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昨日は仕事が終わったあと、雨の中、東日本橋の「アカチャンホンポ」へおつかいに行く。子供ができて初めて知ることは多いけれど、「アカチャンホンポ」もそのひとつだ。ここはいわばベビー用品の総合ディスカウントショップで、店内には所狭しとベビー服や下の世話関連用品や知育玩具が並んでいる。妻が妊婦だったころに一度だけ興味本位で五反田TOC店を覗いたことはあるが、その時はまだ何がなんだかわからず、私は「松坂大輔バッティングマシン」の箱を空けたり「機動戦士ガンダム」のプラモデルを触ったりして結構楽しんでいた気がする。しかし、今日はお宮参りの服を買うという明確な目的があるのだ。

さすがに雨の土曜日ということもあって店内にお客さんは多くなかったが、ほとんどが子連れの夫婦で、スーツ姿で一人で来ている男なんて私しかいない。この前、閉店セール中の有楽町そごうでベビー服を買おうと思ったけれどなんだか居心地が悪いし、何を買っていいのか皆目見当もつかなかったのですごすごと引き上げた時の記憶が蘇る。幼児フェチと誤解されないための証しは左手薬指の結婚指輪とお店のチラシだ。私はそれらをできるだけ見せびらかすように店内を歩いた。「私はフェチではありません。ちゃんと結婚していて仕事もしている男です。妻が出産したばかりで実家から出られないから仕事帰りの私がおつかいを頼まれてこうして一人で来ているんです」と。東日本橋というのは問屋街で、土曜の夜なんてどこも営業していないから辺りは閑散としているのだが、アカチャンホンポの前にはずらりと車が縦列駐車しており、そのすべてにチャイルドシートが据え付けられている。間違っても競馬新聞やマークカードが車内に放置されていることはない。店内にはソファがあってママの買い物を待っているドライバー兼ベビーシッターのパパが数人所在なげに子供を抱いている。他ではあんまり見たことのない異様な光景に私は「車の中で待ってればいいのに」と思ったけれど、何か事情があるのだろうからあえて質問はしなかった。

さて、今日買わなければならないのはお宮参りの服のほかに「匂わなくてポイマルチ」(注)のスペアカセット、オムツ替え用の防水シート、赤ちゃんのおしりふきである。パソコンショップなら右往左往しなくても目的の品物を探し出せる私だが、ここでは勝手が違う。店員に聞いてフロアを行ったり来りで確実に挙動不審者である。服はいくつか値段の違うものが置いてあったのだが、どこがどう違うのか素人にはよくわからないし、店員に尋ねると一番高いものを薦められるに決まっているから広告に載っていた2,980円の一番安いのにした。ベビー用品総合カタログの「BABY LAND」なんかを見ると、家紋つきの大袈裟な和装や昔のテレビ番組「ホンモノは誰だ」で3人並んで羽織っていたマントのようなドレスが載っていて驚いてしまう。まあ地方によってはこんな風に大袈裟になるのかもしれないなあ。

で、そんな荷物を抱えて土砂降りの中家へ帰ってテレビをつけたらちょうどオリンピックの柔道をやっていて、YAWARAちゃんが金メダルを獲った。翌日のスポーツ新聞に彼女の子供の頃の写真が載っていたが、生後六ヶ月で今と同じ顔だった。貴乃花にしてもそうだけど、顔の変わらない人っているもんだなあ、と感心した。最近顕著になってきたわが子の二重あごは直るのだろうか。「顎だけは子供の頃とおんなじだね」と20年後くらい嘲笑されないようになってほしいものだ。

(注)アップリカというベビーグッズの専門メーカーが出している紙オムツ処理器。紙オムツを入れてダイヤルを回すと抗菌衛生フィルムがひとつずつウインナー状に包み込んでにおいをカットするすぐれもの。