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 原色マンドリン図鑑

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ペグヘッド head hunting

GIBSON F-5L

fern pattern inlay

 シダの葉を模したファーンパターンのインレイが豪華な、F-5Lのペグヘッド。ボディのスクロールに合わせた独特のヘッドデザインも美しい。オリジナルのフラワーポットからファーンパターンへの移行が行なわれたのは、おおむね1925年からと見てよいが、それ以前にも、ごく少数ながらファーンパターンのF-5は作られていたようだ。

 参考までに、F-5のインレイの変遷を、おおまかにまとめると、フラワーポット(1922年〜24年) → ファーンパターン(25年〜30年) → フラワーポットの復活(30年〜79年)という感じになる。ただし、フラワーポットのデザインは、年代によってかなり異なる。F-5を受け継ぐ形で1978年にスタートしたF-5L(つまりこの写真のモデル)で、再びファーンパターンが採用され、今日まで至っている。

GIBSON F-4

double flowerpot inlay

 F-4は、1922年にF-5にとって代わられるまで、長い間ギブソンマンドリンの最高級モデルだった。このため、ペグヘッドにも、細かい細工のダブルフラワーポットインレイ(トーチインレイとも言う)が入っている。ヘッド全体のデザインは、その後のF-5にも踏襲されるとはいうものの、縦横の比率がかなり異なるため、受ける印象はずいぶんと異なる。F-5ではトラスロッドカバーが追加された関係で、フラワーポットのデザインも、より短いシングルフラワーポットへの変更を余儀なくされた。同時に、インレイも若干省略されたようだ。

 当時のギブソンのカタログによれば、この頃のインレイには、日本の真珠貝を使用しているそうだ。これだけで、なんとなくうれしい気分になるから不思議。なお、写真のペグはオリジナルではなく、新しいものと交換されている。

GIBSON MB Mandolin Banjo

moccasin head

 ちょうどロイド・ロアの時代に製作されたマンドリンバンジョーのペグヘッド。モカシンヘッドと呼ばれる独特のコンパクトなデザインが、かわいらしい。モカシンというのは靴のタイプの名前からきているのではないかと思うのだが、もしかすると毒蛇の頭部の形からの連想かもしれない。なにしろ、スネークヘッドという用語もあるくらいだから。

 このマンドリンバンジョーは、1923年には、MB4へとモデル名が変更される。この事実からもわかるように、スペック的にはスタイル4に相当するようだ(ロゴマークの下のfleur de lisインレイに注目!)。ただし、マホガニーネックのF-4などと異なり、MBでは1921年頃から、早くもメイプルネック(それもフレイムメイプル)が採用されている。これはF-5に先行する快挙と言ってもいい。

WEYMANN STYLE 2? Mandolin Banjo

ornamental leaves inlay

 20〜30年代を代表するバンジョーメーカーの1つ、ワイマンのマンドリンバンジョーのペグヘッド。おそらく1924年〜25年くらいの製品であると思われる。

 モデル名は不明だが、スタイル2に相当するスペックを持っているようだ。スタイル2は、ワイマンのバンジョーの中では中の下くらいのポジションの製品である。このクラスでも、ヘッドのインレイを見ればわかるように、装飾はかなり凝っている。ヘッド内部に挿入される形でセットされているペグは、当時のマンドリンには、わりと一般的なものだ。

 ヘッド全体のデザインが、後のギブソンのギターを彷彿とさせるのも興味深い。

B&D Peerless Banjo

floral inlay

 番外編ということで、B&Dのテナーバンジョーもご紹介したい。個人的には、テナーバンジョーは、むしろマンドリン系の楽器なのではないかと考えているので、はっきり言って、そんなに違和感はないのだが。

 バンジョーの装飾は、マンドリンやギターのそれよりも、なぜか派手になる傾向があるようだ。19世紀のバンジョーにも、細かい貝細工をびっしりと施したものが少なくない。この傾向に拍車をかけたのが、20年代から30年代にかけてのテナーバンジョーブームだろう。ギブソン(バンジョーに関して言えば後発メーカー)などは、どちらかと言えば地味なデザインと言えるかもしれない。ここに紹介するPeerlessバンジョーは、「天下無双」というモデル名とは裏腹に、B&Dの中でも下位のカテゴリーに属するモデルだが、それでもこれだけのインレイが入っているんだから……。