安達論文「神様は、貴方に何を期待しておられるか」
第1章、科学的真理の中に神様のお振る舞いを探す
(2) 量から質への転換
第1節 宇宙創世と神様
3 神様のお仕事に関する若干の理論的補足
[量の変化が質の変化を生む] 《天体=恒星や惑星》を作っている吸引力は重力である。《元素=原子》を作っている吸引力は核力である。《分子=化合物》の製造は電磁力の働きで行なわれる。元素製造も,化合物製造も、共に《差異の増殖》であったことは言うまでもない。なお、その《差異の増殖》が、どちらの場合にも、質量の増加(濃密化)に伴(ともな)って行なわれている。元素製造では、ヘリュームから順次次第に原子量の多いものが作られて行った。そして、原子量(密度)が違うと、その性質も違った物になる。性質が違うので、それを元素と呼ぶようになった分けである。その様に、量の変化がそのまま質の変化に繋がることを、エンゲルスは《量から質への転換の法則》と呼んだのである。化合物の製造でも、複数の《原子》がくっ付き合って、大小様々の《分子》が出来てくる。そして、使われている《原子》の量の違いで性質の違う化合物が出来てくる。即ち、化学変化もまた《量から質への転換》の典型的なケースなのである。化合物の中には、アミノ酸が水素の数百倍、蛋白質は数万倍というように、極めて大きなものがある。そして、蛋白質のような大きな分子になると、《量から質への転換》で、同じ蛋白質でありながら、卵の白身の様に変形の自由自在なもの、鋼鉄のワイヤーより強靭な繊維、琺瑯のように固いもの等々、千差万別の性質の違ったものが出来上がる。
[確立統計的法則による量的選択から質的選択へ] 化合物としては、最初は、メタン(CH4),アンモニア(NH3),水(H2O),硫化水素(H2S),塩化水素(HCl)等の、水素と他の元素との化合物ばかりが出来てくる。造星運動がまだ気体の渦の状態の時には、物理的な偶然の衝突で化合物が出来るので、全ての元素が、圧倒的に多い水素ばかりと遭遇し、そうなってしまうのである。土星や木星の表面が、メタン(CH4)やアンモニア(NH3)で覆(おう)われているのはそのためである。
ところで、鉄などの重い元素が中心部に集まり、個体の地球本体が出来てくると、物質相互の距離が接近して、単なる偶然の出会いによる化合ではなく、質的選択がインパクトを持った化合が始まる。酸素は水素より炭素の方が好きである。炭素もまた水素より酸素の方が好きである。そのため、一旦メタン(CH4)になった炭素が、水素と離別し、一旦水(H2O)になった酸素もまた水素と離別して、炭素と酸素が再婚し、二酸化炭素(CO2)が出来るというような化合が始まる。造星運動初頭のガス状の渦の中では、水素の量が圧倒的に多いため、炭素と酸素が遭遇する確立は、水素と炭素、水素と酸素が遭遇する確立の10億分の1もないという。だが、現在はメタン(CH4)より二酸化炭素(CO2)の方が遥かに沢山ある。地球では、46億年の歴史の中で、質的選択による化合物の作り変えが盛んに行なわれ、そのようになったのである。なお、土星や木星では、量のインパクトの方がまだ強く、質的選択による化合が進んでいない。だから、表面がメタン(CH4)やアンモニア(NH3)で覆(おう)われており、二酸化炭素(CO2)は極く微量しか存在していないのである。造星運動初頭のガス状の渦の中では、同じ元素(例えば酸素どうし)が遭遇する確立も極めて低い。だから、遊離酸素(O2)も、植物の葉緑素が登場し、初めてこの世に現れて来たものなのである。
いずれにしてもそのように、化合物の出来て来方は、初めのうちは確立統計的な《量》に関する法則に支配された化合が先行し、後期になるに連れて、イオン化傾向等の化学的性質、即ち《質》に関する法則に支配された化合が行なわれるようになるという一般的傾向があるようである。そこに《量から質への転換》という弁証法の典型を見ることができる。なお、この宇宙では、化学変化の場合だけではなく、何事の場合も、まず、確立統計的な物理的法則に基づく選択から行なわれ始める。そして、先に進むに連れて、次第に質的選択が行なわれるようになり、しかも、あと程、次第に選択される《質》が高度なものになって行くという展開の仕方をするようである。
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