判例タイムズ1005号目次
平成10年度主要民事判例解説
連帯保証人が主たる債務の消滅時効期間進行中に債権者から暫定的な支払猶予を受けた上で一部分割弁済をし、更に時効完成後も右一部弁済を継続した場合において、その後に右保障人が主たる債務の消滅時効を援用することが信義則に反しないとされた事例・・・江原健志 18
リース契約の債務不履行による解除に伴う約定損害金の請求が、信義則ないし公平の原則により減額された事例・・・冨上智子 20
包括根保証人から金融機関等に対してされた信義則による責任限定の主張が排斥された事例・・・小島 浩 22
対人賠償保険契約を締結していた保険会社が地方公務員災害補償基金の加害者に対する損害賠償請求権の消滅時効を援用することが信義則に違反することになる場合において、保険契約の許諾被保険者である加害者がその消滅時効を主張することも信義則に反し権利濫用になるとされた事例・・・大工 強 24
農地法所定の所有権移転許可申請協力請求権についての消滅時効の援用が権利の濫用に当たるとされた事例・・・市川正巳 26
多発性脳梗塞の禁治産者がなした公正証書遺言について、遺言能力を認めて有効と判断した事例・・・宇田川基 28
一 農業協同組合の監事が組合を代表して理事に対する訴訟を提起する場合における訴訟提起には理事会の決議を要する旨の組合規約の適用の有無 二 農業協同組合と理事との間の訴訟係属中に理事がその地位を失った場合の当該訴訟での監事の代表権の消長・・・伊藤由紀子 30
賭博債権の譲渡を異議なく承諾した債務者が右債権の譲受人に対して賭博契約の公序良俗違反による無効を主張することの可否・・・芝田俊文 32
隣地の者が境界確認書への判付料として受領した金員につき、暴利行為に当たるとして一部返還が命じられた事例・・・波床昌則 34
ファイナンスリース契約の連帯保証契約において、空リースであることを知らなかった連帯保証人の要素の錯誤の主張が認められた事例・・・小久保孝雄 36
*詐欺により締結されたマンションの売買契約につき、その購入資金を融資するために抵当権の設定を受けた金融機関が民法九六条三項の善意の第三者にあたるとして保護された事例・・・山本 博 38
本人が無権代理行為の追認を拒絶した後に無権代理人が本人を相続した場合における無権代理行為の効力・・・佐藤陽一 40
詐害行為の受益者と取消債権者の債権の消滅時効の援用・・・遠藤東路 42
民法五六三条の代金減額請求権は民法一七六条一項の一般の消滅時効には服しないとされた事例・・・松本清隆 44
一 不動産競売手続における配当要求と時効の中断 二 配当要求後に不動産競売手続が取り消された場合における配当要求による時効中断の効力・・・廣谷章雄 46
法人が破産終結決定により法人格を喪失すると、同法人に対する債権も消滅するが、物上保証たる根抵当権の効力には影響はなく、被担保債権とは独立して存続し、その消滅時効期間は民法一六七条二項により二〇年であるとされた事例・・・澤野芳夫 48
設定登記のされていない通行地役権について承役地の譲受人が登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないと解すべき場合・・・園部秀穂 50
建築基準法四二条一項五号によるいわゆる位置指定道路の通行妨害に対する妨害排除・予防請求権・・・阿部正幸 52
共有者の一部による共有物の変更と原状回復請求・・・西島幸夫 54
いわゆる全面的価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情の存否について審理判断することなく競売による分割をすべきものとした原審の判断に違法があるとされた事例・・・小川浩 56
サブリース契約において、借地借家法三二条に基づく賃料減額請求が否定され、事情変更の原則の適用も認められなかった事例・・・山下 寛 58
債権について一般債権者の差押えと抵当債権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合における両者の優劣の判断基準・・・林 圭介 60
抵当権者による物上代位権の行使と目的債権の譲渡・・・佐賀義史 62
抵当権者による物上代位権の行使と目的債権の譲渡・・・佐賀義史 62
抵当建物の転貸料に対する抵当権に基づく物上代位が肯定された事例・・・桐ケ谷敬三 64
