判例タイムズ1031号目次
最近の地方裁判所における離婚訴訟の実情と家庭裁判所への移管について
「「21世紀の新しい離婚訴訟手続の実現に向けて/西岡清一郎 4
米国連邦裁判官に対する懲戒制度〔世界の司法「「その実像を見つめて13〕
/佐藤達文 14
ADRによる被害児の生涯救済「「森永砒素ミルク事件の教訓/波多野二三彦 22
手形不渡回避のため、振込銀行から依頼を受けて、顧客に無断で組戻しに応じた銀行の責任「「最判平12・3・9金判1091号12頁〔銀行実務と民事裁判428〕/〓田光硯 25
福永有利 井上治典著『新民事の訴訟「「ある医療過誤事件の展開』
〔ブック・レビュー〕/西口 元 31
民事保全法16/瀬木比呂志 33
〓〓■ 民法判例レビュー ■〓〓
契 約 今期の主な裁判例/山崎敏彦 43
担 保 今期の主な裁判例/松本恒雄 49
不 動 産 今期の主な裁判例/内田勝一 56
民事責任 今期の主な裁判例
交通事故で被害者が介護を要する状態になった後に別の原因で死亡した場合の介護費用の請求(最判平11・12・20)/前田陽一 62
家 族 今期の裁判例/松尾知子 70
死亡危急時遺言における口授(@東京家審平11・8・27、A最三小判平11・9・14)/林 貴美 74
<判例紹介細目次>
[特報]
地方公共団体の一般会計から特別会計に対する支出行為は、住民訴訟の対象として適格性を有しない。(津地裁平12・1・27判決) 79
九歳の小学生が交通事故により死亡したことによる損害賠償請求訴訟において、逸失利益の算定における中間利息の控除割合は、特段の事情が認められない以上、年五パーセントとするのが相当であるとした事例(東京地裁平12・4・20判決) 85
尼崎大気汚染公害訴訟第一審判決
一 主に自動車排出ガスによって形成された尼崎市内の国道四三号線沿道五〇メートル以内の大気汚染と気管支喘息の発症及び増悪との間の因果関係が肯定された事例
二 尼崎市内の国道四三号線沿道の大気汚染による住民の健康被害(気管支喘息及び喘息性気管支炎症状)について、国道四三号線及び阪神高速道路(大阪西宮線)の道路管理者二名の共同不法行為責任が肯定され、五〇名の患者につき総額二億一一八三万八四〇〇円の損害の賠償が命ぜられた事例(ただし、道路管理者と近隣工場の経営者との間の共同不法行為責任は否定)
三 一定レベル以上の大気汚染を形成してはならないとの趣旨の不作為命令を求める差止めの訴えが適法とされた事例
四 右不作為命令の請求が、国道四三号線沿道五〇メートル以内に居住する気管支喘息患者の居住地で一日平均値〇・一五/以上の浮遊粒子状物質が測定される大気汚染を形成してはならないとの限度で認容された事例
五 尼崎市の大気汚染レベルの二酸化窒素と公健法(公害健康被害の補償等に関する法律)所定の指定疾病(慢性気管支炎、肺気腫、気管支喘息及び喘息性気管支炎)の発症及び増悪との間の因果関係が認められないとされた事例
六 公健法の認定を受けた時点から民法七二四条の短期消滅時効の援用が進行するという被告らの主張が排斥された事例(神戸地裁平12・1・31判決) 91
宗教上の信念からいかなる場合にも輸血を受けることは拒否するとの固い意思を有している患者に対して医師がほかに救命手段がない事態に至った場合には輸血するとの方針を採っていることを説明しないで手術を施行して輸血をした場合において右医師の不法行為責任が認められた事例(最高裁第三小法廷平12・2・29判決) 158
[最高裁判例]
=集団的労働関係=
全農林人勧スト訴訟上告審判決
人事院勧告の安全実施等の要求を掲げて行われたストライキに関与したことを理由としてされた農林水産省職員らに対する停職六月ないし三月の各懲戒処分が裁量権の範囲を逸脱したものとはいえないとされた事例(最高裁第二小法廷平12・3・17判決) 162
=民事訴訟法=
教科用図書検定調査審議会の作成した文書が民訴法二二〇条三号後段の文書に当たらないとされた事例(最高裁第一小法廷平12・3・10決定) 165
[行政裁判例]
=行政法一般=
カルテル行為に参加した協業組合に対する課徴金の算定基準(東京高裁平11・1・29判決) 169
=行政争訟法=
一 公害調停申請却下処分は抗告訴訟の対象となるか(積極)
二 公害調停申請が、公害調停制度に内在する制約として、公害紛争処理法の解釈として不適法でその欠陥を補正することができず、的確な調停が望み得ない場合には、当該申請を、明文の規定がなくても却下することができる。(東京高裁平12・2・10判決) 175民・商事裁判例
=民法=
