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ライブ日記――gig report '00

 

Alaitz eta Maider

Steve Cooney

Mairin Fahy

Hayes & Cahill

Andy Irvine

Lunasa

Donal Lunny

Liam O'Maonlai

Niamh Parsons

SWAP

Taraf de Haidouks

シーサーズ

ソウル・フラワー

ダッタニアン

チープ・チーパーズ

テキーラサーキット

プチ・ポーザ

宮崎勝之

宮原芽映

良原リエ

 

2000年3月15日

Lunasa

 at 青山CAY

 ほとんどお客さんの背中しか見えなかったもので、はっきり言って何人編成なのかもよくわからなかったのだが、どうやら5人で来たらしいルナサ。演奏の様子をほとんどチェックできなかったのは残念だが、肝心の演奏のほうは、アイリッシュトラッド期待の新星という評判にたがわぬ素晴らしいものだったと思う。

 なんと言っても、ギター、ベースのリズム・セクションがぐいぐいリズムを引っ張ってくれるのが気持ちいい。トラッドバンドは、やっぱりこうでなくっちゃ。久々に聴く価値のあるアイリッシュバンドの登場、と言ってもいいかもしれない。これからの活躍が楽しみだ。

 個人的には、大好きなハンマーダルシマー奏者であるマルカム・ダルグリッシュの曲(Stolen Apples)をやってくれたのがうれしかった。とはいえ、こういう静かな曲だと、客のおしゃべりが耳障りなんだよなあ。あの人たちは、いったい何をしに来てたんだろう?

 

2000年5月20日

Taraf de Haidouks

 at 青山CAY

 会場のCAYにはステージ脇に楽屋がないらしく、出演者は、うしろのほうから、観客の間を縫ってステージに上がらなくてはならない。もちろん終演後もそうだ。タラフのメンバーが、観客のスタンディング・オベーションの中、花道のお相撲さん、あるいは結婚式のお嫁さん状態になって、ステージを去っていく様子は、なかなか感動的だった。

 タラフ・ドゥ・ハイドゥークスは、ルーマニアのロマ(ジプシー)楽団である。メンバーは一定していないらしいが、今回日本には10数人でやってきた。ソロをとるのは、もっぱらバイオリンと笛。アコーディオンはソロのほかにコードバッキングでも活躍する。ツィンバロン(ハンマーダルシマー)は、分散和音のバッキング中心。そしてボトムを支えるのがウッドベースだ。

 最初の何曲かは、メンバーがてんでに好き放題のことをやっている感じで、カオスの極みという印象だったが(アンディ・スタットマンが10人くらいいるバンドを思い浮かべていただきたい)、PAのバランスが調節されてツィンバロンの音が聞こえだし、バンドも小編成になったあたりから、格段にすっきりした音になった。

 それにしても、なんという個性的なサウンド。お世辞にも洗練されているとは言い難いけれど、強烈な個性が、プンプンと匂ってくる。メンバーが入れ替わり立ち替わり、ときには曲弾きも交えながら、ぐいぐい突き進むパフォーマンスに、大道芸人のたくましさを感じた。

 

 

2000年8月22日

宮崎勝之

 at 銀座ロッキートップ

 関西の−−というよりも、いまや日本を代表するマンドリニストになった宮崎勝之の、久々の上京ライブ。バックのメンバーは、ボーカル&ギターが笹部益男、バンジョーが原さとし、エレクトリックベースが林 孝明と、全員東京での現地調達組だ。原さとしを除く3人は、このあとアメリカのインターナショナル・ブルーグラス・フェスに出演する予定とかで、そのリハーサルも兼ねていたようだ。

 本番のステージは、予想どおりブルーグラス・スタンダード中心に進んだ。宮崎勝之のマンドリンは、いつものように澄み切ったきれいな音で素晴らしい。とはいえ、縁の下の力持ちであるはずの林 孝明が、一番存在感があったのはどういうわけだろう? 本音を言えば、セッションバンドではなくて、じっくり熟成させた音を聴きたかったような気もする。

 

 

2000年9月11日

テキーラ・サーキット

 at 銀座ロッキートップ

 70年代ウエストコースト・サウンドを再現する3人組、テキーラ・サーキット。リトル・フィート、イーグルス、ドゥービー・ブラザーズ、トム・ウェイツ、マーク・ベノといったレパートリー。さらには、ザ・バンド、オールマン・ブラザーズ・バンド、ヴァン・モリソン、ドノバン、そしてローリング・ストーンズ、ビートルズまで。懐かしい曲が次々と出てくるのだが、これを懐古趣味と片付けていいものかどうか? セッションマンとしてのキャリアも長い人たちなので、ギターのテクニックは抜群だし、ボーカルもコーラスも最高。いい気分になれることは請け合いとはいえ、何かひっかかるものがある。

