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黒湯温泉から山道を5分ほど下ると、急に視界が開け先達川の対岸に“孫六温泉”の全景が見えてくる。
明治時代からの湯治場で、宿もそうだが、倒壊しそうな湯小屋が雑然とある。
先達川に掛かる橋を渡って宿へ。車で乗りつけることはできない。送迎もしてくれない。
帰りは、黒湯の駐車場まで上り坂を800bほど歩かねばならない。乳頭温泉の中で最も奥まった秘湯、素朴さの残る出湯である。
湯船は先達川沿いにたくさんあり、楽しめる。男女別に仕切られた湯小屋の唐子(からこ)の湯、大岩に小屋掛けした内湯、混浴露天の石の湯、男女別の露天風呂、嬉しいことに打たせ湯小屋もある。
湯は泉質の違う4つの湯があり、「山の薬湯」と呼ばれるほど効能が高いと言われている。
この日は、まず石の湯へ。脱衣所の戸を開け、木造の梯子を下りてから、湯船へ入る。湯小屋の中に大きな岩が鎮座しており、この岩の間から湯が湧いている。
この時、タオルを忘れたことに気がつき、脱衣所に掛けられていた忘れ物の手拭、タオルの中から1本借りることにした。この石の湯から川沿いの露天まで行ける。
大雨のため先達川は激流となって流れており、危険は無いが川沿いの露天に浸かると目線が川の水位と同じため先達川の激流がさらに迫力を増していた。
あるがままの温泉、それが孫六温泉である。混浴温泉、数あれども、ここまで来て入浴する風流な女性はそうはいないようだ。
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