一 将棋クラブの経営者甲と客乙との間で、乙が甲から株売買の指南を受け利益が上がれば甲に一割を謝礼として支払う合意をした場合において、甲には自己の財産におけると同一の注意義務が課せられたものとされた事例
二 株売買の指南を受けていた者から指南役に対する株売買の助言又は代行における注意義務違反を理由とする損害賠償請求が認められなかった事例(東京地裁平11・12・1判決) 185
違法な債券回収行為につき、不法行為に基づく損害賠償請求が認められた事例(大阪高裁平11・10・26判決) 200
=商法=
火災保険契約による保険金を支払わない旨を定める火災保険普通保険約款二条一項(1)中の「保険契約者、被保険者の法定代理人(法人であるときは理事、取締役又は法人の業務を執行するその他の機関)」には、保険契約者である会社が破産宣告を受けた場合における破産宣告前の取締役は含まれないとされた事例(大阪高裁平11・9・30判決) 203
税理士が譲渡所得の申告の際、減税適用を怠った過失により依頼者に損害を与えた場合に税理士損害賠償責任保険の免責条項に当たらないとして、保険会社の免責が認められなかった事例(東京地裁平11・6・4判決) 207
=知的財産=
一 新規物の生産方法の発明に係る特許権に基づく損害賠償請求において、右発明の技術的範囲に属さない方法による生産が立証されたとして、右請求が棄却された事例
二 具体的な訴訟活動に照らして、勝訴した当事者に対して、訴訟費用を負担させた事例(東京地裁平12・3・27判決) 213
一 書籍における他の著作物の記載の引用が、いわゆる適法引用に当たり著作権を侵害しないとされた事例
二 書籍における他の著作物の記載の引用について、出所の明示がされているとされた事例
三 書籍における図絵の引用が著作者人格権を侵害していないとされた事例
四 著作者の名誉及び声望を侵害するような方法で著作物の利用を行ったとはいえないとされた事例(水戸地裁龍ヶ崎支部平11・5・17判決) 235
電路支持材パイラック事件
電路支持材の形態につき、不正競争防止法二条一項一号の商品等表示の該当性が判断された事例(消極)(東京地裁平11・12・21判決) 244
[刑事裁判例]
=刑法=
特別背任罪所定の身分のない借受人である被告人について、同罪の共同正犯が認められた事例(東京地裁平11・5・28判決) 253
[速報]
犯罪捜査に当たった警察官が弁護士の所属団体及び所属政党を調査し、これを記載した捜査報告書を作成した上、検察官がこれを証拠として提出した場合、弁護士のプライバシーの侵害に当たるとして慰謝料請求が認められた事例(東京地裁八王子支部平12・2・24判決) 285
審級別裁判年月日順索引
最高裁第三小法廷平12.2.29判決〔平10(オ)1081〕
〔平10(オ)1082〕…158
最高裁第一小法廷平12.3.10決定〔平11(許)26〕…165
最高裁第二小法廷平12.3.17判決〔平7(行ツ)132〕…162
東京高裁平11.1.29判決〔平10(行ケ)102〕…169
大阪高裁平11.9.30判決〔平9(ネ)255〕…203
大阪高裁平11.10.26判決〔平11(ネ)1253〕…200
東京高裁平12.2.10判決〔平11(行コ)79〕…175
水戸地裁龍ヶ崎支部平11.5.17判決〔平10(ワ)155〕…235
東京地裁平11.5.28判決〔平8特(わ)2513〕…253
東京地裁平11.6.4判決〔平10(ワ)10403〕…207
東京地裁平11.12.1判決〔平7(ワ)6953〕…185
東京地裁平11.12.21判決〔平9(ワ)2551〕…244
津地裁平12.1.27判決〔平11(行ウ)6〕…79
神戸地裁平12.1.31判決〔昭63(ワ)2217〕
〔平7(ワ)1766〕…91
東京地裁八王子支部平12.2.24判決〔平6(ワ)2029〕
〔平8(ワ)815〕…285
東京地裁平12.3.27判決〔平2(ワ)5678〕
〔平2(ワ)14203〕〔平9(ワ)11653〕
〔平9(ワ)20755〕…213
東京地裁平12.4.20判決〔平11(ワ)11344〕…85
[訂正]
号286頁東京地裁平成10年3月19日判決の事件番号は平9(ワ)「1962」ではなく「19662」の誤りでした。
0号205頁東京高裁判決の原審東京地裁の判決日付は「平11・3・1」ではなく「平11・3・11」の誤りでした。
6号90頁第四段24行目、裁判官名は「遠藤光夫」ではなく「遠藤光男」の誤りでした。
7号285頁第四段30行目「検察官長所」は「検察官調書」の誤りでした。
慎んでお詫びし訂正いたします。〓編集部〓