安達論文「神様は、貴方に何を期待しておられるか」

第1章、科学的真理の中に神様のお振る舞いを探す
第1節 宇宙創世と神様
2 神様の選択

(1) 適者生存と追分道
 この宇宙では、《希薄化》と《濃密化》の全く相反する動態の双方ともが起こっている。だとすれば、そのいずれも神様の目指される方向ではないことになる。しからば、神様の目指しておられる方向は那辺(なへん)にあるのか。
[始原の適者生存] 神様が最初にお作りになった質量素子であるコーク(=クォーク)の場合だが、その六つのコーク(=クォーク)のうちのストンジ,チャーム,ボトム,トップの四つのコーク(=クォーク)は短命ですぐ消え、ダウンとアップの二つのコーク(=クォーク)だけが残って、それが中性子と陽子になったのである。同様のことが、中性子と陽子の二つに関しても行われている。中性子と陽子が出来、その後、十数日で中性子は分解し、電子とニュートリノを放射して陽子になる。そして、そのように中性子は命(いのち)が短く、陽子の命(いのち)は永久的であったため、その後宇宙は水素原子の海になった。この二つの事件では《適者生存》的な価値選択が行われている。生物の進化以前にも、既に《適者生存的価値選択》が行われていたのである。
[追分道] 神様の行なわれた選択の中には、上記の2例の場合のように、一方がすぐ消えてしまうというような、はっきりと《適者生存》的な選択が行なわれている場合はむしろ例外で、宇宙の歴史には、神様が、一体どちらの道を選ばれたのか、その判定が難(むつか)しい、いわゆる《追分道》的分岐が屡々行なわれている。コーク(=クォーク)出現の際にも、前掲の《適者生存》的な選択とは別に、そうした《追分道》的分岐があった。コーク(=クォーク)が出現したとき、コーク(=クォーク)にならずに、その後もそのまま希薄化を続けて行ったエネルギー素子があったのである。それは、今でも絶対温度4度という黒体輻射になって宇宙空間に存在している。また、島宇宙や恒星が誕生した時にも同様の《追分道》的分岐があった。島宇宙や恒星にならなかった水素原子は、今でもそのまま星間物質として存在しているのである。
[超新星的爆発とブラック・ホール] 恒星は、元素製造を進め、最後に超新星的爆発を起こすことを前述した。ところで、このとき、一部の質量の巨大な恒星は、中心部が超高密度になるので超新星的爆発は起こさず、逆に、超高密度のブラック・ホールになってしまう……島宇宙の中心部にあるとされているブラック・ホールも、いうなればその一例である。
 即ち、宇宙には、そのブラック・ホール化への道と超新星的爆発への道に分岐する一つの《追分道》があるのである。このブラック・ホールと超新星的爆発の《追分道》は、前2者の《追分道》とは、追分けて行く方向性が幾分違っている。コーク(=クォーク)出現と天体誕生の際に追分けて行った2方向は、ビッグバンの継続とビッグバンの停止or逆行であった。だが、このブラック・ホール化と超新星的爆発の《追分道》の場合は、ブラック・ホールの方が濃密化で、それはビッグバン前の宇宙の原初状態に戻って行く性質のものである。それに対して、超新星的爆発の方は、ビッグバンとは別の、もう一つの、そこで改めて行なわれた、新しい密度の希薄化なのである。

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