都会
日刊スポーツ
「熱血サイト」から

(大阪エリア版 2001年2月16日掲載)

無惨な結末でも“殺人”の証明は困難

 「織原被告のほかに他の者が関与したと疑るに足る合理性はない」

 裁判的に言うとこんな堅苦しい言い方になるが、要は織原城二容疑者(48)への疑惑は限りなく濃くなった。それこそ疑るに足る合理性はなくなったと言えるのではないか。
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 昨年7月から行方がわからなくなっていた英国人女性ルーシー・ブラックマンさん(失踪当時21歳)のバラバラになった遺体が神奈川県三浦半島の洞窟から発見された。遺体の発見場所は、これまで警視庁の捜査本部に準強姦容疑で、6回も逮捕されながら、ルーシーさん失踪については、頑強に容疑を否定していた織原容疑者のマンションからわずか150メートルの所だった。

 この場所から遺体がこういう形で見つかったことは、捜査上、大きな意味を持つ。というのは、織原容疑者が真実、被疑者であった場合、大いなる誤算をしたことになるからだ。

 もし、ルーシーさんの遺体が衣服をつけて、三浦海岸の岸壁にプカプカ浮いていたら、捜査本部にとってはやりにくいことになったはずだからだ。

 「セックスプレーをしたあと、朦朧としたまま、ルーシーは海を見に行くと言って出て行った。きっとそのあと海に落ちたんじゃないか」「なんだかセックスのあと急に落ち込んで、自殺したいようなこと言っていた。ウトウトして目が覚めるとルーシーはいなかった」。こんな言い訳をされると捜査はデッドロックに乗り上げることになる。

 ところが遺体は切り刻まれた上、埋められていた。自分で体を八つ裂きにして死ぬ人間はいない。自分で穴を掘って埋まって死ぬ人もいない。つまりルーシーさんの死に誰かが関与していることを死体に語らせているのである。捜査はまさに大詰めを迎えた。

 とは言え、もう一つ、大きな問題がある。警視庁は果たして殺人容疑で織原容疑者を逮捕できるか、もし逮捕起訴しても、公判は維持出来るかという問題だ。過激なプレー、あるいは強烈な薬物の影響でルーシーさんが死亡したとしたら、これは殺意を持った行為ではなく、事故、あるいは過失だったと言うこともできる。その場合、未必の故意による殺人に問うことも極めてむずかしい。

 そうなると、ルーシーさん事件で問える罪は、重過失、これは5年以下の禁固または懲役。それに死体損壊、遺棄罪、これは3年以下の懲役である。さらにこれまでの準強姦で6回も逮捕されているが、これは2年以上の有期刑である。

 ということは裁判所が相当悪質だと判断したとしても最高で12、13年、ひょっとすると10年ぐらいの刑になる可能性もある。ルーシーさんの父が、そして10歳の子どもにも刑を課して社会的責任をとらせるイギリス国民が果たして納得するだろうか。

(日刊スポーツ「熱血サイト」大阪エリア版 毎週金曜日担当)



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