●Corsair Hydrocool 200 の試験(その1)

2003年6月22日 初出
Corsair Hydrocool 200についての overclockers.comのレビュー記事を5月の中旬に見たときに、瞬間的に欲しくなりました。その時には3R Poseidon を購入しており、まだ、テストにとりかかっていないにもかかわらずです。 一番大きな理由は、”これまでの水冷キットにあった怪しげな雰囲気を消し去り、常温二次空冷の水冷の良さをはっきりと世に示す可能性を持った製品だと”直感的に思ったからです。これを自分自身で検証したかったのです。 その他の理由としては、その筆者がこれまで評価した水冷キットの中で最も高性能だったからです。overclockers.com の water cooling のページでは数多くの水冷キットの試験が行われています。その中で最高性能というのは非常に興味があるところでした。ちなみに、この中で行われている試験は、Die Simulatorと呼ばれるもので、銅製の模擬コアをヒーターで加熱してシンクの性能を評価するという方法です。Athlonのコア程度の大きさを模擬したもので、(同様なものは私もやったことがありますが)かなり厳しい試験です。また、一体、それは私の試験法ではどの程度の値になるのだろうか?という非常に単純な動機です。 一連の評価記事の中には、3R Poseidon (かの地ではIcebergという名前で売られているようです。)も含まれるので、評価方法自身の相関もある程度見ることができ、今後の私自身のガイドとして活用できるのではなかろうかという期待もありました 余談; Corsairは、日本語では、コルセアと発音するのではないかと思いますが、大馬力を持って、ゼロ戦を南太平洋から駆逐したF4Uコルセアを思い出すのは、私だけなんでしょうか? |
●はじめに
英文ですが、以下のURLのレビュー記事が書かれています。レビューされたものはプロトタイプのようで、私のものとは微妙に異なる部分もありますが、概略はほぼ同じと考えてよいと思います。また、記事の内容(文章と写真とも)は、これらの方が格段に良いので、こちらを見る方が良いでしょう。
overclockers.com
konfig.com
3dvelocity.com
以上のレビューにも書かれていますが、このHydrocool
200は、Corsair memory の製品です。しかも、世界最大級の自動車部品サプライヤーである、Delphi との共同で開発されたものです。私の中で、これまで水冷キット言えば、超頻水郷に代表されるように台湾製、韓国製と言った(言葉は悪いですが)少々怪しげな製品が多かったのです。それがまた魅力だったわけですが、計測してみると意外にも(失礼)比較的良い性能を有しており、冷却性能という意味では、かなりのポテンシャルを有していると思いました。性能の数字的な裏づけは、”鉄人に続けに続け!”の記事または、Heatsink
Ranking で明らかなように、空冷シンクを大幅に上回っています。
ただし、製品の完成度という点ではお世辞にも誉められたレベルではありませんでした。個人的には、ポンプ、リサーバータンク、ラジエターが一体ではないという点が一番の不満でした。つまり、組み立てる手間がかかる、これらのセットきちんと配置することができないので見栄えが悪いということです。なので、水冷キットは常用マシンとしては使わず、メンテナンスフリーも相まって、常用マシンは空冷シンクを用いていました。
その点、Koolance EXOSなどの一体型のものは一つの解であったと思います。また、最近は、5インチベイへ内蔵できるタイプのものも出始めていますが、性能的にかなり非力であり個人的には興味が沸きません。EXOSは、当時の本体価格が少々高いことに加えて水冷ヘッドは別売りなのでコスト的に購入意欲が湧きませんでした。当時、その高い冷却性能を知っていれば話は変わっていたかもしれませんが、幸か不幸かその性能を知りませんでした。また、現在のUSAでの価格は、水枕と合わせて240USDと、Hydrocoolより若干高い価格になっています。
ちなみに、ユーザースサイドでの、現時点での通販価格は下の表のようになっています。Hydrocoolにしても日本で買えば、まだまだお手軽価格と言えないかもしれません。
| 本体 | 水冷ヘッド | 計 | |
| Hydrocool 200 | \33,800 | 本体に含む | \33,800 |
| Koolance EXOS | \37,300 | \6,800 | \44,100 |
それで、Hydrocool 200ですが、EXOSを研究して性能面、取り付け簡便性、仕上げなどの完成度を高め、さらにコストも個人的にリーゾナブルと思わせる価格で出てきました。水枕込み(220USD)。しかも、Overcolcker.comの性能評価ではトップ。これは手に入れるしかないということで、ユーザーズ サイドで通販で購入しました。ただし、メーカーからの納品遅れ約一ヶ月がありました。
●外観
本体を除く一式。あと冷却水が必要です。右側のシリコングリスの下にあるものは、漏斗。これは実用上必須だと思います。
●ヘッド周り
最初に見た時は、長さ、幅、高さとも非常に小さいので、非常に頼りなく性能的にはあまり期待できそうにないという第一印象を持ちました。材質は銅だそうで、クロームメッキがほどこされています。コア面がせいぜい2mmで非常に薄かったのが利湯です。私が昔やった実験では、厚さ10mmが最も良い結果を出したので、これはいかにも薄いと感じたからです。
水冷ヘッドの内部構造はレビュー記事によると、Micro channel pathwayという構造だそうで、細い柱のようなものがたくさん立っているような構造になっています。水と接触する表面積を大きくすることができ、熱交換効率が高いというような説明があります。また、熱伝導のシミュレーションも援用して、構造検討がなされたそうです。
ヘッド上部には、温度センサーが接着剤で取り付けられています。写真でもわかるように、接着剤をこぼした後があり、アメリカ的だなあと思いました。ちなみに、この温度はフロントパネルに表示されますが、私の実験結果によると、コア面の温度よりかなり低い温度が表示され、リザーバータンク内の水温と一致していました。まあ、これはこれで一つの目安にはなるでしょう。
同梱のシリコングリスは、信越製。G-751か?。しかし、この分量では、Athlonの場合は十分かもしれませんが、Pentium4
の場合は一回分でも足らないのではないでしょうか?
