明渡し請求


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<明渡し請求の基礎知識、土地・建物契約更新の拒絶、正当事由、明渡し料>



(ご相談はこのページの巻末をご参照下さい。)





貸主に不利な明渡し請求!



土地・建物の地主さんや、大家さんはどのような場合に、土地、建物を明渡してほしいと思うのでしょうか



今日、土地は高度利用化が進み、都市圏においては特に顕著です。したがって親の代から僅かな地代や、家賃で貸しているような土地や貸家はさっさと返してもらって分譲マンションや賃貸マンションに建替えたいと思っている地主さんや、大家さんは以外と多いものです。



又、家族事情が変り、自分たち夫婦も年をとったし何かと不安なので長男が嫁を貰ったのを機会に同じ敷地内にある貸家の借家人に立退いてもらいリフォームをして住んで貰いたいが、なかなか立退いて貰えないという話はよく聞くことです。



仕方がないので契約の終了を待ち、更新拒絶の通知をし明渡しや立退きの請求をしても相手はすんなりと応じてはくれません。何故でしょうか?



それは、旧借地・借家法によると、借地人、借家人の賃借権が強く保護され、地主、家主が「正当事由」を理由に契約を終了させて立退きを請求しても、正当事由がそのまま認められることはなかなか困難で、正当事由を補完する立退料支払って立退いてもらう始末です。



あまりにも、借地人、借家人を保護した結果、いわゆる悪質借地借家人が増えた為、これではせっかく土地や建物を貸そうと思っても貸す地主さんや大家さんはいなくなり、経済活動の活発化を妨げないとも限りません。



そこで、期限がきたら無条件で土地や、建物を明渡さなければならない
定期借地権定期借家権を盛り込んだ改正借地借家法が平成4年度より実施されましたが、まだ圧倒的に旧借地・借家法適用での契約なので思うように機能していないのが現実です。



 旧借地・借家法で締結した契約は、更新をしても、改正借地借家法適用の契約にはなりません!






「土地建物賃貸借契約の更新拒絶とは」





地主や、家主が自己使用の必要性を主張して、契約の更新を拒絶しても裁判になりますと、ほとんどいわゆる 「正当事由」 とは認められません。結局、時間と費用と納得できない明渡料を支払って、明渡してもらうことになります。



裁判で明渡し請求が認められるのは、一時使用による賃貸借契約(借地借家法の適用外)のほか、賃借人側に債務不履行、その他契約を継続しがたい相当な理由がなければ裁判では認められません。



賃借人に債務不履行がある場合は、相当な期間を定めて債務の履行を要求し、それでも履行されない場合に契約が解除されます。(履行しないくらいですから、契約が解除されてもスンナリとは立退きません)



< 建物賃貸借契約の場合 >


建物賃貸借契約で期間の定めがある場合において、賃貸人に「自己使用の正当事由」が有る場合は、更新拒絶の通知を、期間満了の6ヶ月〜1年前に通知しなければなりません。



通知をしなかった場合は、従前と同一の内容で契約したものとみなされます。(但し、期間の定めはありません。) 
(借地借家法26条)



更新拒絶の通知を出して、期限経過後も賃借人が使用を継続する場合は、直ちに異議の申立をしないと、賃貸借契約は従前と同一条件で賃貸借をしたものとみなされます。(但し期間の定めがないものとなります



建物賃貸借契約において
期間の定めがない場合、賃貸人はいつでも解約の申入れをすることが出来ます。解約の申し入れをした場合には、6ヶ月を経過した日に終了します。それでも「正当事由」は必要です。 (借地借家法27条)



★ 解約の申し入れは配達証明付の内容証明、又は書留で通知したほうが良いでしょう。



< 土地賃貸借契約の場合 >



借地契約期間満了の場合、建物があり、尚且つ借地人が更新を請求したときは、従前と同一の条件で契約の更新をしたものとみなします。



従って土地所有者が、自己使用その他「正当事由」が有る場合で更新拒絶をするときは、遅滞なく通知をしなければなりません。 (旧借地法4条及び借地借家法5条)




土地所有者が更新拒絶の通知をしたのにも拘らず、賃借人が土地の使用を継続する場合、遅滞なく異議を述べないと、従前と同一の条件で更新をしたものと看做します。(旧借地法6条、法定更新)



改正借地借家法では、契約期間を堅固、非堅固の区別はなく一律30年とし、(契約で30年以上可)更新後の期間は、最初の更新については20年、その後は10年とします。(契約でこれ以上の期間可)



定期借地契約は、別途条文あり。(普通定期借地権、建物譲渡特約付定期借地権、事業用借地権)



裁判に持ち込んでも、判決を得るまでには長く時間がかかります。(裁判所は、貴方の為にだけ裁判をしているわけではなく、膨大な事件を順番に行っているわけですから・・・)



そして「判決」まで決着を持ち越すことはほとんどありません!



