安達論文「神様は、貴方に何を期待しておられるか」
第1章、科学的真理の中に神様のお振る舞いを探す
(2) 神様の作業のなさり様
第1節 宇宙創世と神様
2 神様の選択
宇宙の歴史の中では、前項で示したように、《適者生存》的選択や《追分道》的分岐が盛んに行われている。ところで、そうした選択が、神様のお計(はか)らいによるものであることは言うまでもなく、そしてまた、神様は、何等かの方向を目指してお仕事を進めておられるから、そうした選択的なことをなさっておられるのである。そういうことで、そうした選択的動態をもっと深く分析検討すれば、神様の目指しておられる方向、即ち《神様の御意向》がはっきりと掴(つか)めてくるのではなかろうか?……
[神様のお力の有限性] 選択というようなお仕事が必要なのは、実は、神様が万能ではなく、神様のお力にも限りがあったからに他ならない。神様が万能なら、地球もそして地球の生き物も更に人間も、神様は、宇宙開闢(かいびゃく)のその時に全部お作りになればよかったはずである。だが、現実には神様は、それに百数十億年もの年月を費やしておられる。そうした点一つを見ても、神様のお力が限りのあるものであったことは確かである。宇宙誕生直後に、神様は、まず六つのコーク(=クォーク)と三つの吸引力をお作りになった。神様は、その時点では、この宇宙でそれ以上のものはお作りにはなれなかったのである。いや、それだけあれば、それ等を組み合わせて何でも作り出せるから、それ以上のものは必要なかったとも言える。しかし、それ等を組み合わせて事物を創造して行くには時間が掛かる。そういう意味で、やはり神様のお力は有限だったのである。神様は、二つのコーク(=クォーク)を資源にして、三つの吸引力で、この宇宙の建設をお始めになった。だから《陽子等の核物質(ハドロン)を作り ⇒ 水素原子を作り ⇒ 恒星を作り ⇒ 元素を作る》というように順次段階を追って、お仕事を進めて来られたのである。
[スクラップや工場廃棄物] 六つのコーク(=クォーク)のうちダウン・コーク(=クォーク)とアップ・コーク(=クォーク)以外の四っつのコーク(=クォーク)(ストンジ,チャーム,ボトム,トップ)を、神様はすぐ消滅された。また、陽子と中性子を造られた後、神様は、中性子の方を十数日で陽子に変えるということをなさっておられる。そのように、神様は、100%の効率で作業をお進めになって来られた分けではないのである。神様は、ちょくちょく、いらないものを作ってしまうような無駄なことをなさっておいでになる。人間も、鉄板を造って、そこから必要な形ちの鉄の板型を抜き取り、残りの端切れをスクラップにして、また溶鉱炉に抛り込んで溶解し、元の鉄板にする、というような作業の仕方をする。神様のお仕事でも、資材や使える力に制約が有るため、同じ様に、スクラップができるような場合が間々(まま)あるのである。いや、再利用されるならまだいいが、工場廃棄物のように、神様は、多くの物をその侭(まま)放棄して、お仕事をどんどん先に進めて行ってしまわれるようなことも屡々(しばしば)行なっておられる。そうしたことを念頭において、前述の選択的動態の分析検討を行い、神様の目指しておられる方向を探索して見よう。
[水蛭子(ひるこ)もあった] アップ,ダウンの二つのコーク(=クォーク)をお選びになって、他の四つのコーク(=クォーク)をすぐ消滅されたときの選択だが……アップとダウンの二つのコーク(=クォーク)は、後々万物の基(もと)になるハドロン(強粒子)造りの原材料として必要な物質であった。それに対して、他の四っつのコーク(=クォーク)は、ハドロン造りに適さなかった。だから、神様は、すぐそれを消滅なさったのだろう。我が国の神話である『古事記』の中に「伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が、最初にお作りになった御子が、骨のない水蛭子(ひるこ)だったので、葦船に乗せて流し捨てた」という神様の失敗談が書かれている。すぐ消滅した四つのコーク(=クォーク)のことを言っているようで、ちょっと面白いが……いずれにせよ、神話でも神様は万能ではないのである。
[その他の素粒子の適者生存] ハドロン(強粒子)というのは、バリオン(重粒子=陽子,中性子),メソン(中間子),レプトン(軽粒子=電子,ニュートリノ等)の総称である。バリオン(重粒子)は三っつのコーク(=クォーク)で、メソン(中間子)は二つのコーク(=クォーク)で作られている。メソン(中間子)は、核分裂等の際に現れるが、全て極めて短命で、1億分の1秒というような短時間で崩壊し、すぐレプトン(軽粒子)に変わってしまう。レプトン(軽粒子)は、光子の速度エネルギーの一部が質量に相転位し、物質化したものだと考えられており、現在もなお光子から作られ、またすぐ光子に戻るということを繰返している。電子とμ粒子(湯川博士の発見した素粒子で、核内の中性子や陽子を結び付けている核力粒子)の二つのレプトン(軽粒子)だけは、原子核の外周や原子核内にその場を得て、恒久的生命を獲得している。ニュートリノは、現在でも、この地球の大気の上層部で紫外線から作り出されているようだが、わずか10万分の1秒の寿命しかなく、すぐ消滅してしまう。結局、陽子以外の素粒子で長時間その存在を持続できているのは、レプトン(軽粒子)の中の電子とμ粒子の二つだけなのである。それ等二つが恒久的生命を得たのは、それ等が神様の御意志に叶った機能(電荷や核力)を備えていたからに他あるまい。
