気管支喘息
| アレルギーとは | 気道の炎症とは | 気道の過敏性とは | 環境整備 | ピークフローメーターの奨め | インタールについて |
[1]気管支喘息についての一般的知識
Q 1 気管支喘息とはどんな病気ですか?
気管支喘息(喘息)とは発作性に呼吸困難を生じたり、喘鳴(ぜんめい)(ゼーゼー・ピーピー)、咳、痰(たん)が増加してくる疾患です。原因としては小児の場合、90%近くがアレルギーと考えられています。抗原となる室内塵(ホコリ)、ダニあるいは花粉を吸ったり、タバコの煙、冷気の吸入などによって気管支が刺激されて症状を起こしてきます。風邪を契機として発症してくることも多いようです。
喘息は気道の慢性炎症性疾患と考えられています。気道が狭くなった状態があり、呼吸機能が低下しています。いろいろな刺激に対して反応性が亢進(気道過敏性)しており、呼吸困難になり安い状態があります。喘息発作を起こす誘因には様々なものがあります。したがって発作を起こさないようにするためには、絶えず医師と相談し、発作のない良い状態を長く続けてゆき、気道の過敏性を無くすような治療をしていくことが大切です。
Q 2 喘息発作を起こす誘因は?
喘息の誘因には様々なものがあります。誘因となるものは個々の人により異なりますので採血検査でアレルゲンを調べることは非常に大切なことです。アレルゲン(室内塵やダニなどの抗原)、刺激物、冷気などの吸入、風邪や気管支炎などの感染、ストレス、過労、運動、喫煙、および飲酒なども喘息を悪化させます。これらの誘因を避ける事は喘息の治療の一環として非常に大切なことです。
Q 3 発作の強さによる症状は?
呼吸困難の程度から、下記のように分けます。
1
喘鳴のみ、あるいは胸がつまる感じ、呼吸困難なし
2
小発作:軽い喘鳴、咳、呼吸困難(苦しいが横になれる)
3 中発作:呼吸困難(苦しくて横になれない)
4
大発作:呼吸困難(苦しくて動けない)、喘鳴がかえって消失する事あり
Q 4 発作のない時にも咳や痰があり、胸の詰まる事があります、どうしてですか?
発作の無いときも気管支に炎症が残っているために痰がからむ、呼吸がスムースにいかないなどの症状が出るのです。軽い発作といってもいいのかもしれません。発作の無いとき(喘鳴の無いとき)に、咳、痰などの症状の出やすい人がいます。これを咳喘息と呼んでいます。
[2]日常の自己管理の重要性について
Q 5 日常、何に気をつけたらいいのですか?
@
まず原因となるものを日常生活から減らす努力が必要です。
A 普段の内服薬、頓服薬、吸入器(携帯orネブライザー)を常に所持します。
B
内服薬や吸入薬の名前、効果、副作用について指導を受けます。
C
発作時に受診する病医院、救急外来への交通手段を考えておきます。
D
症状の強い場合に、自分の判断で我慢したり、無駄な治療を続けたりして時期を失しないように、速やかに医療機関を受診します。自己判断による勝手な治療はむしろ喘息を悪化させる事があるので注意が必要です。
Q 6 症状が無くても薬を使い続けるのですか?
従来の考え方は、『気管支喘息とは機能的な疾患であり、そこには何らの病理解剖学的な変化も伴わない。だから、具合が悪くなったときに薬を使えばよい。それから、次の発作までの間、自覚症状が無い間は薬を使わない方がいいのだ』という考えでした。現在では、こういうやり方は喘息の本当の治療になっていないと考えられています。それは単に一時的な対症療法を繰り返しているに過ぎないからです。こういうやり方をしていると段々発作と発作との間隔がせばまり治りにくくなってきます。発作のある時はもちろんですが、症状の無い時にもきちんと治療を継続することが大切です。症状の無い時に継続的に残っている炎症をとる必要があります。それは薬物療法によって行われます。もちろん治療は薬物療法だけではありません。ほこりやダニ、花粉、動物の毛、心因など、様々な刺激を取り除くということもやります。
しかし、それだけでは不十分なことが多いのです。
Q 7 軽い症状は深呼吸をしたり冷たい水を飲んだりして症状を抑えて様子をみていればよいですか?
