判例タイムズNo.964目次
遺産分割手続における遺留分減殺請求の取扱い〔家族法実務研究12〕/雨宮則夫
建物賃貸借の法定更新をめぐる二つの問題
「「法定更新と連帯保証・更新料〔民事実務研究〕/小川 浩
新民事訴訟法における証拠調べ
〔大阪地裁新民訴法研究会報告9・完〕/水上 敏・大迫隆二
第一回弁論準備手続(期日前協議/公開/準当事者の参加)
〔シミュレーション新民事訴訟8〕/京都シミュレーション新民事訴訟研究会
最終処分場立地をめぐる事前手続のゆくえ
「「改正廃業物処理法・環境影響評価条例・産業廃棄物指導要綱〔環境法実務研究4〕/北村喜宣
通帳・印章とも所持しない者への預金払戻しを準占有者に対する弁済として有効とした事例
「「仙台地判平9・2・27金法1503号88頁〔銀行実務と民事裁判392〕/菅野佳夫
憲法と民事執行オ/石川 明
<判例紹介細目次>
[特報]
1参議院議員定数不均衡訴訟東京高裁判決
公職選挙法一四条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は合憲であるとされた事例(東京高裁平9・2・6判決)68
2抵当権者による物上代位権の行使と目的債権の譲渡(@最高裁第二小法廷平10・1・30判決)73(A最高裁第三小法廷平10・2・10判決)
3エホバの証人輸血損害賠償事件東京地裁判決
一 医師が患者との間で、輸血以外に救命方法がない事態を生ずる可能性がある手術をする場合に、いかなる事態になっても輸血をしないとの特約を合意することはそれが宗教的信条に基づくものであったとしても、公序良俗に反して無効であるとされた事例
二 手術中に輸血以外に救命方法がない事態になれば輸血をするとまで明言しない対応が医師の救命義務に照らして直ちに違法性があるとはいえず、この場合の違法性は、患者と医師の関係、患者の信条、患者及びその家族の行動、患者の病状、手術の内容、医師の治療方針、医師の患者及びその家族に対する説明等の諸般の事情を総合考慮して判断するべきものであるとして、判示の事情の下では違法性が否定された事例
三 輸血を拒絶する意思を有する者に対して、医師が救命のためにやむを得ないと判断して実施した輸血行為が社会的に正当な行為として違法性が否定された事例(東京地裁平9・3・12判決)82
[最高裁判例]
=民法=
1担保権の設定された物件が弁済までの間に共同相続により共有となった場合における民法五〇一条五号にいう「頭数」の意義(最高裁第一小法廷平9・12・18判決)93
2会員契約上の地位の相続性が認められている預託金会員制ゴルフクラブにおける会員の死亡と相続人による預託金返還請求の可否(最高裁第三小法廷平9・12・16判決)95
=倒産処理法=
3動産の買主が転売先から取り戻した右動産を売主に対する売買代金債務の代物弁済に供した行為が破産法七二条四号による否認の対象になるとされた事例(最高裁第一小法廷平9・12・18判決)100
4破産者の財産に対する滞納処分手続における交付要求に係る配当金を交付すべき相手方(最高裁第一小法廷平9・12・18判決)102
[行政裁判例]
=行政法一般=
1区長選に当選した区長が区の広報誌になした就任挨拶文の掲載が当選挨拶行為に該当しないとされた事例(広島高裁岡山支部平9・9・30判決)104
=行政争訟法=
2診療所につき医療法二七条の使用許可を受ける前にされた風営法上の営業許可について、当該診療所の開設者はその取消を求める原告適格を有しない(東京地裁平8・12・20判決)108
=国家補償法=
3御池水害訴訟第一審判決
火口湖の増水による観光業者らの被害につき排水目的の水門の管理の瑕疵または過失がないとされた事例(宮崎地裁平9・1・31判決)113
=租税法=
4法人税基本通達が改正された結果旧通達に従ってされた確定申告に係る法人税の額について減額更正があり、これにより生じた過納金に加算される還付加算金の起算日について、国税通則法五八条一項一号が適用されないとした事例(大阪地裁平8・2・7判決)125
=地方自治法=
5一 普通地方公共団体が内容虚偽の支出決定書に基づく公金を支出した場合につき、実際には行政目的達成のために支出したとの控訴人らの主張が認められなかった事例
