長女の命名の際もそうだったが、わが家は字画を考慮しない。そんなもので人の運命が決まってたまるかという気持ちが80%で、残りは、女の子は名字が変わるだろうからこだわってもしょうがないという考えと、字画によってバリエーションが制限されることを憂慮する思いが10%ずつか。ところが自由に命名して良いとなるとこれはこれで迷いも多くなるものなのだ。ある先輩は「字画なんて信じてないけど、選択肢が絞られるから結局決めやすいんだよ」と言っていたけど、なるほどそれはそうかもしれない。
長女は逆子ちゃんなので生まれるまで性別がわからなかったけど、今回は早い段階でわかっていたので考える時間はたっぷりあったはず。なのに、北海道らしい名前か秋らしい名前がいいなあとぼんやり思っているだけで、まるで具体的に考えることをしなかった。今思えば長女に澄「夏」と季節を盛り込んだことは、誕生月を敵に推測され3歳を過ぎて飛行機にタダ乗りさせることに気を遣うというデメリットがあった。それでも夏に対して秋というのはやっぱりわかりやすく、まずは検討してみた。が、秋という字はあんまりバリエーションがない。結局、千秋くらいしか思い出せなかったので諦めた。
でも上の子の名前との調和はとりたかったので、韻を踏んで最後は「か」にすることにし、それからいろいろ考えて「ふうか」という読みにすることは決定した。これには、NHK教育テレビの「いないいないばぁ」に出てくるふうかちゃん(原楓佳ちゃん)の影響は多分にある。何だかほのぼのとした語感があるのが気に入っていたし、ついでに楓佳ちゃんは賢そうな顔立ちだし。「ふう」は最初は風のつもりだったけれど、澄が「へん」と「つくり」の字なので漢字で併記したときの調和を考えて「きへん」を入れて楓にした。これならMS-IMEでも変換されるし、最初は読めなくてもつくりから推測はつくから二度目からは少なくとも普通に読んでもらえるだろう。それに、かえでなら秋らしくもあろう。ちょうど札幌は紅葉の盛りだし、人によっては紅葉狩りのことを観楓会(かんふうかい)とも呼ぶらしい。ふうかの「か」はいろんな漢字があって最終的に華と香に絞って検討してみると、楓の華はどうやら俳句では春の季語となりうるらしいので香に決定した。普段のわが家ではすみちゃん、ふうちゃんになるかな。
名前が決まってからネットでいろいろ調べてみると、なんと北海道の夕張地方にその名も「楓(かえで)」という駅があることを知った。おお、何とこれは北海道的な名前だ!と感激していたら、その駅は一日に一往復しか汽車が走らないことで有名な駅だった。しかも、来春には廃止になることが内定しているらしい。鉄道ファンというわけでもないのだが私は汽車旅は好きなほうだったので、早速長女を連れてその駅を見に行った。石勝線自体が比較的新しい路線ということもあり、楓駅は思ったよりずっと立派な造りでとても一日一往復なんて信じられない感じだ。寝起きで機嫌の悪い長女をなだめながら、私は何枚か写真を撮って帰ってきた。私と長女のあいだでは、この駅はふうちゃんの駅ということになっている。