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淡路市東浦町にある世界平和大観音像 高さ100メートルは周囲を
圧倒する迫力だ
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鎌倉や奈良の大仏など、国内にはその巨大さをアピールする仏像がある。もちろん世界にも宗教的なシンボルを示す像があり、その高さが名物になっているものがある。
たとえば、ブラジル・リオデジャネイロにあるキリスト像の高さは約30メートル。両手を広げたキリスト像は高台に置かれ、リオデジャネイロ市内を見下ろしている。また、宗教的なシンボルではないが、米国ニューヨークの自由の女神像は、高さが48メートルもある(台座は除く)。
高ければ、大きければ御利益があるというものでもないだろうが、巨大建造物が宗教上の権威を誇示するのは、国や歴史を問わない人類に共通なものなのだろう。
■そびえ立つ大観音像■
ところで、関西に100メートルの観音像(台座20メートルを含む)があるのをご存知だろうか。場所は兵庫県淡路島。同島の北東部、淡路市東浦町に周囲を圧倒するような、色も真っ白な観音像がそびえ立っているのだ。
台座があるとはいえ、何せ高さは100メートル。鎌倉の大仏どころか、ニューヨークの自由の女神像すらも像自身の高さでは凌いでいるのだ。飛行機で関西国際空港に直陸する直前、淡路島へ目を向ければ、この像が目に飛び込んでくる。大阪湾からでも、天気が良い日には、肉眼で確認することも可能である。まさに、世界的な像ではないか。ただし、高さのみに限るが。
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| 閉館を知らせるビラが門に貼ってある |
■果たして御利益は?■
この観音像、世界平和観音寺という"お寺"にあり、正式名称を「世界平和大観音像」というらしい。「らしい」と曖昧にしたのはワケがある。というのは、このお寺に参拝する人は、いまやゼロ。参拝を受け付けないのではない。寺そのものが運営を中止してしまったからだ。
訪ねてみると、入り口の大門には「今年2月で閉館しました」と張り紙が貼られ、周囲もペンペン草が生えている。どうもこのお寺、"営業"を辞めたらしい。 「寺」が「営業」と書くと、違和感を覚える読者がいるかもしれない。けれど、この世界平和観音寺に限っては、この表現はやはり正しいのだ。というのも、寺とはいうが、宗教法人の資格は取っていない。宗教法人を管轄する兵庫県庁に問い合わせても、「そんな宗教団体はありません」という回答だった。
つまり、関西の方には馴染みの、ひらかたパークや生駒遊園と変わらない、ただの民間施設なのである。それでも、腐ってもタイではないが、そこは観音像。昔は御利益を信じて熱心に通う信者さんたちもいたらしい。
観音像の近所に住む年配の女性が答えてくれた。
「阪神淡路大震災は淡路島に大きな被害を与えましたが、この地域は震源地から近いのに不思議と被害は少なかったのです。これも観音さまの御利益だと思っています」
もっとも、「大迷惑だ」と話す男性住民にも出会った。
「誰も手入れをしないせいか、風が吹くとコンクリートだかの粉が舞ってくるのです。洗濯物は汚れるし、目障りだし、なんとかしてもらいたい」と憤慨する。
そんな霊験あらたかな大観音像サマなのに、なぜ"寺"は戸口を閉めているのだろうか。やはり、近所への迷惑を意識しているのだろうか。
と不思議に思っていると、同島津名町に住む私の友人男性がワケを話してくれた。とにかく彼は地元では事情通と評判の男。ウラ話を聞くにはもってこいだ。
「今年に入ってからですが、平和観音寺の土地や大観音像を買ってほしいと、某人が複数の先に打診したそうです。売りに歩いた人の名前は言えませんが、売り歩いた先は多くがお寺関係だったそうです。某人は、研修道場に使えると、そのメリットを訴えていたそうですが、宗教関係者を含めて、あんなモノを買う奇特な人はいませんよ。結局、いまでも売れずに、寺はペンペン草が生えている状態です」
事情通である友人の話を聞き、さっそく淡路島を訪ねたときは、残念ながら寺の営業は停止。そんな御利益のある観音像なら、近くで拝顔したい気持ちだが、あれは観音像に似せた、ただのテーマパークです。行ってもムダ」と語る人に出会った。
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寺のホームページ(閉鎖中)から抜粋。観音像の内部を紹介したもの。10F〜4Fの写真と
説明が載っている。 |
■像の中は博物館!?■
その人の話を要約すると、観音像は10階建ての建物になっていて、ちょうど首のあたりが展望台になっているらしい。しかも、途中の階には宗教とは関係のない展示品が並んであり、とてもじゃないが神秘的な雰囲気はゼロとのことだ。
入場料は大人1人800円なり。東大の赤門に似た門をくぐっていくと、そこには長い階段が。息を切らしながら歩いていくと、ようやく大観音像にたどり着く。
中へ入るとエレベーターがあり、展望台や上の階へはこれで行くことになる。さすがに高さ100メートルもあるとあって、展望台の眺めは最高だそうだ。大観音像は東方向、つまり大阪方向を向いており、天気が良ければ関西国際空港や大阪南港にあるWTCビルも一望できる。
次に5階へ入ると、看板には「民族博物館 時計博物館 写経道場」の文字が。ここに展示してあるのは、複数の武将の鎧甲や古い琴など。時計博物館には、骨董品の掛け時計がずらっと並んでいるだけ。いずれも何の説明もなく、博物館というより、物置の印象を受けたという。
下の階へ降りると休憩室やレストランに売店、なぜか宴会場があったりするらしい。3階は奥内近代陶芸美術館なるもので、魯山人の陶芸品などが並べてある。2階は奥内近代絵画美術館。ピカソやミロの絵画があるらしいが、ホンモノかいなぁ、というのが訪ねた人の感想だ。
1階へ降りると、ようやくお寺になっていて、ここには仏像が置いてある。地下へ向かうと、なぜか交通博物館。いまから30年前、40年前の国産車がずらりと並べてあるらしい。
この観音像、ここまで聞いていると、宗教施設というよりも、どうもただのレジャー施設である。関西在住の方ならご存知の、「探偵ナイトスクープ」に出てくる、まさに謎のパラダイスが世界平和大観音像の正体のようだ。
■借金のカタで競売に?■
調べてみると、この観音像を建てたのは、淡路島出身の奥内豊吉なる人物。大阪や神戸で商売が成功して富を得た奥内さんは、昭和57年、錦を飾る意味で淡路島に巨大な観音像をブッ建てたらしい。当初は宗教法人の資格を取ろうと努力したそうだが、本尊も教義もないためか、それも徒労に終わったようだ。
その奥内さんも昭和63年に亡くなり、寺や観音像の所有権は妻へ移るが、今年の2月に神戸地裁から競売の手続きが取られている。競売の事実は不動産登記簿を見れば、一目瞭然。だが、その理由は不明のままだ。奥内家の関係者と名乗る人物は、「いろいろあって、詳しいことは話せない」とコメントは拒否。
再び、友人の事情通に話を聞くと、「噂では固定資産税が支払えなくなったから」との説明だ。が、真偽は分からないままではある。
理由の如何は別にして、地元の"名物"だった観音像が売りに出されるというのも前代未聞の話である。なんとも人騒がせな、バチあたりな粗大ゴミもあったものだ。