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Mandolin Family Tree
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左から A-4(マンドリン), |
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ギブソン製のマンドリン属の楽器には、マンドリン、マンドラ、マンドセロ、マンドベースなどがある。マンドベース以外の3つ楽器の音程差を整理しておくと、 マンドラはマンドリンの5度下 マンドセロはマンドラのオクターブ下 ――となる。マンドリンとマンドラの音程差5度は、バイオリンとビオラのそれと同じだ。ただし、これはアメリカンマンドリン(ギブソン)に特有の仕様のようで、イタリアンスタイルでは、マンドラはマンドリンの1オクターブ下となっている。ちなみに、アメリカンマンドリンでは、このマンドリンのオクターブ下の楽器は、オクターブマンドリン(あるいはオクターブマンドラ)と呼ばれる。 |
ギブソンのマンドリンには、Fタイプ、Aタイプの2つの系列がある。 Fタイプはボディ左側にスクロールがついた非対称型デザイン。Aタイプは左右対称のティアドロップ型デザインになっている。 Fタイプのうち、F、F-2、F-3、F-4までがオーバルホール。F-5の登場以降は、次第にfホールを持つタイプが主流となる。 モデル名の数字は、インレイなどの装飾、使用材のグレードの違いを表わしている。この数字が表わす内容はFタイプ、Aタイプでほぼ共通だ。 |
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ギブソンのマンドラには、H-1、H-2、H-4、H-5などのモデルがある。 H-1、H-2は、ティアドロップタイプだ。H-1の仕様は、A-1もしくはA-2と同等。H-2の仕様はA-4と同等。 H-4は、F-4に対応したモデルで、スクロール付き。 ――以上がオーバルホールのモデルだ。 H-5は、F-5と同時に発表されたfホールを持つモデル。デザインなどの仕様はF-5に準じる。 |
ギブソンのマンドセロは、K-1、K-2、K-4、K-5などのモデルが知られている。数字による仕様の変化はほぼマンドラに準じる。 ティアドロップタイプのK-1、K-2は、それぞれA-1(もしくはA-2)、A-4に対応している。また、K-4はF-4に対応している。 K-5は異色のモデルで、外見はマンドリンというよりアーチトップギターに近い。初期のL-5を8弦にしたような感じと言えばわかりやすいと思う(当然fホール)。K-5は生産本数が少ないとみえて、ほとんど実物を見たことはない。 |
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まことに嘆かわしいことなのだが、マンドリン属の楽器の呼称をめぐっては、現在かなりの混乱が見られるようだ。 ブズーキだのシターンだのオクターブマンドリンだのマンドラだのマンドセロだの・・・・と、似たような弦楽器がいろいろあって、区別がつかないで困った、という経験をお持ちの方も多いことだろう。名前は違っていても、外見は同じ楽器のように見えることも多い。
なんでこんなことになってしまったかというと、これにはいくつかの理由が考えられる。 1つには、ボウルバックのイタリアン(クラシック)スタイル、フラットバックのアメリカンスタイル、――という2つの系統で、楽器の呼び名が若干異なることがある。 ここで一番問題になるのはマンドラだ。 マンドラは、アメリカンスタイルではマンドリンの5度下の楽器であるのに対し、イタリアンスタイルではマンドリンのオクターブ下の楽器になってしまう。早い話が、まったく異なる楽器なのだった。 ちなみに、アメリカンスタイルでは、マンドリンのオクターブ下の楽器は、オクターブマンドリンと呼ぶ。さらにややこしいことに、イタリアンスタイルでオクターブマンドリンをマンドラと呼んでしまうと、5度下の楽器には別の名称をつけなくてはならないので、これをテナーマンドラと呼び、テナーマンドラとオクターブ下のマンドラの区別がつきやすいように、後者をオクターブマンドラと呼ぶ。 |
−−ということは、オクターブマンドリンはマンドラと同じであって同じでなく、オクターブマンドリンとオクターブマンドラは同じ楽器で、テナーマンドラとオクターブマンドリンは違う楽器で・・・。あー、もうわからん!