喘息は我慢する病気ではありません。発作は早い時期に対処すればするほど、より少ない薬でより早く良くなります。我慢していると最終的にはひどい状態になることもあり、時には命に関わることもあります。喘息は診断を早期に確定し、初期に十分な治療を行えば、難治化、重症化をある程度防ぐことができます。
[3]急性発作の予防、予知
Q 8 喘息発作の始まりの症状は?(→Q3を参考にして下さい。)
一般に発作の始まりは咳やゼーゼー(喘鳴)、何となく胸が苦しい、胸が詰まる感じ、息苦しくて時々眼がさめるなどです。
Q 9 救急処置を要するような重篤な症状は?
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Q 10 ひどい発作を起こす可能性の高い人は?
@
喘息発作で救急外来受診を繰り返したり入院したことがある人
A
一度でも激しい喘息発作を起こしたことのある人
B
喘息発作の治療のために人工呼吸器(挿管)をつけた事がある人等
C
喘息発作の治療にステロイド薬を内服している人、内服したことがある人
[4]発作時の対応
Q 11 気管支喘息にはどんな薬が使われますか?
気道の狭くなってしまうのが喘息ですが、これに対しては気管支拡張薬であるベータ2刺激薬(吸入、内服、貼付剤)、テオフィリン薬(内服、注射、座薬)が使われます。
気道の炎症も喘息の特徴の一つですが、これに対しては、ステロイド薬(注射、内服)が使われます。又併用薬として去痰剤、抗生物質も使われます。
テオフィリン薬:ネオフィリン(注射薬),テオドール・テオロング(内服薬),アルビナ(座薬)
ベータ2刺激薬:ベネトリン・メプチン・サルタノール(吸入薬),ホクナリンテープ(貼付剤)
ホクナリン・スピロペント・メプチン(内服薬)
ステロイド薬 :サクシゾン・プレドニン(注射薬),プレドニン・デカドロン(内服薬)
去痰剤:ムコダイン・ムコソルバン・ビソルボン(内服薬)
喘息症状を軽減する目的でステロイドの吸入をしたり、インタールの吸入を行っても症状は改善しません。
ステロイド吸入、インタール吸入は予防薬です。
Q 12 症状が家庭で悪くなったときはどうすればいいですか?
日常の自分の状態と比較して発作を早く予知する事が大切です。発作時の対処方法について示します。
@ 小発作:Q8の症状があったら、ハンドネブライザー(ベータ2刺激薬)の吸入を1-2吸入、あるいは電動ネブライザーでできればインタール液+
ベータ2刺激薬を併用して吸入します。効果は5分以内に現れますが、症状がすっかり改善しなければ20〜30分後に動悸(胸がドキドキ)などの副作用に注意しながらさらに追加吸入します。改善すれば5〜6時間おきに吸入を継続します。改善しない時は早めに病・医院を受診して下さい。
A 中〜大発作:Q9の症状があったら、吸入はQ12の@に準じて行いながら、直ちに病医院を受診します。
[5]喘息の予防薬
Q 13 喘息の予防薬にはどのようなものがありますか?
喘息症状の無いときに、残る炎症を抑える薬(抗炎症薬)として、ステロイド吸入、インタール吸入が行われます。その他として、従来よりテオフィリン製剤の長期内服(RTC療法)、抗アレルギー剤の長期内服が行われています。
吸入ステロイド薬:フルタイド,ベコタイド,アルデシン
吸入抗アレルギー薬:インタール吸入液
テオフィリン薬:テオドール,テオロング
内服抗アレルギー薬:ザジテン,セルテクト,オノン,ペミラストン,アレジオンetc.
Q 14 吸入方法について教えて下さい
@
吸入ベータ2刺激薬はは速効性があり副作用もあまりありません。吸入はハンドネブライザーあるいは電動ネブライザーが使われます。乳幼児の場合は一般には後者が使われます。吸入療法は発作時の対称療法としても行われますが、発作を予防する目的で、1日に何回か定時的に吸入する方法(インタール
+ ベネトリン 吸入)が行われており、効果も抜群です。
A
吸入ステロイドは内服のステロイド薬と異なり、副作用がほとんど無く、予防効果が非常に高いことから、成人では第一選択薬として使われています。そして副作用がほとんど問題にならないことがわかってきたために、小児科でもかなり使われるようになってきています。最近は乳児にも使われてきています。インタール吸入で改善が思わしくないときは早期に使用すべきと考えられています。
[6]喘息に使ってはいけない薬(禁忌薬品)、薬剤の副作用
Q 15 薬によって喘息が起こる事がありますか?
