夕日
日刊スポーツ
「熱血サイト」から

(大阪エリア版 2001年10月19日掲載)

子供や少女が死に、貧しい民が死んでゆく

 アフガニスタンでの戦争が続いている。一言でいうとそういうことになるが、それは毎日、何百、何十という人が、空爆で、ミサイルで殺されているということである。だけどここで、ちょっと足もとに目を移してみたい。
日刊スポーツの実際の記事
 この1週間だけでも、東京・板橋区の男の子の誘拐事件、長崎県諫早市では女の子が殺害され、山の中で見つかった。宮城県石巻市では中学3年生の女子生徒が行方不明になっている。

 小学1年生の男の子が身代金目的で誘拐された東京・板橋の事件は、犯人がボイスチェンジャーなんて小道具を使ってくれたので、あっという間に顔見知りとわかった。銀行をやめて入ったノンバンクをリストラになったサラ金苦の男、まさにいまの世を象徴するような犯人像だった。

 諫早の事件は下校途中に行方不明になっていた小学校1年生の女の子が無惨な絞殺体となって見つかったが、いまも犯人はつかまっていない。

 石巻市の中3の女子生徒は、「変なものを飲まされた、助けて」と友人に携帯電話でメールを送ったのを最後に消息を立った。その直後、彼女の衣服や携帯電話を焼却していた50代の男性が、停泊中の船の中で首つり自殺していた。その状況からみて彼女が無事に戻る可能性は極めて低いとみられる。

 3つの事件で共通しているのはいずれも被害者が子どもや少女だという点である。そして、加害者は大人か、大人の可能性が高い、ということだ。被害者は大人たちの身勝手で貪欲な欲望の犠牲者ともいえる。

 以前この欄でも少し書いたが、今夏は悲惨だった。児童8人が殺された6月の池田小乱入殺傷事件。明石の歩道橋事故では9人もの子どもたちの命が奪われた。神戸市北区の中国道では、テレクラで知り合った中学教師の男に手錠をはめられ、車に監禁された12歳の少女が車から飛び降りたあげく後続車に轢かれて死亡した。

 北海道広尾町では小遣い銭ほしさの近所の男に、留守番の幼児2人が刺殺され、尼崎では、小学1年生の男の子が両親の虐待で命を落としたうえ、ポリ袋詰めにされ運河に遺棄された。

 いったい、私たちの社会はここ数ヶ月、どれほど罪もない幼い子や少女たちの命を奪ったことか。

 世の中が不平等、不公平になり、その鬱積がたまると、必ず刃は弱いところ、不抵抗なところに向けられる。

 前にも、この欄で書いたが、私は、その国がいい国であるかどうかの尺度は、そこに暮らす人々の命がどのくらい重んじられているかということに尽きると思っている。

 いつ終結を迎えるのか見通しもつかないアフガンの戦争。もう一つの見方をすれば、この地球も、世界も、そして私たちの国も、いま、歪んだ醜い姿の中にあるということではないだろうか。

(日刊スポーツ「熱血サイト」大阪エリア版 毎週金曜日担当)



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