抵当建物の転貸料に対する抵当権に基づく物上代位が許されないとされた事例・・・桐ケ谷敬三
一個の不動産の全体を目的とする抵当権が設定されている場合における抵当不動産の共有持分の第三取得者による滌除の可否(消極)・・・原田敏章 66
所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後に右建物が取り壊されて新建物が建築された場合の法定地上権の成否・・・名越聡子 68
遺留分減殺請求権の代位行使の可否・・・大西忠重 70
倒産会社から任意整理受任弁護士に対してされた債権譲渡契約についての詐害行為取消請求が権利の濫用として許されないとされた事例・・・和根崎直樹 72
将来の債権を含む包括的な停止条件付債権譲渡契約と詐害性判断の基準時・・・増森珠美 74
消費貸借契約において借主が弁済期に履行しない場合にはこれを自動的に延長する旨の特約が民法一四六条の趣旨に反し無効であるとされた事例・・・岡本 岳 76
ATM(現金自動貸付返済機)を利用して貸金業者に対して行った借入金等の返済と貸金業の規制等に関する法律四三条にいう利息として又は賠償としての支払・・・今井 攻 78
内縁の夫婦による共有不動産の共同使用と一方の死亡後に他方が右不動産を単独で使用する旨の合意の推認・・・柴崎哲夫 80
期間の定めのある建物賃貸借契約の更新と保証人の責任・・・塩崎 勤 82
事業受託方式によるサブリース契約において、借地借家法三二条の適用を排除し、賃借人が、賃貸人に対し、賃料減額請求をすることはできないとした事例・・・石黒清子 84
一 節税のための等価交換方式によるマンション建設の勧誘等について建設業者の過失責任が認められた事例 二 財産的損害について民事訴訟法二四八条の適用により相当な損害額が認定された事例・・・加藤新太郎 86
スポーツクラブの会員契約の解除がやむを得ない事情に基づくものであるとして、解除の適法性が認められた事例・・・影浦直人 88
手形の支払銀行が、振出人に無断で手形交換所に対する不渡異議申立てを取り下げることは、委任契約の趣旨に反し、許されないとされた事例・・・関口剛弘 90
振込依頼を受けた銀行が依頼人の承諾を得ないで依頼人の手形決済不渡処分回避のために振込の組戻しをして手形決済資金に充てた場合、これは特段の事情がない限り、当座預金契約の本旨に従ったものということはできず、また、振込依頼が依頼人の資金管理の過誤であると断定したこと、経理担当者が居留守を決め込んで銀行の問い合わせに適切な対応をしなかったこと、銀行が手形不渡処分回避のために努力をしたこと等の事情があっても、依頼人が銀行に対して、組戻し等の無効を主張して振込送金された被仕向銀行の普通預金の振戻しを請求することは信義則に反しない。・・・辻本利雄 92
与信枠を設定した信用状取引契約を締結した銀行が信用状解説依頼を拒絶したことについて損害賠償義務を負わないとされた事例・・・山田陽三 94
甲がAの強迫により消費貸借契約の借主となり、貸主乙に指示して貸付金を丙に給付させた後に右強迫を理由に契約を取り消した場合の乙から甲に対する不当利得返還請求につき甲が右給付により利益を受けなかったとされた事例・・・島岡大雄 96
配当期日に配当異議の申出をしなかった一般債権者が配当を受けた他の債権者に対して不当利得返還請求をすることの可否・・・大澤 晃 98
不法行為を原因として心神喪失の常況にある被害者の損害賠償請求権と民法七二四条後段の除斥期間・・・河本晶子 100
患者の輸血拒否(宗教的理由による)の意思に反した医師の輸血治療及び同治療説明の不履行が違法とされた事例・・・中村 哲 102
交通事故と医療過程とが競合した事案につき、共同不法行為の成立を認めながら、各不法行為について被告側に過失相殺事由があるときは、それぞれの不法行為者の損害発生に対する寄与度を定めてそれに応ずる損害額を算定したうえ、個々の不法行為について過失相殺をし、それによって各不法行為者の負担すべき損害賠償額を分別して認定するのが相当であるとした事例・・・藤原弘道 104
従業員が長時間労働を原因とする脳出血により死亡したことにつき、会社に対する安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求が認められた事例・・・田中 敦 106
