
掛軸の取り扱いの説明 −掛軸はどう扱ったらいいのか−
掛軸には細心の注意が払われ、熟練した技術が投入されています。糊を作るにも何年もかけ古糊を作り、裂の性質も計算に入れ裏打ちがされます。多湿多雨の日本の気候に適応するように十分配慮されて掛軸は作られています。
しかし、こうして出来上がった掛軸もちょつとした不注意や保存法ひとつによって狂いが生じてきます。そこで、どういう点に注意してほぞんしたらよいか、どういう点に留意したらよいか、見てみましょう。
はじめから上手に取り扱いますと、かけ具合もよくなってきます。自然はありがたいもので、大切に扱えさえすれば、長年の間にはその気候にもなじんでいくように思われます。自然を見方にするかどうかで、掛軸は長い生命を保つか痛むかに分かれるのです。
湿気 掛軸が最も嫌うのは、湿気、多湿です。保存するにも取り扱うにも、湿気に対する注意が必要です。掛軸は書画の保存をもくてきにしています。紙と裂が糊付けされているので、どうしても湿気をきらうのです。梅雨時だけでなく、雨の日にはできるだけ掛軸は仕舞うにするなど細心の留意をしたいものです。
直射日光 湿気とともに急激な温度の変化、乾燥も嫌います。直射日光にあてるのはもちろんのこと、室内の暖房にも留意したいものです。
掛けっぱなし 湿気や乾燥という人間が感じることのできる変化だけでなく、風に当てたり、長時間空気にさらすことにも気をつけてください。損傷を招く危険もあるでしょうし、画面の退色を進める結果にもなります。特に新しい掛軸は気候に敏感に変化しやすいので注意が必要です。
保存 天気のよい日中に仕舞うようにしてください。保存場所は、もちろん湿気の少ない所を選びます。湿気の少ない押入れの上段二階などがよいようです。北側の場所は避けるようにしてください。
掛け替え 四季折々に応じて、また来客の際にはお客の好みに合わせて、掛軸の掛け替えをしたいものです。
手なれ 掛軸の取り扱い方、特に巻き方に熟練することもまた必要です。時々の掛軸の掛け替えは自然と掛軸の巻き方を上手にしてくれることでしょう。
虫干し 虫干しは、土用干しとも夏干しとも言い、夏の土用のころに、かびや害虫を防ぐため、書籍や衣類を日に干し風にさらすことを言いますが、掛軸も虫干しが必要です。ただ日に干すことや風にさらすことは避けなくてはなりません。秋晴れの続く日を選び二、三日行います。
桐箱 掛軸はその保存のために箱に収めます。箱の材質はよく桐材を用います。桐は軽くて美しいばかりでなく、水にも火にも強く、湿気を守る点では最も優れている材質です。しかし、間違えればこれほど掛軸を痛めるものはないわけで、濡れた手でさわったまま、あるいは雨の日に湿気を含んだまま掛軸を箱に仕舞うと、密封性ゆえにかびが生えたり、糊がはがれたりする結果となります。
桐という贅沢品のように思われがちですが、これまで古美術品がよく保存されてきたことを考えれば、桐箱こそ美術品にとって必需品だといえるでしょう。
太巻棒 最近、日本画の厚塗りが目立ちます。普通に巻くと本紙が折れてしまいますので、太巻棒を添えて巻くようにします。貴重な古画なども太巻に仕上げる場合があります。
寸法は、下記のサイズが基準的な大きさです。
半切・・幅35cmまで
連落・・幅35cmを越えて52cmまで
全紙・・幅52cmを越えて70cmまで
長さはいずれも135cmまで
仕立ての主な種類
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丸表装 簡素な構成がどんな作品にもマッチし、その作品そのものの味わいを的確に表現します。 |
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三段表装 丸表装に天地の裂を付けた形式です。形が複雑になり、豪華で落ち着いた感じが生まれます。 |
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茶掛 もともと茶席に掛けるように工夫されたものですが、細い柱の軽快な感じは意外に現代的です。 |
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三段表装風帯付 三段表装に下げ風帯を付けたものです。軸全体に重圧で格調のある雰囲気が感じられます。 |
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仮仏表装 丸表装に仕上げる略式の仏表装です。派手さがないので普段掛けとして好まれています。 |
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仏表装 裂地は紺と赤の金襴で、軸先には飾り金具を使います。伝統の重みある仏用の表装です。 |
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