二 地方自治法二四二条の二第一項四号前段に基づく住民訴訟において、行政事件訴訟法一五条(被告の変更)の準用があるとされた場合に、変更後の被告との関係において、損害賠償請求権の消滅時効の中断があるとされた事例(大阪高裁平9・5・22判決)133
6知事と海外視察旅行に同行した県議会議員に対するせん別の支払が違法であるとして知事に損害賠償を命じた事例(甲府地裁平9・2・4判決)146
労働裁判例
個別的労働関係
1いわゆる人材スカウト(ヘッド・ハンティング)によって債務者会社に採用内定した債権者に対する業績悪化を理由とする内定取消が無効と判断され、一年間の賃金仮払の仮処分が認容された事例(東京地裁平9・10・31決定)150
2ネスレ日本頚肩腕障害差額金訴訟第一審判決
頚肩腕障害による再度の休業について業務に起因するものとして労働協約に基づく労災休業差額金の請求が認容された事例(神戸地裁平9・5・23判決)157
=集団的労働関係=
3一 郵政省から懲戒免職処分を受け、組合から組合員資格の継続を認められた組合員についても組合規約所定の組合員資格喪失の事由及び手続によらなければ組合員資格を剥奪することはできないとされた事例
二 組合活動の犠牲者に対する給与補償を続けるか否かは、原則として組合の自主的判断に委ねられており、本件の取扱いは組合の裁量を逸脱していないとされた事例
三 組合規約所定の組合員資格喪失の事由及び手続によらないで組合員資格を剥奪したことについて不法行為の成立を認めた事例(東京地裁平9・7・30判決)164
[民・商事裁判例]
=民法=
1一 コンピュータープログラムの欠陥の有無に関する事実についての争点を確定するため、当事者間で、原因解明作業実行計画書の作成及びこれに基づく二年余にわたる検証実験が行われ、これによって争点の確定がなされた事例
二 プログラムの「バグ」がソフトの欠陥であるといえるための要件
三 コンピュータープログラムに欠陥があることを理由とする損害賠償請求が棄却された事例(東京地裁平9・2・18判決)172
2被告の従業員が原告らに対して、一ヶ月で約一割の利益の出る債券の購入を勧誘し、その代金名下に金員を騙取した事案において、被告の使用者責任が否定された事例(大阪地裁平9・9・24判決)189
3一 妻が夫の財産を持ち出し、所属する宗教団体に寄付したことにつき、妻及び妻に出家及び寄付の勧誘をした当該宗教団体及びその代表者(教祖)個人の各不法行為責任が認められ、妻が持ち出した金員相当額の損害賠償が命じられた事例
二 妻が共同親権者である夫に無断で二人の子を連れて出家し、子の福祉に著しく反する養育環境のもとにおいて拘束し、かつ、夫の引渡請求を拒否し、子を隠すなどしたことが、夫の親権の侵害に当たるとして、妻及び妻とともに右各行為を指示し、これに加担した宗教団体及びその代表者(教祖)個人の各不法行為責任が肯定され、夫に対する慰謝料の支払が命じられた事例(大阪地裁平9・7・28判決)192
4弁護士が相手方経営の病院の処遇に関する文書を医療関係者に送付した行為につき違法性がなく名誉毀損等にならないとされた事例(大阪地裁平9・7・25判決)210
5個人及び法人に対する名誉ないし信用毀損の成立が認められた事例(東京地裁平8・8・30判決)218
6二人乗りの自動二輪車の自損事故で、一人が死亡し、生存者と死亡者のいずれが運転していたかが争われ、死亡者が運転していたとされた事例(仙台高裁平9・2・7判決)229
7曳船作業中の曳船と本船との衝突事故につき、曳船約款中の損害てん補条項の解釈を示した上、八割の過失相殺をして本船船主の損害賠償責任を肯定した事例(大阪地裁平9・10・13判決)236
8急性膵炎の患者が深酒によるアルコール離脱症と判断されて死に至った事案につき、関与した二病院の四医師にいずれも過失はなかったとされた事例(東京地裁平9・1・14判決)243
=商法=
9株式会社の代表取締役を被保険者、会社を保険金受取人とする生命保険において、保険契約者を会社から右代表取締役個人に、保険金受取人を会社から右代表取締役の配偶者に変更する場合と商法二六五条一項の適用の有無(積極)(仙台高裁平9・7・25決定)256
10保険金額が高額の多数の生命保険契約が公序良俗に違反して無効である場合において、右各生命保険契約が当初から不労の利得そのものを専らの目的として締結されたことについて保険契約者及び被保険者に悪意があるとして、既払保険料の返還請求が認められなかった事例(大阪高裁平9・6・17判決)258