 あまりに完璧すぎて、破綻のかけらもないところが不満といったら、ぜいたくに過ぎるだろうか? もしかしたら、日本語のオリジナル曲の歌詞を、個人的に好きになれないのが大きいのかもしれない。英語のオリジナル曲であるMarmalade Skyは名曲中の名曲だと思うのに、ほかの曲との落差を感じてしまうのが残念だ。

 もっとも、ほとんどの曲をシングアウトしてしまった私が、あとで文句をつけるのもヘンな話ではある。難しいことを言わずに、素直に楽しめばいいのか。

 

 

2000年9月23日

宮原芽映

 at 渋谷ツインズヨシハシ

 オリンピックのサッカー準々決勝。日本vsアメリカは、前半を終わって1-0で日本がリード。これ以上見ているとライブの開演に間に合わなくなる。後ろ髪を引かれる思いで、ツインズヨシハシへ。

 なるべく情報遮断した状態で、帰ってからビデオで続きを見ようと思っていたら、ステージが始まってすぐに、「延長戦に突入」というMCをされて、小ショック。しかも、帰り道では、酔っ払いのおっさんたちの会話が耳に入ってきてしまった。どうやらPK戦までもつれたようだ。それも負けたみたいな雰囲気。これが中ショック。

 それでもめげずにビデオを見るも、途中でテープが切れて、最後まで入っていない。あわててニュースをつけると、やっぱり負けている。ガビビ〜ン。大ショック。−−ということで、しばらく寝込む。

 もちろん、宮原さんのライブ自体は、とってもよかったんだけどね……。鮮烈な言葉には、いつも新しい発見がある。久々に聴いた「いちばん好きな人といっしょになる」にガツン。ピアノ、アコーディオン、コーラス、ペニーウイッスルと大活躍した良原理恵の存在感も、相変わらず大きかった。

 

 

2000年9月27日

つづら折りの宴 アイリッシュ編

 at 青山CAY

 アイルランドでの偶然の出会いから実現してしまったというアンディ・アーバインとドーナル・ラニーの来日コンサート。この2人のデュオを日本で見られるなんて、ほとんど奇跡のようなものだ。

 オープニングを飾ったのは、沖縄トラッドのシーサーズ。アマチュアっぽいパフォーマンスながら、それなりに楽しめた。

 続いて登場したのは、このイベントの仕掛け人でもあるソウル・フラワー・モノノケ・サミット。アイリッシュトラッド、沖縄民謡、昭和歌謡、オリジナル……と、素材をそのまま盛りつけたようなステージは、荒削りながらも迫力がある。とはいえ、「立て万国の労働者」などとシラフでやられると、さすがに困ってしまうのだが……。また、津軽の民謡ということで、嫁いびりを主題とする「弥三郎節」を持ってきたのには、何か深い意図があるのだろうか? ま、いいか。いずれにしても、「満月の夕べ」はよい歌だと思う。

 最後にお待ちかねのアンディ&ドーナル。「座って演奏するので見るほうも座ってくれ」と言われるが、立っていても寿司詰め状態だというのに、これで座ったら足の持っていく場所もない。足はしびれるし、背骨は痛むしで、これは非常につらかった。

 もっとも、肝心の演奏には、まったく文句はない。久々にじっくりと歌を聴かせてもらった。アンディ・アーバインのボーカルやマンドリンに、ドーナル・ラニーのブズーキがからむ具合が、また絶妙で、しみじみと心にしみる。

 ところで、アンディ・アーバインが弾いていたのは、ソーベル風のデザインのマンドリンと、フラットトップギター風のボディに8弦のネックをつけた楽器。あとで、大島豊さんに教えてもらったところ、チューニングはブズーキと同じだという。ということは、あれが、うわさのブザール(ブズーキとギターの合成語)ということになるか。

 

 

2000年9月28日

Liam O'Maonlai & Steve Cooney with Niamh Parsons

 at 原宿アストロホール

 「withニーブ・パーソンズ」と言いながら、むしろ「ニーブ・パーソンズ・ソロ・リサイタル」のような印象すらあった。ボーカリストである以上、ほかの2人がバックをつける形になるのはしょうがないのだろうが、男2人のデュオが目当てだった身としては、いささか思惑はずれだった感、なきにしもあらず。とはいえ、リアムとスティーブのデュオもけっして少なくはなかったし、ニーブ・パーソンズの素直な歌や、飾り気のないパフォーマンスにも好感を持った。

