世界半島会議2000

平成12年10月17日(火)

基調講演レジュメ

「21世紀の半島の観光を考える」

東京工業大学大学院教授
渡邊貴介

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1.日本の歴史の中での半島:これからへの期待

<半島の歴史>
○舟運が外航内航の主体であった時代は、半島と島に最先端の情報・物資・文化が集積
○鉄道・道路・航空交通の時代になって、半島と島は交通条件的に次第に不利になり、工 業化・都市化を中心とする発展からは取り残され、「僻地」「後進地」「過疎地」「貧 乏地域」へ

こうした見方からの転換が可能で必要な時代の到来へ

=魅力と意味付けの再発見へ

<今までの半島>               <これからの半島>

「辺境・僻地」            高度情報化社会では全国各地はみんな横一線

高速交通体系に取り残された    未知の魅力にあふれ、大量化に毒されてない風土
  「後進地」

人口減少・高齢化の     大人の価値観、老練な技が豊かに維持されている社会  「過疎地」

低所得の            工業化が無かった分、美しい白然環境・
 「貧乏地域」          白然風景、人情味が豊富に残る地域
                 =近代化日本とは違う
                        『もうひとつの日本』の魅力

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2.これからの日本の地域振興=観光(交流人口)への大きな期待と懸念

(1)日本の歴史の中での人口停滞期の社会的基調

 先が見えない世紀末の日本=歴史的文明史的転換期には、歴史の中に手掛りを求めて

○目本史の中の人口停滞期(平安中後期・室町期・江戸中後期)には、『和風=後世
 が目本的と意味付けたもの』が生み出された
→人口減少の21世紀前期は「新・和風時代」の到来か?

○人口停滞期に繁栄したまち
=交流人口を招き入れたまち(港町、門前町、城下町、宿場町)

○庶民の旅文化・リゾート文化を19世紀に高度に発達させたのは、江戸中後期の日本
→人口減少の21世紀前期は、交流人口(=観光)への期待の時代


(2)交流人口の受入れが意味するもの(期待)

 例えば365,OOO人泊/年は、何を意味するか

○1,OOO人泊/日は、1,OOO人の人口増と同じ

○交流人口消費額/定住人口消費額
=5〜6→365,OOO人泊/年=5〜6,OOO人分の消費力の追加」

○よそ者の「眼・頭・手足・おあし」は、受入地域にとって大いに価値あり

○知的生産も感性的(芸術的)生産も、それに先立つ知的交流や感性的交流があってこそ

○交流→発見→新しいものの創造=コンベンション

○善隣友好=最大の総合安全保障策

○交流人口から定住への転化(転入)の期待/企業立地への期待


(3)しかし、激しい交流人口争奪の時代へ(懸念)

 全国各地が入り乱れ、“同種同様の内容で"交流人口争奪泥仕合の時代の到来か?

○「観光は、観光しか地域振興の戦略手段がない地域の専売特許」の時代は終焉

○大都市でさえも集客都市へ転換:集客都市宣言(人阪市)、千客万来都市(東京都)

○アーバンツーリズム(都市観光を創る会/都市の中心市街地活性化)へ国の政策援助


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3.世界的規模でみると観光は21世紀の成長産業

[世界の観光産業]

○1960年7,OOO万人→1997年6.1億人(→2010年12億人→2020年16億人へ)

○国内国際観光産業の世界のGDPに占める割合は11%(→2010年12.5%へ)

○観光産業の就業者の世界全就業者に占める割合は9〜10%(→2010年11%へ)


[日本の観光産業]

○観光産業総生産(25兆円)はGDPの5.4%、雇用(関連も入れて4ユO万人)は全就業者数の6.3%

=目本は世界の平均的水準の約半分!
→目本はもっと観光関連産業が増えて良い

○日本はアウトバウンド大国(世界第3位370億ドル)で
インバウンド小国(世界第32位約400万人、40億ドル)

○)アメリカの国際観光収入は約700億ドル(1996年)、収支も200億ドルの黒字

○クリントンの大統領就任ホワイトハウス観光会議
=日本人観光客倍増計画(日本からアメリカヘ500万人)


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4.地域の観光戦略の基本的考え方(基本に忠実に)


(1)交流人口を招くための必要4条件: 情報/交通/魅カ/ホスピタリティ

<情報>
認知度を上げる  情報になってないもの/埋もれているものは存在しないと同じ
  十
好感度を上げる  憧れを創り出すイメージの発信

○マーケットに応じて
  束になって/思い入れのある人の肉声を/マーケットに応じた情報内容と提供方法を

○マーケットに出向いていって誘致活動を(韓国、アメリカ諸都市に学べ)

<交通>
○高速交通網へのアクセシビリティ

○来易さ=帰り易さ/素通りし易さに要注意

○巡り易さ(楽しく興味の強弱を交えて巡る)を創り出すこと

<魅力>
○「美」「名(本物・独白のもの)」「先端性」「懐かしさ」「不思議さ」「不老長寿」

○エリア全体としての明快かつ好ましいイメージ
=アイデンティティに触れさせること

<ホスピタリティー(もてなしの心)>
○「人情」は観光の大きな魅カ
リピーター化/セールスマン・セールスレディ化のためにも


(2)観光効果増強のための手法

<入り込み増加>
○市場拡大/2次市場拡大/リピーター確保/オフシーズン克服(四季それぞれの
 魅力開発)

<滞留時間拡大>
○夕・夜・早朝に魅カ(八景に学ぶ)/創作体験型活動/歩く楽しさ・待つ楽しさ
 /見る楽しさ・見られる楽しさ/回遊周遊(双六に学ぶ)

<消費額の増加>
○飲・食・遊・買/五感の満足

<地域効栗拡大>
○地元調達/地元加工度UP/知的・文化的接触効果も

八景:落雁、秋月、夕照、帰帆、暮雪、夜雨、晩鐘、晴嵐


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5.戦略実行の上でのボトルネック

○誘致の戦略、受入の戦略(ハード面及びソフト面)、それぞれにおいて、「情報の
 収集と分析」「戦略立案」「誘致と受入れの現場で実践」の各側面で、全国いずれの
 地域も圧倒的な人材不足

○観光客に憧れを抱かせ、訪れさせ、感動と満足を提供する現場は、人材の有無に
 左右される!

○「人自ら愉しむ所、人集う」
→交流人口を招き入れる側の人々が「白ら愉しむ所」を沢山持つこと!
 自らが愉しむ達人となること!
→これでこそ他者を愉しませることができる

6.最後に=:「観光」と「咸臨」
「観國之光、利用賓干王。」
→國の光を観るは、もって王に賓たるに用ふるに利し。

「咸臨、貞吉、志行正也。」
→戒じて臨めば貞にして吉なり、とは志正を行えばなり。

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