福岡県警どげんかせんと…
― 新喜劇より間抜けな警察手帳強奪 ―
どげんかせんといかんというのは宮崎県の専売特許だと思っていたが、しみじみと涙ながらに、どげんかせんといかんのは、福岡県警だと感じる。あまりにバカバカしいので書くのをやめようかとも思ったけど、これ、取りようによっては吉本新喜劇なんかよりおもろい。それに大阪や東京ではあまり詳しく報じられていないので、やっぱり書いちゃおう。
時は5日の午前3時15分ごろのこと。所は福岡県筑紫野市のJR駅近くの駐車場。そこで福岡県警本部少年課の警部補(47)と巡査部長(31)の二人が覆面パトで張り込んでいた。二人は少年少女を毒牙にかけるシンナーを地元の広域暴力団、道仁会の組員が密売しているとの情報で、内偵していたのだ。ここまでは人々が寝静まる未明に、ご苦労さんと声の一つでもかけたくなるシチュエーションだ。
ところが二人をとんだ災難が襲う。不審な乗用車を見つけて近づくと、別の車から男4人が飛び出してきた。ヤバイと感じた二人は走って逃げようとしたのだが、アラ、情けなや、ここで年長の警部補がスッテンコロリン。すると男たちのうちの二人が警部補に馬乗りになって「どこの組のもんじゃ」と言いながら、拳銃のようなものを突きつけて、あろうことか警察手帳を奪ってしまった。もう一人の巡査部長は残る二人に鉄パイプで殴られ、やはり「どこの組のもんじゃ」。こちらは警察手帳を見せると警部補に馬乗りになっていた二人と合流、車で逃走した。
警官二人は拳銃はおろか、特殊警棒さえ持っていなかった。あわてふためいた二人は、せめて携帯電話で110番するなり、所轄の筑紫野署に連絡、緊急配備を手配すればよさそうなものを、何と自宅でぐっすり寝込んでいた捜査班の班長に「えらいことじゃ」と電話、受けた班長も110番するでもなく「そいつはどげんかせんといかん」と言ったか言わずか、エッサホイサと、マイカーで1時間はかかる筑紫野署を目指したのだ。なんとなれば、この本部捜査班、所轄の筑紫野署には仁義を切らず、勝手に他人の庭先で張り込みをしていたのだ。
こんな赤っ恥な話、いまさら所轄署にできるかよ、なんて思いつつ、署に着いたのは午前4時50分、やっと恥も外聞も捨てて緊急配備を敷いてもらった時には、事件発生からすでに1時間半もたっていた。
その間、襲われた二人の警官は何をしていたのかと言えば、犯人どもがそこらに警察手帳を捨てていないかと血眼になって捜していた。そこに逃走したはずの4人のうち二人が戻ってきて「どうじゃ、手帳は返すけん、事件ばなかったことにせんとね」。さすがに二人の警官が「いやじゃ」と言うと、またスタコラ逃げて行ったという。
4人の男は7日になって逮捕されたが、この顛末、日本警察の歴代トホホ話の中でも、相当上位にランキングされるんじゃなかろうか。いずれにせよ、不祥事続発の福岡県警は、根本からの建て直しを迫られている。
(日刊スポーツ・大阪エリア版「フラッシュアップ」平成20年6月9日掲載)
|