=諸法=
11農業協同組合の組合員代表訴訟における担保提供命令の申立てを悪意の疎明がないとして却下した事例(大阪地裁平9・9・29決定)263
=民事訴訟法=
12訴訟上の担保としての支払保証委託契約を締結するに際し委託者(担保提供義務者)が銀行に対する求償債務を担保するために質権を設定した定期預金債権につき、債権差押転付命令を得た者は、その支払保証委託契約による担保につき取消決定を申し立てる適格を有しないとされた事例(大阪高裁平9・11・21決定)272
13一 土地共有者の一部が隣接地の所有者及び残余の共有者を相手に提起した境界確定の訴えにおける当事者適格(積極)
二 右の場合の判決主文(大阪高裁平9・2・13判決)273
[刑事裁判例]
=刑法=
1天候悪化時に遊漁船が岩礁や浅瀬に挟まれた狭い海域に進入したため高波を受けて転覆し、乗客三名が死亡した事故につき、船長に業務上の過失を認めた事例(鹿児島地裁平9・1・10判決)276
=特別刑法=
2盗犯等の防止及び処分に関する法律一条一項の正当防衛は相当性を欠き成立しないが、刑法三六条二項の過剰防衛が成立するとした事例(東京地裁平9・2・19判決)280
=刑事訴訟法=
3つくば市長公職選挙法違反事件控訴審判決
現職の市長による買収及び事前運動事件につき、第一審判決後市長を辞職し、犯行を全面的に認めるに至ったことなどを考慮して、懲役一年四月の実刑を懲役一年一〇月執行猶予五年に変更した事例(東京高裁平8・10・24判決)284
審級別裁判年月日順索引
最高裁第三小法廷平9.12.16判決〔平7(オ)934〕…95
最高裁第一小法廷平9.12.18判決〔平5(オ)1128〕…93
最高裁第一小法廷平9.12.18判決〔平7(オ)863〕…100
最高裁第一小法廷平9.12.18判決〔平8(行ツ)111〕…102
最高裁第二小法廷平10.1.30判決〔平9(オ)419〕…73
最高裁第三小法廷平10.2.10判決〔平8(オ)673〕…73
東京高裁平8.10.24判決〔平8(う)1314〕…284
東京高裁平9.2.6判決〔平7(行ケ)174〕…68
仙台高裁平9.2.7判決〔平6(ネ)32〕…229
大阪高裁平9.2.13判決〔平5(ネ)3295〕…273
大阪高裁平9.5.22判決〔平8(行コ)3〕…133
大阪高裁平9.6.17判決〔平9(ネ)20〕…258
仙台高裁平9.7.25決定〔平9(ラ)64〕…256
広島高裁岡山支部平9.9.30判決〔平8(行コ)4〕…104
大阪高裁平9.11.21決定〔平9(ウ)1012〕…272
大阪地裁平8.2.7判決〔平3(ワ)7694〕…125
東京地裁平8.8.30判決〔平5(ワ)4415〕平五(ワ)4416〕…218
東京地裁平8.12.20判決〔平7(行ウ)307〕…108
鹿児島地裁平9.1.10判決〔平7(わ)321〕…276
東京地裁平9.1.14判決〔平5(ワ)19309〕…243
宮崎地裁平9.1.31判決〔平6(ワ)314〕…113
甲府地裁平9.2.4判決〔平7(行ウ)3〕…146
東京地裁平9.2.18判決〔平4(ワ)14387〕〔平5(ワ)16569〕…172
東京地裁平9.2.19判決〔平8合(わ)315〕…280
東京地裁平9.3.12判決〔平5(ワ)10624〕…82
神戸地裁平9.5.23判決〔平4(ワ)608〕…157
大阪地裁平9.7.25判決〔平6(ワ)4544〕…210
大阪地裁平9.7.28判決〔平3(ワ)4016〕…192
東京地裁平9.7.30判決〔平5(ワ)2670〕…164
大阪地裁平9.9.24判決〔平7(ワ)10254〕…189
大阪地裁平9.9.29決定〔平8(モ)7166〕…263
大阪地裁平9.10.13判決〔平7(ワ)6843〕…236
東京地裁平9.10.31決定〔平9(ヨ)21114〕…150
[訂 正]
本誌959号 56頁第2段7行目から福井先生の発言となっているのは、藤井先生の発言の続きでした。
本誌960号 194頁第1段27行目に本誌八一一号とあるのは本誌八八一号の誤りでした。
慎んでお詫びし訂正いたします。〈編集部〉