結局和解という事で解決をつける事が圧倒的に多いいからです
それならば最初から、話し合いで解決をつけるほうが、まず時間が省けるということと、明渡料も双方納得した額で決まるということです。(多少不満があったとしても・・・)



内容証明のやり取りも数回に及ぶ場合もありますが、根気よく交渉をすることをお勧めします。後日やむを得ず裁判になった場合にも、すべて証拠として主張できます。



交渉の結果、明渡料が決まったら双方の意思が変らないうちに文書(明渡契約書、覚書、合意書等)にしておいた方が良いでしょう。(即決和解の手続きをしておけばより確実なものになります。)



これは、貸主側から見れば、いつ相手の気持ちが変わって明渡料を吊り上げてこないとも限りませんし、借主側から見れば本当に決めた明渡料を支払ってもらえるのだろか?等という心配を解消するためです。




貸主側で注意しなければならないのは、公正証書を作成しても相手が履行しない場合、
公正証書では明渡の強制執行は出来ないという事です。公正証書で強制執行が出来るのは「金銭債権」のみです。



明渡しに強制執行力をもたせる方法としては、裁判の判決以外では「民事調停の成立による調停調書」、又は、 「即決和解による和解調書」 です。


但し即決和解の場合は相手も裁判所に出頭しますので、相手が即決和解の内容を了解(理解)していなければなりません。即決和解の申立は、申立書を管轄の簡易裁判所に提出して手続きを行います。



即決和解の手続きを経て合意内容を和解調書の形にしておくと、相手方が、合意内容を履行しない場合は、手続きをして
訴訟をすることなく立退きの強制執行を申立てることができます。




「明渡料(立退料)に算定基準はあるのか?


土地又は建物の賃貸借契約において、地主家主側から契約解除又は更新の拒絶ができるのは、地主家主側に 「自己使用の、正当な事由」 があるか又は借主側に 「債務不履行」 があるか或いは 「一時使用の賃貸借」 かのいずれかに該当する場合です。


裁判所の 「正当事由」 の判断は貸主側の事情 (土地、又は建物を必要とする理由、家族構成、職業、現住居の状態、経済力) と借主側の事情 (現使用状況、転居先の有無、資力、家族構成、職業) その他契約時の特別な事情、今までの立退き交渉の経過等を考慮に入れ、実際にどちらが切実に必要としているかを判断するのです。(裁判所はどうしても借主側を弱い立場として見がちです)



貸主側の 「正当事由」 としての根拠が弱い場合、裁判所は明渡しの条件として、明渡しと引き換えに賃借人に対して財産上の給付をする旨 (つまり明渡し料の支払い)の申し出をした場合に、その申し出を考慮して正当事由があると認められるとされています。   (正当事由の補完→借地借家法6条、28条)


 貸主側の 「正当事由」 が100パーセント裁判で認められることは至難の業です!


つまり、明渡料(立退料) の考え方としては、賃貸人が賃借人に対し明渡しを請求する場合、賃借人の移転による不利益(実際は不利益になってなくても裁判所はそのように判断します。)を金銭、その他の代替物で補償するということです。


★ 明渡料 (立退料) の算定基準と言うものがあるかというと、そんなものはありません!



案件ごとに独自に算定するか、過去の同じようなケースの判例を参考として算定する場合がほとんどです。



立退き交渉をする場合、貸主側の立ち退いてもらいたい事情と、借主側の居住する必要性との相関関係での交渉となります。
      つまり駆け引きです!



借主側に契約違反があった場合は、立退料に大きな差が出てきます。



「借地・借家・立退料の判例、実例」


「 借地契約の場合 」


借地権とは、建物所有を目的とする「地上権」および「賃借権」を言います。(借地借家法2条1号

借地権価格は、借家権価格とは違い、一般的に算定しやすいものです。(地価×借地権割合)

借地契約で、立退き請求をするする場合、以下の理由が考えられます


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@ <期間満了に依る借地契約の終了>


この場合は、借家契約と同じで土地所有者が自己使用の必要性か正当事由が有る場合でなけれ借地権の消滅を主張し、土地の明渡しを請求することはできません。(借地権者が、立退き料受領と引き換えに承諾すれば可)

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A <借地人に債務不履行がある場合>


基本的に、立退料は不要ですが、判決が裁判で長期になることを避ける為に立退料を支払うことにより和解をすることがある。(債務不履行の強弱により立退料の額が違う。)

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B <借地権の存続中に賃貸人の都合で借地契約を解除し立退きを請求する場合>


借地権者の意思を無視した立退き請求は裁判では認められません。(いわゆる、地上げなど!) 但し賃借人が承諾する場合にはこの限りではありません。

  
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「借地、立退料算定の目安」

@ 貸地をしている周囲がすでに中高層ビル化している場所で、借地人の所有する建物が木造で老朽化しているような場合、
   期間満了による立退料は、比較的少額の立退料で立退きが認められます。

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A 地主、借地人共に営業の為、土地を利用したい場合の期間満了により地主が明渡しを請求する場合、立退料は、借地権価格
  +移転費用
が目安となります。

