
〜きゅうれきのしくみ〜
2002/01/20開始
2002/01/23更新
皆さんは「旧暦」に興味はありませんか? いや、ない人は別にいいんですが。
現在の暦(カレンダー)の中にも「旧正月」とか「夏至」とか「啓蟄」とか旧暦に由来する言葉が書いてあったり、テレビでも「今日は二百十日です」「明日は『中秋の名月』にあたります」なんて表現も聞きます。明治五年(1872)まで、つまりほんの百何十年か前まで、日本では今の暦とはちょっと違う暦が使われていたのです。どういう暦だったのかを知ることで、時代劇などを見るときにも役に立つと思いますよ…
1.旧暦とは?
2.旧暦の作り方〜元になる数字
3.旧暦の作り方〜まず太陰暦を作る
4.旧暦の作り方〜二十四節気
5.旧暦の作り方〜そして閏月
6.旧暦の奇妙な細工
7.日本の暦の変遷(1)〜輸入された暦
8.日本の暦の変遷(2)〜国産の暦
9.日本の暦の変遷(3)〜そして太陽暦
10.暦注について〜大安・仏滅って何?
1.旧暦とは?
(1)旧暦とは何なのか?
皆さんはよく「旧暦」という言葉を聞いたことがあると思います。しかし、ひと口に「旧暦」と言っても、実はいろいろな意味を込められています。
(2)暦の種類について説明しましょうか
ここで前提となるのは、暦にはいくつも種類があるということです。今日我々が用いているのは毎年変わらない暦なので意識しませんが、実際には世界中の歴史では(というか今でも)いろいろな種類の暦が用いられているのです。
で、ここで説明する上で、最も重要な種類は3つあります。世界の歴史上用いられてきた暦もたいていはこの3種類のうちのどれかに分類されることが多いようです。
(A)太陽暦
(B)太陰暦
(C)太陰太陽暦
「太陽」は誰でも知ってると思います。我らが母星・地球が属する太陽系の主星で、昼間明るい原因は太陽があるからですね。太陽からは大量の光エネルギーが地球に降り注いでいますが、地球の地軸が傾いているためと、地球が楕円軌道を描いて太陽の周りを回っているせいで、季節によって光エネルギーの量が違います。そのため暑くなったり寒くなったりするわけです。「季節」は原始時代の人間にとっても体感しやすい生活時間サイクルでした。この太陽の動き(365日で元に戻る)を元に作った暦が太陽暦。現在の暦(正確にはグレゴリオ暦と言います)も、この太陽暦によっています。
一方、「太陰」はあまり耳になじみがない人が多いことでしょう。「太陰」は「太陽」と対になる言葉で、要するに「月」のことです。我らが母星・地球の周りを回る唯一の衛星・月です。月は規則正しく満ち缺けするため、これも原始時代から人類にとってなじみ深い生活時間サイクルとなりました。この太陰(月)の満ち缺け(29日半で元に戻る)を元に作った暦が太陰暦。現在でも用いられているイスラム暦(ヒジュラ暦)などは、この太陰暦です。
ところが、この太陽の運行を元にした「年」(365日)と、太陰の運行を元にした「月」(30日)を組み合わせようとすると、小学生でも分かりますが、365÷30=12あまり5…で、割り切れません。そこで、どちらを優先するかによって、もう片方が犠牲になるのでした。
…「月」の方を優先した場合、12ヶ月は29,5×12=354日となって、365日になりません。そのため、1年に10日以上ずれていき、17年も経つと(11×17=187日)季節が逆転してしまいます。イスラム暦は太陰暦ですが、この暦が用いられているアラブ諸国は熱帯域に属し、四季の移り変わりがないため、気にされなかったのですが、日本のように四季がある国では役に立ちません。
…「年」の方を優先した場合、ひと月の長さは365÷12=30あまり5、つまり30日と31日の月があることになります。ところが月の周期は上記のごとく29日半ですから、「ひと月」という名前のはずなのに月の運行とまったく合わなくなります。太陰暦では毎月15日は必ず十五夜=満月になるのですが、太陽暦では合わないのです。昔の人は日蝕や月蝕は不吉の前触れとして、前もって予測することが重要でした。原理から言って(→準備中)、日蝕は必ず新月の日前後に、月蝕は必ず満月の日前後に起きますから、月齢(月の満ち缺け具合を数字で表したもの)と日にちが合っていることが重要でした。ところが太陽暦ではずれていくのです。
そこで、太陰暦を基本にしつつ、季節を合わせるために太陽暦の要素を組み合わせた「太陰太陽暦」が生み出されました。いわゆる「旧暦」はこの太陰太陽暦によっています。まとめると、
今の日本の暦 … 太陽暦
イスラム暦など … 太陰暦
旧暦 … 太陰太陽暦
ということです。
→次.旧暦の作り方〜元になる数字へ
(※)月の呼び名
このページでは現在の暦には2月・12日のように算用数字を使い、旧暦については五月・十五日のように漢数字で表しています。また、旧暦では1月のことを必ず「正月」と呼びます。よく時代劇で「明けて1月20日までに…」なんてセリフを見ますが、誤りです。「正月二十日」と言います。
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