めまい外来
額田記念病院 内科 中山杜人 毎週(月曜日午後・金曜日 午前)一般内科・呼吸器・めまい外来
ぐらっとするめまい、ふわっとするめまい。
もしかしたら脳の病気ではありませんか?
—ぐるぐるまわるめまい、必ずしもメニエール病とは限りませんー
—中高年の人のめまいの裏に重要な疾患が隠れていることがありますー
—めまいを引き起こす原因の一つとして、帯状疱疹ウイルスが悪さをしている可能性のある方が混じっています—
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1.あなたのめまいは本当にメニエール病ですか?
メニエール病は純粋な内耳の病気ですので、65歳以上の高齢の人がメニエール病を初発する確率は非常に少ないです。ただし、若い時に発症し、そのまま継続している方は別です。
そして、ぐるぐる回るめまいの原因は内耳の三半規管とは限りません。特に中高年の方は高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満等を抱えていることが多いので、むしろ小脳や脳幹の障害、つまりこれら部位に血液を供給している椎骨脳底動脈系の循環不全、そして時には、梗塞、出血の可能性が高いのです。
私は以前、回転性めまいのみが2−3時間続いた糖尿病男性の小脳梗塞のケースを経験しています。
さらに、メニエール症候群と診断された小脳梗塞、単に高血圧が原因のめまいでしょうと言われた脳梗塞、回転性めまいで中脳梗塞が判明したケース等、枚挙にいとまがないほどです。いずれも頭部MRIで最終的に診断がつきました。
(頭部CTでは初期の梗塞や小さな梗塞が判明しないことがあります)
2.あなたは「良性発作性頭位めまいですので、原因は内耳の三半規管ですから心配ありません」と言われたことはありませんか?
4年前に出版した医師向けの拙著にも記載しましたが、中高年の良性発作性頭位めまいに酷似した症状の方のMRA(MRで血管を描出する方法で造影剤は使用せず)を調べますと、小脳、脳幹に血液を供給している椎骨脳底動脈の循環障害を思わせる所見が認められることがしばしばあります。
また時には、従来内耳が原因と言われてきた同疾患と区別できない所見でありながら、頭部MRIを撮ったところ、大脳に動静脈奇形や小脳の梗塞が発見されることもありますので、油断出来ません。
平成20年3月24日付けの朝日新聞夕刊に、良性発作性頭位めまいについて「広がる理学療法、薬は期待薄か?」というタイトルの記事が掲載されましたが、理学療法にこだわらなくても、大抵は薬物治療で早ければ2−3日、1週間—10日ほどでめまいは治まります。
一見、内耳に起因する良性発作性頭位めまいのようにみえても、脳の異常だけでなく、心臓病が発見されることもありますので、眼の動きだけで判断すると、背景に別な疾患が隠れていることもあり、注意が必要です。
3.脳動脈瘤とめまい
平成18年の11月の朝日新聞の記事に、激しい回転性めまいを起こし、内科、耳鼻咽喉科、心療内科を受診しましたが、原因不明。後日の頭部MRIで12mmの脳動脈瘤が発見されたというケースが掲載されていました。
このようにめまいの原因が判明せず、ドクターショッピングするケースを見かけますが、私はすでに平成8年からMRIだけでなく、MRAも必ず積極的に調べるようにしておりましたので、このような記事が掲載されたのは非常に残念に思います。
4.くも膜下出血とめまい
ある中年男性で回転性めまい発作を短期間に4回繰り返していた方が、数ヶ月後にクモ膜下出血を起こしたケースを経験しています。
つまり、この方にとってはめまいがくも膜下出血の前兆になったと思われます。
ちなみに、私は著書の中で、めまいを起こした後に脳卒中を起こした確率と、めまい受診時に脳動脈瘤が発見された確率を記載しています。ご参考になれば幸いです。
5.「めまいの原因ははっきりしないことが多い」ということを耳にすることがあります。
確かに原因を特定するのに難しい面はありますが、私はめまいを起こす前の状況(強いストレスの有無とか上を向いて行う作業)や詳細な病歴、その人の趣味(編み物、和洋裁のようなうつ向き姿勢をとる場合)とか職歴を聞くこと。そして姿勢(背骨曲がり)、頸椎症の有無などに注意を払うことが重要と考えております。めまいと頸部の筋肉の緊張(肩こり)との間には密接な関連性があるからです。
中山杜人医師の略歴
栃木県生まれ
1971年群馬大学医学部卒業
1975年同大学大学院(耳鼻咽喉科)卒業
1977年武蔵野赤十字病院耳鼻咽喉科副部長
1982年横須賀共済病院内科勤務(後年部長)
埼玉医科大学耳鼻咽喉科と群馬大学耳鼻咽喉科で非常勤講師を務めた。
めまいについては、耳鼻咽喉科入局以来診療に携わり、1987年横須賀共済病院内科に「めまい外来」を立ち上げ、呼吸器内科診療と共にめまい診療にも従事し、2005年まで継続。以後、額田病院で呼吸器内科とめまいを主に担当。
耳鼻咽喉科:10年、内科:27年、めまい診療歴37年
著書)
「画像と症例でみる内科医のための『危ないめまい・中枢性めまい』の見分け方」
「プライマリーケアー医のためのめまい診療の進め方」、
「アルコール」(共訳)
平成18年11月、福岡市で行われた日本耳鼻咽喉科学会主催の耳鼻咽喉科専門医講習会にて「危ないめまいの見分け方」を講演。
平成19年10月、倉敷市の倉敷中央病院神経内科主催の神経内科セミナーにて、「日常見かける中枢性めまい、危ないめまい」を講演。

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