●本体
本体の側面のフィンガーガードは直径12cm程度なので、かなり大きいものです。スモークのプラスチックのサイドと上面のカバーは、わずかに透けて見えます。全体の品質感は高く、なかなかのものです。フィンガーガードは反対側の面にも取り付けられており、ラジエターが取り付けられています。ちなみに、空気はフロントパネルから向かって左側から取り込み、ラジエター側から排気という方向で流れます。
上面の取っ手は、とっても便利です。
パネル面には 妙に大きな三桁のLEDの表示があり、水枕に取り付けられた温度センサーの温度を表示します。私の実験結果によると、この温度はコア面の温度よりかなり低く、リザーバータンクの水温とほぼ同じでした。FとCの切り替えは、パネル面の右側のスイッチで行います。C表示にした場合、0.5℃ステップになります。C表示の場合、±0.5℃の範囲で表示が非常にちらつきます。どうも、F表示で1℃ステップに設計されているようです。
C表示で0.5℃ステップというのは、大雑把な感じがするのは私だけでしょうか?嘘でもいいから、0.1度ステップで表示して欲しいものです。また、表示の時間インターバルが1秒程度ではないかと思いますが、このインターバルを長くするか、または、設定可能になれば良いと思います。
真中の赤いボタンを押すとTurboもデー度 また、ラジエターファンの速度切り替えもマニュアルで可能になっています。
ワンタッチのコネクター。水枕側、リザーバー側ともシールされている。
取り外した時に多少の水は漏れるが、非常に便利。
LEDの左のボタンは、プログラミングのボタンらしいです。
本体の反対側から。フィンガーガードから、白く光って見えるものがラジエターです。背面の
D-sub コネクターで、コントロールカードを通して、電源の供給や制御が行われます。
その下に二つ並ぶコネクターが、冷却水のホースをつなく、セルフシーリングコネクター。ワンタッチで付けはずしができるので非常に便利です。
少し見えにくいですが、手前側上面に冷却水の給水口があります。
給水口の蓋は、鉄製でずっしり重いものです。
なお、冷却水の量は、マニュアルには特に記載がないように思いますが、蒸留水600ccとクーラント150ccの計750cc程度でした。これがマニュアルに記載されていないのは不親切だと思います。私は、これまで冷却水として水道水を使っていました。これまで、このせいで超頻水郷を腐らせたりしましたので、今回はそれを避けたかったのと、蒸留水を使用しない場合はワランティがきかない旨明記されてしたので、近所のガソリンスタンドで200ccで300円という高級蒸留水を使いました。
下左の写真は、フローメータです。水が流れると、下から豆電球に照らせれて、赤い水車が回って、水流が流れているのが視覚的に確認できるようになっています。これがなくてもあまり困る人もうれしい人も少ないと思いますので、アメリカ人の余裕を感じます。これとは、別に、冷却水の量が、少なくなるとアラームが鳴るようになっており、いろいろな面での配慮が感じられます。
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フローメーター(上面から) |
●内部の様子
下の写真では、ほとんど何が何やら理解できませんが。(レビュー記事を参照して下さい。こちらの写真はよくわかります。) 丸い穴の下側左手に見えるものがポンプです。レビュー記事によると、このポンプはボッシュ製だそうです。このHydrocoolそのものが、大手の自動車部品製造会社のDelphi
と Corsair memory とのコラボレーションで制作された製品であることから、その他にも有名な自動車サプライヤーの部品が使用されているのではないかと想像しています。
ポンプの性能についてはまったくわかりませんが、騒音的には若干気になります。むぅぅぅというような純音が発生しており、音圧レベルとしてはそれほど高くはありませんが、耳につきます。私は、この一点だけがこのHydrocool
200で不満な点でした。 ラジエター 12cmのファンを持つラジエター。回転数は、1500(Wisper)、2300(Turbo)rpmの二段切り替え。この設定はプログラマブルに設定可能だそうです。Whisperとはとても思えないが、Turboよりは格段に静か。ファンの騒音よりも、ポンプの音の方が個人的には気になります。
リザーバータンクなどの内部構造の詳細は分解しなかったので不明。URLなどを参考。
銀色に光るラジエターと12cmのファンが少し見えます。
●コントロールカード
一見、PCIカードのようにみえますが、PCIカードではありません。ヘッドの温度センサーの温度表示およびラジエターの回転数、ATX電源との連動、設定温度以上になるとATX電源のシャットダウンを行う機能を持ったコントローラーです。
Hydrocoolは、ATXの12V電源のみで動作します。つまり、ポンプと電動ファンの電源はこのカードを通して供給されています。
電源の下側のピンコネクターには、温度センサーのケーブルを挿します。また、その下側のピンコネクターには、マザーボードのATX
Power スイッチ端子からケーブルを繋ぎます。