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サンタがいつもそばにいる3
・・・・・これは別の世界の,そして,ちょっと未来のお話です。・・・・・
3.1
その日,一つの法律が国会を通過した。
その名も,「サンタクロース法」。
バカみたいな名前だが,議員たちは大まじめだった。
20世紀の終わり頃から,動機がはっきりしない犯罪が増加していた。
特に,十代の犯罪の,凶悪化と増加が目立った。
その原因として,受験や人間関係からくるストレスが唱えられた。
特に重要視されたのは,家族関係であった。
ある調査結果で,ストレスが生じる人間関係として,家族関係が一番となっていた。
家族は,人間関係の核となるものだ。
ここに問題があれば,その他にも大きな影響が出ることは明らかである。
これは,なんとかしなければならない。
まず,民間から活動が始まった。
カウンセラーの団体が,親子の対話を活性化させるための様々なプロジェクトを考案した。
いくつかの市民団体が,それを参考にしたり,独自の方法を用いて,対話の場を広げていった。
10代の犯罪が注目されていたため,中学高校の子供を持つ親からは,こうした活動に対する関心が高かった。
これにより,犯罪の増加は止まったが,低下するには至らなかった。
調べてみると,なかなか会話の場を広げられない家庭が存在することが分かった。
そして,この家庭では,乳幼児期から,親子のふれあい,会話が少ないことが明らかになった。
逆に対話を持つことが出来る家庭は,幼児期までに,一度は,密接な親子関係を築き上げていたことも判明した。
犯罪を減らすためには,10代になる前から,親子の関係を築かなくてはならない。
そのために生まれたのが,「サンタクロース法」であった。
この法律の内容を,簡単にまとめると次のようになる。
1.全国民に,政府管理のメールアドレスを配布する。
2.児童から,サンタクロース宛のメールをその親に送付する。
3.親は,このメールに対し,24時間以内に返事を出す。
特定の環境,状況(たとえば,両親とも入院している場合など)についてなど,別に細則が定められている。
児童は,なにか問題が起きたときに,サンタクロースにメールを出す。
親が,それに対する答えを,出来るだけ早く返答する。
なぜ児童のメールの送付先を,直接親にしないのか?
子供にとって,ある時期まで親というのは絶対的な存在である。
親が間違うことは許されない。
しかし,当然ながら親にも間違いや,失敗はあるものだ。
そこで,一度別の人間からという形で,答えを出す。
この答えについて,あらためて考え,訂正部分があれば,そのときには父親,母親として,子供に助言を与える。
また,家族の話題として,サンタクロースというものが増え,対話がさらに広がることが期待された。
そして,この法律は当初の期待通りの効果を上げることとなった。
2001/03/23
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