかを競い、負けた方はバックして道を譲らなければならなかった。バディ・ボールデンの乗った山車は、連戦連勝だったという。そしてジャズには昔からドラムバトルというものもあった。
ドラマーは、特に音の大きさを意識するようだ。アート・ブレイキーは彼の演奏を「ナイヤガラ瀑布」と呼ばれて喜んだ。ジョージ川は、彼の子供の名前に「雷」の字をつけた。彼はコンサート・ツァーで船に乗った時、頭のすぐ上で汽笛がブオーと大音響で鳴るのを聴いてメンバーだったテナーサックスの中村誠一に「おい、誠一。あの音を出せ」と云ったと中村に聞いたことがある。こうした感覚は、アコースティックの楽器を手にする者の特権だろう。
「我こそは」とか「腕に覚えがある」と自負をもつドラマーが『D-1』の場に参加して、熱いバトルが繰り広げられることを期待している。その中から必ず明日を担うミュージシャンが出現するのだろうから。
(ジャズ評論家 : 副島輝人)
賞品
めでたく初代D-1チャンピオンになった者には、、
優勝=ナイロビ往復のオープンチケット(3-6ヶ月オープン。安い時期のマイナー・エアーに限る)。
★狭い日本の中だけではなく、アフリカの鼓動とリズムを、自らの目ん玉と耳で確かめて来いや。現地滞在費や留守のアバート代は自分で工面すべし。留守の間にカノジョ盗られても知らないょ。また現地で事故などに遭ったり、マラリアなんかで死んじゃったりしても責任は持たない。予防注射代は自分持ち。ドラムの道はキビシイのだ。
★優勝者は自分でパスポートを取得すること。ナイロビ行きの時期を特定したら(航空券の安い時期に限る)、ケニアのビザを取得すること。その連絡を受けたら野中がナイロビ往復のオープン・チケットを購入し、優勝者に渡す。これまでの経験からエジプト航空(カイロにて20時間くらいのトランジットあり)を考えている。
2位=TAMAスネアードラム(提供=星野楽器製造株式会社)
★2位決定戦は無く、審査員3人の推薦による。したがって緒戦で敗退したとしても、2位の可能性は残る。
★商品はStarclassic Maple Snareの中から、14"x4"、14"x5.5"、14"x6.5"、左記3種類の中からひとつを選択して、色は4月の時点での最新カタログから選択。
<注意>
*出場者は優勝か2位にならないと、いっさいのギャランティーは発生しません。
*D-1選手権に於いて、頑張りすぎて死んじゃったりしても、一切責任は負いません。
出場ドラマー
★シードのなか悟空『バチ当たりドラマー』
人生を棒に振っている男。自分が優勝して、アフリカ行きチケットを自分で使うつもり?
「へへ、アフリカ行きチケットはワシが使うぜ!」
★HIKO『ドラム原人』
その筋では有名なハードコアバンド、GAUZEのドラマー。
「謹んで返り討ちにさせていただきます。なんちて。よろしく哀愁です。」
★夘木(ウキ)『我儘な神の手』
のなか悟空が初めて森山威雄を見た時よりも驚いた青年。
「向けて精進します!」
★MASATO『ジ・アウトロー』
DVDで応募=音の抜け、ドラミングのシャープさが光る。タツーもスキンヘッドも光るぜ!
「是非とも参加したいです!!」
★山岡『カミソリドラマー』
スピードと繊細さをあわせ持つ。次世代ドラマーのひとりだ。
「当日は死ぬ気で叩かしてもらいます。」
★シード大沼志朗『必殺ドラム仕置き人』
ジャズ・ドラム界の門番、ニヒルな熱いドラミング。
「のなかチャンの企画って、全くしょーがねぇなぁ・・・でも、やっちゃうよ!」
★シード小山彰太(予定)。『元祖カミソリドラミング』
ご存知!カミソリドラミングの本家本元、ジャズ・ドラム界の大先輩。
「俺、ブラシ使っちゃうよ(脅し?)。またナイロビ行きたいなぁ。」
★シブケン(渋谷賢一)『変拍子の鬼』
ドラムとベースのデュオ「色張片(いろはるかた)」のドラマー
徹底したクラッシックのルーディメントに裏付けされたテクニックは脅威だ。
「出るからには、上位入賞くい込んで、優勝狙っていきたいです!