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B 期間満了において、地主側に正当事由がない場合、相当額の立退料の提供を申し出ても許可されません(立退料は、あくまで
  も正当事由を補完するものだからです。)借地人が承諾をすれば構いません。

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C 地主側に正当事由があり、借地人側に債務不履行がある場合、期間を短縮するために、裁判上の和解よる和解金の支払により
  立退きが成立します。(勿論、双方和解に応じた場合です。)
  
    

注意!期間満了前に更新拒絶の通知をしても、満了後引き続き使用している場合には遅滞なく異議を述べなければなりません。


    

「 借家契約の場合 」 

   借家の場合の立退料とは、一般に三つの内容に集約されます。


@ 立退きによって賃借人が支払わなければならない移転費用。


   イ、引越しに掛かる費用 (運送に伴う一切の費用、移転通知費、各種届け出に伴う諸費用など)

   ロ、移転先取得の費用 (敷金、礼金、権利金、保証金、仲介手数料など)

   ハ、従前賃料と引越し先賃料との差額 (差額がある場合には補償月数を乗じる)


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A 立退きによって賃借人が事実上失う利益の補償。(いわゆる居住権、営業権)


   イ、 居住権として移転先が従前より劣る(間取り、環境、駅からの距離、通勤、通学、買い物などの不便さ)居住権は、多分
      に精神的不利益に対する補償の為、利用権の中に含まれることが一般的です。


   ロ、 営業をしている場合は、移転先で営業する不利益に対する補償 (営業権)新規に営業するまでの設備費、諸費
       用並びに休業期間中の補償、及び減収分の補償など。


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B 立退きにより消滅する利用権の補償。 (いわゆる借家権)



   借家権価格を算定する方式は数種類ありますが、一般的には数式が比較的簡単な「割合方式」による計算が多く利用されて
   います。

     

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「借家、立退料の判例」

@ (貸主側の事情)


   鮮魚商経営 (独身の弟が手伝っている)、自宅はマンション (夫婦、母、大学の息子2名、弟)、貸家
  (店から50mほど
   の距離、築後約60年、平家、面積約60u、賃料5万円、敷金15万円)。


   (借主側の事情)

    母、10年前死去、借家権相続により娘居住、5年前結婚を期に転居、借家を倉庫替わりに使用。

   (更新拒絶の理由)


   老朽建物のため、将来結婚する弟の為に建替えしたい。



   (昭和58年、類似ケースに依る東京地裁判決)

   立退料として、金51万2千円の判決 (賃料の約10か月分)。



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A (貸主側の事情)


   10年前、今迄住んでいた住居とは別に、現住所に新築をし、夫婦と子供3人で居住、今迄住んでいた住居は将来結婚する息子
   の為に残しておき結婚するまでと思い、賃料5万円、敷金15万円、2年契約で賃借人に事情を話し6年間を目途に賃貸する
   ことにし、賃借人もこれを了解し賃貸した。


   (更新拒絶の理由)


   息子が大学を卒業し
、就職をして5年経つが、1年後に結婚をすることになったので更新拒絶をした。
 

   (裁判のポイント)


   一時使用の契約が認められるか?(一時使用が認められれば立退料は不要)

   (昭和57年、類似ケースに依る大阪地裁判決)

   立退料として、金500万円の判決 (賃料の5〜6年分+特別費用)

   特別費用として借主がピアノ教師をしていたため、ピアノ設置場所確保のための特別費用を計上。


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期限の確定していない約束(契約)は、一時使用の契約とは認められない!


  < 一時使用とは認められにくいい類似のケース>


   (イ) 海外転勤のため、転勤が終わるまでという約束で貸した場合。

   (ロ) 地方転勤のため転勤が終わるまで、一時使用の目的で賃貸した場合。

   (ハ) 母の地方療養で付き添いのため、留守の間一時使用の目的で賃貸した場合。



   
一時使用で賃貸する場合は、賃貸目的と期間を確定しておかないと認められにくい!


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  <長屋式老朽貸家を建替えて賃貸マンションを建てたい>


   効率の悪い貸家を、マンション経営に切り替えたいような場合は、貸主の経済的理由のみなので高額の立退料の提供を申し
   出ても「正当事由」の補完にはならない。(誠意を以って交渉すること)



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  <営業用建物の立退料は>


   いわゆる営業権の補償になります。営業権の算定はなかなか困難ですが、判例としては月間純益の 10倍というものも
   あります。(昭和46年、東京地裁)



   賃料の約8年分とする判例もあります。(大阪地裁、昭和55年)


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  <店舗明渡しの猶予のため更新をした場合>


   猶予期間後は更新をしない旨と、猶予後は店舗明渡しを確約させる。


  <住居権営業用建物の立退料は>


   住居と営業用建物の立退料の両方ということになりますが、営業状態と住居移転先確保の状態により 立退料に差が出てきます。


         立退料の交渉は予算を組みながら、誠意を以って根気強く!!



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