 スティーブ・クーニーは、体調不良で前回の来日を棒に振っているから、これが初めての来日のはずだ。噂に聞くギタープレイを、間近に見られたのは何よりだった。フィンガーピッキングの繊細なプレイもなかなかだったものの、やはりこの人の真価は、パワフルなコードプレイのほうにあるのだろう。とりわけ、ミュート&カッティングのタイミングが、素晴らしい。曲によってガット弦のギターとスティール弦のギター(タカミネのエレアコのようだった)を使い分けていたのも印象的だった。1曲だけディジャリドゥも吹いていたが、実は生粋のアイリッシュではなくて、オーストラリアの生まれなのだという。なるほど。

 もうひとりの主役であるリアム・オメンリーは、どことなくお疲れの様子。とはいえ、ボーカルにピアノにペニーウィッスルにと、活躍してくれた。全体に、わりとあっさりしたステージだったような印象が残ったのは、リアムがおとなしめだったせいもあるかもしれない。

 それでも、リアムとスティーブのボーカルのからみをじっくり聴けたのは大満足。アンコールでは、ドーナル・ラニーがブズーキを持って現れて、ボシー・バンドのレパートリーなども披露してくれた。これは予期せぬ幸運じゃ!

 

 

2000年10月20日

良原リエ

 at 王子・狐の木

 「王子の狐」という落語もあるくらいだから、そんなに遠くない昔には、狐がたくさん棲んでいたんだろう。地元と言っていいくらいの場所なのに、王子とは不思議と縁はない。花見の季節などに飛鳥山まで出て行くことはあっても、王子駅周辺にはとんとご無沙汰だ。

 そんな王子・狐の木での、良原リエの弾き語りライブ。歩いて行こうかとも思ったけれど、雨が降っていたので、都電に乗る。狐の木は、ライブハウスではなくて、ちょっとおしゃれな普通のバーだった。飲みに来たらたまたま居合わせてしまった、というような風情のお客さんも多い。そんな雰囲気を楽しむように、さりげなくピアノを弾き、歌を歌う。

 良原リエのピアノの音色は大好きだ。じわじわとささくれた心に沁みてくる。「ヒーリング」ばやりの昨今ではあるが、これだけほんわかとした気分にさせてくれる音は、存外少ない。よい時間をすごせた。

 

 

2000年10月25日

Martin Hayes & Dennis Cahill

 at 新宿タワーレコード

 フィドルのマーティン・ヘイズは、アイルランドの出身なんだそうだが、活動の拠点はアメリカと言っていいだろう。最近はアメリカのアイリッシュ・ミュージシャンの作る音のほうが、本場のそれよりもずっと面白い。あらためてそんな思いにさせるプロモーション・ライブだった。なんといっても、ブルーグラス・フィドラーを髣髴とさせる流麗かつテクニカルなフィドルが、素晴らしい。やっぱりフィドラーは技術がないとね。

 相棒のデニス・カヒルのギターは、コリングスの000-18タイプ。リハーサルのときには、クラレス・ホワイトばりのリードギターもちょこっと弾いていた。ルーツを垣間見た気分。お主、なかなかできるな!

 

 

2000年11月26日

SWAP

 at トリビュート・トゥ・ザ・ラブ・ジェネレーション

 前からふざけた名前のライブハウスだとは思っていたが、こんなにおしゃれな感じのところだったのか。これじゃまるでディナーショーではないか! 今はなき、ジャズのライブハウス、キーストーン・コーナーが、こんな雰囲気だったよなー、などと思いながら開演を待つ。

 SWAPは、イングランド人2人、スェーデン人2人の混成トラッドバンドだ。バンド名の「A」の上には、丸がついているので、てっきりスェーデン語だろうと思っていたら、なんのことはない。英語の「スワップ」を、スェーデン語風にしてみたんだという。スェーデンとイングランドのトラッドの融合は、意欲的な試みには違いないのだろうが、もうひとつ噛み合ってない様子で、ギクシャクとした居心地の悪さは否めない。会場の雰囲気と同じくらいの違和感を覚えた。

 収穫は、噂のアコーディオンプレイヤー、カレン・ツイードのにこやかなパフォーマンスと、ハーダンガーフィドルの演奏を目の前で見られたことくらいか? できればこの次は、2デュオズ・カルテットのステージで再会したいものだ。

 

 

2000年11月27日

Mairin Fahy

 at 新宿タワーレコード

 リールタイムのフィドラーとして知られるモーリン・フェイのプロモーションライブは、正規の単独公演が行なわれなかったために、貴重な機会となった。早めに会場についたおかげで、サウンドチェックのリハーサルからしっかり見ることができたのも、ラッキーだったと言うべきだろう。

