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サンタがいつもそばにいる4
・・・・・これは別の世界の,そして,ちょっと未来のお話です。・・・・・
4.1
桂田義彦さんは,ある企業の技術者です。
主な仕事は,自社工場の設備の保守・改善です。
一昨年,製品の売り上げ不振で,会社自体の存続が危ぶまれた時期もありました。
しかし,新製品の大ヒットもあって,現在は順調な経営が続いています。
桂田さんは,その製品のコストダウンに大きな成果を上げた人の一人として,先日社内表彰を受けました。
そんな桂田さんの息子,拓也君が,もうすぐ小学4年生になる頃のことです。
外から帰ってきた息子が,泣きそうな顔で近づいてきました。
「どうした?」
拓也君が震える声で聞いてきました。
「お父さん,サンタさんがお父さんってほんとなの?」
ついにこの日が来ました。
政府のシステムでは,子供が小学4年生になるとき,サンタクロースからお別れのメールが届くことになっています。
その頃には,ほとんどの家庭で,家族の対話が十分取れるようになっています。
また,親も子供への対応に余裕が出てくる時期でもあります。
サンタクロースは,その家庭での役目を終え,新たな子供たちを導くため,4年生になる子供たちへはお別れを言うことになっていました。
しかし,人の口に戸は建てられません。
上級生から,サンタクロースの正体がばらされてしまうことがあります。
また,何かの拍子に,親のメールをのぞかれてしまうこともあります。
そのとき,子供がサンタクロースの正体を,薄々感づいていれば,ほとんど問題はありません。
やっぱりな,という程度で,子供が納得してしまいます。
問題は,子供がサンタクロースを信じきっている場合です。
親がサンタクロースのふりをしていたことは,大きなショックとなります。
それまで築き上げてきた親子の信頼関係を崩してしまうことにもなりかねません。
この場合の対処は重要です。
桂田さんは,拓也君を膝に乗せて,静かに話し始めました。
「サンタクロースは,いるよ」
すかさず拓也君は,言い返します。
「でも,あきら君が,サンタはお父さんだって言ってたよ。」
あきら君は,二つ年上の子です。
近所に住んでいて,拓也たちともよく遊んでくれます。
次の日に,うっかりサンタのことをしゃべってしまったことを謝りに来ますが,それはまた別のお話。
今は,拓也君です。
「うーん,それはねぇ...」
おっと,桂田さん,ちょっと言い淀んじゃいましたね。
ここらで助け船を出しましょう。
桂田さんの家のインターネット端末,「さくら」から,拓也君に,メールが来たことが告げられました。
絶妙のタイミングで来たメールに,二人はちょっとびっくりです。
しかし,桂田さんは時間稼ぎに丁度良いとばかりに,拓也君にまずはメールを見ようと勧めます。
「拓也君へ
とうとう,気づかれちゃったね。
いままで,拓也君にメールを送ってくれていたのは,ほんとうは,君のお父さんです。
ときどきは私からも返事をしていたんだけどね。
私は,世界中のこどもたちを相手にしているんだ。
でも,みんなにお返事を書くのは,ちょっと大変。
そこで,拓也君のお父さんに,お手伝いをたのんでいたんだよ。
だから,お父さんをあまりせめないであげてね。
私はこれからも,君たちをみているよ。
拓也君はもう,私の助けがなくても,たいていのことは乗り越えられるはず。
それでも,本当に困ったとき,また手紙をください。
それでは。
サンタクロースより。」
拓也君は,何度もメールを読み返します。
桂田さんは,訳が分からず,ぼーぜんとメールを読み返します。
「お父さんが,サンタさんのお手伝いをしてたんだ。」
拓也君が振り返って,叫びます。
「あぁ,そうなんだよ。」
桂田さんは,頭の中で首をひねりながらも,そう答えました。
桂田さんの騒動は,これで収まりそうですね。
さて,私はこれから,別の子供たちも見なければなりません。
このへんで,みなさんとはお別れです。
それでは。
サンタクロースより。
2001/03/23
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この物語はフィクションです。
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