国東弁概論

背景色は、国東の青い空と海をイメージして見ました。


国東弁は、日本語ですから当然、膠着語(付着語)です。語尾は縮約傾向があります。母音調和は共通語より顕著です。
語彙は動詞、形容詞は勿論ですが、代名詞、接続助詞や助動詞、終助詞がちょっと変わっています。語彙とアクセントは大分県ですから九州弁と共通するところもありますが、瀬戸内言葉と言ったほうが良いと思います。戦国時代は大友水軍の中核だった(と言う説もある)ところですからね。私の家内は大分の南部ですが、国東弁は聞いて良く分からないようです。

◎国東弁の発音について
五十音通りですが、やや「さ行」「ザ行」の発音に弱点があります。サがタにセがシェにソがトになります。「座布団」は「だぶとん」、「残念」は「だんねん」、「ざま」は「だま」、「先生」は「しぇんせぇ」「線香」は「しぇんこ」、「ぞう」は「どう」、「ぞうり」は「じょうり」又は「どうり」、「ぞうすい」は「どうすい」、と言うようなところがあります。

◎国東弁の縮約傾向について
国東弁では、語尾が微弱音化して前音に吸収される傾向があります
○名詞語尾うの省略。「空港」は「くうこ」、「学校」は「がっこ」、「格好」は「かっこ」、「鉄砲」は「てっぽ」
○主格助詞「は」は「ぁ」になります。
「山は」は「やまぁ」、「猫は」は「ねかぁ」となります。
○目的格助詞「を」は「ぉ」になります
「これを」は「こりょ」、「あれを」は「ありょ」、「何を」は「なの」となります。
○助詞「の」は「ん」になります(こめえ「ん」が入力でけん!)
「この」は「こん」、「駅の」は「駅ん」
○引用の場合
「〜という」は国東弁では「〜ちゆう」ですが、実際には「〜ちゅう」に、「〜とは」は「〜ちゃあ」となります。

◎国東弁の母音調和について
共通語で「くさいkusai」を「くせえkusee」といいますね。つまり、語尾の母音eに合せて活用部分の母音がaからeに変わります。国東では、こればっかりです。
●AI、OIはEEに

共通語国東弁共通語国東弁
赤いAKAIあけえAKEE青いAOIあええAEE
形容詞
あめえ(甘い)、えれえ(偉い)、にげえ(苦い)、たけえ(高い)、わけえ(若い)、こめえ(こまい)、ほせえ(細い)、おおけえ(大きい)
名詞
ええ(愛)、あんべえ(案配)、ぐええ(具合)、しべえ(芝居)めえにち(毎日)、きちげえ(キチガイ)
その他
〜ねえ(〜ない)、〜めえ(〜まい)、〜くれえ(〜くらい)
●UIはIIに
共通語国東弁共通語国東弁
軽いKARUIかりいKARIIだるいDARUIだりいDARII
形容詞
わりい(悪い)、かいい(かゆい)、こしい(こすい)、ずりい(ずるい)、しびい(渋い)、やしい(やすい)、ひきい(低い)
●AUはOUに
共通語国東弁共通語国東弁
買う、飼うKAUこうKOU這うHAUほうHOU
動詞
しもう(仕舞う)、のう(綯う)、ちこう(誓う)、かもう(構う)、やしのう(養う)、おう(会う)
形容詞
ちごう(違う)
●一部の名詞や動詞の命令形でEがIに
共通語国東弁共通語国東弁
あれAREありARI行けIKE行きIKI
名詞
あり(あれ)、こり(これ)、そり(それ)、どり(どれ)
動詞の命令形
食び(食べ)、どき(どけ)、書き(書け)

◎国東弁の代名詞について

種類国東弁共通語説明
一人称(男)おい、おり、わし、あしおれ、ぼく、私「おいんもんじゃ」は「俺のものだ」、「わしがしょう」は「私がやろう」、「あしがいく」は「私が行く」
一人称(女)うち、うっとう「うちんもんじゃ」は「私のものだ」、「うっとうがしょう」は「私がやろう」
二人称われ、わりおまえ、君「われがしたんじゃろ」は「おまえがやったんだろ」
三人称あい、ありあいつ「われか、あいか。」は「おまえか、あいつか」
卑称どー上記人称に「どー」を付けても言います。「おいどーがの」と聞いて「尻」を想像してはいけません。「僕はね」です。怒鳴る時は「馬鹿どー」と言います。
不定称だいたれ「だいが来たんか」は「誰が来たのか」
指示(事物)こい、そい、あい、どい、こり、そり、あり、どりこれ、それ、あれ、どれり系統より、い系統を使用する人が多い。「こいか、あいか」と言われても、「恋か愛か」などと考えてはいけません。ただの「これか、あれか」なのです。
指示(場所)こけ、そけ、あっけ、どけここに、そこに、あそこに、どこに「こけこー(ここに来い)」はタモリがTVで紹介して有名になりました。正しい国東弁は「こけけー」と母音を調和させるのが正解。
指示(方向)こっち、そっち、あっち、どっちこちら、そちら、あちら、どちら共通語と同じですが、「こっちん水はあめえど」のように使用します。
指示(連体)こん、そん、あん、どんこの、その、あの、どの「こんぼんは、どこんこかえ」は「この男の子はどこの子ですか」
疑問なんなに「なんか」は「なにか」

