| <<目次へ | <戻る | 娘とふたり旅 | 次へ> |
| こっそり運転もしちゃいました |
妻のお腹が日増しに大きくなり、毎日娘の世話をしながら家事をこなすのがきつくなってきた。かといって家族で出かけるにも負担がかかるような遠出は難しく、私は私で遊びに行きたくてしょうがない。ということで、かねてから計画していた父子ふたり旅をついに決行した。ただこれには前段がある。8月の末に母方の祖母が亡くなり、急きょ告別式参列のため長途大阪まで私が行くことになった際、身重の妻は論外としても娘を連れて行けば両親も喜ぶだろうし、湿っぽさも少しは和らげてくれるのではないかと思い、一泊二日旅行を実行したのだ。これは迎える側がいるので私として苦労したのは実質札幌=新千歳空港間の電車、千歳=大阪間の飛行機だけだったが、何とかなるもんだと自信を持ったことが今回の旅行につながったのだと思う。
さて行き先は道北の美深町。札幌から遥か240q、道央自動車道を端から端まで乗って3時間半もかかる、言ってはナンだが辺境の地である。そんなところへ何をしに行くかというと、目的はひとつ「トロッコ王国」だ。ここは自分で汽車を運転するという男の子共通の夢を実現してくれる桃源郷なのだ。実際に運転するのはエンジン付きのトロッコなのだが、走っているレールは紛れもなくかつて日本一の赤字線であった美幸線で、鉄道ファンであるわが社の先輩がちょっと前に単身走破してとっても楽しそうだったので、いつかきっと!と胸中秘するものがあったわけだ。
ちょっと出遅れて昼前に自宅を出発し、札幌ICから一路旭川方面の終点を目指す。途中、砂川SAで昼食とトイレ休憩。最近トイレができるようになった娘はおしっこはほぼ完璧だが、こういう設備の整った場所でないと親は汗びっしょりで大変だ。今回の旅行でも数箇所は大便用が狭かったり和式だったりで、教育上良くないと思いつつ男子小用に抱えて放尿させた。自分のおしっこがよく見えるのが嬉しいのか「澄ちゃん、たっちでおしっこする!」ときかなくなったので、なるべくは控えた。ちくしょう、男の子は楽でいいだろうなあ。
![]() |
| チョロQのパッケージより |
ピンポイントの天気予報によると、今日は全道的に快晴だが明日は音威子府付近は曇りか雨だというので、今日中にトロッコに乗ろうと思い、ほとんど休憩なしで突っ走った。ナビ頼りなもんで言われたままに走ればいいのだが、途中で道がわからなくなったことがあって来た道を引き返すと「パパ、間違えたの?」と後部座席からうれしそうな声がかかる。自分では何もできないくせに、娘は人の間違いを指摘するのが大得意なのだ。今回の旅で苦労は多かったけれど、何が一番辛いかというと車の中での「まともな」話し相手がいないことだった。
娘「パパ、これなに?」
私「(うしろ向けないけどテキトーに話を合わせるため)お店だよ」
娘「これは?」
私「おうち」
娘「澄ちゃんのおうちは?」
私「澄ちゃんちは札幌でしょ」
娘「ここどこ?」
私「旭川だよ」
娘「澄ちゃんは?(意味不明な発言)」
私「澄ちゃんも旭川だよ」
娘「違うよ。澄ちゃんはよしい・すみかって言うんだよ。パパ、間違えたでしょ!」
といった会話にならない会話を延々と続けるのは結構辛いものがある。どうせなら眠ってくれたほうがよっぽど楽だ。
ちくしょう、子育て記という前提があるから旅行記が全然進まないぞ。(^_^;)
トロッコ王国に着いたのは15:00くらい。入国手続きを済ませて娘をトイレに連れて行っているうちに注意事項の説明が始まっていた。ほかの参加者はカップルか鉄道おたくかミツバチ族(死語?)で、子連れはわが家だけだった。娘が恐がらないかだけが心配だったが、慣れてくるとごきげんになってきたので、ホントはいけないけど復路はハンドル(というかアクセルレバー)をちょっと任せてみたりもした。勾配はあんまりないけれど、信号あり渓谷あり密林ありの往復10qはかなり面白くてお勧めです!
鉄道ファンでない人でも子供がいない人でもじゅうぶん楽しめます。
| トロッコ13号は通称只今参上号 | 本物の廃線跡だから大人も楽しい | 美幸線の終点仁宇布駅ホーム |
さて泊まりは美深温泉。鄙びた一軒宿を想像していたら、これが道の駅やキャンプ場併設の近代的な施設で驚いた。予約の電話をしたら「18畳か20畳の部屋しか空いてないんですけどいいですか?」と言われて、これは舞台つきの宴会場か?と思ったけれど、通されたのは何のことはないだだっ広い団体客用の部屋だった。娘はお金がかからないので布団もなく、こんな広い部屋に狭いひとり分の布団で窮屈そうに眠るのはかなり滑稽な様子だっただろうなあ。露天はないけどお風呂はまあまあ。宿泊料が二食付きで7,200円のわりには食事も豪華だった。娘は旅行中、食がとっても細くて、いつもはばくばく食べる麺類やご飯もろくに口にしなかった。どこか悪いのかなと心配したけど、うちに帰ったらいつものように食欲旺盛に戻ったから、きっと娘なりに日常と違う生活に気疲れしたのかな、とも思う。
背骨が痛くなるくらい10時間以上寝た翌日は、朝風呂に入ってご飯を食べて教育テレビをひととおり観て出すものを出してから出発した。娘はまだうんちがうまくできる時とできない時がある。できる時もおまるでないとできない時がある。朝「パパ、うんち!」と申告したときもトイレに連れて行ってできるかどうか不安だったのでためらっていたら「パンツにしていい?」と聞いてきたので「うん、今日は紙おむつだからいいよ」と許可して出させた。面倒でもトイレに連れて行くべきだったかとちょっと反省した。
娘の目が少し赤くて腫れているので気になって早めに家路を急ぐことにした。それでも真っ直ぐではつまらないので、無理やり朱鞠内湖(人造湖)に寄り道してから士別の世界のめん羊館に入った。ここは世界から集めた30種類ものめん羊となぜか沖縄のヤギを展示している。動物園感覚で入場料200円を払って入ったら、羊の姿を見るなり娘は「羊さん、こわい〜!」と泣き出してしまった。仕方ないので抱っこしてあげたら、今度は羊さんの「メェ〜!」という大きな鳴き声に阿鼻叫喚。(^_^;)
おかげでたった数分で退出する羽目になってしまった。余談だが、私としては羊よりも、人間のような顔で歯をむき出してニタニタ笑う沖縄の黒ヤギのほうが数段恐かった。夢に見そうだ。私も恐がりなほうだから、娘がこんな風なのもある意味しょうがないかも・・・。
レストランでジンギスカンを食べて、行きと同じく砂川SAで休憩して一路札幌へ急ぎ、家に着いたのは16:00頃だった。気を遣うことが多くて疲れるし、予定どおりに事は進まないけれど、たまにはこんな旅もいいなあ、というのが私の結論。「パパと電車乗ったの」「おっきい温泉入ったの」とうれしそうに妻に語る娘の様子を見ると、どうせ大きくなったら覚えてないんだろうなあ、と思いつつも、自分の中の思い出はできたから良しとするか。