自動車同士の衝突事故において、同乗中の被害者と恋愛関係にある被害車両運転者の過失を被害者側の過失としてしんしゃくすることが許されないとされた事例・・・市川 昇 108
一 運転代行業者と自動車損害賠償保障法二条三項の保有者 二 運転代行業者に運転を依頼して同乗中に事故により負傷した自動車の使用権者が運転代行業者に対する関係において自動車損害賠償保障法三条の他人に当たるとされた事例・・・小西義博 110
二時間の約束で、自動車を無償で借り受けた借主が、三二日後に起こした交通事故について、貸主は自賠法三条の「運行供用者」にあたらないとされた事例・・・山崎秀尚 112
証券会社の従業員が顧客に利回り保証の約束をして株式等の取引を勧誘し一連の取引をさせた場合に右取引による顧客の損失について証券会社の不法行為責任が認められた事例・・・金子順一 114
市立中学校の生徒が課外クラブ活動としての柔道部の回し乱取り練習中に負傷した事故について顧問教諭に指導上の過失がないとされた事例・・・檜山麻子 116
同性愛者の団体からの青年の家の利用申込を不承認とした教育委員会の処分を違法であるとして損害賠償請求を一部認めた事例・・・島崎邦彦 118
家事労働にも相当の時間を割きながら塾経営、家庭教師などの仕事を兼ねていた満三四歳の独身女性の交通事故による休業損害、逸失利益算定の基礎につき、いわゆる兼業主婦に準ずるものとしてその家事労働分を斟酌した事例・・・金田洋一 120
他人の著作物に対する評論中の右著作物の要約・引用に不適切な部分があっても全体として正確性を欠くとまではいえないとして右評論に名誉毀損としての違法性があるとはいえないとされた事例・・・齋藤 大 122
被告人の読書歴等から犯行の動機を推論する内容の新聞記事が事実を摘示するものに当たるとされた事例・・・島村典男 124
一 特定の事実を基礎とする意見ないし論評の表明による名誉毀損において行為者が右事実を真実を信じるにつき相当の理由がある場合の不法行為の成否 二 特定の者について新聞報道等により犯罪の嫌疑の存在が広く知れ渡っていたこととその者が当該犯罪を行ったと公表した者において右のように信ずるについての相当の理由 三 名誉毀損の成否が問題となっている新聞記事における事実の摘示と意見ないし論評の表明との区別・・・佐々木宗啓 126
一 共同不法行為者の一人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合 二 共同不法行為者の一人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合における求償金額の算定・・・増永謙一郎 128
国会議員が国会の質疑等の中でした発言と国家賠償責任・・・森田浩美 130
国税庁長官の制定した通達の内容は違法であるが、その制定行為及び右通達に基づく課税行為は国家賠償法一条一項の違法には該当しないとされた事例・・・大沼洋一 132
刑務所に勾留中の被告人に対し、両手後ろの方法により革手錠及び金属手錠を使用したことが違法であるとして、国の国家賠償責任が肯定された事例・・・吉井隆平 136
地すべり災害による土地家屋等損害につき、道路管理の瑕疵による国家賠償法二条の責任が肯定された事例・・・榮 春彦 138
日本人と外国人との渉外婚姻につき、婚姻挙行地法では形式的成立要件を欠いている婚姻届が日本人の本籍地で正式に受理された場合、その後当事者二名が日本で婚姻生活を開始した時点において、受理時に遡って有効になるとされた事例・・・種村好子 140
将来の退職金について、その支給を受ける高度の蓋然性が認められるとして財産分与の対象とした事例・・・大津千明 142
財産分与の方法として不動産共有持分移転登記手続と反対金銭給付との同時履行を命じた事例・・・大寄 久 144
特別養子とする審判に準再審の事由があると考えられる場合における、血縁上の父からなされた戸籍上の父との間の親子関係不存在確認の訴えの利益・・・南 敏文 146
民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与を遺留分減殺の対象・・・都築民枝 148
