多田雄幸氏の思い出
永遠の無欲な少年
<出会い>
突然の出会いは、昭和63年の冬だったか、『アフリカ壮行ライブ』と銘打って、ピット・インで始めてのライブを、副島輝人氏の企画でやらせてもらった時のことだ(この状況はオイラの『アフリカ音楽探検記』に詳細をかいてあるような気がする)。
さて、その時にライブに来てくれたのが多田雄幸氏。
当時、彼は世田谷区で個人タクシーの運転手をやっていたらしいのだが、ジャズが好きで車内でジャズを流していたという。そういった時にたまたま客で乗り合わせたのが副島輝人氏で、一発で意気投合し、オイラのライブがピットインであるのを聞いて、駆けつけてくれたのである。
私は限りなく植村直己氏を尊敬している。そんな話も副島氏に聞いたのだろう。たまたま植村直己氏の友人だった多田氏は、植村氏をサポートして北極圏まで出かけたほどの間柄だったそうだ。『冒険には金がかかるから』。そう言ってアフリカ壮行ライブを終えた私に、現金で10万円もの大金をくれた。これにゃ驚いた!押し返すこともせず、素直に懐に入れてしまったオイラだが、そんな分かりきった見栄やウソなどと無縁な多田氏の笑顔が、オイラを素直にさせたのだと思う。
<それから>