
建物明渡し時の「原状回復義務」
賃借人がしなければならない建物明渡し時の原状回復の義務は何処まですればよいか、賃借人の原状回復費用の負担義務は何処まですればよいかなど紛争が起きた場合の解決のヒントにつき解説しています。
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(2012/02/05 現在)

原状回復とは?
期間満了、又は解約により賃借している部屋を明渡す場合、よく問題になるのが原状回復費用の負担です。 家主、或いは管理会社から莫大な費用を請求されてビックリすることがあります。
あてにしていた敷金、或いは保証金のほとんどが返還されない場合、或いは全額返還されない場合、又もっと極端なのは、預けてある敷金、保証金以上の請求をされ途方にくれる場合があります。
でもちょっと待ってください! 民法の原則からいえば、「目的物の修繕費は貸主が負担する」という事になっています。 諦めることはありません。徹底的に交渉しましょう。
<参考法令> 民法606条 「賃貸人の修繕義務」
「賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要なる修繕をなす義務を負う」とあります。
実際の賃貸借契約では、特約条項等により、賃借人にかなりの負担を強いている場合が少なく有りません。納得できなかったら、納得いくまで説明を受けましょう。
この原状回復費用の負担においては、しばしば紛争になることから、平成14年3月、国土交通省住宅局において 「原状回復にかかるガイドライン」 というものが公布されました。
このガイドラインによる基本的な解釈は、建物の価値は居住の有無に係わらず経年により減少するものであるから、「原状回復とは、賃借人が契約当時の状態に戻すということではなく、賃借人の故意、過失、善管注意義務違反等による損耗、毀損を復旧することである」と定義しています。
注・・・善管注意義務とは、「善良なる管理者(この場合、賃借人)の注意を持って・・・」 という意味です。義務違反とは、例えばドアーなどを乱暴に扱
い蹴ったりなどして壊してしまったとか、掃除をあまりしない為、畳や壁にカビができ駄目にしてしまったような場合です。

原状回復費用の負担
賃借人が負担しなければならない原状回復費用の範囲は、毀損部分を復旧することにあるわけですから、出来る限り毀損部分に限定し、毀損部分の補修工事が可能な最低限度を施工単位とするべきであるというのが基本的な考え方です。
従って、賃借人に原状回復義務がある費用負担については、補修工事が最低限可能な施工単位に基ずく補修費用相当分が賃借人の負担部分と考えるのが妥当です。
例えば、畳の一箇所をタバコの火で焦がしたような場合や、壁のクロスの一部分に傷をつけたような場合、その部屋全体の畳あるいはクロスの張替え費用の全額を負担させるのではなく、畳の場合であれば、原則一枚単位の費用負担となり、クロスであれば賃借人が毀損した部分を含む一面分の費用負担相当と考えられます。
貸主のほうは、一部分を補修すると色が違ってしまうので全部を補修してくれといいますが、負担する費用は、毀損した部分でよいわけです!

原状回復トラブルの回避
原状回復費用の負担に関するトラブルはなかなか減りません。それは何処に原因があるのでしょうか? そもそも契約をする時に問題があります。
賃貸借契約書というものは、一般的に貸主側に沿った内容で作成されています。そこには、明渡し時における原状回復費用の負担については簡単に説明してあるか、又は特約条項において厳しく定めているかのどちらかです。
そこでトラブルを避けるためには!
@ 賃借人は契約前に、明渡し時における原状回復の内容について、納得いくまで貸主又は管理会社より説明を受けること。
明渡すときには必ず発生する問題です!
A 原状回復については、よく特約条項で定める場合がありますが、賃借人に特別な負担をかける場合は過剰な負担を課さない事
としています。(過剰な負担と感じたら納得逝くまで説明を受けてください。)
通常の原状回復義務を超えた負担を負わせる時は、賃借人に充分理解、納得させなければならないこととされています。
賃借人に不利な特約は、消費者契約法10条 「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」 により無効とされます。
< 賃借人に不利な特約は、次の要件を満たす必要があるとされています。>
◎ 「特約の内容に合理的必然性があること」
◎ 「賃借人がその不利な義務を負うことにつき認識していること」
◎ 「賃借人が特約による義務の負担を了承していること」
B 特約条項の中で、将来、賃借人が負担しなければならない原状回復費用がどの程度になるか、単価等も含めて充分説明を受け
書類として受け取っておくとよいでしょう。
C 入居前に、傷、汚れ、器具の不具合等、借主、貸主又は管理会社立会いのもと、双方確認をしておくと よいでしょう。
入居時毀損損耗のある箇所の写真は是非撮っておくことをお勧めします!

紛争解決の手引き
原状回復費用の負担に関する紛争は、当事者間の交渉により解決するのが基本ですが、大抵の場合貸主側は不動産会社か管理会社が間に入って交渉する場合がほとんどです。
相手はプロ、こちらは素人です。しかも契約書は大体貸主側有利になっています。なかなか勝ち目はありません。そこで、交渉が思うようにいかない場合や、不利になりそうな場合は、さっさと交渉を打ち切って別の方法によることをお勧めします。
(公的機関による解決方法)
@ <少額訴訟の活用>
少額訴訟とは、素人でもできる最も簡単な訴訟手続きのことであり、60万円以下の金銭トラブルに関する紛争解決の手段
です。 当サイト「少額訴訟の活用術」を参照して下さい。
手続き簡単、費用僅か、一回で判決!
A <民事調停>
民事調停は、裁判外紛争処理の手段であり、民事紛争につき、調停機関が当事者双方の意見を聞き、実情に即した解決を
図ることを目的としたものです。訴訟に比べて、簡易な手続きで迅速な解決が望めます。
B <国民生活センター 、消費生活センター>
司法による調停ではないが、紛争当事者間の円満な話し合いによる解決を促してくれます。
以上、紛争解決の手段としてどの制度を利用するかは、紛争の状態にもよりますが、通常は相談から始めて解決が困難な場合、裁判に移行するとよいでしょう。 まずは内容証明で!
目的別内容証明の作成は「味戸行政書士事務所」にお任せ下さい!
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