一 遺産分割協議の申入れに遺留分減殺の意思表示が含まれると解すべき場合 二 遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合に意思表示が到達したと認められた事例・・・稲田龍樹 150
遺産分割審判において、当事者全員の合意を得ないまま不動産鑑定士の資格を有する調停委員の簡易な評価意見のみを基礎として遺産の評価を行った点に、裁量権を逸脱した違法があるとされた事例・・・青木 晋 152
遺産分割協議後になされた相続放棄が事情によっては有効と見る余地があるとされた事例・・・松村 徹 154
再転相続の事案において、再転相続人の相続人に係る相続放棄の申述が却下された後に、改めて被相続人に係る相続放棄の申述をしたときは、民法九一六条の熟慮期間は、さきの申立が却下された時から進行を開始するとして、被相続人に係る相続放棄の申述を期間徒過を理由に却下した原審判を取り消して差し戻した事例・・・鈴木経夫 156
限定承認をした相続人が死因贈与による不動産の取得を相続債権者に対抗することの可否・・・田中 敦 158
遺言者に相続人は存在しないが相続財産全部の包括受遺者が存在する場合と民法九五一条にいう「相続人のあることが明かでないとき」・・・雨宮則夫 160
公正証書遺言において証人が遺言者の署名押印に立ち会うことの要否と遺言者の押印時に二人の証人のうち一人の立会いなく作成された遺言公正証書の効力・・・村重慶一 162
公正証書遺言が民法第九六九条の「口授」の要件を欠き無効であるとされた事例・・・日野忠和 164
自筆証書遺言の解釈に当たり、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれたいた状況などを詳細に認定した上、財産処分の委任条項を相続させる旨の趣旨と、貸付金の控除条項を債務を消滅させる旨の趣旨とそれぞれ解釈した事例・・・松田 亨 166
危急時遺言が遺言者の真意に出たものであるとするには、一応遺言者の真意に適う程度の緩和された心証で足りるとされた事例・・・東條 宏 168
「遺産相続については一切を妻にまかせる」旨の遺言の効力と遺言執行者選任の要否・・・上原裕之 170
特定の不動産を特定の相続人に相続させる旨の遺言で遺言執行者がある場合に当該不動産についての賃借権確認訴訟で遺言執行者が被告適格を有しないとされた事例・・・竹下史郎 172
遺言者が遺言を撤回する遺言を更に別の遺言をもって撤回した場合において当初の遺言の効力の復活が認められた事例・・・北野俊光 174
相続人に対する遺贈が遺留分減殺の対象とされる場合における民法一〇三四条にいう目的の価額・・・青野洋士 176
遺留分減殺請求を受けるよりも前に遺贈の目的を他人に譲渡した受遺者が遺留分権利者に対してすべき価額弁償の額の算定・・・島田充子 178
終戦後、平和条約発効前に朝鮮人により認知された者は、平和条約の発効によって日本国籍を喪失するか(積極)・・・河合裕行 180
分割保険料を滞納すると保険金を支払わない旨の約款の下において滞納保険料の全額が支払われた場合の保険金支払義務の帰趨、分割保険料の滞納によるいわゆる保険休止状態の発生による保険金支払義務の消滅及び保険休止状態の解消による保険金支払義務の再発生についての主張立証責任・・・太田剛彦 182
宅配便の荷受人の運送人に対する不法行為に基づく損害賠償と約款上の責任制限・・・塩崎 勤 186
特定株主に対する総会通知の欠如と取締役の第三者に対する任務懈怠責任の成否・・・寶金敏明 188
株式総会が本店所在地又は隣接地以外で開催され、議長が議決権の行使を一部認めず、反対票を賛成票とした瑕疵が、重大でなく、決議の結果に影響を及ぼさないとして、右瑕疵を理由とする株主総会決議取消請求が、商法二五一条により棄却された事案・・・水野有子 190
取締役解任の訴えの被告適格・・・生田治郎 192
生命保険契約者の会社から取締役への変更、保険金受取人の会社から取締役への変更と商法二六五条一項の適用(積極)・・・山田知司 194
損失補填をした証券会社の取締役に対する株主代表訴訟において、取締役に独占禁止法に違反するとの認識を欠いたことに過失がなく、善管義務、忠実義務の懈怠がない等の理由で請求が棄却された事例――野村證券損失補填代表訴訟・・・藤井正夫 196
株式会社の取締役に対する株主代表訴訟において、会社が被告取締役側に補助参加することを認めた事例・・・丸地明子 198