[中性子を陽子にされた理由] 中性子を数日で陽子にお変えになり、バリオン(重粒子)の全てを陽子ばかりになさった選択の所からは、もっとはっきりと神様の御意志のようなものが読み取れる。
水素の原子核の回りには電子が回っている。核の大きさを直径1センチ・メートルだとすると、電子の軌道の半径は1キロメートルくらいになるという。そして、水素は、自己の持つ重力で引き合って接近し合うが、相互にどれだけ近付いても、その軌道が触れ合うまでが限度で、それ以上は近付けない……電子の軌道内に核が入れば、夫々の核内にある陽子どうしの斥力が働くことになるからである……だから、水素が互いに引き合って天体を造っても、隙間だらけの密度の極めて疎(まばら)な天体しか出来て来ないのである。地球に住む我々は、地球の岩石の密度をかなり高いもののように思ってしまっている。だが、宇宙的尺度では、それは大変低密度なもので、ブラック・ホールの中は、地球の岩石の何億倍というような高い密度になっているのである。
ところで、中性子だが……中性子は電磁的に中性なので電磁斥力や電磁吸引力がなく、電子を引き付けるようなことも行なわないので、障壁になる軌道など出来て来ない。だから、中性子が互いの引力で引き合って天体を造ると、非常に高密度な天体が出来上がってしまう。実はブラック・ホールというのは、中性子ばかりで出来ている天体なのである。だから、かってはブラック・ホールのことを中性子星などと呼んでいた時代もあった。ブラック・ホールのような超高密の天体では、構造体のようなものは作り出せない。そういことで、神様は、中性子をすぐ陽子にお変えになった分けである。
[元素作りでは中性子が必要] 最初は全部陽子に変わった中性子も、元素製造の段階になって、改めて再出現して来る。水素原子が2個で重水素ができ、その重水素が2個融合してヘリュウムができる。だから、ヘリュウムの核は、陽子2個,中性子2個で出来ている分けである。陽子はプラスに電荷しており、相互に斥力が働くので、陽子だけでは一つの核の中に納(おさ)まってはいられない。そこに同数以上の中性子があり、陽子と中性子の間に湯川理論の核力(μ粒子)が働くと、一つの核の中に陽子が複数個納(おさ)まっていられるようになるのである。即ち、ヘリュウム以上の原子核を作るには、中性子が必要なのである。また、独人(ひとり)では数日の生命(いのち)しかない中性子も、原子核の中に陽子と共存していれば、永久に近い生命が保てるのである。中性子は、密度の疎(まばら)な天体を製造する際には不都合な粒子である。だが、その密度の疎(まばら)な天体の中に、密度の高い原子核を作る段階になると、そこで改めて中性子は、有用な粒子になって来るのである。なお、原子核の中の密度は、バリオン(重粒子=陽子,中性子)が、何の障害もなくくっ付き合っているわけだから、それは、ブラック・ホールの密度と同じで、大変高密なものなのである。そして、全体が原子核の中と同じ密度になっているものがブラック・ホールなのである。
[ジグザグ前進=時と価値] 神様の目指されている大きな方向には変わりはないのである……この段階では、その方向を未だ明らかにしてはいない……だが、神様のお仕事の進め方が、段階を追って、次第に目標に近付いて行くというようななさり方であるために、ヨットを風上に向けて進める時のように、その時々で、価値方向の違ったジグザグ進行をするというようなこともちょくちょく起る。ある時点では、困った存在であったものが、ある時点から以降には必用なものになるというこの中性子の場合が、その典型例である。キリスト教にも仏教にも、価値決定の要因として《時》というものが極めて重要な役割を果たしていることを説いた教(おしえ)がある。日蓮の『教機時国抄』という説示論文にも、そのことが論述されている。
[元素製造での適者生存] 恒星の体内で行なわれている元素製造では、元素は、小さなものから次第に大型のものへと製造されて行ったはずである。元素を元素番号準に並べると下記のようになる。元素の作られて行き方も、大体この元素番号の順であったであろうと考えられている。
水素(1)→ヘリューム(2)→リチューム(3)→ベリリューム(4)→硼素(5)→炭素(6)→窒素(7)→酸素(8)→フッ素(9)→ネオン(10)→…途中省略…