◎国東弁の助詞について

種類国東弁共通語説明
所有「女子ん尻」は「女の尻」、「林檎ん皮」は「林檎の皮」、「でくんぼう」は「でくのぼう」
連用ち、ちょ「しちみち」は「して見て」、「いっちきち」は「行って来て」或は「言って来て」です。「食べちょくれ」は「食べてくれ」
強調んじょーばかり、ばっかり「馬鹿んじょー言う」は「馬鹿ばっかり言う」、「女子ん尻んじょー追いかけちょる」は「女の尻ばっかり追いかけている」
手段、方法じ(ぢ)「鉛筆ぢ」は「鉛筆で」、「車ぢ」は「車で」、「うわんそらじ」は「うわのそらで」
理由ほでから「そげなこつ、ゆうほでじゃ」は「そんなことを言うからだ」
仮定ゃあ「いきゃあ、いいんじゃ」は「行けば、いいんだ」
引用「来るちゆうた」は「来ると言った」
疑問かえ「行くかえ」或は「行くんかえ」は「行くか」
同意、確認のーなー「おでえのー」は「こわいなー」
命令よ、なえなさい「行きよ」は「行きなさい」、「食べよ」は「食べなさい」、「行きなえ、食べなえ」も同じ
禁止命令なんな〜するのは止めなさい「買いなんな」は「買うのは止めなさい」、「泣きなんな」は「泣くのは止めなさい」
ちこ「いいちこ(よい)」は有名になりました。「車じゃちこ」は「くるまですって」。逆説で使う場合もあります。「そげなこつゆうたちこ」は「そんなこと言っても」

◎国東弁の助動詞について

種類国東弁共通語説明
断定じゃーだ、である「車じゃー」は「車だ」、「好きじゃー」は「好きだ」、「綺麗じゃー」は「綺麗だ」
否定じゃねーではない「男じゃねー。おなごじゃ」は「男ではない。女だ」
進行よる、よんている「何しよん」は「何している」
進行・状態ちょる、ちょー、ちょんている「食べちょる」は「食べている」、「寝ちょー」は「寝ている」、「開いちょん」は「開いている」
否定ない「こん」は「来ない」、「いかん」は「行かない」
推量ごてある、んごてあるそうだ、ようだ「雨が降るごてある」又は「雨が降るんごてある」は「雨が降りそうだ」という意味です.
丁寧命令なはりいませ、なさい関西弁の「なはれ」に同じ。使用人口は激減中。「お出でなはりい」は「お出でなさい」、「食べなはりい」は「食べなさい」
希求1てえーたい「やりてー」は「やりたい」、「くいてー」は「食いたい」
希求2とねえたくない「勉強しとねえ」は「勉強したくない」

◎国東弁の用言の活用について
接続語尾は、未然形は「ない」の替わりに「ん」を、連用形は「て」の変わりに「ち」を、仮定形は「ば」の替わりに「ゃあ」を使用して下さい。
「勉強する」は、「勉強せン」、「勉強しチ」、「勉強する(ん)」、「勉強すッ」、「勉強すりャア」、「勉強せ」と活用します。
動詞の「〜られる」は「らるる」となります。例えば、「見られる」は「見らるる」です。
形容動詞の終止形は「じゃ」です。「静かだ」は「静かじゃ」です。

◎国東弁の語彙について
一般論として、古いみやびな言葉が多いといえます。従って、時代劇ファンが多いんです。

名詞
おてしょ(小皿)、うなみ(牝牛)、きらず(料理番組では全国通用)おなご(時代劇では常に使用)等など
動詞
おる(居る)
おいでる(いらっしゃる)その他時代劇で使用する動詞のほとんど
形容詞
ちごう(違う)