抗告審において、株主代表訴訟における担保提供を命ずる原決定を取り消し、申立てを却下した事例・・・鈴木芳胤 200
取締役会で議長役を務めたが、中立を保ち議決に参加しなかった取締役が損害賠償責任を負わないとされた事例・・・富川照雄 202
商法二八〇条ノ三ノ二に定める公告又は通知を欠く新株発行につき著しく不公正な方法によるものではないとはいえず無効原因があるとされた事例・・・山口和男 204
一 生命保険契約の約款に基づく専属的管轄の合意を根拠とする移送の申立てが民事訴訟における信義則によって許されないとした事例 二 生命保険金の支払地を保険会社が指定する旨の条項を根拠とする移送の申立てが民事訴訟における信義則によって許されないとした事例・・・高橋 徹 206
一 土地共有者の一部が隣接地の所有者及び残余の共有者を相手に提起した境界確定の訴えにおける当事者適格(積極) 二 右の場合の主文・・・後藤 勇 210
一 判決正本等を受領した同居者が、受送達者の夫と別居状態にあり、かつ夫名義を冒用して取引したことが疑われる妻であって、妻が書類の受領を夫に殊更秘匿していた場合において、夫宛の補充送達の効力を認めた事例 二 このような事情の下、夫のなした控訴の追完が認められた事例・・・内藤正之 212
別訴において請求している債権の残部を自働債権とする相殺の抗弁の許否・・・村上正敏 214
訴訟上の相殺の抗弁に対し訴訟上の相殺を再抗弁として主張することの許否・・・佐藤陽一 216
一 いわゆる懲罰的損害賠償を命じた外国裁判所の判決について執行判決をすることの可否(消極) 二 外国裁判所の判決に記載がない利息を付加して執行判決をすることができる場合・・・西野喜一 218
一 いわゆる懲罰的損害賠償を命じた外国裁判所の判決について執行判決をすることの可否(消極) 二 外国裁判所の判決に記載がない利息を付加して執行判決をすることができる場合・・・西野喜一
日本人男女間でアメリカ合衆国で出生した子の養育費の支払いにつきアメリカ合衆国ミネソタ州裁判所が言渡した給与天引と同州の集金機関に対する送金を命じた判決について、我が国の裁判所による執行判決が認められた事例・・・小野寺規夫 220
一 文書提出命令の申立てにおいて、証人が証言中で文書を引用した場合であってもその証人が当事者と同視できる場合には当事者によって文書の引用があったものと認めるべきであるとの主張が排斥された事例 二 文書提出命令の申立てにおいて、ある文書が法律関係文書に該当するかどうかは、挙証者・文書所持者間の特定の法律関係自体あるいは当該法律関係と密接な関連性を有する事実に触れたものであるか否かを判断するのが相当であるが、仮に右文書を通覧することにより申立人らの立証が容易になるとしても、そのことから直ちに右文書が法律関係文書に該当するということはできないとされた事例・・・坂本慶一 223
未確定の仮執行宣言付判決について控訴審の口頭弁論終結後に異議事由が生じた場合における請求異議の訴えの適否・・・小野 剛 225
一 強制執行完了後における執行文付与に対する異議の訴えの適否 二 建物明渡執行において第三者が占有している建物の一部を除いて執行債務者の直接占有部分の明渡を完了した場合における建物全部の明渡の債務名義に基づく強制執行の終了の有無 ・・・小野 剛
第三債務者の執行供託後・債権配当実施前における債務者についての免責決定の確定と請求異議事由の有無・・・小野 剛
不動産競売手続における交付要求においてその交付要求書の延滞税の欄に法律による金額の交付を要するとのみ記載した場合の交付要求の効力の範囲・・・廣田民生 228
1 不動産競売事件における最低売却価額の決定にあたり、競売市場における特殊性を考慮した減価率を四〇%としたことに重大な誤りはないとされた事例 2 最低売却価額の決定に誤りがあるが、実際に定められた最低売却価額が他の価額低下事由の存在を考慮して本来定められるべき額よりも高額であるときは、右誤りは売却許可決定の取消事由とはならないとされた事例・・・小野寺忍 230
1 不動産競売事件における最低売却価額の決定にあたり、競売市場における特殊性を考慮した減価率を四〇%としたことに重大な誤りはないとされた事例 2 最低売却価額の決定に誤りがあるが、実際に定められた最低売却価額が他の価額低下事由の存在を考慮して本来定められるべき額よりも高額であるときは、右誤りは売却許可決定の取消事由とはならないとされた事例・・・小野寺 忍
