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沖縄・ひめゆりの塔 フラッシュアップ


卑劣な事に加担する新聞
― 集団自決記述 社説で「政治介入」 ―

 人間としてやってはならない最も卑劣なことに公器である新聞が加担してどうするんだ。そんな怒りがほとばしる。
日刊スポーツの実際の記事画像
 戦争末期の沖縄戦で日本軍が住民に集団自決を強制したとする高校日本史の教科書の記述が削除された問題で、憤りのまっただ中にある沖縄では先月29日、削除撤回を求めて県民の10人に1人が参加する11万人の大規模な集会が開かれた。さすがに政府もこの沖縄の怒りを前にして、クロをシロと言いくるめられないと判断したのか、町村官房長官が「沖縄の人々の気持ちをなんらかの方法で受け止める」と発言、文科省も訂正に応じる意向を明らかにした。

 さあ、これが気に入らないのが読売新聞と産経新聞である。読売が社説で「教科書検定に対するきわめて不可解な政治介入である」と派手に拳を上げれば、産経は削除、訂正に我慢ならんと「迷走する政府・与党」と決めつけた上で、史実を確定する研究機関の設置を提案した公明党にまで「戦前の国定教科書への逆戻り」と八つ当たりする始末だ。

 この新聞論調こそ、まさしく「これまた異なることを承る」の真骨頂ではないのか。よく聞くがいい。沖縄の人たちは一言たりとも「政治介入してくれ」なんて言っていない。「若者が学ぶ教科書に正しいことを書いてくれ」と言っているだけなのだ。それを政治介入というなら「政府はウソをそのままにしておけ。ウソを正したりしたら、承知せんからな。一騒ぎ起こすぞ」と言っているに等しいのだ。

 集団自決に関する軍の関与、強制について、ここで私の取材経験を記している余裕はない。ただ、手榴弾や青酸アンプルの配布は軍なくしてはあり得ない。民間人が持っているはずがない。なのに関与、強制した覚えはないという。こんな理屈が通るのか。

 これは私の取材経験からすると、いじめ自殺に酷似している。嫌がらせやシカト、いじめの限りを尽くして、もう自殺するしかないというところまで追い込んでおいて「首を吊ったのはあいつ。飛び降りたのはあいつ」と逃げる。学校は学校で

「いじめと自殺の因果関係は明らかではない」

 集団自決にしても、いじめにしても、もうそれしかない、というところまで追い詰めておいて、相手が勝手にやったこと、自分は一切、手を下していないと逃げまくる。人としてこれほど卑怯卑劣なことはない。しかもそれが「正しいやり方」として教科書に採用されているのだから、いくらいじめは卑怯なことと若者たちに説いて聞かせたところで、鼻先でせせら笑われるだけだ。

 私が今度の集団自決をめぐる問題で一番心に響いたのは、一人の高校生が言った「おじい、おばあたちが、はらわたを絞り出すようにしてぼくたちに語ってくれた言葉を国はウソだと言うのか」というものだった。

 あの記事を書いた記者は、そのおじい、おばあの目を見ながらでもこんな記事が書けるのか。

(日刊スポーツ・大阪エリア版「フラッシュアップ」平成19年10月9日掲載)


沖縄戦(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/沖縄戦
教科書検定(Yahoo!ニュース)
 http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/textbook/
日本の教科書検定制度(外務省)
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kentei.html


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