薬によっても喘息発作の起こる事があります。解熱鎮痛剤によるものが多く、解熱鎮痛剤喘息(アスピリン喘息)といわれ、大人の喘息の人の10%前後に起こります。塩基性鎮痛薬やアセトアミノフェンはまず大丈夫です。
比較的安全な鎮痛薬
塩基性鎮痛薬:ソランタール等
アセトアミノフェン:アンヒバ・ナパ・カロナール等
Q 16 喘息に使われる薬にはどのような副作用がありますか?
@
気管支拡張剤:手・足の震えや動悸(ベータ2刺激薬)、悪心、おう吐、腹痛(テオフィリン薬)などが一時的にみられる事があります。しかし減量ないし中止により消失します。
A
経口ステロイド薬:ステロイド薬は短時間の使用では安全と考えてよいですが、長期連用になると発育障害や骨粗しょう症などの起こる事があります。
B
吸入ステロイド薬:口腔内のカンジダ症、さ声(注:声がれ)以外にはほとんど副作用はありません。
[7]家族の協力の重要性
Q 17
家族はどのように対応したらよいですか?
家族は気管支喘息の病状をよく理解して、アレルゲンの除去やタバコ、線香の煙などの刺激を与えないように注意します。動くと発作が悪くなる人には安静がとれるように配慮します。発作時には状態をよく観察し、中発作以上と判断したならば直ちに医師に受診させます。特に大発作の時は生命の危険をもたらすことがありますので救急車を呼びます。
家庭で実行する基本的な対処(軽い発作の時)
@ 姿勢に注意→上半身を高くしてあげる。
A 排痰(姿勢変換を時々行う等) B
水分補給をして痰の切れをよくする。C
時々部屋の空気を入れ換える、湿度は高めに。
D タッピング(背中を叩いてあげたりする) E
腹式呼吸をさせてみる。
[8]ピークフローメーターは喘息管理に有意義 クリック
Q 18
ピークフローメーターはどのような意味がありますか?
ピークフロー(最大呼気流量)とは、息を一気にはいた時の流速です。ピークフローメーターという器具を使用して測定します。ピークフローメーターは起床後と就寝前のほぼ一定の時間に吹いて、その測定値を日記に毎日記入します。ピークフロー日記を参考にすることにより発作の状態を客観的に判断し、治療に役立てることができます。たとえば自分が発作と感じなくても測定値が落ちているときは、軽い発作か、あるいは発作が起きそうな時ですが、ひどい発作になる前に治療することが可能です。しかし、発作時にネブライザー吸入をしたり頓用の薬を内服しても測定値があまり改善しない時は、すぐに医師を受診すべきです。
Q 19 ピークフローの値と症状の関係は?
本人の最高値の20%以上の低下があれば軽い発作があると考えて吸入します。最高値の50%以上の低下があれば病・医院をすぐ受診すべきです。
| ピークフロー(ミニライト)と喘息の重症度の関係 | ||
| 喘息の重症度 | 値 | 日内変動 |
| 命に危険 重症 中等症 軽症 |
常に70%以下 時々80%以上 80%以上が多い 常に80%以上 |
50%以上 30%以上 20~30% 10~20% |
[9]喘息の予防;抗炎症治療が重要
喘息は慢性の炎症性疾患と言われます。今、喘息症状がなくても次の発作を起こさないように予防する、そのために、今残っている炎症をとることが大切です。
症状が軽い、あるいは低年齢の児は内服による予防投薬で経過を診ることもあります。
@ 抗アレルギー剤(抗炎症作用は弱い)の内服を継続する
A テオフィリン製剤(抗炎症作用は弱い)の内服を継続する
低年齢の児であっても内服で症状が改善しない、あるいは症状が改善しても十分に改善しない状態がだらだら続くような場合は、早期に吸入による抗炎症治療を行うべきです。
比較的症状が強い、発作を繰り返す、あるいは症状の改善(長期予後)が期待できない場合も抗炎症治療を早期に導入すべきです。
抗炎症効果が強い薬剤は下記の二剤しかありません。
抗炎症薬
B インタール吸入 (抗炎症作用強い)
C ステロイド吸入 (抗炎症作用が非常に強い)
吸入は薬の量が少なくてすみ、また薬の効率がよいため副作用はほとんどありません。
本来、喘息は症状が軽くても重くても吸入治療を主体にすべきです。