=環境教育と国際理解教育=

湖沼浄化への取り組み 
−ぬれぎぬだ!ブラックバスより−

小賀野勝芳

 外来種であり、釣り愛好家によって放流されたのではないかといわれる ブラックバス は雑食性で強く、そのために在来魚種が減少した、しかしブラックバスを駆除するのは難しいという新聞記事が載っていた。琵琶湖を取り上げたものであったが、最近はあちこちの湖沼にブラックバスの放流・再放流禁止の掲示がだされるようになった。最近訪れた池の平イモリ池にもその旨の表示があった。確かにブラックバスが在来魚種を喰ったり、在来魚種の餌を奪ってしまうという事実はある。しかし、琵琶湖を例にとっても、ブラックバス大繁殖の10年ほど前からアオコや赤潮の発生が見られた(ブラックバスの大津市瀬田川侵入は1987年、南湖侵入1979年、北湖侵入1974年)。アオコや赤潮発生の大きな原因は、人間による自然環境の破壊が在来魚種の減少・絶滅を促進し、魚類の食物連鎖を阻み、生態系を狂わしたからである。ブラックバスによる在来魚種減少の影響は2〜3割程度であると考えられる。このことは、西野氏や服部氏のデータからも裏付けられる。
 高度経済成長期まっただ中の1970年代、琵琶湖の水は赤くなり(赤潮の発生)、異臭が漂った。工場排水、農業廃水、当時使われていた燐を含む合成洗剤などが原因であった。主婦達を中心に粉石鹸を使う運動が繰り広げられた。また、工場排水や農業廃水の規制、家畜の糞尿処理などについての住民運動が起こった。
 そして、1980年、滋賀県では、「琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」が施行された。しかし、じわじわとした汚染は進行中であり、環境ホルモンなどの問題も表面化してきている。
 滋賀県では、1986年、湖沼の環境を守り、バランスのとれた開発を進めるための国際的な交流と研究を目的とした (財)国際湖沼環境委員会 が設立された。国際湖沼環境委員会では、湖沼の環境保全に関する国際協力の推進を行っており、 国際協力事業団(JICA) 研修コース「湖沼水質保全」(1990年〜 )、「水環境を主題とする環境教育」(2000年〜 )の運営を担っている。この研修コースでは、滋賀県大津市立雄琴小学校の協力を得て、 環境教育 の授業に発展途上国からの研修員が参加している。なお、滋賀県では約100の環境関連NGO・NPOがある。
 太平洋戦争が始まる前年の1940年、田沢湖は魚の住めない死の湖となった。戦争遂行用電力需要が高まり、発電の水量を確保するため、強酸性の「玉川毒水」と呼ばれる玉川の水が田沢湖に流入されることになったからだ。魚が絶滅するまで、6ヶ月とかからなかった。警察の監視も厳しく、自然を守る運動や漁業権など、対等な交渉をできるような時代ではなかったのである。やっと1990年になって玉川酸性水中和施設が稼働するようになった。
 多種の魚が住める湖沼を取り戻したいと思う。魚に優しい湖は、人間にとっても快適な湖である。地元の人たちから「マザーレイク」と呼ばれている琵琶湖を例にとれば、近畿地方1400万人の飲料水源になっており、全国出荷鮎約半分(かつてはもっと多かった)の故郷でもある。人類が天に唾を吐くようなことは避けたい。魚が住めない環境を作ることは、人間にも必ず災いをもたらすであろう。

 1998年7月作成、2001年8月一部追加変更


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