ナイロビ3ヶ月間行けるということなので、スケジュールあけときます(笑)!」
★弓座(ユミザ)『筑波の金太郎』
TAMAドラムを駆使して、怒涛のまさかりドラムソロじゃ。
「まだまだ未熟者ではありますがお手合わせ願います。」
http://hp9.0zero.jp/172/FLARE/
★竜巻太郎 『まさに天災破壊!』
DVDを見てあまりのバカさに大笑い。格闘技をやってもそこそこ強くなりそうだぜ。彼を見るとまさにドラムは格闘技だと納得できる。
『先走りした心と腕が止まりません。先輩たちに負けたくありません!やるからにTOPをねらうぜ!!』
★若杉大悟 『小山彰太氏の肝入り』
むむ、もしかして小山彰太氏、師弟で1,2位を狙うつもりか?
『頑張らせて頂きます!}
<組み合わせ>
組み合わせはジャズとロック畑が対戦するようにした。
また悟空自身、Aプロック(左側4人)のうちヒコと山岡とは対戦経験があるため、Bブロックのシードを選んだ。
<見どころ>
Aブロック
テクの山岡VS豪快な弓座
馬車馬パワーのヒコVSテクのシブケン
これらの勝者に、ジャズドラムの門番、大沼志朗がどういったバチさばきで対応するのか?見ものである。
Bブロック
スピードの卯木VSアウトローのマサト
天災パワーの竜巻VS未知のテクニシャン若杉
それらの勝者に悟空はどう対応するのか?おバカなドラムに作戦はあるのか?
決勝
以上を勝ち抜いた勝者が、テクニックでは日本屈指の小山彰太氏に挑む。
果して、結末は----?
★序盤は10分全力疾走
★2回戦15分全力疾走
★第一シード対決20分全力疾走
★決勝25分バトル
★ファイナルシード対決30分
各々の入れ替え時間は5-10分
開始から終了まで3時間−3時間半の予定
<ルール>
*2バスはダメ(スペースが無いため)。
*ツインペダルは対戦相手がツインぺダルならツインOK。片方がシングルのペダルなら、相手もシングルにすべし。
*招待(楽器運搬手伝い)は出場者1人に付き、1人だけ。だって出場者全員が数人ずつ招待すると、店が一杯になっちまうから。売り上げが上がらず、店にも申し訳ないから。
*ソロの掛け合いなどは、指揮者(段取り担当者)が指示する場合もあるので、指示に従うこと。
*ラウンド終了のサインがあったら、とっととドラミングを止めること。
*勝者はドラムをステージの片脇に寄せ、敗者はドラムをサッサと片付けること。ただし決勝後の審査によって2位になれる可能性があるので待機すべし。帰ったらその権利を喪失する。
*当日はセッティング、打ち合わせ等があるので、早めに来店のこと。
*店に備え付けのドラムは無し。自分で叩くドラムは自分で用意すること。ただし相手の承諾があれば、出場者同士での楽器の貸借は可。事前に双方で確認のこと。例=のなか悟空は大沼志朗氏にドラムセットを貸す。
★叩きすぎてスネアーヘッドが破れる可能性アリ。スペアのスネアーを用意するに越したことはないぞ。
★判定で敗れてもクサらないこと。人それぞれの個性や好みがあるし、音楽は特定の好みやジャンルに束縛されるものではない。
<出場者心得>
★遅刻は失格。対戦相手の不戦勝とする。
★事前にセットアップし、ステージのすそで待機すべし。
★判定の勝者はセットをコンパクトにし、またステージのすそにもどし、次回の対戦に向けて待機すべし。
★判定で敗れた者はとっととドラムセットを片付けること。敗者復活戦は無いが、もしかすると推薦で2位になるかもしれないので、帰らない方がいい。
総評 松原隆一郎(東京大学教授)
『中年空手家日記2007年度版』より
http://homepage3.nifty.com/martialart/buisiness..htm
(4月某日)