クロム(24)→マンガン(25)→鉄(26)→コバルト(27)→ニッケル(28)→銅(29)→…途中省略…
イリジューム(77)→白金(78)→金(79)→水銀(80)→タリューム(81)→鉛(82)→…途中省略…
ラジューム(88)→アクチニューム(89)→トリューム(90)→プロトアクチニューム(91)→ウラン(92)
元素の存在順位表
原子番号 元素名 存在順位
1 水 素 1
2 ヘリューム 2
3 リチューム 30
4 ベリリューム 53
5 硼 素 35
6 炭 素 3
7 窒 素 5
8 酸 素 4
9 フッ素 21
10 ネオン 6
11 ナトリューム 14
12 マグネシューム 7
13 アルミニューム 12
14 珪 素 8
15 燐 16
原子番号 元素名 存在順位
16 硫 黄 10
17 塩 素 19
18 アルゴン 11
19 カリューム 20
20 カルシューム 13
21 スカンジューム 32
22 チタン 22
23 バナジューム 26
24 クローム 17
25 マンガン 18
26 鉄 9
27 コバルト 23
28 ニッケル 15
29 銅 25
30 亜 鉛 24
製造される量も、当然、始めの方で作られたものの方が量が多く、後になるほどその量は少なくなるはずである。だから、この宇宙における元素の存在量には、炭素(6),窒素(7),酸素(8)等が沢山あり、白金(78)や金(79)は少なく、ラジューム(88)やウラン(92)は極微量にしかないという一般的な傾向がある。
元素の存在量に関しては、もう一つ重要な一般的な傾向がある。それは、原子番号の偶数のものが多く作られ、奇数のものが比較的に少量しか作られなかったということである。原子量2の重水が基礎的原材料になって、大型の元素作りが進められて行った関係でそうなったものらしい。また、陽子と中性子の二つが同居しなければ、核が形成出来ないということによると考えてもいいと思う。
[存在順位の例外] ところで、元素の存在量には、そうした、理論的に理解できる一般的傾向性を無視した、理解に苦しむような例外が存在している。上の表は、原子番号の上位のものの量的存在順位である。この表で先ず眼に付くことは、リチューム,ベリリューム,硼素の三っつより、その下位に位置する炭素,窒素,酸素の三っつの方が、量的に多いことである。酸素以降は、はっきりと一つ置きになって、奇数番号のものが偶数番号のものより、比較的少なく作られている。次に、奇数番号でありながら、窒素だけは沢山作られていることである。更に、鉄は原子番号が26でありながら、その存在順位は、11個の元素を飛び越して、珪素(14)に次いで9位にランクされている。即ち、鉄だけは異常に沢山作られているのである。鉄は直上の偶数番号のクロム(24)の約80倍もの量が作られたのである。
[炭素,窒素,酸素,鉄の場合] 炭素,窒素,酸素は、水素と共に、生物にとっては決定的ともいうべき重要な元素である。神様は、それから100億年以上も後に、生物の進化という大作業をお始めになる。神様は、恒星における元素製造の段階で、既にそのことを予見され、元素の未来での活躍を正確に予知されて、事前に炭素,窒素,酸素を特別多量に作って置かれたに違いないのである。
鉄が特に沢山作られた理由は、この段階ではまだ、力に関する理論の説明が不十分なので、理解して頂けるように説明することができない。だからそれは、第1章,第4節,1の(1)の[太陽の袋]の所で詳述する。なお、結論だけここに書いておこう。超新星的爆発には、鉄の殻(かく)の袋が必要だったのである。そして、神様は、鉄が、ブラックホールになる直前に破れるような、丁度好都合な強靭さを持った金属であったので、それを、予め特別多量に増産しておかれたのである。
[神様のおわします現証(現実の証拠)] これまで、神様が万能ではないことを何度か言ってきた。しかし、神様の『未来を予見して、先に鉄を増産しておかれる』というような周到なお仕事のなさりようには、ただただ驚きである。また、こうしたところを見るにつけ、この宇宙は、単なる確立統計的な偶然の錯綜だけで進化している分けではなく、かなり意図的に、ある目標を目指して、ちゃくちゃくと進化をして行っているように見受けられる。即ち、神様は間違いなくおわしますという確信が、ここで一層確固としたものになって来る。
人類文化では、鉄は、ハードな構造物(ポテンシャル)を作る上で、極めて好都合な金属である。神様は、或は、そのことをも予測して、鉄を特に沢山作っておかれたのかもしれない。また、この地球は、鉄が中心核になっている。だから、地球には磁場がある。生物を育てる天体は、きっと鉄を核にした天体である必要があるに違いない。更に、我々人類の血液は鉄でできている。そのように、鉄という金属元素のみを特に多く作り出しておく必要性は、多々見出だされて来る。
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