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種子島は鹿児島の遥か沖合いに浮かぶ。
隣には屋久島がある。
飛行機で行くにしろ船で行くにしろ、鹿児島からの出発となる。
私はトッピーというジェット・フォイルで渡った。
港を船が離れると、桜島と開聞岳の勇姿がまず素晴らしい。「行ってらっしゃい」とでも言ってるかのようだった。
また、港で入手した弁当も素晴らしかった。旅先で買った弁当では最高だったかもしれない。

波が揺れれば船も揺れる。で、快調に進む。天気の具合はと言えば、・・・・あいにく台風が近づいていた。
結局、次の日、台風で島から出る交通手段は無くなってしまうのだが、行きの船の中ではかすかな希望を持って、嫌な予感が外れてくれるのを祈るばかりだった。

さてさて、とにもかくにも船は90分程で種子島に着いた。
島に着いてから乗ったバスは、あちこちのスポットに停まる。種子島と言えば、何と言っても鉄砲(種子島という名前の。)、そして宇宙ロケット。これが一般的なイメージであろう。
案の定、鉄砲を展示してある博物館、宇宙科学技術館、などがあり、観光スポットとしては定番だろう。

鉄砲を多数展示してある、
  種子島博物館

  
はるばる来たのだから、
   見ておきたい。

宇宙科学技術館が近づくと、
こんな光景が見えてくる。
何気にロケットが横たわってるんだもんなあ。さすが種子島だ。
演出効果が高まってくる。

波とロケットの種子島。

宇宙科学技術館のそばには、ロケットと一緒にこんな写真だって撮れちゃうぞ。
この館は種子島観光の定番だろう。見ずには帰れない(?)。
私が種子島に来た時、実は、ここに来る途中の道には、ロケット基地に反対する張り紙(?)みたいなものが貼られていた。一部の住民にはロケット基地は歓迎されてないのかもしれない。環境破壊を心配してのものだろう。科学の進歩は自然を犠牲とする場合が確かにある。複雑・・・。
だが、この宇宙基地が種子島観光の大きな売りになってるのも事実。なにせ、隣には屋久島という世界遺産ブランドの島がある。自然景観的に起伏に富んでいるし、実際、屋久島の自然は圧倒的で素晴らしい。
それにくらべ種子島は平坦で、高い山脈らしきものはない。そういう事を考えると、宇宙開発への貢献度という点だけでなく、島への集客と言う意味でも、宇宙基地は役に立っているのかもしれない。
とはいえ、宇宙開発基地がある事への可否は、島の人が考える問題で、よそ者の私がどうこう言える問題ではないが・・。

翌日、私達は隣の屋久島に船で渡る予定だったのだが、前述の通り、台風のために飛行機も船も前便が欠航。
本土に帰る事も屋久島に行く事もかなわない。つまり、島に閉じ込められた・・ってわけだ。海を眺めてみれば、確かに波が荒れている。無理に出港すると大変な事になるだろう。
いや〜〜、参った。仕方ないので、種子島にもう一泊する事にしてレンタカーを借りた。この島をもう少し見て周ることにしたのだ。
ちなみに、島に閉じ込められる事が決まると、宿の人が本当に気を遣ってくれた。本音を言うと、この時の旅の目的は屋久島に行く事だった。種子島は、「ついで」だった。本当の目的が屋久島である・・という旅人は多いのだろう。宿の人は、私等の心情を察してくれてるみたいだった。申し訳なさそうだった。そんな・・・・貴方達が悪いわけではないのに・・・・そう思うと、かえって恐縮してしまった。こうなったら、気を精一杯遣ってくれた宿の人のためにも、この種子島をもっと知って帰ろう。
良い所を多く見つけて、より好きになって帰ろう。そう思った。だって、この種子島だって、東京人の私には、滅多に来れない場所なのだ。今、貴重な体験をしてるのだから。
ありがとう、宿の人達・・・そう思って、車を走らせた。

周ってみると、種子島にも独自の魅力はちゃんとあった。浜辺が美しい。この島はサーファーの人気スポットでもある。
今は結婚した某人気アイドル同士のカップルは、結婚前によく「お忍び」で波乗りをしにきていたらしい。
「お忍び」・・・う〜〜ん、確かに「お忍び」で来るにはピッタリだろう。
山はどれも小さく低いが、「らしさ」みたいなものはある。鉄砲伝来の碑なんかもある。日本一の大ソテツと呼ばれるソテツもあったが、屋久島の縄文杉を見たことがある今となっては、ちょっと寂しいかな(笑)。
また、ところどころ屋久島の緑に通じる雰囲気の木々なんかもあったりする。