一 借地上の建物に抵当権を設定した後、同建物に隣接して件外建物を建築した場合において、借地権の及ぶ範囲から件外建物の敷地部分を除いた評価に重大な誤りがあるとした事例 二 路線価図上借地権割合五割の地域において借地権割合を一割とした評価に重大な誤りがあるとした事例・・・宮尾成明 234
競落した土地内に第三者所有の件外建物の一部分が侵入してることが外部から観察すれば分かるときには、買受人に民事執行法七五条一項にいう「責めに帰することができない事由」がなかったとはいえず、売却許可決定の取消しは認められないとされた事例・・・小川浩 236
使用借権付建物の競売において売却許可決定後地主から「使用貸借契約を解除し買受人に建物収去土地明渡請求訴訟を提起する意向である」旨の上申書が執行裁判所あてに提出された場合売却許可決定を取消すべき注意義務の有無と国家賠償請求の可否(消極)・・・小沼 充 238
民事執行法八一条に基づく法定地上権が庭園として使用されていた土地部分にも及ぶとされた事例・・・男澤聡子 240
引渡命令の相手方の主張が、競売手続を妨害するための賃借の外形を作出したものにすぎないとされた事例・・・西中菌浩 242
一 金銭債権の回収を目的とする不動産の短期賃借権者からの転借して占有する者が引渡命令の相手方になるとされた事例 二 右転借人に対し審尋を経ることなく引渡命令を発することができるとされた事例・・・原啓一郎 244
開業医の角膜に対しレーザー光線を照射する治療機器は、民事執行法一三一条六号の差押禁止動産に当たらないとされた事例・・・城所淳司 246
建物の賃料債権の差押えの効力が発生した後に建物を譲り受けた者が賃貸人の地位の移転に伴う賃料債権の取得を差押債権者に対抗することの可否・・・本田 晃 248
不動産競売における二重開始で、先行事件は無剰余だが、無剰余にならない後行事件があるときは、先行事件を取り消さないでそのまま進行させる扱いは適法か(積極)・・・岩木 宰 250
暴力団組長に対し暴力団事務所の使用を差し止め、占有を解いて執行官保管とする等の仮処分命令申立てが認容された事例・・・木村元昭 252
株券を盗取されたと主張する者が当該株券の預託を受けた証券保管振替機構を債務者として、当該株券の占有移転禁止・執行官保管及び処分禁止の仮処分の申立てをすることの可否(消極)・・・中山幾次郎 254
マンションの区分所有者の集会における管理規約の設定に関する決議が不存在とされ、右規約の成立を前提とする管理組合の理事長等による管理行為を差し止める旨の仮処分申立てが認められた事例・・・若林弘樹 256
破産者の財産を目的とする滞納処分手続において交付要求がなされた際の交付要求に係る配当金の交付先(破産管財人)・・・野村直之 258
一 主たる債務者の破産手続において、原債権が届け出られた後にこれを代位弁済した保証人が届出名義の変更申出をした場合における求償権の消滅時効の中断 二 右の場合における破産手続終了後の求償権の消滅時効期間・・・長井秀典 260
*動産の買主が転売先から取り戻した右動産を売主に対する売買代金債務の代物弁済に供した行為が破産法七二条四号による否認の対象となるとされた事例・・・田中信人 262
一 構成員に会社を含む共同企業体の債務と各構成員の連帯債務関係 二 和議開始の申立をした連帯債務者の一人に対し他の連帯債務者が右申立を知って和議開始決定前の弁済により取得した求償権をもって相殺することの可否 三 和議認可決定を受けた連帯債務者の一人に対し他の連帯債務者が和議開始決定後の弁済により取得した求償権をもってする相殺の要件及び限度・・・坂倉充信 264
設定者に対する会社整理申立に伴う保全処分後における対抗要件留保債権譲渡担保権の効力及び債権譲渡通知の効力(いずれも積極)・・・戸田 久 266
外国裁判所の欠席判決及びサマリージャッジメントの承認執行(積極) ドイツのベルリン地方裁判所がした欠席判決及び費用額確定決定が民事訴訟法一一八条各号所定の要件を具備するとして、執行判決がされた事例・・・小田敬美 268