 メンバーは、モーリン・フェイのフィドルに、旦那さんのアコースティックギター。これにドーナル・ラニーとの来日公演ですっかりおなじみになった観のあるレイ・フィンが、パーカッションで加わる。結論から書いてしまうと、ミュージシャンとしての格が違う感じで、主役の2人よりも、レイ・フィンのパーカッションのほうが目立ったようなステージだった。リズムパッドをメインにした楽器構成であったにも関わらず、あいかわらずのご機嫌なリズムで言うことなし。

 肝心のモーリン・フェイのフィドルは、思っていた以上にアメリカンな音だった。ボウイングのスタイル自体もそういう感じだし、レパートリーも、ブルーグラス/オールドタイム方面のものが目立つ。ここでBlackberry BlossomやChiken Reelを聴けるとは、夢にも思わなかった。そういえば、リールタイムのアルバムでも、オールドタイムフィドルの超有名曲、Ragtime Annieを取り上げていたっけ。やっぱ好きなんだろうなー。

 

 

2000年12月3日

CHIKEN SKIN MUSIC REVUE Vol.7

 at 国立・かけこみ亭

 このサイトでもおなじみのあおやぎとしひろさんが仕切るチキン・スキン・ミュージック・レビュー。我らがCOCOさんまで、ゲストで出演するというのでは、見に行かないわけにはいかない。−−と勇んで出かけたのはいいが、途中で道に迷ったりしたもんで、会場についた頃には、オープニングの「きよみとくみこ」の演奏は、すでに中盤にさしかかっていた。クミコさんのアコーディオンは、いつだってすばらしい。それに、あの楽しそうなパフォーマンスが素敵なのだ。

 続いて登場したのは、プチ・ポーザ。ボーカル&ギターの山本のりこさんと、バンドリンの中沼浩さんによるショーロ・デュオだ。マンドリンの親戚−−というか、基本的に同じ楽器であるバンドリンは、饒舌である。ボサノバっぽいギターとバンドリンとの絡みが、なかなかに美しかった。

 そしてトリを務めたのが、チープ・チーパーズ。COCOさんをゲストに加えて、イングランドのモリスチューンなども披露してくれた。この日のあおやぎさんは、かなりノっていたのか、いつも以上の迫力がある。まるでヴァン・モリソンのようにソウルフルなボーカルを聴かせてくれた。なんかしらんけど、ウルウルきちまったぜ。

 

 

2000年12月7日

Alaitz eta Maider

 at パラダイスホール

 一部の好き者(失礼!)の間で、スペイン・バスク地方の音楽が静かなブームを呼んでいるようだ。かく言う私も、すっかりはまってしまって、最近は、ケパ・フンケラやエツァキットのアルバムを愛聴している。そんなバスクのミュージシャンの中でも、ルックス的には跳び抜けているのが、メロディオン(バスクの呼び方ではトリキティシャ)とパンデロア(同じくタンバリン)のおねーさん2人組、アライツ・エタ・マイデルだ。

 待望の日本公演は、めちゃくちゃ楽しいものになった。ギター、ベース、ドラムスというバックの3人は、お世辞にもうまいミュージシャンとは言えないし、メロディオンのアライツ・テレチェアのプレイだって、ものすごくテクニックがあるというほどではない。それでも元気いっぱいのパフォーマンスには、心引かれるものがあった。とくにパンデイロ、ギターのマイデル・ザバレギの仕草のかわいいことといったら……。ま、ルックスで得している部分もあるとは思うけれど、それだけではない何かがあったような気がする。ポップなサウンドとルックスの相性もピッタリだったし。なにはともあれ、異様な昂揚感のあるライブだった。

 

 

2000年12月23日

ダッタニアン

 at 吉祥寺・シルバーエレファント

 プログレの殿堂、シルバーエレファントで、アマチュアバンド3つのジョイントコンサート−−とはいうものの、私が見たかったのはダッタニアンに尽きる。

 ダッタニアンは、ギター、ベース、ドラムスの3リズムにボーカルという、よくある編成のロックバンドだが、そのグルーブ感は並じゃない。プロでもこれだけのリズムを作れないバンドはザラにある。今回は、ゲストという形でサックスとキーボードが加わって、さらに強力なサウンドになった。

 バンドのフロントウーマンであるボーカルのマリコさんは、普段からきっぷのよさが売りだが、今日はいつにも増したノリのよさ。「大好きな森首相に捧げます」と言って、「ノンポリでいこう」という曲を始めたときには、不覚にも大笑いしてしまった。この人の書く歌詞が、また面白いのだ。これだけ熱心なファンがついているんだから、アマチュアの枠にとどまらず、もっとメジャーになってほしいもんだと思う。