ジャズクラブ新宿PIT INNにて、親友であるドラマーののなか悟空が驚愕の馬鹿企画挙行。題して「D−1選手権」、八人の若手ドラマーが二人ずつステージでドラム合戦を繰り広げ、トーナメントで勝ち上がるという趣向である。私は評論家の副島輝人先生、PITINN支配人の鈴木寛路氏とともにジャッジ。赤と青の旗を持ち、どちらかを挙げて判定する役だ。
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老舗としてジャズクラブの最高峰であるPITINNがよく受けてくれたなあとは思ったが、始まってみるとこれがまた最高のイベントだった。ステージに二台のドラムをセット、のなかの「はい、始め」の合図で全力疾走で叩くのである。一回戦は10分、二回戦は15分、三回戦20分、準決勝20分、決勝20分をソロでもたせようというのだから体力気力技術の限界に挑む闘いである。
トーナメントがよく出来ていて、若手同士に体力勝負をさせた後でのなか、大沼志郎、小山彰太というシニアと対戦するのである。もっともこれはエキジビションに近く、若手同士がつぶし合いをするところを逆にシニアが若手良いところを引き出してやるというもの。しかしそうはいっても食われるだけではいけないので、勝たせてやるとは言いながらも余程の自信がないと受けられない。まあ、ガチスパーで選手の相手をしてやる師範といったところか。
私たちジャッジはステージの真ん前、ドラムから二メートルのところに陣取る。生音直撃である。観客は満員、立ち見まで出た。さすが、これだけおかしな企画には鋭く反応する人がジャズファンにはいるものだ。マスコミは、音楽関係は来なかったが、東スポが来てくれたところが素敵。模様は新聞に出るだろう。
他の楽器が入っていなかったので、アンサンブルという音楽的な観点は関係ない。対戦相手にいかに上回るかというドラム・バトルである。意外や、本当に格闘技に似ているのだ。というか、音楽性では敗者にも素晴らしいテクニックや趣向がある。しかしここは大会の趣旨を生かして、私としては「格闘技として」とらえることにした。他意はないので、判定で敗者にした諸氏は気を悪くしないでいただきたい。トーナメントでもあるし、この対戦はふだんとはかなり別の演奏をしなければならない。その辺りが自分の格闘技体験からしても実に面白かった。
(一回戦)山岡vs弓座。いきなり、弓座が戦略を駆使。山岡に叩かせて、すべての局面で音量で上回るという作戦だ。せっかくの山岡のテクニックがすべて巨漢の出すでかい音に塗りつぶされてしまった。
HIKO vs シブケン。シブケンは変拍子ばかりという奇妙なドラマーで秀逸だったが、ハードコアバンドGAUZEのドラマーである坊主頭のHIKOのアタックが強い。というか、タコのようなヘンな顔をし続けたのがおかしくて、私はこちらに挙げた。
卯木vsMASATO。卯木はテクもあり体幹が安定していて音量も速度も出せるタイプ。タトゥーだらけのMASATOはなんというか、色気のある演奏をする。ドラムを抱きしめるようにして雄叫びを上げるのだが、これはちょうどサンドバッグを30分も蹴っていて、たまにすこーんと抜ける感じがあって恍惚とするのに似ている。会場もふたりの演奏に聴き惚れて、思わずアンコールが出るほど。2−1で負けたが、私はMASATOに旗を上げた。いやこれ、格闘技の稽古そのものだよ。休憩中に美女に呼び止められ、立ち話したら、驚いたことに阿佐ヶ谷の飲み屋で五年も前によく会った女性。MASATOの彼女なのだそう。この奇縁は、好きなものが同じだからとしか思えない
。