外国裁判所の欠席判決及びサマリージャッジメントの承認執行(積極) オーストラリア連邦クイーンズランド州裁判所のしたサマリージャッジメントが改正前の民事訴訟法二〇〇条(新法一一八条)各号所定の要件を具備するとして、執行判決がされた事例・・・小田敬美
*一 日本に住所を有する日本人に対しアメリカ合衆国オハイオ州に在住する未成熟子の養育費の支払等を命じた同州の裁判所の判決が民事訴訟法二〇〇条一号所定の要件を欠くとされた事例 二 アメリカ合衆国オハイオ州に一時滞在していた日本人に対し日本語の翻訳文が添付されることなく同州法に従って送達された訴状に基づいてされた同州の裁判所の判決が民事訴訟法二〇〇条二号の所定の要件を欠くとされた事例・・・信濃孝一 271
役員退職給与として土地を帳簿価格で現物支給した場合において適正な価格との差額が法人税法三六条にいう「損金経理をしなかった金額」に該当するとされた事例・・・成川洋司 273
雇用対策法一七条の公課禁止の規定に違反する国民健康保険税の課税処分を無効とした事例・・・中込秀樹 275
一括支払システム契約における代物弁済契約条項の国税債権者に対する効力が否定され、譲渡担保権者である銀行が国税徴収法二四条の物的納税責任を負うとされた事例・・・高須要子 278
固定資産評価審査委員会が処分の根拠となる資料を取り調べることなくした審査申出棄却決定について、審理不尽の違法があり、右違法が軽微な違法とはいえないとして、決定を取り消した事例・・・田口直樹 281
商工会議所に派遣された市の職員に対する給与支出の適法性を肯定した原審の認定判断に違法があるとした事例・・・佐久間健吉 283
ある財務会計上の行為又は怠る事実について住民監査請求において求めた具体的措置の相手方とは異なる者を相手方として右措置の内容と異なる請求をする住民訴訟の適法性(積極)・・・太田幸夫 286
市が民間マンションを賃借して賃料を支出する一方でこれを職員に宿舎として貸与して右賃料より低額の使用料を徴収した場合において、市がこれにより右職員に対し右差額分を違法に給付したとして提起された市長個人に対する損害賠償の住民訴訟が、住民訴訟の対象とならないものにつき提起されたものであるとして、不適法とされた事例・・・團藤丈士 288
請求の認諾と地方自治法二四二条の二第七項にいう「勝訴(一部勝訴を含む。)した場合」・・・杉山正己 290
普通地方公共団体の議会による議員の外国研修旅行の決定に裁量権を逸脱した違法があるとされた事例・・・内田義厚 292
外国人である母の非嫡出子であって日本人である父により出生後に認知された子につき国籍法二条一項による日本国籍の取得が認められた事例・・・加藤正男 294
不法残留中の外国人が国民健康保険法五条の「市町村又は特別区の区域内に住所を有する者」に該当するとされた事例・・・水谷里枝子 296
国民健康保険料賦課処分の根拠となった旭川国民健康保険条例が、租税法律主義及び国民健康保険法八一条に違反し無効であるとして、同処分が取り消された事例・・・都築 弘 298
小学生が教師から体罰を受けたとする保護者からの訴えを受けて校長が教育長に提出した報告書の一部につき、品川区情報公開条例に基づいて公開すべきものとされた事例・・・斉藤大巳 300
学校法人が県から大学の施設整備費補助金の交付を受けるため提出した前年度収支計算書及び貸借対照表の各一部を県知事が開示する決定について当該学校法人はその取消しを求める法律上の利益を有するが、県条例所定の非開示事由は認められないとされた事例・・・太田幸夫 302
農業振興地域の整備に関する法律一三条一項に基づく農業振興地域整備計画中の農用地利用計画の変更決定の処分性(消極)・・・加藤就一 304
市に対する仲卸業者たる地位を有することの確認請求が認容された事例・・・加藤正男 306
産業廃棄物処理業及び産業廃棄物処理施設設置の各許可申請につき、県知事が受理を拒否した処分を取消す旨の訴えが却下され、県知事が何らの処分をしないことについての違法が確認された事例・・・白石研二 308
県知事に対する損害賠償請求権を代位行使する住民訴訟において、財務会計上の行為又は怠る事実の適否ないし是正の要否につき住民と判断が対立している地方公共団体が、被告を被参加人として、補助参加する利益が認められた事例・・・西口 元 310
