David Grisman Mandolin Workshop

 

99年11月6日

 at 渋谷クアトロ

 17年ぶりの来日をしたDGQ。渋谷クアトロで行なわれたコンサートの前に、デビッド・グリスマン先生のマンドリン・ワークショップが行なわれたので、私も自分の腕を省みず、参加することにしました。以下、そのレポートです。

 当初は定員20名という話だったのですが、東京での受講者は、私も入れて4名。日本語通訳兼ギターのサポートをしてくださったのは、あの有田純弘さんでした。有田さんといえば、G氏とは長いつきあいだし、プレイヤーとしても指導者としても超一流だし、音楽理論はばっちりだし……と、これ以上望めないような豪華な人選です。それにつけても、参加者が4名というのはもったいない。

 人数が少ないせいか、ワークショップは、G氏の楽屋で行なわれました。まず、G氏みずから、参加者全員のマンドリンのセッティングをチェックしてくれます。もったいなや! ブリッジの位置を直してもらった人までいらっしゃいました。

 実は、出かける前に、どんな楽器を持っていくか迷ったんですよ。あんまり奇をてらうのもナニだし、かといってあんまり偉そうな楽器でも恥ずかしいし。−−というわけで、長年いっしょにライブをやっているケンタッキーのKM-1500を持っていったんですが、セッティングまでチェックしてもらえるんだったら、これが正解だったような気がします。

 私の楽器を手にしてG氏がおっしゃるには、「強いピッキングには向かないけど、音のバランスは非常にいいね」−−とのことでした。「もうちょっと弦高を上げてもいいかもしれない」は、いいとして、「弦は毎日替えないと」とも言われてしまいました。はい、ライブをやったままで放ってあったんです。わはははは。

 次に、各参加者のやっている音楽ジャンルを聞かれました。ドーグ、ジャズ、ブルーグラスという答が続いたところで、思わず「オリジナル」と答えてしまうワタシ。う〜む、身のほどを知らんヤツ。

 そして、ブルーグラスとジャズの比較論みたいな話になり、そのあとで1人ずつブルーグラスのコードカッティングをさせられました。いや〜、緊張しまくり。いつもはもうちょっとできるはずなのに(ほんとか?)、全然思っているような音が出ませんでした。とほほ……。

 ここで、1人ずつG氏に疑問をぶつけるという質問コーナーに突入。コードワークやジャズの理論の話、右手のピッキングのポイントなど、参加者の問いに、1つ1つていねいに答えてくれます。ピッキングのところで、「私は弱めのタッチのほうが好きなんだけど、いまのクインテットにはフルート、パーカッションといった音量の大きい楽器があるから、負けないように強く弾かなければならないことある」というくだりが、興味深かったです。アコーディオンといっしょに演奏する機会が多くなった私にも、似たようなジレンマがあったりして。

 さて、私が何の質問をしたかというと、この際だから、曲作りの心構えを聞いちゃいました。短いモチーフを思いついたときに、それを曲として発展させていくときの考え方みたいな話です。

 たとえばAパートのメロディを思いついたら、Bパートのコード進行を考える。この際にAパートとBパートのコントラストについて考えなくてはいけない。コード進行を変えたり、リズムを変えたりするような工夫が必要だ。私の場合は、曲全体をきっちり決めてしまわないで、ほかのメンバーの個性を発揮できる余地を残すようにしている。−−てな感じで、ほかにもいろいろアドバイスはありましたけど、あとは省略。

 そしてそのあとで、1人1人G氏の前で演奏をして、アドバイスをしてもらおうということになったんです。ひえー。

 私の順番は一番最後だったんですけど、みなさんのようにはうまく弾けそうもないので、オリジナル曲のテーマ部分を聴いてもらうことにしました。なんとか弾き終わり、「私は好きだよ」って言ってもらえて、ま、お愛想なんでしょけど、うれしかったです。さらに、「私だったら、その続きはこうする。Amがずっと続いているから、こういう風に転調するのはどう?」と、G氏が弾き出したのは、望外の喜びでした。緊張してたもんで、内容をほとんど覚えてないのは、ナニですが……。

 ここで、「そろそろお開きに……」という声がかかって、ワークショップは終了。結局、10分くらい予定時間をオーバーしてたみたいです。

 終わってからも、まだ話し込むG氏。「今日のコンサートのリクエストはないか」というので、とっさに出たのが「Opus 38」。調子に乗って、「ワシ、マンドラやマンドセロも弾くんです」と言うと、「いいマンドラがあるよ」と、ギルクリストのビューティフルなマンドラを見せてくれました。実際にライブでも使ってたH-5コピーです。いやーすばらしい!

 さらに、最近のメイン楽器である、ロイド・ロアF-5も見せてもらいました。右側のラベルを覗いたら、ロアさんのサインといっしょにDec. 20. 1922という日付が入ってました。しかも、「右手でピッキングするだけならいいだろう」ということで、1人1人音を出させてもらいました。これには心から恐縮。−−と言いつつ、私もしっかり弾かせてもらいましたけどね。

 というわけで、参加者が少なくて、G氏&主催者さんにはお気の毒でしたけど、私にとってはいろいろ貴重な体験ができた充実したワークショップだったと思います。

 Thank you very much, Mr. Grisman!