これは初日に行った海岸線。
美しい・・・。ダイビングにもよさそうだ。
翌日、台風が来るなんて・・・。

ひょんなことから見つけた、
「馬立の岩屋」。奥に見える洞窟(?)がそうだ。中はかなり広い。祠もある。
ここには、昔の島主の、ミステリアスで、ちょっと不気味(?)な伝説が残っている。
岩屋内の写真も何枚か撮ったが、縁起上、公開は控えておく。

思うに、種子島は損をしているのではないだろうか。
なにせ隣には世界遺産の屋久島がある。観光客は、「世界遺産」っていうだけで屋久島には行くだろう。
そう、屋久島は、「観光名所のお墨付き」を得ているようなもんだから、たとえ何もしなくても観光客は集まるだろう。
天下の「世界遺産」が相手では、種子島は分が悪いよね。「もののけ姫」の舞台のモデルになったり、取材も多く来て、しょっちゅうマスコミに取り上げられて話題を集める屋久島に比べると、種子島は少し地味に見えてしまう場合は多いかもしれない。
種子島への旅で印象的だったのが一つある。
それは現地のバスガイドが、こう呟いていた事だ。
「旅行者は皆さん隣の屋久島に行ってしまわれるですよねえ・・・。屋久島は世界遺産ですし、仕方ないですね・・。種子島に来てくれた人は、また来ますと言ってくれるんですが、実際には中々また来てくれたりはしないんです・・。」
このセリフを、うつむきながら寂しそうに言うのだ・・・。

なまじ屋久島の隣にあるばかりに・・・。そう思うと、ちょっと気の毒になってしまった。

しかし、どっこい!

種子島だって、そう捨てたもんじゃないぞ。

なんてったって、種子島には宇宙ロケット基地がある。
そう、ここは宇宙への始発駅なのだ。海沿いにロケット基地のあるエリアは、まるでサンダーバードにでも出てきそうなカッコ良さ!
人類の夢の象徴「宇宙ロケット基地」と、種子島特有の海岸線の自然景観がマッチし、科学と自然の調和した姿がそこにはある。

宇宙ヶ丘公園にて。
台風のため視界があまりきいていないが、本当は人物の向こう側に屋久島が見える筈なのだ。一応、屋久島方面を指差しています(笑)。

見よ!・・・と言いたいが、曇って遠くが霞んでいるのが口惜しい(笑)。
丘の向こうの入り江におぼろげに見えているのが、種子島宇宙ロケット基地だ!中央にあるのが発車台。打ち上げの日近辺は、多数の見物客が訪れる。問題なのは、打ち上げは延期される事が多く、打ち上げ見物の旅行日程をくんでも、見れない場合がある事だ。波と基地のコントラストが実にカッコイイ!SF映画でも観てるような気分だが、これは本物なのだ。見とれるのは間違いないぞ。帰ったら周りに語ってあげよう。

もし、宿で夜中に目を覚ましたら、それはラッキーだ。そのままベランダに出てみるといい。
そして、そこから上を見上げてみるといい。
もちろんそこには夜空がある。夜空は貴方が出てくるのを待っている。彼等に会うのを遠慮しちゃいけない。
この夜空が半端じゃない。
おびただしい数の星の数が、まばゆいばかりの光を放って、天然のプラネタリウムとして、貴方に感動を与えるだろう。
吸い込まれていきそうな星空。
実際、この島からは、ロケットがその星空の中に吸い込まれていくのだ。
これまでがそうだったし、これからもそうだろう。
で、いつか、ここから一般人も宇宙へ飛び出す日が来るのだろうか。
種子島乗換えで月に向かう、そんな言い方をする日が来るのだろうか。


満天の星空の下、そんな事を思うと、一種特別な感情を持つ事になる。
そう、この宇宙への始発駅、種子島に対して。

私はしばらくベランダに居た。中々部屋に戻る気になれなかった。
台風の風は雲を吹き飛ばして、夜空を出現させ、ピュウと鳴っていた。




                        
「宇宙への始発駅  種子島」  終わり

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宇宙への始発駅 種子島