これだけでも頭がクラクラするところへ持ってきて、近年になってブズーキ、シターンという新顔が乱入してきた。これが、上記のややこしい状況をまるで無視したネーミングになっているもので、さらに混乱に拍車をかける結果になってしまった。 今日ではアイリッシュ楽器の花形となった観のあるブズーキだが、もともとはギリシャの楽器で、アイルランドで使われるようになったのは、1960年代以降のことだと思われる。最初にブズーキを使い出したのは、おそらくドーナル・ラニーあたりだろう。そういう意味では、ギターと同じくらい新興の楽器である(アイルランド人から見て)と言っていい。ギリシャ製のブズーキは、イタリアンスタイルのマンドリンと同じように、ボウルバックになっていた。ブズーキがアイルランドに持ち込まれるようになると、これに改良を加えようという動きが出てくる。19世紀末のアメリカで、ボウルバックのマンドリンがフラットバックへと変貌をとげたように、ブズーキを元にフラットバックの楽器を作ったのが、英国の楽器製作家、ステファン・ソーベルだ。 このときソーベルは、何を思ったのか、ルネッサンス、バロック期のヨーロッパの花形撥弦楽器だったシターンの名前を、この楽器に与えてしまった。一方で、これとほとんど同じ楽器をアイリッシュ・ブズーキと呼ぶ人たちも出てきたから、さあたいへん! オクターブマンドリンやオクターブマンドラ(この2つは同じ楽器だが・・・)、マンドセロなどといった楽器に、シターン、ブズーキも加わって、上を下への大騒ぎ−−というのが、現在の状況なのだった。あーしんど。 |
| マンドリンファミリー再検証 | |
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ここまで読めばわかるように、ブズーキ、シターン、オクターブマンドリンなどの名称は、はっきり言って、各自が好きに呼んでいるような状態である。したがって、これらの楽器をはっきりと区分するための基準というものは存在しない。 要するに、全部同じものだと片づけてしまってもいいくらいなのだが、それではあまりに愛想がない。以下、なんとなく慣用的に認められている区分の目安を示しておきたいと思う。多少は混乱をしずめる役に立つかもしれない。ただし、これが絶対ということではないので、念のため。 ちなみに、シターン以外の楽器は、すべて8弦4コース(2本で1ペア)がスタンダードである。 |
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マンドリン属の楽器の基準となるおなじみの楽器。 チューニングは、低いほうからGDAEの5度チューニング。 右図はギブソンF-4(circa 1920) |
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マンドリンの5度下の楽器。イタリアンスタイルではマンドリンのオクターブ下の楽器になるが、フラットバックの楽器を使う人は、こちらは無視していいだろう。低音が豊かにひびくので、個人的には、この楽器が一番好きだったりする。 チューニングはCGDA。 右図はギブソンH-4(1915) |
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その名のとおりマンドリンのオクターブ下。イタリアンスタイルでは、この音程の楽器をマンドラと呼ぶ。さらにオクターブマンドラという言い方もある。ややこしい! ちなみに、この楽器をオクターブマンドラと呼ぶ場合には、上記のマンドラはテナーマンドラと呼ぶことになる。 音域的にはブズーキとほとんど変わらないが、原則としてこちらのほうがスケールは短い。だいたい520mmくらいか? これがブズーキだと660mmくらいが一般的だ。シターンは両者の中間で、585mmくらいになる。 チューニングはGDAE。 右図はフラットアイアン3K BOUZOUKI(1986)。興味深いことに、フラットアイアンでは、このオクターブマンドリンに「ブズーキ」というモデル名を付けている。 |
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マンドリンの1オクターブ+5度下。すなわち、マンドラのオクターブ下。実際に生で聴くとよくわかるのだが、マンドセロの低音はものすごい音がする。まるで電気的に増幅してるんじゃないかと思うほど、ひたすら伸びる。スケールはほとんどブズーキと変わらないくらいだが、ボディサイズはこちらのほうがずっと大きい。おそらく低音をよく鳴らすためにこうなっているのだろう。 私はギブソンの古いマンドセロを、イギリスから輸入したことがあるのだが、ブズーキのものらしい弦が張ってあった。実際にヨーロッパのトラッド系ミュージシャンの間では、マンドセロをブズーキ・チューニングにして使用するのが一般的なようだ。 レギュラーチューニングは、マンドラのオクターブ下のCGDA。 右図はギブソンK-1(1917) |
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ギリシャの民族楽器。イタリアンスタイルのボウルバックマンドリンをビッグサイズにして、長いネックを付けたような楽器と思えばわかりやすいだろう。 ギリシャの正調チューニングは、CFAD。12弦ギターと同じように、低音の2コースはオクターブチューニングにする。 ただし、アイルランドのミュージシャンで、このチューニングを使っている例はほとんど聞かない。 |
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フラットバックのブズーキ。 アイリッシュ・ブズーキでは、オクターブチューニングはせずに、同じ太さの弦を張って完全ユニゾンにすることが多い。 チューニングは奏者によってまちまちのようだが、GDAD、GDAE、ADADあたりがポピュラーだ。 GDAE なら、オクターブマンドリンとまったく同じチューニングである。ブズーキの場合、テンションは極端に弱くしてフニャフニャの状態(エレクトリックギターのスーパーライトゲージなみ?)で弾くのが普通だ。これでコードを弾くと独特の音がする。かっこいいんだなあ、これが! |
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ルネッサンス、バロック期のヨーロッパにも同名の楽器があったが、現代のシターンは、その名前を借りただけで、直接の関係はない。まぎらわしいなあ! ここでは現代のシターンに限って解説する。 10弦5コースが標準だが、8弦4コースのものもある。思うに、スタンダードなブズーキではスケールが長すぎるので、ショートネックのブズーキの需要が生まれ、それなら8弦のシターンを作ればいいじゃろ――ということになったのではないかと。シターンという名前は、いろいろな意味でまぎらわしいので、個人的にはあまり好きではない。10弦ブズーキで充分だと思うが、すでに定着してしまっているようなので・・・。 この楽器もチューニングはまちまちだが、ADADA、ADGAD、AGDADがスタンダードだそうな。アイリッシュ・ブズーキのチューニングのバリエーションと考えればいいだろう。 |
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