私生活精査し再試験、再採用を
― やる気なくした警官たちの犯行続発 ―
どこが、これが無理心中なんだ。れっきとしたストーカー殺人事件ではないか。なのにいまだになんてことだ。たかだかと言ってはなんだが、菓子の賞味期限を何か月かインチキしただけで社長以下打ちそろってこうべを垂れる時代に、警視総監も警察署長も謝罪会見する気さえない。
警視庁立川署富士見台交番の巡査長、友野秀和容疑者(40)が通いつめたキャバレーのホステス、佐藤陽子さん(32)を拳銃で射殺、自分も死んだ。この事件で警視庁は監督責任をとって幹部が謝罪、辞任するどころか、いまだに嘘をつき続けている。相手がホステスだからこんなもんでいいと思っているとしたら、なおさら許し難い。
まず大嘘の第一。前夜9時半ごろに交番を出た友野容疑者が午前5時を過ぎても帰らないので署のロッカーを調べたところ、佐藤さんの名刺が見つかり自宅に直行、二人の遺体を発見したという。デタラメもいい加減にしろ。それでなくてもどんな客がやってくるかわからない水商売の人たちが源氏名のほかに自宅住所までいれた名刺を作るか。
要するに署の幹部は友野容疑者が行方不明になったとき「あの女性のところだ」とピンときた。だけど、それを言ってしまうと「署はストーカー行為を把握していた」と非難される。そこで名刺から女性宅を割り出したことにした。被害女性をバカにしてまで、おのれらの身を守りたいのか。
大嘘はまだある。これは友野容疑者がついた嘘なのか、署の幹部があとづけした嘘なのかは不明だが、嘘であることに変わりはない。
友野容疑者は前夜午後9時半ごろ、交番を抜け出すときに「浮浪者が寝ている」という通報を受けたので現場に行くとして一人でバイクで出かけている。
だがこの前後に佐藤さんから、自宅に無断で入り込んだことを訴えるというメールを受け取っている。あわてた友野容疑者はとにかく佐藤さん宅に飛んで行くことにした。だけど交通事故や窃盗事件だったら、署の担当課が出動する。そこで一人で処理できる案件をデッチ上げて、なんとか交番を抜け出したのだ。
あるいは友野容疑者は泡を食って黙って出かけたのかも知れない。だが、ここでもまた無断で勤務を離れる警官を署は放ったらかしにしていたのかと非難されることを恐れた幹部がこんな作り話を思いついたのかも知れない。どっちにしても嘘ばっかりなのだ。
いずれにせよ、実はこの40歳巡査長というのは、警視庁に限らず全国の警察の悩みのタネなのだ。巡査長というのは一度も昇任試験に合格していない人たちの階級。まさに友野容疑者が採用された1986年といえばバブルの真っ最中。警官のなり手がなくて、試験らしい試験もせずに人をかき集めた時代なのだ。
残念ながら、やる気をなくしたこの年代の非行犯行が続発している。ここは思い切って私生活も精査した上での再試験、再採用を考えるべき時に来ているのではないか。
(日刊スポーツ・大阪エリア版「フラッシュアップ」平成19年8月28日掲載)
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