判例タイムズ1013号目次1999.12.10発売
〈座談会〉変貌する経済システムと法務研修〔シリーズ・21世紀の法務研修3(完)〕/有賀煕雄(司会)・阿部泰久・川崎俊之・池田辰夫・三木浩一・鈴木正貢4
カナダ法学教育における大学と法律家の役割/Marilyn L.Pilkington(行澤一人・訳)31
ドイツの裁判官から見た日本の司法〔世界の司法―その実像を見つめて5〕/ゲオルグ・ヴェッゲ42
民事保全法(8)/瀬木比呂志45
交通事故とPTSD(心的外傷後ストレス障害)(下)/杉田雅彦55
遺言者の死亡前に提起された遺言無効確認の訴えの適否(最二小判平11・6・11判タ1009号95頁、金判1075号20頁)〔判例批評〕/川嶋四郎65
自治体の化学物質管理指針・情報公開制度とPRTR法〔環境法実務研究11〕/小幡雅男76
<判例紹介細目次>
[特報]
いわゆる三洋電機冷凍庫発火事故製造責任訴訟判決
一 目撃者のいない飲食店兼住居の火災の発火源が業務用冷凍庫であると認められた事例
二 製品の製造者は製品の安全性を確保すべき高度の注意義務があり、製造者がこの義務に違反して安全性に欠ける製品を流通に置き、これによって消費者が損害を被った場合には、製造者は不法行為責任を負うところ、消費者が、冷凍庫本来の使用目的に従って使用していた場合に、冷凍庫から発火したときは、その冷凍庫は、火災当時、通常有すべき安全性を欠いており、特段の事情の認められない限り、製品が流通に置かれた時点において、欠陥が存在していたものと推認され、製造者に製品を設計、製造し、流通に置くに際して、安全性確保義務違反の過失があったものと推定するのが相当であるとされた事例
三 火災による動産の滅失について、損害の性質上、その額の立証が極めて困難な場合に当たるとして、民事訴訟法二四八条により相当な損害額を認定した事例(東京地裁平11・8・31判決)81
生命保険契約の解約返戻金請求権の差押債権者がこれを取り立てるために解約権を行使することの可否(最高裁第一小法廷平11・9・9判決)100
[最高裁判例]
=民法=
一 貸金の元利金の分割払による返済期日が「毎月X日」と定められた場合にX日が日曜日その他の一般の休日に当たるときの返済期日の解釈
二 貸金の元利金の分割払による返済期日が「毎月X日」と定められた場合に貸金業の規制等に関する法律一七条に規定する書面に記載すべき「各回の返済期日」(最高裁第一小法廷平11・3・11判決)106
共同相続人相互の間で一部の者が他の者を共同相続人でないものとしてその相続権を侵害している場合に相続回復請求権の消滅時効を援用しようとする者が立証すべき事項(最高裁第一小法廷平11・7・19判決)113
=民事訴訟法=
上告の理由が理由の不備をいうが明らかに民訴法三一二条一項及び二項に規定する事由に該当しないときに原裁判所が上告を却下することの可否(最高裁第三小法廷平11・3・9決定)119
=特別刑法=
罰則を五〇〇〇円以下の罰金又は拘留と定めた京都市風紀取締条例三条のうち罰金を定めた部分が平成三年法律第三一号による刑法等の一部改正により失効した場合における拘留を定めた部分の効力(最高裁第一小法廷平11・4・8決定)121
[行政裁判例]
=行政法一般=
老齢年金受給者の戸籍上の配偶者が厚生年金保険法五九条一項にいう「被保険者の配偶者」に該当しないとされた事例(東京高裁平11・2・10判決)123
=行政争訟法=
公有水面埋立法二条一項に基づく公有水面埋立免許処分の取消しを求める訴えにつき、当該埋立地の周辺に居住する住民、同埋立地内の海浜を利用している者、同埋立地周辺で漁業を営む者の原告適格をいずれも否定した事例(佐賀地裁平10・3・20判決)125
=国家補償法=
健康保険法四五条に基づく傷病手当金の支給請求をしなかったため、これを時効消滅させたのが、社会保険事業所の係員が支給請求が可能である旨受給権者に告知しなかったことによるものであるとして、同係員には同条から導かれる傷病手当金制度周知徹底義務を怠った違法行為が存することを理由とする国家賠償請求が棄却された事例(東京地裁平10・5・13判決)141
