■2004
幸徳『帝国主義』新版 
投稿者:鬼薔薇  投稿日: 7月 4日(日)23時45分19秒
久しぶりに都心の大書店へ出向き、品切れだった岩波文庫の幸徳秋水『帝国主義』が新しい校注で出ているのを見つけました。ホブスン『帝国主義論』の復刻とともに、当コーナーには折りよくもありがたいこと。今回の版は文字表記を新漢字・現代仮名づかいにあらためたほか、古めかしい漢字表記のいくつかをひらき、また註を新たに付け直すなど、翻訳であれば「改訳版」に当たるリニューアル版、その点、ホブスン書が矢内原訳の「復刻」なのとはちがいますので、あえて「新版」としてご紹介する次第です。歴史的文献の表記や原題はそのまま保存すべきとの考えもあるかもわかりませんが、時を経て言葉も変る以上、原著の精神を保ち時代に活かすリニューアルは、なされてしかるべき作業でございましょう。

『廿世紀之怪物 帝国主義』初版発行は、ホブスンの『帝国主義論』より1年早い1901(明治34)年、時に幸徳30歳。その9年後1910(明治43)年には発禁処分、そして著者・幸徳は大フレームアップ「大逆事件」の首謀者として逮捕され、翌年早くに死刑となります。1904−05年日露戦争、1910年8月韓国併合、初代朝鮮総督寺内正毅が6年後の1916年(大正5年)首相就任――という時代の中での発行と発禁であったことを思えば、著者もこの書も、近代日本の「怪物」化過程に「非戦」を唱えて正面から立ち向かい、そして縊り殺されたと申すよりございません。

このたび「新版」の校閲・注解にあたったのは明治大学法学部教授の山泉進さん。いわゆる「全共闘世代」のご年代かと思いますが、「初期社会主義研究会」にあって明治社会主義運動の実証的研究を地道に重ねてこられた方のようですね。巻末の解説も、そうした近年の研究成果を踏まえた手堅く有用な内容と思えます。特に、幸徳が『帝国主義』執筆に当たって依拠したジョン・ロバートソン『愛国心と帝国』まわりの紹介は、簡潔ながらホブスンとの関わりをも伝えてありがたいものに思いました。ロバートソンは後の労働党内閣で首相になるマクドナルドやホブスンとともに「ニュー・リベラル」と呼ばれた潮流に属し、その議論集団「レインボー・サークル」(「虹の会」?)で指導的な立場にあったとのこと。ホブスンの『帝国主義論』もそうしたなかで著されたと知れます。その直接のきっかけとなったのが、レーニン『帝国主義論』冒頭に記されたボーア戦争(1899−1902年)であったことと考え合わせますと、大日本帝国の韓国併合過程も大英帝国の「植民地帝国主義」化過程との同時代性において捉えるべき歴史事象なのでしょう。

「欧米に遅れた後進日本」なる進歩主義史観は正されねばなりません。そして今21世紀のとばくちに立って、「百年前の非戦論は、いま、『帝国』が浮上する時代に再び新しい警鐘を鳴らしている」との巻末解説の言葉、噛み締めて本書をひもとくに値する時代状況ではないかとの思い深くいたします。

なお、巻末解説に引かれている研究誌『初期社会主義研究』については、版元不二出版のサイトにリストがございます(直近の第16号〔03年11月刊〕は未掲のようですけど)。

http://www.fujishuppan.co.jp/kindaishi/shokishakaishugikenkyuu.html

また、ボーア戦争関連では昨年の今頃に出た下記書が、開戦翌年にロンドンに赴いた夏目漱石の見聞や同時期ドイツに留学していた箕作元八の観測から幸徳秋水の同戦争観にまで目配りしており、入手も容易で有用と存じます。ご参考までに。

 岡倉登志『ボーア戦争』(03年、山川出版社刊)



アルゼンチンは、タンゴじゃないでしょうか?
 投稿者:臨夏  投稿日: 7月 5日(月)00時13分28秒
嘉門達夫に「丹波でルンバ」という怪曲もございました(謎
ええと、まじめなはなしに戻しますと、
ええ??幸徳さんの新刊が!!(^^

最近、幸徳の盟友(弟子かな?さらに、菅野すがをめぐっての痴話相手。。)、
つい最近、荒畑寒村の自伝を読んだので、みょ〜にリアルに感じます。
あの「ファミリー」には、大杉栄なんかもいて、いかにも楽しそうですね(^^

われわれ「読書コーナー」グループは、後世、どない言われるでしょう、
ただ消えていくのみでしょうか(笑

なんか、幸徳さんの事業=平民社運動は、大逆事件でぶちぎれてしもて、後世に革命伝統として継承されてないような気がします。
まあ、寒村翁なんかを通じて、共産党、社会党なんかにも続いてはおりますが。

なんとなく、幸徳秋水は、思い出すと寂しい印象がありましたが、それを現代的意義に浮かび上がらせるとは、嬉しいかぎりです。

関係ないかもしれませんが、わたしの父祖の地でもある、土佐国というとこは、長曽我部元親、坂本竜馬とかの英雄を輩出した土地です。
そこに幸徳もつらなるのかな?

また、銅像などつまらぬ、という意見はもっともですが、彼の銅像とかは、たてられてるのかな?? 白足袋、吉田茂だけには負けたくないなあ(笑

>箕作元八 さん、というのは、麟章ですね?
字合うてたかな?(苦笑、、=「りんしょう」さん。。



>臨夏さま
投稿者:鬼薔薇  投稿日: 7月 5日(月)00時44分49秒
アルゼンチンにもサンバってあるらしいのです。ブラジルのとは綴りも音もちがって、音楽そのものも同じではないみたいですけど、もちろんタンゴとは別ですよ。

といったことはどうでもよろしくて(苦笑)、わたしたち日本人が「帝国主義」を語ろうとすれば、秋水先生幸徳伝次郎は欠くことができぬ存在でございましょう。

「秋水」の号は中江兆民がつけたものとか、幸徳家は遠く安部清明につらなる家系とか、山泉さんの「解説」にいろいろご紹介もございます。でもここでの共通関心は「帝国主義」。

>われわれ「読書コーナー」グループは、後世、どない言われるでしょう、
ただ消えていくのみでしょうか(笑

それはまず最後まで読み通した上でのお話でしょうね(苦笑)。