一 行政事件訴訟法三四条一項にいう「判決に影響を及ぼすべき攻撃又は防御の方法を提出することができなかったもの」に当たらないとされた事例 二 裁判所は処分を取り消す判決によって権利を害される第三者に対し訴訟係属を通知すべき義務を負うか(消極)・・・太田幸夫 312
東京都の管理職の中には、外国人を任用することが許されるものがあるから、外国籍の職員が管理職選考の受験をすることを拒否することは、憲法二二条一項、一四条一項に違反するとした事例・・・宇賀克也 314
一 定住外国人が国との間で地方参政権の確認を求める訴えは適法であるが、右地方参政権は憲法上保障されていないとされた事例 二 定住外国人が国に対し地方参政権の行使を可能にする立法措置を講じないことが違憲であることの確認を求める訴えが不適法であるとされた事例 三 国会が定住外国人の地方参政権の行使を可能にする立法措置を講じないことに国家賠償法上の違法はないとされた事例・・・金子順一 316
一 過去の法律関係の確認の訴えが確認の利益を欠くとされた事例 二 五五歳定年制を定めた就業規則の規定の有効性につき判断した事例・・・松本光一郎 319
労働者が疾病のためその命じられた業務のうち一部の労務の提供ができなくなったことから直ちに債務の本旨に従った労務の提供をしなかったものと断定することはできないとされた事例・・・仙波啓孝 322
従業員が海外研修終了後五年以内に退職したときは、企業に対し派遣費用を返済するとの合意が、労働者が約定期間前に退職した場合の違約金の定めに当たり、労働基準法一六条に違反し無効であるとされた事例 ――富士重工業事件・・・梅本圭一郎 326
完全週休二日制の導入に伴い、平日の勤務時間を二五分間延長した信用金庫の就業規則の変更が合理性を欠き効力を生じないとされた事例・・・片田信宏 328
一 雇用期間一年の契約で、四年以上にわたって毎年繰り返し雇用されている語学講師らが、労働基準法三九条二項にいう「継続勤務」の労働者に該当するとされた事例 二 年次有給休暇の未消化分を時効により消滅しない限り翌年度に繰り越されるとされた事例・・・三浦隆志 330
一 特定業務への就労拒否を目的とする年次休暇権の行使が労基法三九条四項本文の年次休暇の時季指定とはいえないとの主張が排斥された事例 二 年次休暇権の行使が権利の濫用に該当するとされた事例・・・長久保尚善 332
一 労働基準法四一条二号の管理監督者には当たらないとされた事例 二 労働基準法三八条の二のみなし労働時間制の適用される場合には当たらないとされた事例 三 休日振替が適法になされていたかについて判断した事例 四 休日労働について会社の黙示の指示があったと認定した事例・・・松尾嘉倫 334
バス運転業務中にバルサルバ洞動脈瘤が破裂して死亡した場合につき、業務起因性を否定した事例・・・中本敏嗣 336
脳梗塞で死亡した警備会社従業員の業務が過重であり、脳梗塞発症の共働原因となったとして、会社の安全配慮義務違反の債務不履行に基づく損害賠償責任が認められた事例・・・中園浩一郎 338
七〇歳定年制の就業規則が適用される事業場と六〇歳定年制の就業規則が適用される事業場に兼務する労働者の定年年齢が七〇歳であると判断された事例・・・谷口安史 340
労働者が労働条件の改善を目的として行う団体行動であれば、それが直接労使関係に立つ者との間の団体交渉に関する行為でなくとも憲法二八条の保障が及ぶが、そのような団体行動を受ける者の有する権利、利益を保護するため、団体行動を行う主体、目的、態様等諸般の事情を考慮して、社会通念上相当と認められる行為に限り、正当性が認められる旨を判示した事例・・・長久保尚善 342
会社の破産申立て・解雇・団交拒否等の不当労働行為性の有無 解雇の不当労働行為性の有無 破産会社に対する救済命令の名宛人・・・林 豊 344
組合内少数派の活動について、少なくとも組合の組織上又は運動上の方針が決定されるまでの間は労働組合法七条一号所定の「労働組合の正当な行為」として不当労働行為制度による保護の対象となるとした事例――千代田化工建設(昇給昇格差別)事件・・・松本哲泓 348
使用者による組合事務所の便宜供与の解除及び明渡請求が不当労働行為を構成せず、権利の濫用にあたらないとされた事例・・・山下 満 350
懲戒免職処分後に中央執行委員会の決定により組合員資格の継続を認められた者に対しても、組合規約の定めによらずに組合員資格を喪失させることはできないとされた事例・・・山川隆一 352