ちくちくの記
2003年:4月
2003.4.13 久々に東京までお出かけ。目的は刺繍展を見ること。ついでに新宿でミシン屋さんを覗い て、かねがね気になってるミシンの現物を確かめること。 曇り空の下、つれあいと二人てくてくと駅まで歩く。のんびりゆっくりの気持ちで電車に 乗り、段々と家並みが増える窓外を見ながら渋谷へ。渋谷駅についてふたりでおのぼりさ んになった気分だねえと顔を見合す。その思いはハチ公口前の交差点で信号を待ちながら ますます強くなる。 わーんと耳の中に響くさまざまな音、自分もその一人なのに、一体どこから湧き出したの だろうと思う人の群れ、氾濫する様々な色、等々。ここに毎日暮らしてると慣れっこにな るのだろうか。まあ何はともあれ会場へ足を運ぶ。 刺繍展は写真で見るより実物のほうが素晴らしかった。 裏をひっくり返してみたい誘惑に駆られつつ、ひとつづつ丹念に見て歩く。入り口にあっ た女王陛下のクッションは思ったより小さい。色合いがとても優雅。一色で刺すのも、い ろんな色のチョイスがあるんだなあと感心する。 法衣は、刺繍もさることながら土台に使ってある布の立派さに目を見張る。坊さん稼業の 従兄弟が使う儀式のころもと共通したところがあるんだなあとふと思う。 タペストリーは刺繍も素晴らしいけれど、ヘムかがりも、はしごかがりも丁寧な作業。何 事もきちんとやらないといけないなあと改めて思う。 ひとつひとつの作品の前で、ふたりでああだこうだと観察しながら立ち止まってしまうも のだから、なかなか先に進まない。おまけにどの図案がいいとか気に入ったとか、興味は 尽きない。出口近くまで見てからまた元に戻って気に入ったのを再度見直し、会場の中を 何度も行きつ戻りつしてしまう。 見ていて気になったのは、目の粗い麻地に花糸二本取りで刺した大きなタペストリー、額 に入れないでボードに貼り付けただけの展示、一色で刺したタペストリー、刺繍の図案起 こしの原画。 花糸の作品は自分では刺したいと思わないというつれあいが、目の粗い麻地に刺した作品 の前で、いいなあこれ、という。これなら刺してみたいともいう。そして、写真で見るよ り実物のほうがずっといいもんなんだなあ、とつぶやく。 たしかに、写真で見るのと実物では感じが違う。私も図案見てため息ばかりついてないで 刺さなくっちゃ。 じっくり刺繍を見た後は思いつくまま気の向くまま。お昼を食べてあちこち寄って帰る。 刺繍関連は材料も用具もたくさんあるから買わないと思ってたのに、ついでだからと越前 屋さんとゆざわやに寄ったのが運の付き。わたしは越前屋さんオリジナルの刺繍糸、つれ あいは細番手の刺繍針と気に入ったキットを買い込んでしまった。