=地方自治法=
波野村和解住民訴訟控訴審判決
宗教法人が所有する不動産を村に贈与して撤退し、村が補償等のため和解金を支払うことを約した和解が違法であることを理由とする住民訴訟による損害賠償請求が棄却された事例(福岡高裁平10・3・4判決)144
[民・商事裁判例]
=民法=
根抵当権の債務者である会社の法人格が破産終結により消滅した場合、根抵当権の消滅時効期間は民法一六七条二項により二〇年である(東京地裁平10・4・20判決)146
抵当権者は物上代位の効力を転貸料債権にも及ぼすことができる(東京地裁平10・4・24判決)148
リース契約(消費者リース)について、諸般の事情を考慮して衡平の理念から、ユーザーは残リース料の支払を拒絶できるとした事例(名古屋簡裁平10・7・3判決)151
本山寺院と子院ないし塔頭寺院の関係にあった寺院が本山寺院所有の敷地について有していた使用貸借関係は子院ないし塔頭寺院関係が消滅すれば当然消滅するものとされた事例(大津地裁平10・5・25判決)154
債権差押前に支払のために手形が振り出されている場合に、差押債務者が差押後に手形金を受領することが、差押債権者との関係で不当利得となるか(東京地裁平10・3・31判決)167
弁護士が和解により支払を受けた金員を第三者に交付したことにつき委任契約上の債務不履行責任を負わないとされた事例(東京地裁平10・3・18判決)170
土地賃借権が子会社に無断譲渡されたことにつき信頼関係を破壊しない特段の事情があるとされた事例(東京地裁平10・2・23判決)174
三名が共同出資してアンティーク宝飾品等の販売事業を行い、三年後に清算に至った場合において現金による残余財産の分配請求が一部認容された事例(東京地裁平10・1・30判決)177
一 大学助教授の大学院生に対する言動が、教育上の支配従属関係を濫用したもので性的自由等の人格権の侵害に当たり、不法行為を構成するとした事例
二 人格権侵害に対する慰謝料として七五〇万円の損害賠償の支払を命じた事例(仙台地裁平11・5・24判決)182
テニス教室において初心者を指導していた講師が、受講生の打ち返したボールが眼に当たって負傷した事故について、テニス教室の開催者の債務不履行責任及び不法行為責任が否定された事例(千葉地裁佐倉支部平11・2・17判決)194
組合施行の土地区画整理事業においてその設立認可の公告後組合員が許可を受けずに自己所有地に工作物を設置し仮換地指定後も右工作物を維持した行為が組合に対する不法行為に当たるとされた事例(千葉地裁平10・5・27判決)201
原告が、既に「自由党」の名称で政治団体の届出をし、右名称が告示されていたにもかかわらず、被告が「自由党」の名称で政党の届出をしたことが違法であるとしてした被告の右名称の使用禁止等の請求が棄却された事例(東京地裁平10・4・27判決)211
仲介人を排除してホテル経営権の売買を法人売買の形式によりした当事者に条件成就妨害による報酬支払義務を、当事者の代表者と新たな仲介人に不法行為による損害賠償義務を認めた事例(東京地裁平10・3・31判決)212
孫請会社が依頼して派遣を受けた従業員が、工事現場における事故により負傷したことにつき、孫請会社と共に元請会社に対しても安全配慮義務を肯定し、使用者責任を肯定した事例(福岡地裁小倉支部平10・3・26判決)218
=知的財産=
妊娠の判定等に有用な分析試験装置についての特許権侵害を理由とする差止請求について、用語の通常の意味や明細書の記載を参酌して特許請求の範囲の記載を解釈し、これを棄却した事例(東京地裁平11・7・15判決)223
「ときめきメモリアル」著作権侵害差止等請求事件
コンピュータ用ゲームソフトの主要登場人物の図柄を用いてアニメーションビデオを制作した行為が、著作権(複製権・翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権)の侵害に当たるとされた事例(東京地裁平11・8・30判決)231
