安達論文「神様は、貴方に何を期待しておられるか」
第1章、科学的真理の中に神様のお振る舞いを探す
(3) 神様の御意志は?
第1節 宇宙創世と神様
2 神様の選択
[後法優先の原則] 神様の目指されておられる方向を《追分道》の場合で見てみよう。コーク(=クォーク)出現、三つの吸引力の出現の時点での追分だが、この場合は、ビッグバンという慣性的な活動のさ中で、このとき初めて改めて希薄化を停止させて《差異》を増殖するという新しい作業が行われ始めている。そうしたことから考えて、当然、この時点での神様の御意向は、希薄化の停止と《差異》の増殖の方にあったと解すべきなのだと思う。次に、島宇宙と恒星の誕生の時の選択だが、この場合も、コーク(=クォーク)出現等の場合と同じ意味合いで、即ち、天体の誕生の方が、このとき初めて改めて行われ始めたものであるという観点から、神様の御意向は、天体誕生の方にあると解すべきなのだと思う。更に、その天体誕生後に行なわれた元素製造もまた、明らかに、このとき初めて行なわれ始めたものである。
法学には《後法優先の原則》というのがある。法律の中に、同一の事柄について、複数の異なった規制が定められている場合、後に制定された規制の方が、立法者のより新しい意思を反映していると判断され、優先適用されるという原則のことである。ここで行なった、コーク(=クォーク)出現と天体誕生の際の《追分道》での、神様の御意向、或は神様の目指されている目標判定の論理は、この法学における《後法優先の原則》の論理判断に依拠したものである。
[濃密化の継承] 超新星的爆発とブラック・ホール化の《追分道》からの神様の御意向の読み取りは大変難(むつか)しい。何故かというと、この二つの出来事は、双方ともそのとき初めて改めて起った事件で、前二者の場合のような後法優先の原則による価値判定が出来ないからである。
これまでの宇宙の進化(コーク(=クォーク)誕生⇒ハドロン誕生⇒天体誕生⇒元素製造)は、全て《濃密化》であった。ところで、超新星的爆発は、前述したように、改めて行なわれたところの《希薄化》の現象であり、それまでの一般的進化方向、即ち《濃密化》には逆行するものであった。こと《濃密化》ということでなら、ブラック・ホールへの道の方が、明らかに従前の作業を継承している。元素製造は《濃密化》であった。だから、そのとき中性子が再出現して来た分けである。そして、ブラック・ホールは、その再出現して来た中性子によって出来てきたものなのである。
ウラン等の超大型の原子の核の中には、陽子の数を遥(はる)かに超える数の中性子が入っている。ウランの原子量は238で、その内訳は、陽子92個+中性子146個である。
元素製造に当って、そうした大型の原子を多量に製造し、中性子を沢山製造し過ぎてしまった恒星……比較的に質量の大きな恒星がそうなるという……が、重力が強大になり過ぎて、ブラック・ホールになってしまうのである。
[差異の増殖の継承] これまでの宇宙の進化(コーク(=クォーク)誕生⇒ハドロン誕生⇒天体誕生⇒元素製造)では《濃密化》だけではなく《差異の増殖》も行なわれてきた。特に元素製造では、水素原子一つだった宇宙に、92種の元素(原子)が出現してきたのだから、それまでのどの場合よりも、このときは、華々しく《差異の増殖》が行なわれた分けである。ところで、ブラック・ホールでは、全ての物質は中性子になっており、折角製造した元素も、その全てが失われてしまって、正にそこは《差異》ゼロの状態になってしまっているらしい。即ち、ブラック・ホールへの道は、従前の進化の方向であった《差異の増殖》には、はっきりと逆行している理(わけ)である。そして、それまで作り出した《原子=元素》をそのまま温存し、更に、後々多数の惑星を生み出し、その惑星の体内で化合物の製造を行なうことになる超新星的爆発の方が、明らかに《差異の増殖》の方向への道を継承している。
[新しいパターン] コーク(=クォーク)出現も、ハドロンの出現も、天体の誕生も、元素製造も《濃密化+差異の増殖》というパターンの現象であった。ところが、この超新星的爆発とブラック・ホール化の追分道では、その従前の《濃密化》と《差異の増殖》の2種の作業のうち、ブラック・ホールの方が《濃密化》を、超新星的爆発の方が《差異の増殖》をというように、それぞれそれを分けて継承しているのである。そのように、両者の志向する方向は、完全に矛盾対立している。また、ブラック・ホールは《濃密化+差異の減少》であり、超新星的爆発は《希薄化+差異の増殖》になっており、二つともこれまでの通常のパターンであった《濃密化+差異の増殖》とは違った、新しいパターンの現象でもある分けである。そういうことで、このブラック・ホール化と超新星的爆発の《追分道》における神様の目指される目標の探索は、前にも言ったように大変難(むつか)しいのである。
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