竜巻太郎vs若杉。若杉は小山彰太の弟子、なるほどそっくりの演奏をする。ところが相手が今回の台風の眼となった竜巻太郎。これが本名だというのがおかしいが、演奏にはぶっ飛んだ。いきなりドラムを対戦相手に向けて、椅子から立ち上がって挑発しつつ叩くのである。モヒカンで風貌はボクサーの「悪魔王子」ハメドにそっくり。舌を出し頭を高速で振り、頭突きで太鼓を叩くに至っては何をかいわんや。しかし強烈なリズムが印象に残り、勝ち上がった。
(二回戦)
弓座vsHIKO。これがまた格闘技として傑作。巨漢の弓座はスタミナが切れたこともあり、テクを生かし掛け合いに持ち込もうといったん音を止めるのだが、HIKOはまったく無視して轟音で出し続けたのである。フェイントをかけてもまたく見ておらず、強力でつっこんでくるタイプだ。しかも音量でも弓座と同じ。これはHIKOの無視作戦が生きた。しかし、バンドでこれやったら大目玉を食うな。格闘技戦ならではの勝利である。
卯木vs竜巻。卯木が正当派なのに竜巻が変態で行くのかと思いきや、一気にスタイルを変えて、正面突破で来た。信じられないことに、竜巻は対戦相手によってスタイルを変えることができるのだ。しかも、演奏中にスティックを投げ上げて受け止めるという小技まで出してきた。トーナメントで試合ごとに相手を見て戦い方を変えようという格闘家の心意気に感じて、竜巻の勝ち。しかし卯木もただ者ではない。
(三回戦)
HIKOvs大沼。実はこの二人、バンドを組んでいるらしいのだ。大沼さんとは五年ぶりくらいか、旧交を温めたが、相変わらず優しい演奏だ。一本調子で強烈な、三瓶啓二のような組み手のHIKOにいろいろな技術を出させるように、し向ける。手のひらで踊らせる感じ。しかし判定としてはHIKOに。
竜巻vsのなか。竜巻はどうやらのなかをリスペクトしているらしい。真後ろにシンバルを置き、振り返りざま叩くなど、のなかの見栄をよく研究している。しかしのなかさんって、こんなに相手の音を聞いて反応していたっけ?ひょっとしてベストの演奏ではないかと思ったほどだ。20分やって、最後は二人でシンバルを掲げて中央でどかんと衝突。傑作だった。「延長!!」と判定したのだが、ゲロを吐くために棄権したので竜巻の勝ち。しかしここで竜巻は粋なことをやる。ユーモラスなドラムソロで出演者全員のメンバー紹介をやってのけのだ。ファイターに見えて実に冷静。一時間以上どつきあって冷静というのは、格闘家としてもただ者ではない。
(準決勝)
HIKOvs竜巻。竜巻は引きながら相手に演奏させ、それを上回る作戦でここまで勝ち上がった。HIKOはそれを無視して轟音とスタミナで勝負をかけてきた。その二人がやりあったのだが、最後にHIKOも竜巻に合わせ始める。私としては、小山さんとは掛け合って欲しかったために竜巻に上げる。
(決勝)
小山氏、ブラシで静かに開演。そうしたところ、竜巻はスティックでドラムの縁を叩き、こすり、微少かつ繊細な音で応じる。こいつはまったくただ者ではない。どこまで底があるのだろうか。マレットには指で対抗、最後にドカドカときて、大団円。小山氏のリードで新しい面も出た。あまり使えない言葉ではあるが、天才の出現を見た思いがした。
総じて、ドラムソロだけでこれほど時間を短く感じ、音色や色気の違いを知ったことはない。それは観客も同じ感想だっただろう。日本の音楽シーンに新たな一面を開いたといっても大袈裟ではない。若手はどちらかといえばパンクやロック畑の者も多く、頭の固いジャズファンなら見向きもしないだろう。しかし企画のあり方が音楽の新たな面を見いだすという方向は、ジャズそのものだ。私にとっては格闘技がいまだにジャズであるということも確認できた。のなか氏には不発の企画もあるのだが、今回
のは、まだストリートライブなどという言葉もなかった86年に決行した富士山頂ライブ以来の感銘を受けた。長文を書いたのもそのせいだ。PITINNの名物企画として、来年も決行されるだろう。いまから楽しみである。