=諸法=
発走が再行された競馬について競走が成立しないことを理由とする勝馬投票券の購入者による券面額の返還請求が棄却された事例(東京地裁平10・7・21判決)235
第三債務者が被差押債権の存在及び支払意思があることを認める旨の陳述書を提出した場合でも、後日反対債権で相殺すると主張することは許され、民事執行法一四七条二項に基づく損害賠償責任を負わないとされた事例(東京地裁平10・4・24判決)236
[刑事裁判例]
=刑法=
警視庁警部汚職事件判決
大手証券会社の総務部付部長等から、接待、現金供与等約四四三万円相当の賄賂を収受した、犯行時現職の幹部警察官であった被告人に対し、実刑を言い渡した事例(東京地裁平10・12・1判決)239
=特別刑法=
会社更生手続開始申立に際して五〇〇〇万円の現金を総会屋に供与したとされる会社更生法違反(詐欺更生罪)被告事件において、ゼネコンの常務取締役に対し有罪判決(執行猶予付)が言い渡された事例(東京地裁平10・8・26判決)241
[速報]
小田原タクシー強盗殺人等事件
二件の強盗殺人事件のうち、一件は犯人性を否定して無罪とし、現住建造物等放火を伴うもう一件を有罪として被告人を無期懲役に処した原判決を、無罪部分に事実誤認があるとして破棄した上、二件を併せ被告人を死刑に処した事例(東京高裁平11・4・28判決)245
審級別裁判年月日順索引
最高裁第三小法廷平11.3.9決定〔平10(ク)646〕…119
最高裁第一小法廷平11.3.11判決〔平10(オ)1465〕…106
最高裁第一小法廷平11.4.8決定〔平9(あ)1329〕…121
最高裁第一小法廷平11.7.19判決〔平7(オ)2468〕…113
最高裁第一小法廷平11.9.9判決〔平10(受)456〕…100
福岡高裁平10.3.4判決〔平9(行コ)7〕…144
東京高裁平11.2.10判決〔平10(行コ)82〕…123
東京高裁平11.4.28判決〔平8(う)772〕…245
東京地裁平10.1.30判決〔平8(ワ)2700〕…177
東京地裁平10.2.23判決〔平9(ワ)2705〕…174
東京地裁平10.3.18判決〔平8(ワ)9175〕…170
佐賀地裁平10.3.20判決〔平3(行ウ)5〕…125
福岡地裁小倉支部平10.3.26判決〔平7(ワ)1323〕…218
東京地裁平10.3.31判決〔平2(ワ)16499〕…212
東京地裁平10.3.31判決〔平9(ワ)13876〕…167
東京地裁平10.4.20判決〔平9(ワ)19869〕…146
東京地裁平10.4.24判決〔平9(ワ)13577〕
〔平9(ワ)13579〕…148
東京地裁平10.4.24判決〔平9(ワ)14381〕…236
東京地裁平10.4.27判決〔平10(ワ)1858〕…211
東京地裁平10.5.13判決〔平9(ワ)8028〕…141
大津地裁平10.5.25判決〔昭61(ワ)306〕
〔平4(ワ)304〕〔昭60(ワ)19〕
〔昭62(ワ)211〕…154
千葉地裁平10.5.27判決〔平5(ワ)1557〕
〔平5(ワ)2235〕…201
東京地裁平10.7.21判決〔平10(ワ)8242〕…235
東京地裁平10.8.26判決〔平10特(わ)282〕…241
東京地裁平10.12.1判決〔平10刑(わ)192〕
〔平10刑(わ)265〕…239
千葉地裁佐倉支部平11.2.17判決〔平9(ワ)100〕…194
仙台地裁平11.5.24判決〔平10(ワ)333〕…182
東京地裁平11.7.15判決〔平9(ワ)26395〕…223
東京地裁平11.8.30判決〔平10(ワ)15575〕…231
東京地裁平11.8.31判決〔平6(ワ)24472〕…81
名古屋簡裁平10.7.3判決〔平9(ハ)3167〕…151
[訂 正]
本誌1011号 表紙13行目 「石井 明」とあるのは、「石川 明」の誤りでした。
慎んでお詫びし、訂正いたします。〈編集部〉